悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME   作:MTHR

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EP22「護衛と祈祷書と休暇の誘い」

 ウエストウッドの森の中にある一軒家。

 自然に囲まれたというより、自然の中にあるというべき小さな家に、幾人の影があった。

 

「というわけで、これからミュウ達の事は頼んだよ」

「あぁ、任せてくれ」

 

 入間の言葉に、アメリは力強く頷いた。その近くでは、ミュウ達と話をしているミレディの姿があった。

 

 このハルケギニアに暗躍している謎の勢力。その勢力の狙いの一つがミュウとレミアを召喚したティファニアの持つ“虚無”であることを察した入間は、ミュウとレミアの安全確保のために、二人が滞在しているウエストウッドの森に幾人かの人材を派遣することにした。

 本音を言えば、明らかに面倒な相手だとわかっている勢力とむやみやたらに関わりたくない入間は、ルイズもティファニアも見捨てて、ミュウとレミアを連れてトンズラしたかったのだが、“虚無”の力がどれ程の力を秘めており、それが敵勢力の手に渡ればどれ程の驚異になるのかが未知数であることと、何よりミュウが契約のルーン関係なくティファニアを気に入っているため、虚無を守りながら戦う道を取ることにした。

 

 そして、ミュウとレミアを守るために選んだのが、アメリとミレディだ。

 アメリは入間と同じ全ライダーの力を持つ仮面ライダー。アメリに渡してる宝物庫の指輪は入間の指輪の宝物庫とリンクしているため、常にライドウォッチを共有している状態にある為、アナザーライダーのような相手が来ても問題はないだろう。

 ミレディはアメリのサポートだ。アメリは高位の魔術も多数習得しているが、どちらかと言えば特化しているのはフィジカルであり、魔法のエキスパートには及ばない。ユエは入間と離れたがらなかった為、必然的に搾られるのはミレディとティオだったが、色々考えた末にミレディを選んだ。その方がミュウのために、色々と都合が良い。ミュウの教育に悪そうなことをしたら、アメリが何とかしてくれるだろう。何かあれば、転移魔法で此方にやって来るように言っている。

 

「ミュウ、これからはアメリとミレディと一緒にいてくれるから、二人とも協力してここを守ってね」

「うぅ……わかったの」

 

 寂しそうな表情を浮かべるミュウに、入間はとてつもなく心苦しい気持ちになる。

 本音を言えば、入間もミュウと一緒が良い。しかし、いくらオスマン達を脅して学院内である程度の自由や地位を確保しているとは言え、流石にティファニアや孤児達の面倒までは見られない。

 

「その代わり、僕のいる所には、いつでも遊びに来て良いからね」

「っ!ほんと?」

「勿論。ミュウなら何時だって来て良いからね」

「はいなの!!」

 

 満面の笑みを浮かべるミュウの姿に、自然と入間の頬も緩む。

 

 その後、わざわざ転移でここまでやって来たユエのどや顔によって、アメリとミレディの喧嘩が勃発して一騒動起こったのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日。

 教室にルイズが入っていくと、すぐにクラスメイトたちが取り囲んだ。ルイズたちは学院を数日空けていた間に、なにか危険な冒険をして、とんでもない手柄を立てたらしい、ともっぱらの噂であったからだ。

 

 するところを何人かの生徒たちが見ていたのである。穏やかじゃない光景である。何があったのか、クラスメイトたちは聞きたくてうずうずしていたのであった。彼らは、朝食の席には教師たちがいるので遠慮していたのである。

 キュルケとタバサとギーシュは、すでに席についていた。その周りも、やはりクラスメイトの一団が取り囲んでいる。

 

「ねえルイズ、あなたたち、授業を休んでいったいどこに行っていたの?」

 

 腕を組んで、そう話しかけたのは香水のモンモランシーであった。

 見ると、キュルケは優雅に化粧を直しているし、タバサはじっと本を読んでいる。

 タバサはぺらぺらと話すような性格じゃないし、キュルケもお調子者ではあったが、何も知らないクラスメイトに自分たちの秘密の冒険を話すほど、口は軽くない。

 クラスメイトたちは、押しても引いても自分のペースを崩さず何も話さない二人に業を煮やし、ギーシュと新たにあらわれたルイズに矛先を変えた。

 ギーシュは、取り囲まれてちやほやされるのが大好きなので、調子に乗ったらしい。

 

「きみたち、ぼくに聞きたいかね?ぼくが経験した秘密を知りたいかね?困ったウサギちゃんだな!あっはっは!」と眩しくなり足を組み、人差し指を立てたので、人壁をかきわけて近づいたルイズに頭をひっぱたかれた。

 

「なにをするんだね!」

「口が軽いと、姫さまに嫌われるわよ。ギーシュ」

 

 アンリエッタを引き合いに出されたので、ギーシュは黙ってしまった。二人のそんな様子で、ますますクラスメイトたちは「なにかある」と思ったらしい。再びルイズを取り囲み、やいのやいのやり始めた。

 

「ルイズ!ルイズ!いったい何があったんだよ!」

「なんでもないわ。ちょっとオスマン氏に頼まれて、王宮までお使いに行ってただけよ。ねえギーシュ、キュルケ、タバサ、そうよね」

 

 キュルケは意味深な微笑を浮かべて、磨いた爪の滓をふっと吹き飛ばした。

 ギーシュは頷いた。

 タバサはじっと本を読んでいた。

 取り付く島がないので、クラスメイトたちはつまらなそうに、自分の席へと戻っていく。みんなして隠し事をするルイズに頭にきたらしく、口々に負け惜しみを並べた。

 

「どうせ、たいしたことじゃないよ」

「そうよね、ゼロのルイズだもんね。魔法のできないあの子に何か大きな手柄が立てられるなんて思えないわ!フーケを捕まえたのだって、きっと偶然なんでしょう?あの使い魔が一人で倒しちゃったんじゃないの?」

 

 見事な巻き毛を揺らして、モンモランシーがイヤミったらしく言った。

 ルイズは悔しそうに唇をきゅっと噛み締めたが、実際、フーケの時も任務の時も、入間達がいなければ達成できなかったのは事実のため、何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オスマン氏は王宮から届けられた一冊の本を見つめながら、ぼんやりと髭をひねっていた。古びた革の装丁がなされた表紙はボロボロで、触っただけでも破れてしまいそうだった。色あせた羊皮紙のページは、色あせて茶色くくすんでいる。

 ふむ……、と呟きながら、オスマン氏はページをめくる。そこには何も書かれてはいない。およそ、三百ページぐらいのその本は、どこまでめくっても、真っ白なのであった。

 

「これがトリステイン王室に伝わる、『始祖の祈祷書(きとうしょ)』か……」

 

 六千年前、始祖ブリミルが神に祈りをささげた際に詠み上げた呪文が記されていると伝承には残っているが、呪文のルーンどころか、文字さえ書かれていない。

 

「まがい物じゃないのかの?」

 

 オスマン氏は、胡散臭げにその本を眺めた。偽物……、この手の『伝説』の品にはよくあることである。それが証拠に、一冊しかないはずの『始祖の祈祷書』は、各地に存在する。金持ちの貴族、寺院の司祭、各国の王室……、いずれも自分の『始祖の祈祷書』が本物だと主張している。本物か偽物かわからぬ、それらを集めただけで図書館ができると言われているぐらいだ。

 

「しかし、まがい物にしても、ひどい出来じゃ。文字さえ書かれておらぬではないか」

 

 オスマン氏は、各地で何度か「始祖の祈祷書」を見たことがあった。ルーン文字が躍り、祈祷書の体裁を整えていた。しかし、この本には文字一つ見当たらない。これではいくらなんでも、詐欺ではないか。

 そのときノックの音がした。オスマン氏は、秘書を雇わねばならぬな、と思いながら、来室を促した。

 

「鍵はかかっておらぬ。入ってきなさい」

 

 扉が開いて、一人のスレンダーな少女が入ってきた。桃色がかったブロンドの髪に、大粒の鳶色の瞳。ルイズであった。

 

「わたくしをお呼びと聞いたものですから……」

 

 ルイズは言った。オスマン氏は両手を広げて立ち上がり、この小さな来訪者を歓迎した。そして、改めて、先日のルイズの労をねぎらった。

 

「おお、ミス・ヴァリエール。旅の疲れはいやせたかな?思い返すだけで、つらかろう。だがしかし、おぬしたちの活躍で同盟が無事締結され、トリステインの危機は去ったのじゃ」

 

 優しい声で、オスマン氏は言った。

 

「そして、来月にはゲルマニアで、無事王女と、ゲルマニア皇帝との結婚式が執り行われることが決定した。きみたちのおかげじゃ。胸を張りなさい」

 

 それを聞いて、ルイズはちょっと悲しくなった。幼馴染みのアンリエッタは、政治の道具として、好きでもない皇帝と結婚するのだ。同盟のためにはしかたがないとはいえ、ルイズはアンリエッタの悲しそうな笑みを思い出すと、胸が締めつけられるような気がした。

 ルイズは黙って頭を下げた。オスマン氏は、しばらくじっと黙ってルイズを見つめていたが、思い出したように手に持った『始祖の祈祷書』をルイズに差し出した。

 

「これは?」

 

 ルイズは、怪訝な顔でその本を見つめた。

 

「始祖の祈祷書じゃ」

「始祖の祈祷書? これが?」

 

 王室に伝わる、伝説の書物。国宝のはずだった。どうしてそれを、オスマン氏が持っているのだろう?

 

「トリステイン王室の伝統で、王族の結婚式の際には貴族より選ばれし巫女を用意せねばならんのじゃ。選ばれた巫女は、この『始祖の祈祷書』を手に、式の詔を詠みあげるわしになっておる」

「は、はぁ」

 

 ルイズは、そこまで宮中の作法に詳しくはなかったので、気のない返事をした。

 

「そして姫は、その巫女に、ミス・ヴァリエール、そなたを指名したのじゃ」

「姫さまが?」

「その通りじゃ。巫女は、式の前より、この『始祖の祈祷書』を肌身離さず持ち歩き、詠みあげる詔を考えねばならぬ」

「えええ! 詔をわたしが考えるんですか!」

「そうじゃ。もちろん、草案は宮中の連中が推薦するじゃろうが……。伝統というのは、面倒なもんじゃのう。だがな、姫はミス・ヴァリエール、そなたを指名したのじゃ。これは大変に名誉なことじゃぞ。王族の式に立ち会い、詔を詠みあげるなど、一生に一度あるかないかじゃからな」

 

 アンリエッタは、幼い頃、共に過ごした自分を式の巫女役に選んでくれたのだ。ルイズはきょと顔をあげた。

 

「わかりました。謹んで拝命いたします」

「快く引き受けてくれるか。よかったよかった。姫も喜ぶじゃろうて」

 

 ルイズはオスマン氏の手から、『始祖の祈祷書』を受け取った。オスマン氏は目を細めて、ルイズを見つめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、入間はかつてギーシュと決闘を行った広場で、シアと模擬戦をしていた。

 

「りゃあああああっ!!」

「ふっ!」

 

 シアが振り下ろすガシャコンブレイカーⅡを、入間は右手に持つガンレッドソード──“テガソード”の刃を滑らせることで横に受け流すと、ガシャコンブレイカーⅡを蹴って距離をとる。

 そして、フーケから手に入れた指輪──“センタイリング バトルフィーバー”の絵柄を回し、それをテガソードに装填する。

 

 

センタイリング!!

 

 

 手の甲が紫色に発光するテガソードを左手で叩き、テガソードを天へと突き出す。

 

「ペンタフォース!!」

 

 テガソードから赤い光が溢れだし、それが5本のバトン型武器“コンバットバット”の形を形成し、それが一つに収束して星形を形成した“ペンタフォース・ブーメランタイプ”となる。

 

 

バトルフィーバー!フィニーッシュ!!

 

 

 ペンタフォースが回転しながらシアに迫る。対するシアは、ガシャコンブレイカーⅡをバットのように構え、勢いよく振り抜いた。

 

「うらぁっ!!」

 

 気合いの雄叫びと共に、ペンタフォースはガシャコンブレイカーⅡによって明後日の方向に打ち飛ばされる。そらに向かってキラリと星になったペンタフォースを見上げると、入間とシアは構えを解いた。

 

「まさか、あれを打ち返せるなんてね……」

「……気を付けた方がいい。シア、ドンドン成長していってる」

 

 テガソードをプラプラと揺らしながら感想を呟く入間に、デルフリンガーを抱えたユエがトコトコと歩み寄る。

 この模擬戦は、新たに手に入れたテガソードの試運転のためのものだったのだが、シアの成長具合は入間やユエの予想を超えるほどの物であり、テガソードを使った技も簡単に弾かれてしまった。

 

「けど、強度や取り扱いは申し分ない。ライダーの武器じゃないからアーマータイムの時みたいに取り出しの制限もないし、常備武器としては申し分ないかもね」

 

 各ライダーの武器を宝物庫に納めている入間だが、ジオウに変身するとその限りではない。基本的な武器はジカンギレード、ライドヘイセイバー、サイキョーギレードの3つであり、アーマータイムでも使える武器はそのアーマー由来のものとなり、最強フォームのウォッチを使っても、そのウォッチに対応したライダーの武器しか召喚できなくなる。しかし、そこに新たにテガソードという武器が加わるのだ。今まで持っていた武器とはまるで違うジャンルの武器が増えるのは悪いことではない。

 

「はいはい!どうせ俺は役立たずだよ!へっ!そんな短ぇ剣がなんだってんだチクショウッ!!」

「んっ!?」

 

 その時、ユエが抱えていたデルフがカチカチと鍔を鳴らしながら騒ぎだす。

 

「そう言えば、よく使ってくれって言ってますもんねぇ」

「そうだねぇ」

 

 シアの言葉に入間は空を見上げる。

 ガンダールヴのルーンを知るために購入したが、デルフがルーンについて殆んど知らないと言った時点で入間の中でデルフの価値はほぼゼロに近いものになっている。

 確かに造りは良いし、この世界の基準なら伝説の剣と呼べるだろう。しかし、材質や切断力、強度の面ならば“ザンバットソード”や“メダジャリバー”がある。錆びだらけの剣から新品同然になったことで魔力を吸収できる力を得た…というより取り戻したようだが、魔力の吸収は他ならぬ入間自身がよく使う戦法だ。

 雑魚相手ならまだ使う余地はあるが、変身しなければならない状況で使うとなると、『他の武器の方がいい』という事になってしまうのだ。

 

 その時、気配を感じた入間はその方向に視線を向けると、そこにはアルヴィーズの食堂で働く、メイドのシエスタだった。仕事が終わったばかりなのか、いつものメイド服だったが、頭のカチューシャはずしていた。肩の上で切りそろえられた黒髪が、艶やかに光っていた。

 

「シエスタ、どうしたのこんな所で?」

「あ!あのっ!とても珍しい品が手に入ったので、イルマさん達にご馳走しようと思って!」

「ご馳走?」

「そうです。東方、ロバ・アル・カリリエから運ばれた珍しい品とか。『お茶』っていうんです」

「お茶かぁ」

 

 シエスタはティーポットからカップに注ぐと入間、そしてユエとシアに差し出した。

 

「ありがとう」

 

 入間はそれを口に運んだ。お茶のいい香りが鼻腔をくすぐる。口に含むと、かなり昔に日本で飲んだ緑茶とさほど変わらない味がした。

 

「……ん。美味しい」

「そうですねぇ。何だか魔茶みたいに深みのある味わいですぅ」

 

 ユエとシアの感想に、入間も全面的に肯定する。優花と愛子にもあとで飲ませてみようかなとぼんやり考えていると、シエスタが声をかけてきた。

 

「い、イルマさん!」

「?」

「私の故郷、タルブの村っていうんですけど、何もない辺鄙な村ですけど、今度お姫様が結婚なさるので、特別に私達にお休みが出ることになったんです。それで久しぶりに帰郷するんですけど、良かったら、イルマさんも来てほしくて!」

「う、うん?」

 

 シエスタの提案に入間は首をかしげる。実家への帰省にわざわざ赤の他人である自分を呼ぶ意味などあるのだろうか。確かに、シエスタをモット伯の屋敷から奪還した事はあるが、入間としては日々身の回りの世話をしてくれた礼のようなものであり、シエスタが特別からとかそんな意味はない。まぁ、今はもう変身することはないが、彼女がネイティブであった事になんとなく感じ取れていたので、広義の意味では特別だが。

 

「……以外と積極的」

「ですねぇ。モジモジしてるだけかと思いましたけど」

 

 一方で、シエスタと同じ感情を抱くユエとシアは、シエスタの意図を性格に読み取っていた。

 入間は確かに表面的な態度や行いは一般的に受け入れられないものだが、深くか変わった者なら、その奥に秘めた優しさに惹かれてしまうのは無理もない。しかし、尊敬や敬愛を通り越して恋慕の感情を抱かせてしまうのは考えものだ。

 

 一方、そんな乙女心に気付かない入間は少し考え込む。シエスタに誘われる理由は分からないが、シエスタの故郷には興味がある。シエスタのルーツにネイティブが存在するというなら、もしかしたらカブトの世界に繋がる何かがあるかもしれない。勿論、可能性は針糸ほどの物でしかないが、無いと決めつけるのは早計だ。

 

「そうだね……なら、行ってみるのも悪くないかも」

「ッ!ほ、本当ですか!!?」

「えっ?う、うん……」

 

 あまりの食いつきぶりに入間は僅かに引いてしまう。

 

「で、でしたら二人っきりで……」

「勿論、私も行く」

「私も行きますよぉ。のけ者なんてさせまんからねぇ!」

「する分けないでしょ。愛子やティオ達も誘うよ」

「うぅ……」

 

 抜け駆けしようとしたシエスタに、ユエとシアが先手を打つ。入間の二つ返事にユエとシア、渾身のどや顔。シエスタの丸い目がきゅーっとつり上がる。

 別に入間は言わなくてもユエ達も連れていくつもりだったのだが、何だかシエスタとユエ&シアの間で火花が散っているように見え、下手したら飛び火する気がしたので、敢えてなにも言わずに明後日の方を向いた。

 

(けど、そうするとルイズはどうするか……)

 

 心の中での優先度は恋人たちよりは下だが、一応気に掛けるようにしているルイズを思い出す。何やら白紙の本を手にウンウン唸っている姿を多く見かけている。姫様がどうこう言っていたので、恐らくまたあのお姫様に関することだろう。

 愛子達から聞いた話だと、ワルドはルイズに才能があるメイジだと言って無理矢理結婚を迫っていたらしい。つまり、レコン・キスタにはルイズが“虚無”がバレているということだ。ワルドがガイアメモリを使ったことや、スペースイカデビルの事からも、今ルイズを一人にするわけにはいかない。

 

(生半可な戦力を残しておくと、アルビオンの二の舞だし。だからと言って、別の世界を渡る手掛かりなんかがもしもあったら、それはルイズに共有したくはない。だとしたら、現状ルイズの側においておけるのはティオだけかぁ)

 

 普段の言動はアレだが、ティオは知的で優秀だ。それにハァハァするのも、変態的なことを言うのが多くなるのも、基本的には入間が側にいる時だ。

 もしかしたら、これを機にティオも一皮剥けてより優秀になってくれるのかもしれないと、入間は僅かな望みを胸に空を見上げた。




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