悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME 作:MTHR
現時点ではクリスのヒロイン入りが有力。
ジオウ達の連行に失敗した奏と翼だったが、彼らの素性を知るための手掛かりを連れて二課へと戻っていた。
ガングニールのもう一人の装者、立花響の親友──小日向未来は、二課の施設で、自身が知る立花響の事を話した。
響と親友であったこと。
ツヴァイウイングのライブを勧めたのは自分である事。
ライブの惨劇から生存した響が退院した直後、父の仕事の都合で引っ越すことになってしまった事。
何度も手紙を出したが、一度も返信を貰えなかった事。
一つ一つしっかりと自身の事を話していくが、彼女の心象は穏やかではない。二年間、ずっと会いたいと思っていた親友に再開できたと思ったら、その親友は彼女を冷たく突き放した。
未来の心は、暗雲に包まれたように沈んでいた。
話を聞き終えた弦十郎は、悩ましい表情で未来にある事実を告げる。
「未来くん……君には、伝えておかなければならないことがある」
「……?」
「響くんの家族は……もう亡くなっているんだ」
「……えっ?」
何を言われたのか分からないように呆ける未来。
しかし、時間が経つと共にその言葉の意味を理解していき、彼女は顔を蒼白にすると、弦十郎に掴みかからんばかりの勢いで問い詰めた。
「響の家族が亡くなってるって……どう言うことなんですか!!?なんでそんな事が!!?」
「動揺する気持ちはわかる。俺達だって驚いた。だが、事実なんだ……」
弦十郎が険しい表情で未来を宥めると、【緒川慎次】が自身の調べた情報を提示した。
「……一年前、響さんの家は火災にあって、その火災で親族はその火事で死亡していた事が分かったんです。ですが、その火災と同時刻にノイズが出現していたことで、響さんの事件はノイズ襲撃の二次被害とされて、大きなニュースにならなかったたんです」
「そ、そんな……」
未来がその場にへたりこみそうになるのを、奏が慌てて支える。
親友がそんな事になっていたにも関わらず、自分は側にいて支えるどころか、今日の今日まで知らなかったと言う事実に、未来は強いショックを受けていた。
奏と翼も、自分達のライブに来てくれた響が迫害を受けただけでなく家族まで喪っていた事を知り、悔しそうな表情をしていた。
「私の……私のせいで、響は……」
「君の責任じゃない。響くんだけじゃない…ツヴァイウイングのライブで起きたことは、全て我々の責任だ」
二課は響の経歴を調べる際、彼女がツヴァイウイングのライブの生存者であったことや、彼女の身に起きた事、さらにはネットの掲示板にもあった風評被害にも目を通した。二年前のライブの裏側に起きていた真実を知る面々は、誰もが自分達の不甲斐なさに身を震わせていた。
そして、【櫻井了子】がタブレットに幾つかの映像を映しながら、それを未来に見せた。
「響ちゃんは、家が火災にあった日に未確認1号……あの時計みたいな顔してる奴と接触しているのを確認してるわ。それから一年間、響ちゃんがどうやって奏ちゃんと同じガングニールを手にしたのか、あの二人に分離する技術をどうやって手に入れたのかは全くの謎。これ以上を知るには、直接彼女達と接触するしかないのよねぇ」
二課はありとあらゆるネットワークを駆使して彼等の情報を集めたが、顔を隠れているジオウ達の素性などは分かる筈もなく、唯一顔が割れているトールも、二課が本気を出して調べても戸籍の一つも見つけることが出来なかったのだ。
(この白いの……)
そこで、未来は“未確認7号”と呼称されている白い戦士──ゼインの影像を見て思い出した。リディアンに新たに社会科教師となった女性、畑山愛子が、この白い戦士に変身した姿を。
“小日向さん……この事、どうか誰にも話さないでください”
しかし、自分達を守る前に見た愛子の必死な顔を思い出したことで、未来はその事を二課に話すことはなかった。それをここで言うのは、愛子に失礼だと考えたからだ。
(でも、あの人がもしも響の事を知ってるなら……)
後で、あの人と話をしよう。
自分の太陽をもう一度掴むために、未来は決意を固めるのだった。
ゴーカイガレオンの一室にて、愛子は机に座って悶々と悩んでいた。
思い出すのは、数時間前の戦いに起きた出来事。担任と言うわけではないが、自身にとっての生徒──小日向未来と、自身の仲間である響の事だった。
愛子とて、自分達がこの世界にいるのはあくまでも異変解決の為であり、解決すれば魔界に戻らねばならないのはならないのは理解している。だからと言って、“生徒”が苦しんでいる時に何もしないのは、愛子の矜持に反することだ。
だが、肝心要の響は、未来を拒絶していたのだ。愛子は響の過去を聞いたことはない。だが、響が元の世界を捨て、魔界を安住の地として見なければならないほどの事があったのは分かる。自分だって、魔界に籍をおいている身だ。
自分には二人のために出来ることなどあるのか、それは自分のエゴではないかと、悶々と悩んでいる愛子に、突如声がかけられた。
「どうしたの、愛子?」
「……」
「うぇっ!?い、入間君とユエさん!?そ、それに響さんも!?」
「…何?人の顔を見てそんなに驚く?」
振り替えると、そこには入間とユエ、そして響が立っていた。
まさか、今の今まで頭の中で考えていた人物が後ろに立っていると思わず仰け反ってしまう愛子。
そんな愛子に、入間は苦笑し、響は興味なさそうな様子だ。
「まぁ、大方響とあの白いリボンの子の事で悩んでたんじゃない?」
「っ!なんでそれを!?」
「…分かりやすいからです」
「……ん。愛子は顔に出すぎてる」
「はうっ!!」
胸を押さえて崩れる愛子。
見かねた入間がポンポンと頭を撫でると、愛子は自身の頭を撫でる入間の手の温もりにヘニャヘニャと頬を緩ませる。入間は隣でユエが不満そうにしているのに気づくと、彼女の頭も撫でてやる。ユエが甘える猫のようにゴロゴロと入間に身を擦り寄せる。
「……スケコマシ」
「あはは……否定できない」
『アハハー!乙女の嫉妬を感じます!響ってばグレデレ~♪』
「……ッ」
そんな入間を、やけに不機嫌そうな表情の響がポツリと呟き、入間は苦笑する。
すると、霊体のバイスが響の身体から出てきて余計なことを言うと、響は顔を赤くしながらバイスを睨み付ける。
だが、入間達には魂魄魔法を使わないと霊体のバイスは見えない為、愛子は虚空を睨んでいるように見える響におずおずと話し掛けた。
「あの……響さん。小日向さんの事なんですが……」
「……未来の事、知ってるんですか?」
「はい。私が赴任したリディアン音楽院の生徒なんです」
「そうですか……」
それを聞くと、響は興味ないと言うよう椅子に座ると、窓のそとから見える景色に視線を向けながら口を開く。
「私と未来は……小さい頃から一緒に遊んでた…所謂幼馴染みです」
「じゃあ、未来さんと再開できたのに何故……」
「……二年前、未来は私に何も言わずに引っ越したんです。それから音信不通。だから、未来との縁はそれで切れた。ただそれだけなんですよ」
聞くだけなら何て事のない話のようだ。しかし、過去を語る響の瞳を見て、そして響と再開した未来の様子を思い出して、愛子はそれだけでは言い表せない何かがあるのだと、何となく察していた。
「響さん、小日向さんと話をしてみようとは……」
「思わない。私は、もう人なんか信じない…!」
即答されてしまい、何も言えなくなる愛子。
響の過去に何があったのかを詳しく知っているのは入間だけだ。愛子は響の過去をまるで知らない。だが、わざわざ元の世界を捨てて魔界に移住すると言うことは、そうせざるを得ない程の悲劇が響の身に起きた筈だ。未来の件も、それに少なからず関係があると何となく察してしまった。
何も知らない自分が、彼女に無理を言って未来と合わせても、彼女を苦しませるだけだと考えた愛子は、口を紡いだ。
それを見た響は自室へ戻ろうと歩き出す。そこへ、入間の声が聞こえてきたことで、響は足を止めた。
「響」
「……」
「…その子の事、どう思ってるのから聞かないよ。でも、どうするのかを決めるのは響自身だよ」
そう言うと、入間は“宝物庫”から何かを探るように手を突っ込むと、そこから二つの掌サイズの何かを二つ取り出し、響に向けて放る。
絶妙なコントロールで投げられた二つを、響は両手でキャッチする。
「…っと。これ……」
『ウワーッ!新しいバイスタンプじゃん!!』
それは、響が所持している12個のバイスタンプのどれとも一致しない、新しいバイスタンプだった。
「……」
響はその二つのバイスタンプをマジマジと見つめたあと、何も言わずに自室へと戻っていく。
「響さんが、小日向さんの庫とをどう思ってるのかは分かりました。でも、出きることなら……私、小日向さんの事を何とかして上げたいです」
響が去っていった方向を見ながら、愛子はポツリと呟いた。入間とユエは、そんな愛子の言葉に、どこの世界でも変わらないなと笑みを浮かべる。
そして、ユエは今日の添い寝は愛子で良いと伝え、愛子は顔を真っ赤にしながらも添い寝を受け入れたのは余談である。
翌日。
気分転換のために、外に出て歩いていた響は、公園のベンチに腰かけて空を見上げる。
(この世界に来るわ未来に会うわ……ホントに、私は呪われている)
元の世界への情なんて捨てた筈だった。だが、立て続けに自身が捨てた筈のものと再開することになり、響の心情は穏やかとはほど遠かった。
「ノイズだぁーーーーー!!!!」
その時、人々の悲鳴と共に警報が鳴り響く。
響が視線を彷徨わせると、いつの間にか発生していたノイズが人々を襲い、炭素へと変えている光景を見て、響は口角をつり上げた。
「丁度良い……イライラしてたから、八つ当たりさせて貰う!」
『うわぁ~。起こった響は怖ェんだよなぁ。ノイズちゃん、南無阿弥陀仏……』
リバイスドライバーを腰に巻いた響は、シンフォギアのペンダントとレックスバイスタンプを取り出すと、その二つを構えながらノイズに向けて走り出す。
「Balwisyall Nescell gungnir tron…!!」
歌を歌い、シンフォギアを纏いながら変身する響。
響がリバイに変身すると共にバイスが実体化し、二人の拳がノイズを貫く。
リバイは拳を握りしめ、バイスはオストデルハンマーを手にすると、二人は残りのノイズを次々と炭素へと変えていく。
「掃除します!掃除します!はい、そこのノイズも掃除しまーす!お掃除お掃除~♪はい!はい!はい!はい!君も~!君も!はい君も~!そこの君も~!君も~!そして……はい、君も!!」
謎の歌を歌いながら、オストデルハンマーで次々とノイズを叩くバイス。
「ったく、アイツはいつもいつも……」
リバイは呆れつつ、ガンレッドを変形させながら目の前のノイズに向けて拳を突き出す。拳のギミックが作動し、衝撃波で背後にいたノイズ軍も消滅すると、リバイは新たなバイスタンプを取り出した。
“キングクラブバイスタンプ”が起動され、印面に息を吐いたリバイは、レックスバイスタンプを取り外し、キングクラブバイスタンプを装填する。
【仮面ライダーブレイド】と蟹の要素を取り入れた姿──【キングクラブゲノム】に変身したリバイは、両腕に蟹のハサミと“醒剣ブレイラウザー”の要素を取り入れたような大型の鋏“キングクラブレイラウザー”を装備する。
「へへッ!ブッドベドンドゴドーン!!」
紺と銀色を貴重とした重厚な鎧に身を包む【バイス・キングクラブゲノム】は、迫り来るノイズを、甲殻類さながらの防御力で防いぎながら、ものすごく聞き取りづらい叫び声をあげながらノイズを吹き飛ばす。
「はぁっ!!」
上空へ打ち上げられたノイズ達に、リバイは鋏から青い斬撃を飛ばして切り捨てていくと、新たなバイスタンプを起動する。
【仮面ライダーV3】と亀をモチーフとした【タートルゲノム】に変身し、リバイは甲羅のような装甲を叩き付ける。ノイズが体を紐状にして突撃するが、リバイの装甲の前には意味をなさず、彼女の体を振るわせることもできずに炭化した。
「力と技と、人気爆発のバイスちゃんでーーーす!」
タートルゲノムに変身したバイスの両肩の砲身が火を吹き、ノイズは次々と爆発を起こす。
リバイは、視線の先にいるギガノイズに視線を向けると、リバイスドライバーに装填された“タートルバイスタンプ”二回倒す。
走り出したリバイは、地を蹴って飛び上がる。それを見たバイスが上空に向けて砲撃を放つと、砲弾がリバイの前まで飛んでくる。
リバイがそれを蹴り飛ばすと、加速した砲弾はギガノイズに直撃し、大爆発を起こす。砲弾を蹴り飛ばした反動にのって後ろに飛んだリバイは、ギガノイズに向けて急降下キックを放った。
「はぁああああああっ!!!!」
リバイのキックが、ギガノイズを貫く。
「全国のリバイスファンの皆様!お待たせいたしました!それでは行ってみましょう!──
バイスのカウントと共に、ギガノイズはだんだんと体が赤熱化していき──、
「はいどうぞ」
大爆発を起こした。
「やったー!倒したぞ。イェーイ!!」
「帰るよ」
「えーーっ!?せっかくカウントできたのに、もうちょっと余韻に浸ってもよくない!?」
「必要ない。それに、グダグダしてたらまた……」
リバイが言葉を続けようとした時、二人の周りに黒い車がやって来る。
二人が視線を向けると、そこには例のごとくシンフォギアを纏ったツヴァイウイングと黒服達がいた。
「懲りもせずに何度も何度も……」
「いやぁ~、人気者悪魔は辛いですわ。俺っちサインとか考えちゃおっかな!」
はしゃぐバイスを他所に、ツヴァイウイングはリバイに歩み寄ると、思いがけない事を口にした。
「響……頼む。アタシ達と来てくれ」
「…いい加減にしてくれませんか?何度言っても私達の答えは」
「小日向も、お前の帰りを待っている」
「──は?」
「えっ?あの人達、未来の事知ってんの?」
一瞬、意外な人物の名前が出てきたことに、思わず間の抜けた声を出す。しかし、すぐに頭にある可能性を思い浮かべると、侮蔑の籠った視線で答えた。
「人の元親友をエサにして、自分達のもとに私を引き入れようって事ですか?そして彼等も釣ろうとでも……」
「そんなんじゃない!」
「小日向は、今でもお前の事を想っている!お前が家族を失って辛かった時に側にいられなかったかもしれないが、お前を見捨てたりはしない!!」
必死に未来に会って欲しいと懇願する二人。その様子から、リバイは二人が嘘を言っているのではないと理解するが、無言のまま、ドライバー側面のホルダーからバイスタンプを引き抜いた。
「何も、知らない癖に……!」
“ブラキオバイスタンプ”が起動され、リバイスドライバーに押印。バイスが体に吸い込まれ、背後にLINEのエフェクトが現れる。
『私にもう人間なんて信じない……!』
『私の居場所は魔界だけなんだ!!』
リバイがドライバーにバイスタンプを装填すると、マゼンタのインクが入ったスタンプを抱えるバイスが現れる。
リバイは、顔面にジオウの「クロックブレードA」を模した時計の針を模した触覚張り付けられ、パーツの下側からはブラキオサウルスの眼が見える。胸部には時計なベルトを模したようなバンドが延びたジオウ要素が強い姿──【仮面ライダーリバイ・ブラキオゲノム】に変身する。
「ヘヘッ!バイスタイム!!」
バイスは、足先までマッシブになった巨体に時計の針を模した触覚を持つブラキオサウルスの被り物をしており、各部アーマーにマゼンタのラインが入った【仮面ライダーバイス・ブラキオゲノム】へと変身する。
「ッ!」
「あーっ!ちょっと響!勝手に行くなよー!!」
リバイはゲノムチェンジと同時に走り出し、バイスを置き去りにして奏に殴りかかる。奏はそれをアームドギアで受け止めるが、レックスゲノムよりも優れたパワーに思わず後退する。
「奏!」
「あーっ!待ってよわぁあああ!!?」
「ぐあっ!?」
咄嗟に翼が奏を守ろうとするが、二人の間に飛び込もうとジャンプしたバイスと衝突した事により、翼はバイスに下敷きにされる形で足を止めた。
「何でだよ響ッ!未来はこの二年間、ずっとお前の事を心配してたんだぞ!!」
「未来との縁なんてもう切れてます。それに、私と未来の事は、貴方は無関係でしょう」
「関係ない事なんてない!あの日、アタシはお前の命を救ったから……」
「ッ!」
その言葉に、リバイは拳を握り締めた。
未来との再開から僅かに不安定になりつつあった感情が一気に爆発し、空間を揺るがすほどのエネルギーを纏った拳を叩き付けた。
「ぐっ、がはッ!!?」
肺の空気を全て押し出されて呻く奏の胸ぐらを掴み、無理矢理立ち上がらせたリバイは、激情のままに怒号を浴びせる。
「生かせば、救いだって言うんですか!?」
「なにを……!?」
「私があのライブで生き残ったせいで……生きるのを諦めなかったせいで、家族は迫害を受けて苦しんで、お父さんは仕事を失くして家を出ていって、家族はバラバラになったんだ!」
「ッ!そ、それは……」
「私は、なにもしなかった……!痛みに耐えれば何とかなるって思い込んで抗いもしなかった……!私が生きて、抗わなかったから、私の家族は不幸になったんだ!私があの日死んでれば、家族はいなくならずにすんだんだ!!」
リバイの言葉に、ライブ後の迫害に自身の無力感に悔しさを感じていた奏は拳を握りしめながらも、強い意思をもって、リバイの言葉に応えた。
「アタシは、お前に不幸になって欲しいから助けたんじゃない!お前に、生きて欲しかったんだ!生きて、幸せになって欲しかったから」
「私のせいで、お母さんとお祖母ちゃんが殺されたのに!?」
「──えっ?」
奏が目を見開く。
「もう、人間なんて信じられない…信じたくない……!全部喪って、何も信じられない中で、私が信じられたのは
その言葉と共に、リバイはドライバーに装填されているバイスタンプを操作した。
飛び上がったリバイが、スタンプ型のエネルギーを足に纏わせながら、奏に向けて急降下する。
「ダメッ!奏!!!」
「どうなってんの?」
起き上がれなくなったバイスの下敷きにされていた翼が顔を青くして手を伸ばす。しかしバイスの重量によって、動けなくなった翼のその手は届かず、リバイの蹴りが奏に直撃する、その時だった。
「“聖絶”」
奏の周囲を光のドームが包み、リバイのキックが弾かれた。
「キャッ───ッ!」
必殺の蹴りを弾かれてバランスを崩し、弾き飛ばされたリバイが地面に墜落しそうになった時、リバイの体を何者かが受け止めた。同時に、リバイの変身が解除され、バイスが霊体となって響の体に吸い込まれた。
響は、自身を受け止めた相手に目を向けて、目を見開いた。
「入間……」
「ゴメン、色々と遅れた」
それは、ゴーカイガレオンで待機していた入間だった。
ガレオンからノイズの反応を感知し、響が蜂併せているということでゆったりと現場に向かっていたのだが、奏達が入間よりも早く遭遇してい事を知り、少し急行が遅れてしまったのだ。
響が視線を彷徨わせると、そこにはユエの姿もある。奏を守ったのは彼女なのだろう。冷静になった頭で、自分が少し暴走していた事を自覚した響は、気まずそうに視線をそらしながら口を開く。
「………ごめん、取り乱した」
「別に、僕たちに被害があった訳じゃないし気にしてないよ」
「………それで?いつまで入間の腕の中を堪能してるの?」
「?………ッ!!」
そこで、ジト目をしたユエの言葉によって、響は正気を取り戻す。そして、自身が入間の腕の中でお姫様抱っこされていることに気付くと、途端に顔を真っ赤にした。
「フンッ!!」
「ぐふっ!?」
一方、突如現れた第三者に目を白黒させていた奏と翼は、響に肘鉄を食らわされて少し呻いている入間を見て、二年前の記憶が蘇り、目を見開いた。
「お前……二年前の!?」
「金色のアンノウン……!!」
ツヴァイウイングにとっても、忘れることのない存在、二年前のライブに現れたクワガタのような“化け物”を討ち滅ぼし、重症だった二人と響を謎の力で治療した男。
意図せずに正体を晒してしまった事に溜め息を吐きつつも、遅かれ早かれこうなるかと入間は奏と翼に目を向けると、魔法を発動させる。
「“絶象”」
「……!」
再生魔法の光が奏を包む。
その光はリバイによって出来た奏の傷だけでなく、彼女がガングニールを使用するために投薬している“LiNKER”と呼ばれる劇薬の副作用をも消失させた。
入間は奏の治療を確認すると、オーロラカーテンを出現させる。響達は躊躇いなくそのオーロラの向こうに消えていき、入間もまたオーロラに入り込もうとした時、
「まっ、待ってくれ!」
奏に呼び止められたことで、足を止めた。
「あの子……響は……」
その問いに、入間は考える。本来なら、入間には答えてやる義理などないのだが、どうやら彼女と響には何やら複雑な事情があるらしい。ならば知る権利はあるかもしれないし、彼女達の所属する組織に探り入れる近道になるかもしれない。
なので、入間は響に悪いと分かっていながらも、答えることにした。
「……彼女の家族の死は、ノイズとは関係ない。僕が知ってるのはそれくらいだよ」
「ッ!それじゃあ………まさか……!」
彼女の脳裏に、最悪の可能性が思い浮かぶ。
入間は顔を青くする奏を見て、これ以上話をするのは無理だなと判断し、翼の制止を無視してオーロラカーテンの向こうへと消えていった。
次回予告
奏「全部アタシのせいじゃねぇか……!」
未来「畑山先生は、何者なんですか……?」
響の過去を知った奏──
入間「罪は消せない、背負って生きていくしかないんだ」
赤い翼が羽ばたく!
奏「もう目を反らさない!」
翼「奏、その姿は……!?」
奏「変身!!」
Episode 06 過去と決意と奏の変身