悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME   作:MTHR

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 劇場版小林さんちのメイドラゴンさみしがりやの竜を二回も見た影響で我慢できなくなって、思わず小林さんちのメイドラゴン編を書き始めてしまいました……。
 ゼロの使い魔編も終わってないのにとは思いましたが、どうか楽しんでいただけると幸いです。




【挿絵表示】



入間くんちのメイドラゴン
第1話 入間とドラゴン


 ハルケギニアから帰還して、1ヶ月が経過した。

 一年以上ハルケギニアに滞在してしまった入間だが、デンライナーでユエ達が出発する一時間後の時点まで時間を越えたことで、悪魔学校が騒ぎになることはなかった。

 

「うわぁー……もう真っ暗だよ。早く帰らないと」

 

 入間は一人、悪魔学校の廊下を小走りに駆けていた。

 ここまで遅くなったのは、魔術の授業で張り合いを始めたユエとミレディが破壊した校舎の補修を手伝ったのと、アメリとの読書会によって時間が長引いた為だ。トータスに来た影響で人間界を含めあらゆる文字を習得したアメリに今更初恋メモリーの読解など不要なのだが、アメリは入間との読書の時間を至福の一つとしているため、トータスから魔界に帰ってからも、読書会は定期的に行われているのだ。

 

 そとは既に夜。ユエ達は既に先に帰っているため、入間も早く帰らなければサリバンもミュウも心配するだろうと、入間は足早に校門を目指す。

 

(こうして一人になって、皆が近くにいなくなると……本当に、この短い間に色々あったんだなぁって思うんだよなぁ)

 

 ハルケギニアで過ごした日々のなかで、元々9人もいた恋人が更に増え、この1ヶ月間で入間の周りがより騒がしくなったことを思い、入間は苦笑いする。

 

(楽しくはあったけど……異世界召喚なんて人生に一回くらいで良いよねぇ……)

 

 五回にも渡る異世界召喚の経験を思いだし、もう異世界に召喚されることがありませんようにと切に願う入間。

 

 しかし、遊園地に行ったら凶悪魔獣と戦ったり、美術館へ行ったら怪盗の助手をすることになったりと、ことあるごとにトラブルに巻き込まれているトラブルキングの入間には、その願いは完全にフラグであると、入間には自覚ななかった。

 

 そして、そのフラグは見事に回収された。

 

「……ん?」

 

 数多くの戦いを経て研ぎ澄まされた入間の第六感が、妙な気配を察知した。

 

「……行ってみようかな」

 

 素通りする選択肢もあったが、自宅の物置に現れた魔法陣でハルケギニアに召喚された経緯を思いだし、面倒なことが起きる前に調べてみた方が良いと判断した入間は、その魔力反応があった場所を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 微かな気配を追ってたどり着いたのは、悪魔学校の花壇だった。

 魔界産の花がいくつも咲き誇る花壇を囲む鉄柵の向こうはちょっとした木々が生える森があり、そこから何かの気配を感じた入間は、警戒心を露にする。

 

(何かいる……しかも、すごく強い何かが……)

 

 数多くの強敵を相手にしてきただけに、入間はその気配の持ち主が途方もない力を持っていると感じとり、思わず脂汗をかいてしまう。

 しかし、どのみちそれだけの力を持つ輩がいることを放っておく訳にはいかず、入間は鉄柵を跳び越えて森の中に踏み込んだ。

 

 それから十分程して、入間が不自然に木々が生えていない場所にたどり着いた。

 そして、周りの木々をへし折って、その上にあるものを見て、非常識なものは日常茶飯事である入間すら、驚いて目を見開いた。

 そこにいたのは……

 

『………』

 

 ドラゴンだった。

 全身が緑色の鱗に包まれた20m近い体躯に、背中には巨大な翼を携え、瞳孔が薄く縦に長い瞳、口には鋭い牙がズラリと並び、そして頭には鹿の角にも似た形式の角が生えている。世間一般的なドラゴンをそのまま体現したようなドラゴンがいたのだ。

 

(この魔力量……ユエ以上……!)

 

 そして、入間はそのドラゴンから感じる魔力量が、高位階(ハイランク)悪魔にも匹敵する恋人たちをも凌駕する魔力量に、内心冷や汗をかいた。自分が本気で戦えば負ける事はないと思うが、かなりの覚悟を決めないといけない相手に、自然と入間の警戒心を引き上げた。

 

『……貴様、人間カ。ドコカラ来タ、イマスグ去レ!食イ殺スゾ!』

 

 その時、入間の耳に、女性の声が聞こえてきた。十中八九、目の前のドラゴンの声だろう。

 その声を聞いて、入間は首をかしげる。喋ったことや、女性だった事に驚いてはいない。身内にティオがいる為、これだけの魔力量を有するドラゴンなら、高度な知能や念話に似た技能を持っていたとしても不思議ではない。入間が引っ掛かったのは、そのドラゴンの声だ。

 

(何だろう?誰かと声が似てる気がする……凄く身近にいる人と似てる気がするんだけど……うーん……)

 

 それはともかく、入間はドラゴンの見据えながら、その言葉に答えた。

 

「そうは言っても、ここ僕の通ってる学校の敷地でして。貴方みたいに大きなドラゴンがここに居続けられると迷惑なんですよねー……出切れば、貴方が何処にきたのか教えてくれませんか?」

 

 食い殺すと言われたが、数多くの死線を潜り抜けてきた入間は、目の前のドラゴンの言葉には殺意がない事に気付いていたので、交渉でこの場を去ってもらえないか試してみることにした。

 余所の世界なら兎も角、ここは入間の故郷同然の地である魔界だ。殺しは出きればしたくないし、相手が理性や知性を持つ生命体であるなら尚更だ。

 

『ナッ!貴様、人間ノ癖ニナント言ウ口ヲ聞ク…コレダカラ下等生物ハ度シ難イ……』

 

 対するドラゴンは、丁寧だが尊大な入間の言葉に、ムカッとしたように入間を睨んだ。しかし、入間はしれーっとした態度で自分を見ているのを見て、溜め息を吐きながら

 

『………ダガマァ、貴様ガ心配セズトモ、我ハ死ヌ……』

 

 そう言われた時、入間はようやく、ドラゴンの背中辺りに妙な魔力反応があること気付き、そこに視線を向けてみた。そこには、入間より大きな大剣が深々と突き刺さっていたのだ。

 

『神トノ戦イニ敗レテ、コノ地…異界ニ来タ……マサカ、最後ニ会ッタノガ貴様ノ様ナ生意気ナ人間トハナ……ククッ、我ナガラ惨メナモノ』

「よいしょっ、と」

『えっ?』

 

 自嘲気味に語るドラゴンは、呑気な入間の声と、「ズボッ」と何かを引き抜くような音に目を丸くする。同時に、神剣によって背中に走る痛みがみるみると消えていく感覚に、思わず首をあげて神剣が突き刺さっていた場所に目を向ける。

 

「うーん……確かに凄い魔力だね。でもまぁ、武器はたくさんあるし、これ使い勝手悪そうだから要らないや」

 

 そこには、自信の体に突き刺さっていた大剣を軽々と持ち上げたあと、何処かに向かってペイッと投げ捨てる入間の姿があった。

 そして、入間がドラゴンの傷口に向けて手を翳すと、神剣によって出来ていた傷跡が瞬く間に消えていった。

 

『ッ!?ッ!?ナ、ナ、貴様、何故ソノ剣ヲ抜ケタノダ!?人間ガ触レレバ精神ガ破壊サレルハズ……!?』

「あーっと、よく分かんないけど僕は平気だよ。それより、傷は再生魔法で治療したけど、もう大丈夫?」

 

 相当混乱しているのか、目を白黒させるドラゴンを落ち着かせるように言う入間。

 

『……傷はもう大丈夫だ。だが貴様……いや、貴方は一体、何者なのですか?』

 

 再生魔法で傷が完治したのを確認したドラゴンは、何処か畏まったような口調で入間に問いかけた。

 その問いに、入間は少しだけ考えたあと、得意気な表情で口を開いた。

 

「僕は鈴木入間。魔界暮らしの人間で、仮面ライダー……かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、入間とドラゴンはしばらくの間、森の中で話し込んでいた。

 そして話を聞くところによると、目の前のドラゴンはこの世界のドラゴンではなく、異世界から来た存在なのだという。だが、自分も元々人間界出身で、何度も異世界召喚された経験があるため、特に驚くことはなかった。

 

「それで、神に挑んでこの世界に来たと……」

「まぁ、そんな感じです……」

 

 しみじみと頷く入間の前でちょこんと座っているのは、金原の美少女だった。灰色のボロボロのマントだけを身に纏っており、鱗の生えた巨大な尻尾と、鹿に似たような角を頭から生やした少女だった。

 

 剣を引き抜いた入間は、そのドラゴンに何が出来るのかを聞いてみて、その一つが人間に化けることであったというので、実践してもらった次第だ。

 

 同時に、入間は目の前のドラゴンに感じていた違和感に気付くことが出来た。

 姿が人間になったからか、目の前のドラゴンの声が、入間の最愛の存在の吸血姫──ユエと似ていることに気付いたのだ。否、最早似ているとか言うレベルではなく、まるで“中の人”が同じであるかのように、声質がおんなじだったのだ。

 

「しかし、助かりました……恐らくあなたは信仰心がないから神剣を抜けたのでしょう」

「まぁ、信仰心からもっとも縁遠いからね」

 

 似非とはいえ神を自称していたエヒトを殺した入間からすれば、信仰心なんてものは欠片も存在しない。そもそも、神に祈るようなタイプでもない。これは入間というより、入間の家にいる面子や、悪魔全体に言えることだが。

 

「それにしても、魔界ですか……マナが少し歪だとは思っていたので、納得しました」

 

 ドラゴンもまた、入間からこの世界──魔界についての話を聞き、人間であることも見抜かれていた為に、入間は自身についての事もある程度話していた。

 

 そんな風に話し込んでいると、かなりの時間がたってしまっていた事に気付いた入間は、目の前のドラゴンに話しかける。

 

「それじゃあ、剣も抜けたみたいだし……君、これからどうするの?君の世界に帰って、さっき言ってた神ともう一度戦う?」

「……いえ、そのつもりはありません。それに、今はあの世界に帰ろうとは思っていません」

「となると、この世界にいるの?」

「……そう、なりますね」

 

 ドラゴンの言葉を聞いて、入間はしばらく考えた後、口を開く。

 

「当てはあるの?」

「……」

 

 ドラゴンは首を降るのを見て、入間は苦笑した。

 本来なら、このドラゴンが路頭に迷おうと関係のないことだし、間違いなく面倒なことになりそうだ。だが、自身の全く知らない世界に迷い、元の世界に帰る気がないと言うドラゴンの意思に、僅かながらもシンパシーを感じてしまったのだろう。何故か、入間はこのドラゴンを放っておくことが出来なかった。

 

「それじゃあさ、身の振り方が決まるまで僕の家に来る?」

 

 その言葉に、ドラゴンは目を見開いた。

 命の危機を助けてくれて、何処にも居場所のない自分を受け入れてくれると言う言葉に、ドラゴンの胸の中に言い表せないような暖かい感情が芽生え、一気に溢れだす。

 ドラゴン──【トール】は、目に涙を溜めながら、声を大きくして答えた。

 

「行きます!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時、魔界にやって来た新たな異邦人が、入間の元に新たな家族となった瞬間だった。

 

 そして、この出会いを切っ掛けに、また新たな異邦人達も魔界へとやってくることを、入間もトールも、まだ知らない。




 この作品はこんな感じで、作者の気の向くままに好きな章を更新していく感じです。元々自分で読む用だったので、拾い心で楽しんでいただけると幸いです。


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