悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME 作:MTHR
赤と青の双月が大地を照らす中、夜空を走る不気味な船があった。
怪物の顔が刻まれ、緑色の腕が生えた不気味な船──“キャプテンゴースト”の甲板の上で、入間は導越の羅針盤に目を通していた。
“望んだ場所を指し示す”という概念魔法が込められた導越の羅針盤により、入間達は魔界から行方不明となった最愛の娘と恋人の一人──ミュウとレミアの居場所を性格に知ることができる。
「この辺りだね、ミュウとレミアがいるのは」
「……ん。相変わらず、チート」
「でも、大丈夫かね。ルーンが刻まれていたら、ミュウちゃん洗脳されちゃうんですよね」
「それは、祈るしかないのぅ」
「最悪の場合、主人を殺せばルーンは消える」
「それしかないね。気は進まないけど」
導越の羅針盤で知ることができたミュウとレミアの居場所が、魔界ではなくこの世界である事を知った入間達は、ミュウとレミアはルイズと同じ“虚無”の系統を持つ者によって、使い魔としてこの世界に召還されたのだと睨んでいた。
“虚無”の使い魔である『ガンダールヴ』ルーンの影響でこの世界から出られなくなった入間。
本来の“虚無”の使い魔のルーンは、主人に従順になるように『洗脳』を施すのに加えてルーンによってそれぞれ『力』を与える働きがある。主を守るために使い魔となった者の心をねじ曲げ、主人に対して好感や好意を抱くようになり、主人の側のこそが自分の居場所であると思い込ませ、命を懸けることすらある力。
入間はその『洗脳』を無効化している故に、ルーンはこの世界から入間を逃がさないために全力を注いでいるため、入間はルイズをそこまで特別視していないのだが、ミュウとレミアの場合はそうはいかないだろう。
だからこそ、彼等は今、この世界に呼び込まれた家族を探すために、ルイズ達とは別行動を取っているのだ。
その時、森の一角から爆音が響き渡った。
「っ!?」
「イルマ!」
「うん!」
ユエ達の声に答えながら、入間はキャプテンゴーストを爆心地に向けて急発進させた。
深夜の森の一角に、襲い来る異形に立ち向かう赤き戦士がいた。
カットラスで迫り来る異形を切り、ピストルで遠距離から銃弾を放とうとする兵士を撃ち抜くのは、赤いスーツと仮面に身を包んだ海賊であった。
「おのれゴーカイレッド!いつもいつも邪魔ばかりしおって!ゲッソリなんだよ!!」
次々と兵士が倒れていく姿を見て声を上げるのは、何処かスタイリッシュな風貌をしたイカの怪物──【スペースイカデビル】だ。
彼の怒りに反応するように、【ショッカー戦闘員】【チャップ】【屑ヤミー】【初級インベス】【ガーディアン】といった戦闘員達が突撃する。
赤い海賊──【ゴーカイレッド】は、手にした“ゴーカイガン”で戦闘員を発砲して交代させると、ベルトのバックルのボタンを押し、あるものを取り出した。
「面白いの、見せてあげるの!」
ゴーカイレッドは“レンジャーキー”と呼ばれる人形をキーモードに変形させると、“モバイレーツ”を取り出し、キーモードのレンジャーキーをモバイレーツに差し込んだ。
「ゴーカイチェンジ!」
「メットオン!!」
ゴーカイレッドの体が変化し、胸に大きく「1」のマークが施されたスーツに変わると、出現したヘルメットを被り、その姿を【ゴーオンレッド】へと変えた。
「ロードサーベル!!」
刀身が路面をもした専用武器“ロードサーベル”を装備したゴーオンレッドは、そのまま高速移動を発動し、戦闘員軍団に接近する。
まるでレースカーのような摩擦音とエンジン音を響かせながら、ゴーオンレッドは戦闘員達が反応するよりも早く、剣を振り抜く。
「サーベルストレートなの!!」
振り抜かれたロードサーベルが、戦闘員達を余さず切り捨てる。
爆発を背に急停止したゴーオンレッドは、再びレンジャーキーを取り出し、モバイレーツに差し込んだ。
「ゴーカイチェンジ!」
頭の上に出現した魔法陣が体を潜り抜け、ゴーオンレッドは赤の魔法使い【マジレッド】へと変身すると、呪文を唱える。
「マジ・マジ・マジカ──レッドファイヤーフェニックスなの!!」
マジレッドの体が炎に包まれ、炎の鳥を形成すると、戦闘員達に向かって飛び、突撃と同時に爆発が起こり、戦闘員達は爆炎に包まれて塵も残らずに消滅した。
だが、それでもまだ戦闘員はかなりの数が残っており、ゴーカイレッドが再びレンジャーキーを取り出そうとした時、上空から可憐な声が聞こえてきた。
「“雷龍”」
天空から降り注いだ稲妻の龍が、戦闘員達を穿つ。戦闘員達は悲鳴を上げながら逃げ惑うと、逃げた戦闘員に追い討ちを書けるように、無数の炎が戦闘員達に炸裂し、爆発を起こす。
「今のって……!」
すると、マジレッドから元の姿に戻ったゴーカイレッドの前に、6人の仮面ライダーが現れた。仮面ライダーの姿に変身した入間達であった。
「ッ!パパ…!」
「ゴメン、遅れたよ。おかげで再会を喜ぶ暇もない」
「んみゅ!なら早く終わらせるの!」
「ハハッ、頼もしくなったなぁ……」
仮面ライダージオウは、ゴーカイレッドの言葉に苦笑しつつライドウォッチを取り出すと、ゴーカイレッドもまた手にしていたレンジャーキーを使い、二人は別の姿へと変身する。
ジオウは幾つもの虚像が重なった装甲を纏い【ディケイドアーマー】に変身し、ゴーカイレッドは火のモヂカラを纏い【シンケンレッド】へと変身する。
姿を変えたジオウは“ライドヘイセイバー”を召喚し、針を回転させてライダーを選択し、シンケンレッドは愛用の刀“シンケンマル”にディスクをセットすると、そのディスクを回転させる。
「烈火大斬刀!なの!!」
ジオウの手にするライドヘイセイバーが蒼電に包まれて巨大な刀身を作り出し、シンケンレッドのシンケンマルが二メートルを越える巨大刀“烈火大斬刀”に変化する。
「パパ!!」
「はい!」
シンケンレッドの声で、ジオウは巨大化した烈火大斬刀をシンケンレッドに向けて投げ、同じタイミングでシンケンレッドも烈火大斬刀をジオウに投げ渡す。
そして、二人は巨大な剣を構え、ライドヘイセイバーに稲妻が迸り、烈火大斬刀が燃え盛ると、二人は同時に剣を振り抜いた。
「「はぁっ!!!」」
刃から放たれた炎と稲妻が一つとなり、戦闘員達の体を蹂躙する。戦闘員達は悲鳴を上げながら爆発を起こすと、その場に残ったのはスペースイカデビルだけとなってしまった。
「おのれゴーカイレッドに仮面ライダー……この借りは必ず返してやろうじゃなイカ!」
その負け惜しみと共に、スペースイカデビルは背後に出現したオーロラカーテンの向こうへと消えていく。
戦いが終わり、ジオウ達は変身を解く。ゴーカイレッドも赤い光に包まれてその背丈が縮み、エメラルドグリーンの髪に、耳にヒレを持つ幼女──ミュウの姿が露になった。
「パパぁ!会いたかったのぉ!!」
元気な声と共に、自身の胸目掛けて飛び付いてくるミュウを、入間は喜んで受け止める。
もう離さないと言えように強く抱き締め会う姿は、どこからどう見ても親子そのものだった。
ユエ達が穏やかな表情でその様子を眺めていると、その場に二つの声が割り込んできた。
「「ミュウ(ちゃん)!」」
二人が振り向くと、そこにはミュウとよく似た女性と、見覚えのない金髪の少女が、こちらに向かって走ってくる光景だった。
「レミア!やっぱりお前もこの世界にいたのか!」
「っ!アメリさん……それに、アナタ!?どうしてここに!?」
エメラルドグリーンの髪の美女──レミアは、入間達の姿を目にして驚きを露にする。しかし、直ぐに安堵したような、それでいて抑えきれぬ喜びを露にしながら入間のもとに駆け寄ってくる。
すると、レミアの隣に立っていた少女が歩み寄ってくる。
「あの……貴方が、ミュウちゃんの父親なんですね」
美しい少女だった。
唾の広い帽子からこぼれ出る左右に分けられた波打つ金色の髪。完璧な輪郭とシルエットを持つ顔。
粗末で丈の短いワンピースに身を包んでいたが、美しさを損ねるどころか、逆に清楚さを演出していた。短い裾から細く美しい足が伸び、そんな足を可憐に彩る白いサンダルを履いている。
しかし、何より目を引くのは彼女の胸である。
目の前にいる金髪の少女の体は細い。足首も腕も腰も、全部が細いのに反して、胸だけがティオやレミアとタメを張る程に膨らんでいるのだ。
だが、ティオもレミアはその胸に比例した肉付きを持っていて、肉感的な魅力を放っているのに対し、金髪の少女は線が細いせいで、二人よりも胸が膨らんでいるように見えてしまう。並みの男ならば、確実に前屈みになっているであろう光景だ。
美女や美少女のハーレムの主である入間は特にどう思うわけでもなく、その美少女に話し掛けようとした時、ミュウの口から自分の父親であると言うことを聞いた少女は突如声を上げた。
「その……ごめんなさい!!」
突然頭を下げられた事に目を丸くする入間達。なぜ初対面で
頭を下げられたのか分からない入間達に、少女は心底申し訳なさそうな表情で衝撃のことを話した。
「私が、ミュウちゃんをこの森に召喚してしまったんです……!」
「それってどういう……」
「パパ!テファお姉ちゃんを怒らないで!テファお姉ちゃんは、ミュウのお友達なの!」
「……どういう事だ?」
「順を追って説明します。ですが、まずは落ち着ける場所に移動しませんか?」
レミアの提案に、入間達も頷いた。
そして案内されたのは、小さな集落にある一軒の家。現在ミュウとレミアが世話になっているという家に上がらせてもらった入間達は、金髪の少女の家の居間にて話を聞くことになった。
ミュウは入間の膝にちょこんと座って話に加わろうとしたが、戦いの疲労と大好きなパパと再会できた安心感に気が抜けたのか、入間の膝を枕にスゥスゥと寝息を立て始めた。愛らしい姿の愛娘に、入間もまた穏やかな顔でミュウの髪を撫でる。
微笑ましい光景に、先程から申し訳なさそうにしていた金髪の少女がクスリと笑った。レミアもまた、未来の夫の父性愛に頬を緩めつつ、温かいお茶を淹れたカップを並べると、入間達に向き直り口を開いた。
「改めて……私達は1ヶ月程前から、このティファニアさんの魔法でこの世界に呼び込まれたんです」
彼女の説明を要約するとこうだ。
入間がルイズに召喚された翌日、ファイズフォンXを用いてユエ達に送ったメールから、ユエ達がハルケギニアにわたる決意を固めた日、ミュウとレミアは突如目の前に出現した鏡に吸い込まれてこの世界へとやって来たらしい。
そして、召喚した張本人──【ティファニア】から、自分達は使い魔召喚に巻き込まれて来てしまったと言うことを教えてもらい、ミュウとレミアはウエストウッドの村を中心に生活していたらしい。
「改めてごめんなさい……でも、ミュウちゃんとコントラクト・サーヴァントはしてません!」
ティファニアから使い魔の説明を受けたミュウとレミアは、最初はレミアが使い魔になると言ってきたのだが、大好きなママをそんな目に合わせられないとミュウは自分が使い魔になると言い出したらしい。しかし、目の前にいる母娘の仲を引き裂くような
入間としても、アリクレッドの情報から使い魔のルーンが刻まれると強制的に主人に対しての好意や忠誠心を刷り込まれる事を知っていた為、ティファニアが使い魔の契約をしていないというのはありがたいことであった。
(……良い子)
(ですねぇ。なんだか毒気を抜かれちゃいましたよ)
(ホント、ルイズちゃんとは正反対だね~)
(遠回しにヴァリエールを侮辱してないかミレディ?)
(まぁ、良かったではないか)
悪口ではないが、何処ぞの令嬢とは本当に正反対だ。
この世界では魔法を使える者は貴族のみということから、彼女も何かしら貴族との血縁があるのだろうが、ティファニアはこの世界で入間達が見てきた貴族のように偉ぶった様子もない。こんな集落に住んでいるのだから何か事情があるのだろうが、入間達の好感度はかなり高いものだった。
「……ん?そういえば、あの怪人達は何だったの?スペースイカデビルの言動からすると、前々から君達を知ってたみたいだけど?」
そこで、ずっと頭の隅に引っ掛かっていた事を問いかける。
「それなんですが……」
レミアの説明によると、スペースイカデビルはレミアとミュウが召喚された初日に姿を現し、何度もティファニアを狙ってウエストウッド村を襲っているのだという。
ティファニアを含め、この村には戦えるものなど一人もいなかったのだが、丁度スペースイカデビル達が現れるタイミングで召喚されたミュウは、ゴーカイレッドとして何度も怪人達を退けていたらしい。
「……あれ?そういえばティファニアさん、なんで部屋の中でも帽子被ってるんですか?」
そこで、シアはあることに気づいた。
外にいた時もティファニアは耳まで隠れるような大きな帽子を被っているのだが、家の中にまで被っているのは少しおかしい。
「ッ」
しかし、それを指摘した途端、ティファニアは表情を強張らせ、帽子をギュッと握り締める。まるで何かを恐れているようだ。
そんなティファニアの肩に、ポンッと優しい手が置かれた。
「安心してください、ティファニアさん。皆さんは貴女の姿をみても、怖がったりしません。
「レミアさん……」
レミアの言葉に背中を押されたのか、ティファニアは帽子をゆっくりと外す。
帽子に納められた金色の髪がフワリと揺れたかと思うと、その髪の隙間から、ツンと尖った耳が覗いて見えた。
「エルフ?」
魔界でもトータスでも尖った耳という特徴を持つ悪魔や魔人族を見てきたが、彼等の二倍くらいはある長い耳を見た入間が驚いたように呟く。
「やっぱり、怖いですよね……」
「……なにが?」
「え?」
「「「「「「えっ?」」」」」」
落ち込むように呟いたティファニアの言葉に首をかしげる入間に、ティファニアも目を丸くする。それを見て、目を点のように小さくして首を傾げる入間、ユエ、アメリ、シア、ミレディ、ティオ。
そんな光景に、思った通りだと言うようにレミアが吹き出す。
入間達は最初は意味が分からなかったが、魔法学院で得た知識には、エルフはルイズ達のようなメイジとは根本的に異なる『先住魔法』という魔法を操り、長年に渡り『聖地』を巡って争い合った天敵とされていることを思い出すと、納得したように頷いた。
「安心してください。貴女がエルフだからといって、僕達は貴女にどうこうする気はないですよ。ミュウとレミアの友達なんですから」
穏やかな表情でそういった入間に同意するように、ユエ達も頷く。
いくらエルフがこの世界の人間の天敵だったとしても、それは異世界の存在である入間達には関係のないことだ。それに、エルフという種族が人類の天敵だからといって、全てのエルフがそうだという狭量な価値観を持つものは入間達の中には一人もいない。そもそも、入間の周りには、悪魔やら吸血鬼やら、色々な種族に囲まれて過ごしているのだから。
そんな入間達の反応に、困惑した様子のティファニアをジッと見つめながら、入間は思案する。
(それにしても、ティファニアが魔界にいたミュウを召喚したってことは、やっぱり彼女も『虚無』の系統なのは間違いない……でも、何でスペースイカデビル……もとい、スペースイカデビルと戦闘員達を束ねてる組織は彼女を狙ってるんだろう?『虚無』って事意外大した力も無さそうだし……いや、虚無?)
そこで、入間の中である可能性が導き出される。
ワームにバトルジャパン、そしてドーパントにスペースイカデビル。
これまで入間達の前に立ち塞がってきたあらゆる世界の怪人達が、自然に発生するとは思えない。特に、ドーパントに至っては“ガイアメモリ”が存在しない限り現れる筈がない。つまり、この世界に怪人や怪人の力を操れるようになる技術をばら蒔いている“組織”があると見て間違いない。
これまで怪人達は入間達の前にだけ立ち塞がってきた。ネイティブの血を引くシエスタを狙っていたワームは別として、バトルジャパンやユートピア・ドーパントは確実に自分を狙っていたので、自分達バビルを抹殺することが目的だと思っていた。しかし、ティファニアが狙われているという話を聞いて、その前提がひっくり返った。
「そういうことか……完全に読み違えた!!」
「イルマ!?」
ミュウを起こさないようにしながらも悔しげな表情となる入間に、ユエ達が驚く。
「敵の狙いは僕達じゃなかった。敵の狙いは“虚無”の系統を持つメイジだったんだ!」
「虚無?」
ティファニアとレミアはきょとんとしている。どうやら、彼女もルイズと同じように自分の系統を知らなかったようだ。
「待て、だとすれば……我々がヴァリエールから離れるのは不味いぞ……格好の餌食だ」
ルイズの下に残しているのは愛子、優花、チマの三人だ。この世界の基準では無類の強さを誇るとは言え、他のメンバーよりも経験値の低い面子で、“組織”の力に対抗できるかは正直怪しい。
「戻らないと不味いか……いや、でもミュウの事もあるし……」
正直に言うと、入間の心の中の天秤はルイズよりもミュウに傾いているので、ルイズよりミュウを優先するのに躊躇いはない。しかし、怪人達を束ねる組織の狙いがルイズならば話が変わる。捕まったルイズがどう扱ってなにをする気なのか想像もつかないし、何より愛子達が心配だ。
その時、入間は下から視線を向けられていることに気付いて顔を下に向ける。そこには、まん丸の目をパッチリと開けてこちらを見ている愛娘の姿があった
「あっ、ミュウ?起きちゃった?」
「パパ、何処かに行くの?」
「あっ!いや、それは……」
ミュウの問いに、入間はしどろもどろになってしまう。
「じゃあ、ミュウはいってらっしゃいするの」
「え?」
ミュウの意外な言葉に、入間達は目を見開く。
不思議そうな顔をしている大好きなパパに、ミュウはニッコリと笑いかけた。
「ミュウはここで、テファお姉ちゃん達を守るの。それで、ママと一緒にパパをお迎えに行くの。だって、ミュウはパパの娘だから!」
強い自信と決意に満ちた言葉を真っ直ぐに口にするその姿は、野望を口にする時にイルマが見せる姿とまるで同じだった。
少し見ない間に、一回りも二回りも大きくなったように見える愛娘の姿に、入間はミュウを抱き締める。ミュウも突然の包容に目をパチクリさせていたが、やがて嬉しそうに入間の背中に手を回した。
「ミュウ、僕達は明日出発するから、今日は一緒に寝よっか」
「んみゅ!パパと一緒に寝るの久しぶりなの!」
「あらあら、それなら私も一緒に寝かせてもらいます。夫婦なんですから、構いませんよね?」
ワルドがルイズと結婚式を挙げるのは明日なのだとすれば、明日まで余裕があるという入間の提案に、ミュウとレミアも嬉しそうに答える。
ユエ達は、入間がミュウとレミアと寝ることに反論することなく、その日はティファニアの家で一晩過ごす事となった。
翌朝。
早い時間から目を覚ました入間達は、ミュウとレミアとティファニアにしばしの別れの言葉を交わしていた。
一晩しか経っていないが、入間達もティファニアとはすっかり打ち解けることが出来、ユエ、シアはミュウと同じように彼女を「テファ」と呼び、ミレディも「ファニちゃん」とアダ名を呼ぶようになっていた。
「そう言えば、ティファニアさん」
「はい?」
「敵がどう出てくるのか分からないから、これを渡しておきますよ」
そう言って、入間はあるライドウォッチを取り出すと、それをティファニアに手渡した。
黒と金の配色に、他のライドウォッチと異なり時計の歯車を模した彫刻が施されているのが特徴で、「カメン」と「2068」という文字と年号が刻まれている。
「これって……?」
「僕の力の一部が込められてます。何かあればそれが力を貸してくれます」
自身の持つ力の中で五本指に入る力を持ったライドウォッチを託した後、入間はミュウ達に背中を向け、オーロラカーテンを出現させようとする。
「そうは…イカーーーン!!!!」
「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」
「キャアッ!!!?」
突如飛んできた光弾が地面に直撃し、火花を散らす。
入間達がミュウとレミアとティファニアを庇いながら前を見ると、そこには入間が呼び出したものではないオーロラカーテンが出現し、そこから無数の異形が現れた。
「ゲソゲソ~!ジオウ、そしてゴーカイレッド!お前達を一網打尽にして、虚無の使い手を二人同時に手に入れる!これそこまさに一石二鳥じゃなイカ!」
それは、昨晩現れたスペースイカデビル。更に彼に続くように、【ドラス】【クモ女】【オックスオルフェノク】【ビートルファンガイア】【アリゲーターイマジン】【牛鬼】といった屈強な体を持つ怪人がぞろぞろと現れてくる。更にそこへ続くように、無数の戦闘員達も現れた。
「面倒な……」
やたらと手強い相手を用意されていることに入間は舌打ちする。
スペースイカデビルを含めて一気に殲滅するのは簡単だが、それは周囲への被害を無視した場合の話だ。ティファニア達の住む家のあるこの地で、本気で暴れまわるわけにはいかない。
だとすれば、こここら奴らを引き離して倒すしかないと、ティファニアとレミアに子供達の避難を任せた入間達は一斉に立ち並ぶと、変身アイテムを取り出した。
「「「「「「変身!!」」」」」」
「ゴーカイチェンジ!なの!!」
ジオウ、ウィザード、ゲイツ、エグゼイド、龍騎、ゴースト、ゴーカイレッドの変身が完了し、7人は武器を構える。
ゴーカイレッドはゴーカイサーベルの刀身とゴーカイガンの銃身の二つをスッと撫で合わせると、高らかに宣言した。
「ド派手に行くぜ!なの!!」
その言葉と共にゴーカイガンが火を噴き、戦闘が開始された。
次回予告
キュルケ「ルイズが結婚なんてねぇ」
愛子「大丈夫でしょうか……」
ルイズの結婚式!
ルイズ「私、あなたと結婚できない」
ワルド「僕は世界を手に入れる!」
ワルドの正体は──
チマ「ガイアメモリ……」
エターナル「さぁ、地獄に落ちなさい!!」
EP19「Nの結婚式/狙われた虚無」