悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME 作:MTHR
今回は遂に響が変身します。
銀色のオーロラを突き抜けたゴーカイガレオンの前に広がっていたのは、青空と雲だった。
ゴーカイガレオンの操縦席からその空を見た入間達は、すぐに自分達の身に起きた状況を察することが出来た。
「別の世界に迷い込んだ、ってことだよね……」
「……ん。二度あることは三度ある」
「イルマの場合、二度どころじゃないがな」
げんなりとした入間の言葉に、ユエとアメリが苦笑する。
何となく察していたことだが、あのディケイドのライダーキーをゴーカイガレオンに使用すれば、ゴーカイガレオンが世界の壁を越える能力を手にいられるらしい。だが、入間達の意思とも関係なく知らぬ世界に連れていかれても迷惑なだけである。
しかし、何の意味もなくあのディケイドキーが自分達をこの世界に呼び込んだとは思えない。
取り敢えず、この世界を歩いて調べてみようという提案に、ユエ達は迷うことなく頷いた。
ゴーカイガレオンに認識阻害魔法をかけて周囲から感知されないようにし、入間達は船から降りて街の散策を開始する。
「……周りの視線が鬱陶しい」
「いつもの事だき、気にしない方がいいよ」
響が眉間に皺を寄せて呟くと、入間が苦笑する。
響の言う通り、ミュウを肩車した入間を先頭に街を歩く入間達は、人々から注目を集めていた。
認識阻害魔術でシア、ミュウ、チマ、ティファニアは耳や角を隠蔽している(トールは変えようとしなかった)が、それを差し引いても、他とは隔絶した美貌を持っているユエ達は、その場にいるだけで目立つ。
そんな美女、美少女に囲まれた上に美幼女を肩車している入間に嫉妬と羨望の眼が集まるが、入間はいつもの事なので気にする事もなく、もくもくと情報収集を進めていった。
図書館、コンビニなど、出来る限りの場所に赴いた結果……
「これは確定だね。この世界は……」
「私の、世界……」
ここは、響がいた世界であることが分かった。
行くか行かないかを話し合っている時にまさか来ることになるとは思わなかったユエ達は、響に視線を向ける。彼等は、響の世界に蔓延るノイズの事については聞いていたが、響自身がどうして魔界に来る選択をしたのかは聞いてない。だからこそ、意図せずに帰ってきて良かったのかという心配そうな視線を向けられた響は、そっぽを向いて答えた。
「私はもう、この世界を捨てたから。貴方達が心配する必要はありません」
その言葉に、ユエ達はやれやれというように笑みを浮かべる。
「ところで……これからどうしますか、入間君」
「来たのは良いけど……手がかりなんて何もないわよ」
そこで、愛子と優花が入間に問い掛ける。だがそれは今の入間達にとっても大きな問題であり、この世界に来てもなにも分かっていない。
「取り敢えず、ご飯べも食べよう。宝物庫には宝石はあるから、それを使えば資金には困らない」
分からないなら、少しはこの世界を満喫してみるのも良いかもしれないという入間の提案に、食いしん坊の入間らしいなと苦笑しながらも頷いたユエ達。
宝石店で異世界産の宝石を売って大金に変えると、再び街を歩きだそうとした時、街に警報が鳴り響いた。
眼を白黒させる入間達を他所に、街は騒然となる。そして、入間達のしかいで、形容しがたい何かが人々に触れ、炭素の塊に変えていく光景を捉えた。
「あれがノイズ…!」
「…どうする?殺る?」
ユエ達は未知の存在を興味深そうに眺める間にも、ノイズは次々と人々を炭素に変えていき、入間達の真横を恐怖にかられた人々が走り抜けていく。
そんな中、5歳くらいの男の子が足をもつれさせて転んでしまい、母親が必死に助け起こそうとしている光景が見えた。入間は仕方ないというようにジクウドライバーを取り出そうとしたが、それよりも早く、隣に立っていた影が飛び出したのを眼にして、自然と笑みを浮かべた。
そして、母親が息子を助け起こした時、ノイズは既に親子の目の前に立っていた。母親が、せめて息子だけでも助けようと抱きしめ、ノイズはそんな母親を嘲笑うように手を伸ばした時──水色の刃が、ノイズを切り裂いた。
親子が眼を白黒させて顔を上げると、そこにはオーインバスターを手にした響が背中を向けて立っていた。
「……死にたくなかったら、早く逃げて」
親子に向かってそう言いはなった響のもとに、変身ベルトを越しに巻いた入間達が並び立つ。
トールが腕を組んで待っているなか、入間、ユエ、アメリ、シア、ミレディ、ティオ、愛子、優花、チマは変身アイテムを構える。
ミュウとティファニアはモバイレーツを取り出し、レンジャーキーをキーモードに変えて、構える。
そして、響が赤いペンダントを手にとると、一同は変わる。
「「「「「「「「「変身ッ!!」」」」」」」」」
「「ゴーカイチェンジ!!」」
「──Balwisyall Nescell gungnir tron」
一同の変身が完了すると同時に発生した波動が、周囲のノイズ達を吹き飛ばした。
入間が変身した時の王者──仮面ライダージオウ。
ユエが変身した指輪の魔法使い──仮面ライダーウィザード。
アメリが変身した時の救世主──仮面ライダーゲイツ。
シアが変身した究極の救済──仮面ライダーエグゼイド。
ミレディが変身した英雄──仮面ライダーゴースト。
ティオが変身した赤い龍騎士──仮面ライダー龍騎。
愛子が変身した救世主──仮面ライダーゼイン。
優花が変身した死神──仮面ライダーエターナル。
チマが変身した紫の忍者──仮面ライダーシノビ。
ミュウが変身した赤き海賊──ゴーカイレッド。
ティファニアが変身した桃色の海賊──ゴーカイピンク。
尻尾の擬態を解いて尾を出しながら凛と立つトール。
そして──ガングニールを纏った響。
呆然とする母親と、キラキラしたした眼を向ける子供の視線を背中に、姿を変えたジオウ達は、ノイズの大軍に向かって走り出した。
特異災害対策機動部二課の指令室。
「ノイズの出現ポイントを絞り込めました!!」
「よし、翼、奏、出現ポイントに向かってくれ!」
「分かりました!」
「了解!」
ノイズの反応を検出したオペレーターの報告を聞き、真剣な面立ちで指令を出した弦十郎の言葉に頷いた翼と奏が部屋を飛び出そうとした時、オペレーターが新たな報告を口にした。
「待ってください!ノイズの検出場所に、アウフヴァッヘン波形を確認しました!それから、未知のエネルギー反応が12も検出されました!!」
「何!?」
「映像、映します!!」
すると、指令室のモニターにノイズが発生した現場付近の監視カメラの映像が写し出され、その映像の中で、シンフォギアを纏った少女に『GUNGNIR』という文字が映し出される。
シンフォギアを纏う少女と、仮面と鎧に身を包む戦士達と、メイド服の少女がノイズを蹴散らす姿を見て、指令室の誰もが眼を見開く中、翼と奏は、その内の二人から眼が離せなかった。
「ガングニールだと……!?」
「あの子……!それに、アイツ!?」
ジオウ達は13人に対し、市街地に現れたノイズは軽く百を越えている。しかし、そんな絶望的な数の差など何の驚異にもなり得ないと言わんばかりに、戦況は一方的だった。
「はっ!せいっ!」
ジオウのジカンギレードがノイズを切り裂くと、ノイズはたちまち炭素と化して崩れ落ちる。背後から別のノイズが不意打ちを仕掛けようとするが、ジオウは回し蹴りでノイズを吹き飛ばすと、ジカンギレードにライドウォッチを装填する。
「セイヤーー!!」
ジカンギレードを一戦すると、銀の剣閃が景色とノイズを割き、ズレる。
ズレた景色が元に戻ると、何十体ものノイズはたちまち炭素となって崩れ落ち、ジオウは直ぐ様他のノイズに向かって走り出した。
ウィザードは、ウィザーソードガンで近付いたノイズを切り裂きつつ、“緋槍”や“水刃”などの遠距離魔法を放つことで遠距離から突進しようとしたノイズを撃破していくと、一ヶ所に集まっているノイズを発見し、魔力を集中させる。
「“蒼龍”」
その瞬間、ユエ達の頭上に直径一メートル程の青白い球体が発生し、宙を泳ぐ様に全長三十メートル程の龍へと姿を変え、何十体ものノイズを吸い込み、灰すら残さず焼滅させた。
ジカンザックスを振るいノイズを殲滅していくゲイツは、ノイズを蹴り飛ばして炭素に変えながら距離をとると、己の武器をジカンスパーダに変えると、ジカンスパーダに備わった緑のボタンを押す。
その瞬間、ジカンスパーダの刀身が赤黒い炎に包まれ、“
ガシャコンブレイカーⅡを装備したエグゼイドの振るう一撃が、周囲のノイズを纏めて吹き飛ばし、炭素に変えていく。そこへ、カエルのようなノイズがエグゼイドの背後から、身体を紐のようにして襲い掛かかる。
「しゃらくせぇですぅ!!」
それを簡単に察知したエグゼイドは振り向きもせずにノイズの体をわし掴むと、ノイズの群れめがけてそのノイズを投げ飛ばす。ボーリングのように空へ舞い上がったノイズ達に、エグゼイドの一撃が炸裂した。
ゴーストは、自前の能力で浮遊しながらノイズの群れへと突撃し、ガンガンセイバーを振るいノイズを炭素化させていくと、眼魂を取りだし、ゴーストドライバーに装填する。
「回るよ~!」
【一休魂】に変身したゴーストは座禅の姿勢を組み、独楽のように高速回転してノイズに突撃すると、ノイズはたちまち爆発を起こして炭素となった。
龍騎はアドベントカードを使いドラグセイバーとドラグクローを装備し、ドラグセイバーでノイズを切り裂いて撃破していくと、ドラグクローに炎を溜め込んだ。
「妾の鱗を雑音如きが害せようか!!」
ドラグクローから放たれた炎が数体のノイズを呑み込み、ノイズ達は一瞬にして灰へと変えられた。
ゼインはノイズに向けて拳を振るい炭素に変えていきながら、一枚のカードを取り出してゼインドライバーに装填し、レバーを引いた。
「やぁああああっ!!!」
カードが裁断され、ゼインの右腕に“リボルバーナックル”、両足に“マッハキャリバー”が装着されると、ゼインは“ウイングロード”を展開し、マッハキャリバーの速度を最大にして空へと飛び出すと、無数の飛行型に向けてリボルバーナックルを突きだし、次々とノイズを殴り飛ばしていった。
エターナルはありとあらゆる攻撃を防ぐエターナルローブでノイズの攻撃を防ぎ、エターナルエッジで次々とノイズを切り裂いていくと、一本のメモリをエターナルエッジに装填する。
「はぁああああっ!!」
エターナルエッジから、獣の牙のような斬撃が飛び、ギガノイズを切り裂く。獣の爪痕を刻み込まれたギガノイズは、ボロボロと炭素となって崩れ落ちた。
シノビは、シノビブレードで次々とノイズを切り捨ていき、影の中に潜り込んでノイズの不意打ちを回避すると、ノイズの影から飛び出し、一斉にノイズを切り裂いた。
そこへ、シノビが放った冷気が辺りのノイズを凍てつかせ、次の瞬間にはノイズは氷の破片となって砕け散った。
「テファお姉ちゃん!」
「ミュウちゃん!」
ゴーカイレッドとゴーカイピンクはそれぞれ、ゴーカイサーベルとゴーカイガンを投げ、お互いの武器を交換すると、ゴーカイレッドはゴーカイサーベルの二刀流で、ゴーカイピンクはゴーカイガンの二丁拳銃で、周囲のノイズを次々と炭素へと変えていく。
すると、終わりが見えない程に大量のノイズを見て埒が明かないと判断したゴーカイレッドとゴーカイピンクは、バックルからレンジャーキーを召喚した。
「「ゴーカイチェンジ!!」」
その掛け声尾と共に、二人はレンジャーキーをモバイレーツに差し込んだ。
ゴーカイレッドの体が赤い竜巻に包まれ、ゴーカイレッドは空忍の名を持つ忍風戦隊のレッド──【ハリケンレッド】へと姿を変える。
「超忍法・空駆けなの!!」
空へと飛びだしたハリケンレッドは、時速200kmの速度で空を駆け、“ハヤテ丸”で次々と飛行型ノイズを切り捨て、炭素の雨を降らせていった。
ゴーカイピンクは、無敵の竜人魂の名を持つ漆黒のブラキオサウルスをもした戦士──【アバレブラック】へと変身を遂げると、“ダイノスラスター”を地面に突き刺す。
「ファイヤーインフェルノ!!」
その瞬間、地面から炎の柱が吹き出し、ノイズ達はたちまち炎に焼かれて炭の塊となると、アバレブラックは意識を集中させ、全身から鋭利な刺を生やし、ノイズへと飛び掛かった。
「暴れます!えいっ!やっ!」
その鋭利な刺を振るい、荒々しくも控えめなファイトスタイルで次々とノイズを殲滅していった。
メンバーの中で唯一丸腰でノイズを相手取るトールは、ノイズの攻撃を片手で受け止め、デコピンで消滅させる。続けて体を紐状にして突撃するノイズに向けて足を振り上げれば、それだけで蹴り飛ばされたノイズは成層圏を越え、摩擦熱で全身を焼かれ、塵となって消失する。
「町を壊さないように手加減して殲滅するのは、以外と神経使いますね」
踏み込みで没落したアスファルトを見て呆れたように呟くトールは、再び迫ってきたノイズを片手まで殲滅していった。
「はぁあああっ!!」
響は右腕のガンレッドをノイズに叩き込み、炭素の塊へと変える。背後から迫ってきたノイズを振り向き様にオーインバスターで切り裂き、すかさずガンモードに持ち変えて狙撃する。
しかし、再びわらわらと現れるノイズの大軍を見て、響は舌打ちした。
やはりと言うべきか、カラフルなノイズは、魔界に現れた黒いノイズと比べ物になら無い程に弱い。しかし、数が多すぎるのは問題だ。一気に仕留めようと、響は右腕の武装に手を伸ばした。
「──Croitzal ronzell Gungnir zizzl」
「──Imyuteus amenohabakiri tron」
その時、戦場に美しい二つの歌声が響き渡る。
同時に、ノイズの群れが青とオレンジの閃光によって炭素の塊となって消滅した。
一同が何事かと視線を向けると、そこには赤と青を基調とした二人組がいた。
一人は、さらりとした青いロングヘアのてっぺんを櫛のような髪飾りで一房結った八分音符のような髪型が特長的な女性で、白と青を基調としたインナースーツと装甲を纏い、青いラインのある刀を手にしていた。
もう一人は、翼を広げた鳥のようなに豊かな赤い髪を持ち、オレンジを基調としたスーツと装甲を纏い、二本の角のようなヘッドギアとイヤホンを着け、大型の槍を手にしている女性だった。
「……誰?」
「……」
「あの二人って……」
この世界に来たばかりのウィザード達が首をかしげるなか、響は顔をしかめ、ジオウがその二人に既視感を感じていると、響の中から飛びだしたバイスが騒ぎだした。
『ウオオオッ!超絶人気アイドルユニット【ツヴァイウイング】の天羽奏っちと風鳴翼っちじゃん!めっちゃ可愛くね!ねぇねぇ響!俺っちあの二人、木村昴っちの次に好きなの!俺っち二人のサインほしい!!』
「…何であんたが知ってんの」
「アイドル……?あっ!あの時の!!」
そこで、ジオウもようやく思い出した。初めて響の世界にやって来た時にアナザーアルティメットクウガから守り、怪我を負っていたので入間が瀕死の響と共に治療をした二人だ。
「奏と同じガングニール……」
「……やっぱりお前、あの時の……!」
二人は響を見ると、驚きと戸惑いが混ざったような表情を浮かべながら、チラリとジオウにも視線を向ける。
だがその間にも、ノイズは次々と涌き出てくる。
「埒が明かないなぁ……一気に決めるよ!」
「んみゅ!一緒にやるの!!」
ハリケンレッドから戻ったゴーカイレッドがジオウと立ち並ぶと、ジオウは緑と銀のライドウォッチを取りだし、ゴーカイレッドはレンジャーキーを取り出し、二人は同時に変身する。
ジオウは【仮面ライダーゾルダ】を模した鎧に、両肩に“マグナバイザー”のような形状のショルダーアーマーを纏い、両腕が【マグナギガ】のような装備に包まれ、仮面には「ゾルダ」と書かれた【ゾルダアーマー】に変身する。
「ゴーカイチェンジ!!」
ゴーカイレッドに「火」という文字が収束し、仮面に大きく「火」と書かれた赤い侍【シンケンレッド】に変身すると、純白の羽織が飛び交い、シンケンレッドに装着されることで、【スーパーシンケンレッド】へと変身する。
「姿が変わった!?」
「ってか、二人とも顔に文字って……」
驚愕するツヴァイウイングを他所に、ジオウはジカンギレード・ジュウモードを取りだし、ジカンギレードにフォーゼライドウォッチを装填する。
ジカンギレードの銃口と両腕の装備、そして両肩のマグナバイザーを模したにエネルギーが溜まり、ジオウの胸部の装甲が開き、ミサイルが露になると、ジオウは照準を合わせる。
その隣で、スーパーシンケンレッドは“モウギュウバズーカ”を取り出すと、“スーパーシンケンマル”を合体させ、“スーパーモウギュウバズーカ”を完成させる。
スーパーモウギュウバズーカに接続されたスーパーシンケンマルの“インロウマル”に“最終奥義ディスク”を装填する。
猛牛の鳴き声と共に、銃口にエネルギーが溜まっていき、スーパーシンケンレッドはジオウと共にノイズの大軍を狙う。
「騒がしいのは好きだけど……ごちゃごちゃしたのは嫌いだよ」
「外道覆滅!なの!!」
その瞬間、無数のミサイル軍が飛び交い、ノイズを爆撃していくと、【牛折神】を模した巨大なエネルギー砲が衝突した瞬間、ノイズ達は周囲の建物を破壊する程の大爆発と共に、一匹残らず消滅した。
「……町を壊さないようにする筈だったのに、思いっきり爆撃しちゃったね」
「……入間いるところに破壊アリ」
「流石は入間さんです♪」
ジオウはユエとトールの桑○由気ボイスの称賛に、思わず頬をひきつらせた。
全てのノイズを駆逐し終え、完全にノイズの発生が収まると、戦場の跡地に無数の車が停車し、乗車していた人間達が出てくる。
しかし、そんな事には興味の無いジオウは、仲間達に声をかけた。
「ざっとこんなものかぁ……皆、一旦ゴーカイガレオンに戻ろう」
「……ん」
「では、お昼も食べ損ねましたし、帰ったら私が美味しい料理を作りますね!」
「……じゃあオムライスで」
「響さん、トールさんのオムライス好きですよねぇ~……まぁ、確かに美味しいんですけど……というわけで、私も作りますよ!」
「わ、私も作るわ!」
「わ、私も……」
「シアさんも園部さんもティファニアさんも張り切ってますね……」
「トールという思わぬ強敵が現れたからのぅ。無理もないのじゃ」
「じゃあ、私はお疲れの先輩を癒してあげます」
「君達さぁ……まぁ、とにかく帰って」
「待てっ!!」
雑談しながらジオウ達がその場を立ち去ろうとした時、鋭い声が響き渡った。ジオウ達が足を止め、振り替えると、シンフォギアを纏った奏と翼を中心に、黒服の男達が此方を見ていた。
すると、黒服達のリーダーと思われるメガネをかけた青年が前に出てきた。
「申し訳ありませんが、特異災害対策機動部二課まで同行を願います」
「断る」
青年の申し出をにべにもなく却下するジオウ。すると、刀を手にした翼が前に出てきて、鋭い目でジオウ達を睨み付けた。
「そう言うわけにはいかない。聖遺物でもないのにノイズを倒せるその力、そしてその子が纏っているガングニール……そして、お前のその見た目は二年前に現れた“アンノウン”と余りにも似ている。それを放っておくわけにはいかない」
「生憎、僕は君達に興味がない。同行する理由は一つもない」
「……最悪の場合、力ずくでも連れていくことになる」
「それはつまり……僕達の敵になるって事ですか?」
その言葉と共に、ウィザード達が身構える。
臨戦態勢を取る彼女達に、翼や黒服達は身構える。ノイズを圧倒できる未知の力を持つ者達が12人とシンフォギア装者が一人に対し、特異災害対策機動部二課のシンフォギア装者は二人だけ。実に六倍以上の差だ。圧倒的な戦力差を前に、翼が脂汗をかく。
「待ってくれ!!」
「奏!?」
そこで、奏が前に出て声をあげた。
ジオウ達は警戒心を解かないまま奏を見ていると、奏はジオウの隣に立っている響に視線を向けた。
「なぁ、お前……二年前のライブに来てた子だろ?」
「……」
響は何も答えない。
しかし、その沈黙は肯定と同義だった。
「その……何て言えば良いのか分かんないんだけどさ、ずっとお前の事を探してたんだ。二年前、アンノウンがアタシと翼を含めてお前を治してくれて、一日で退院できた後、ライブの後に起きた事……」
「……」
「お前がノイズを相手に戦ってる映像を見て、信じられなかったけど……あの時の事や、ライブの後の事……それ全部含めて、謝りたいんだ。だから、頼む。アタシ達に着いてきてくれ……」
「……」
奏の言葉を無言で聞き続けている響を、ジオウ達は静かに見積めている。響がチラリとジオウ達に視線を向けると、ジオウは肩をすくめた。まるで、響の自由で良いといっている様に。
それを見て、響は再び奏に視線を向け、口を開いた。
「………“生きるのを諦めるな”。貴方は嘗て、私にそう言いました」
「その言葉……!やっぱり……!」
「その言葉は、生きるのを諦めかけていた私にとって“希望”だった。……でも、すぐに“呪い”に変わった」
「ッ!!」
それを聞いた奏は、悔しさを滲ませて歯を食い縛る。
奏も翼も、ライブ生存者へのバッシングの話は知っていたし、その歪んだ主張と、生存者の身に降りかかる迫害に義憤にかられていた。
しかし、ライブ直後の特異災害対策機動部二課は、日本政府から“ネフシュタンの鎧”の損失と大勢の一般人を死亡させた事の責を問われていた。とある男の尽力により、二課はなんとか存続して首の皮一枚繋がったが、厳しい行動制限がかけられ、その後に起きた世論による被害者の対策まで手を回すことが出来なかった。
自分達の不甲斐なさが原因で、多くの生存者が苦しんだという事実に、二課の者は誰もが悔しさに身を震わせた。
「貴方に恨みはありません。何で助けてくれなかったんだって言うつもりもありません。
「この世界……?」
言葉の意味が分からず、奏は問いかけてしまうが、響は答えず、己の主張を口にした。
「……だから、私は貴方達の所には行きません。貴方達の事情は、私には関係ないから」
「……ならば、私達も少々強引な手段を取らなければならない」
「……そうですか。なら、こっちも容赦しません」
翼が前に出て来るのを見た響は腰の後ろに手を回し、あるものを取り出した。
それは、紫を基調としており、水色で「50」という文字が刻まれており、向かって右側に備わったスタンプ台が目を引くバックルだった。
「手伝おうか?」
「必要ない。勝つ必要はないから」
「そっか」
シンフォギアを纏ったまま、ジオウ達が下がったのを目にした響はそのバックル──“リバイスドライバー”を腰に当てると、バックルから帯が伸び、ベルトとして腰に装着される。
レックスバイスタンプを取りだし、スイッチを押す。
その瞬間、響の背後に、巨大なLINEのチャットのようなエフェクトが現れ、その画面に文字が映し出される。
『うるさい』
『そんなわけないでしょ』
『もう勝手にして……』
そんな内容に、響はレックスバイスタンプの印面に息を吐きかけると、リバイスドライバーのスタンプ台「オーインジェクター」に、レックスバイスタンプを押印する。
『イヤッホーーー!ウハハハハハハハハッ!!』
響の体から、巨大なスタンプのエネルギーを抱えた霊体のバイスが飛びだし、周囲を飛び回る。
「変身!!」
そして、響はバイスタンプを左側の装填用スロット「バイスタンプゴースロット」にセットし、レバーのようにロール操作を行うと、オーインジェクターが変形する。
空へと飛んだバイスが巨大なスタンプを下ろし、巨大なスタンプ型エネルギーが響の体を包み込む。
スタンプ内部のインクが、重なっている響の身体に纏わりつき、そのままスーツとして定着され、同時に実体化したバイスに転写されたアーマーが装着される。
奏と翼の前に、新たなる仮面ライダーが現れる。
ガングニールのガンレッドがピンクと水色に染まりながら両腕に装備される。顔は仮面に包まれ、耳まで裂けた口で笑っているかのようなクラッシャーに、V字のアンテナ、ティラノサウルスの顔を模した奇抜な見た目の赤い複眼を持った、水色とピンクの戦士──仮面ライダーリバイ。
ティラノサウルスが噛まれているような独特のマスクが特徴的。黒とピンクのツートンでスーツが構成されており、両肩には大型シールドがあり、首にはマフラーを巻いている悪魔──仮面ライダーバイス。
「その姿は……!?」
「……ハッ!!」
「ぐっ!!?」
飛び出したリバイは、ガンレッドを纏った拳を翼に叩き付ける。翼はいち早く刀でそれを受け止めると、リバイは直ぐ様足を振り上げて蹴りを放った。
(なんて怪力……!?)
蹴り飛ばされた翼は、相手のパワーに冷や汗をかいた。
【レックスゲノム】のリバイのキック力は32.1tと、歴代の仮面ライダーでも破格のパワーを持っており、体勢を整えきれなかった翼が防ぎきれる筈がなかった。
そのままリバイは拳を握り、翼にパンチのラッシュを放つ。翼はそれを刀で受け止め、受け流しながら、僅かな隙をついて刀を振るうが、リバイは紙一重でそれを回避する。
「翼!」
「ねぇねぇねぇ!奏っち!!」
「っ!?なんだお前!?」
「俺っち?俺っちは響から生まれた悪魔のバイスでーす!」
「あ、悪魔!?」
奏が救出に向かおうとした時、バイスは奏の前に躍り出て、戦闘をするわけでもなく呑気に自己紹介をしていた。更には「このマフラーにサインしてくださ~い」だの「ツーショット撮ろうぜ~」などとアホな会話をして、奏を困惑させる始末だ。
「バイス……あの馬鹿!!」
それを見たリバイは苛立ちを感じつつ、ドライバーからバイスタンプを取り外し、スイッチを押した。
「えっ?うわっ!!?」
「おわっ!?」
バイスタンプが起動された瞬間、奏にじゃれついていたバイスの顔から灼熱の炎を放ち、奏は咄嗟に身を翻してその炎を回避する。
「フンッ!」
「ウワーーオッ!!?」
更にリバイがバイスタンプを振るうと、連動するようにバイスが回転し、バイスの尾が巨大化して振るわれる。その尻尾は奏だけでなく、リバイと交戦していた翼にも襲い掛かり、ツヴァイウイングの二人はリバイとバイスから引き離された。
「おい響!俺っちはオモチャじゃねーんだよ!顔から火が出るんだぞ!?メチャクチャ怖ーよ!お前に分かるか!?」
「はいはい」
バイスの抗議を受け流し、リバイは拳に魔力を乗せ、地面に叩き付けた。
「“重量支配”!」
魔力で重くされた拳が地面に叩き付けられた瞬間、本来のリバイにはなかった
地面に幾重ものクレーターが作り上げられ、同時に辺りを震撼させる。その威力は“絶唱”にも匹敵する恐ろしいもので、その衝撃波に奏と翼、そして黒服達は吹き飛ばされないよつに堪えるのに精一杯だ。
土煙が巻き上げられると、頃合いを見たジオウが腕を振るうと、ジオウの力で出現したオーロラカーテンが素早くジオウ達を呑み込んだ。
後に残っていたのは、地面に空いた巨大なクレーターだけだった。
~ヒロイン紹介~
▪︎ティファニア/ゴーカイピンク
『ゼロの使い魔』のヒロイン。
ミュウを使い魔として召喚した後、イルマハーレム加入&ゴーカイピンクとしてミュウの仲間になった。
▪︎トール
『小林さんちのメイドラゴン』のヒロイン。
神との戦いに敗れ魔界に流れ着き、入間と出会いサリバン邸のメイドとして住み込み始め、イルマハーレムに加入する。
変身は出来ないのではなく、する必要がないほど強いため、固有の変身アイテムは持たない。OTONAならぬDRAGON。
次回予告
愛子「社会科教師の畑山愛子です」
バイス『まさかの急展開!?』
愛子、リディアン音楽院へ!?
響「未来……?」
未来「響!!」
再開する
愛子「私は…私の生徒を守ります!」
響「響いてきた……!」
Episode 04 押印?ゼイン?愛子は教員!