悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME   作:MTHR

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 悪魔絶唱!前回の三つの出来事!!

 1つ!失意に沈む奏に、入間が襲い掛かる!
 2つ!悩む愛子のもとに、未来が接触!
 そして3つ!奏はオーズに変身した!


Episode 07 絶唱F:ネフシュタンの鎧

 ゴーカイガレオンの中に、銀色のオーロラが現れた。

 そこから、最初に飛び出してきた入間を先頭に、トール、アメリ、ティオな雪崩れ込むように倒れ、それから響が飛び出した。

 

「ぷぁ!やっと息が出来……」

「戻りましたね!私達の愛の巣に!さぁ入間さん!私の体を好きなだけ弄んで下さい!」

「な、ないを言うか!それなら私が……じゃなくて!」

「あくまで独占する気かのトール?ならば妾も遠慮はせんぞ」

「もーー!そう言うのは良いから!!」

 

 トールの胸に顔を埋められて窒息しそうになってたのから解放された入間だが、すぐに背後で豊満な果実を押し付けながら姦しく騒ぐ三人に、入間は顔を赤くして叫ぶ。

 

 その時、入間の体がフワリと浮き上がり、まるで何かに引き寄せられるように飛んで行く。そして、柔らかくて幸せな感覚に包まれた。

 

「……入間、おかえり♡」

 

 トールとそっくりなその声の主は──ユエ。

 胸元をはだけさせ、黒いブラを晒し、慎ましやかな膨らみを入間の顔に押し付けている。

 先程よりもエロい事をされているのだが、最愛の吸血姫が相手では入間も強く出れず、つい脱力してしまう。

 

 それを見ては、当然彼女達は黙っていられない。トール、アメリ、ティオは闘志を剥き出しにしてユエから入間を奪い取ろうとし、ユエは魔法でそれを防ぐ。しかしトールが強すぎてあちこちの家具が破壊されてしまう。 

 

「はぁ……」

 

 そんないつも通りでありながら姦しく喧しい面々に、響はいつもの事だと避難しようとした時、シア、ミレディ、チマ、優花、ティファニアが、ある地点を見ながら困ったような顔をしていることに気付いた。

 

「どうしたんですか?」

「あっ、響さん」

「何と言うか……意外なお客さんが来てて」

 

 シアとティファニアがそう答えると、響は彼女達の視線を追って、目の前にある光景に思わず脚を止めた。

 

「お、おかえりなさ~い……」

「響お姉ちゃんおかえりなの~」

 

 テーブルに座る愛子とミュウ。愛子はひきつった笑みを浮かべ、ミュウは満面の笑みを浮かべて、響に向けて手を降っている。

 しかし、響の視線は二人に向いていない。

 彼女の視線の先にいたのは……

 

「……」

 

 あんぐりと口を開け、人外同士の喧嘩に目を点にしている黒髪に白いリボンを着けた少女──小日向未来。

 

「み、く……」

「ッ!響……!」

 

 響の声を聞いて、未来が振り返る。

 

 同時に、ユエ達の攻撃がゴーカイガレオンの壁をぶち破り、入間とミュウの怒声が天空に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 特務二課の本部。

 指令室の扉が開き、櫻井了子は奏達の前にあるものを持ってくる。それは、オーズドライバーとコアメダルが収められたオーメダルホルダーだ。

 

「それで了子君、何か分かったのか?」

 

 弦十郎が了子に尋ねる。

 奏が未確認1号──入間と呼ばれる男から手渡されたと言うオーズの力を、当然ながら二課は無視することが出来なかった。帰還すると同時に、奏の持つオーズドライバーとコアメダルは了子の手によって検査する事となった。

 

「まだ分からない事は多いのだけど……」

 

 了子は、奏に手渡したオーズドライバーとオーメダルホルダーを身ながら腕を組み、非常に悩ましそうな表情で、言った。

 

「これは……()()()()()()()()()()()()()()よ」

「「なっ!?」」

「完全聖遺物だと!?」

 

 その場にいた全員がその言葉に絶句する。

 

 翼や奏が纏うシンフォギアは“聖遺物”と呼ばれており、シンフォギアの基となっている世界各地の神話や伝承に登場する異端技術の結晶。だが、翼や奏、響が持つ聖遺物も元々は聖遺物の“欠片”であり、経年劣化や破損がみられないものを“完全聖遺物”とカテゴライズしている。

 

「けど、あくまでも限りなく近い代物ってことよ。確かに、これが発してるエネルギーは聖遺物の反応と酷似してる。でも、ありとあらゆる国の伝承を探っても、奏ちゃんが使ってた【オーズ】に由来する物は一つもないし、このメダルの原理も不明。結局、何も分からないのと一緒ね」

「マジか……」

 

 そう言いながら、奏はオーメダルホルダーを開き、中に収められたコアメダルを見る。

 

タカ クジャク

トラ チーター

クワガタ バッタ

サイ ゴリラ

ウナギ タコ

 

 これが、現在奏が持つコアメダルだ。

 一列につき三つの窪みが存在するホルダーの中に、横一列で色が揃うように収められたメダルは、何故か何枚かが意図的に抜き取られていたのだ。赤いメダルなら右端が、黄色いメダルなら左側、緑のメダルなら真ん中と、そこにだけ不自然にメダルがない。まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()様であった。

 

「しかし、入間といったか……彼は何のためにそれを渡したのか……その理由は分からずじまいか」

 

 弦十郎が腕を組み、奏と翼も考える。

 

 二課の情報網を駆使しても響以外の情報は一切見つからず、聖遺物でもないのにノイズを倒すことが出来る未知の武装を有している。

 しかし、二課には非協力的な態度を取っていたのかと思えば自ら奏に接触して未知の力を渡した。つまり、二課に自分達の技術力を突然提供していたのだ。

 

「そう言えば……言ってたな。アイツ等がノイズと戦ってる理由は、アタシ達とは根本的に違うって」

「つまり、彼等はノイズを倒し続けることで何かの目的を果たそうとしていると言うことか……」

 

 弦十郎は唸る。

 彼は未確認の一体…トールと直接対決し、敗北を喫している。触れた対象を炭素と砕くノイズの特性から真価を発揮することは出来ないが、シンフォギア装者を素手で圧倒できる弦十郎がトールに負けたと言う事実は、二課の職員達全員に大きな衝撃を与えた。

 それだけの力を持つ連中が、何らかの野心をもって行動していると言うのなら、下手をすればノイズ以上の驚異となる可能性がある。

 そんな弦十郎の考えに、奏は首を横に振った。

 

「何か目的があるのかもしれないけど……アタシは、何となくだけど、疚しい事があるようには思えないんだよ」

 

 そう語る奏の目には、強い意思があった。

 

「奏……」

「……フッ」

 

 そんな奏の表情に、翼は驚き、弦十郎は笑みを浮かべる。

 響の素性を知ってから、ずっと思い詰めた表情ばかりしていた奏がここまで吹っ切れたのは、間違いなく入間の影響だろう。

 

「ならば、彼等と一度腹を割って話す必要がありそうだな」

 

 上層部からは入間達を危険視する者も多い。本格的に入間達と敵対してしまうようなことがある前に、彼等の真意や目的を知らねばならないだろう。

 弦十郎は一枚の書類を取り出して文章に目を通す。

 その書類には『畑山愛子』という名前が記入されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お好み焼き屋『ふらわー』の席に、茶髪と黒髪の少女が並んでいた。

 

(何でこんなことに……)

 

 響は思わず為息を吐いた。

 

 ユエ、トール、アメリ、ティオが喧嘩の末にゴーカイガレオンの壁を破壊し、入間が激怒。4人は罰として魔法なしでゴーカイガレオンの修理をすることとなり、大穴空いたガレオンでは落ち着けないと外食をすることとなった。

 

 そこまではよかったのだが、何故か入間と愛子はミュウや他のメンバーをつれて何処かへと去っていき、引き留める暇もなく二人きりになった響に、未来がおずおずと「私のおすすめのお店があるんだけど…どう?」と言われたので、仕方なく未来と二人で付き合うことになった。

 

 すると、響と未来の前に焼き上がったお好み焼きが置かれる。それに反応したバイスが霊体の状態で飛び出した。

 

『うわぁ~!悪魔的な香り!ねぇねぇ響!俺っちにもお好み焼き食べさせて!』

「……」

『何でだんまり決めこんでんだよ!食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたーーい!!』

「……ッ!」

 

 響の内心等知ったことではないと言うように騒ぐバイスに、響はイライラが蓄積していく。

 

「えっと、響……お好み焼き好きじゃなかった?」

「……そんなことない」

 

 しかし、霊体のバイスが見えないゆえに、どんどん眉間に皺がよっていく響を見て未来がおずおず尋ねるが、眉間を揉んで気分を落ち着けさせると、お好み焼きにパクつきながら、響は未来に話しかける。

 

「……何となく想像できるけど、なんでガレオンにいたの?」

「畑山先生に聞いて、案内してもらったんだ。まぁ、畑山先生や響の家が空飛ぶ船だなんてビックリしたけど……」

「……そう」

 

 やはりあの人か。と、響は赤の他人をガレオンに迎え入れていたと言う事に頭が痛くなる。未来が着ているのはリディアン音楽院の制服。愛子がリディアンの教師として潜入してるのなら、彼女の性格上こうなるのは必然だろうなと、響は自身の運の悪さに落胆する。

 

「響は、あの人達の所でお世話になってるの……?」

「そんなところ。一年前に入間…あの青い髪の男に拾われて、アイツの家で暮らしてる。ゴーカイガレオンは仮の拠点」

「お、男の人の家で!?」

『イヤーーン!響ってばダイターーン!!』

 

 何故か未来が顔を真っ赤にして悲鳴を上げる。

 少し自分の言葉を振り返ると、確かに誤解を招きやすいなと思い直し、入間とはそんな関係ではないのを知ってる筈なのに黄色い声を上げているバイスを睨みつつ、響は訂正をいれる。

 

「アイツの家、名家の家で豪邸なの。トールさんやユエさん達もそこに住んでる。所謂居候だよ。未来が想像するような感じじゃないから」

「そ、そうなんだ……」

 

 あからさまにホッとする未来。だが響は知ったことではないと、話題を切り替えた。

 

「それで?何で愛子さんに連れてきてもらってまで私のところに来たの?」

「そ、それは……」

 

 響の問い掛けに、未来は言い淀むが、やがて意を決したように口を開く。

 

「……響、ごめんね」

「えっ?」

「私、響の家族が死んじゃった事、今まで知らなくて……響が一番辛い時に、何もしてあげられなくて……」

「……」

 

 その言葉に、響は一度未来に視線を向ける。

 未来は目の前のお好み焼きに手をつけず、ポロポロと溢した涙で机を濡らしている。

 

「謝ることなんてない」

「っ!でも……」

「……未来には、関係ない」

「そんなことない!響は私の大事な……」

「前に言った筈だよ。私達の縁はもう切れてるって」

 

 それだけ言うと、響は席を立ち上がる。お好み焼きは既に食べ終えていようで、財布から代金を出すと、そのまま店の外へと歩き出そうとする。

 

「待って!」

 

 そんな響の手を、未来が掴んだ。

 響は振り向くと、悲痛な目をしながらも真っ直ぐに自分を見ていることに気付く。

 

「……私に謝る必要なんてない」

「そうだとしても……私、やり直したいんだ。もう一度……響の友達として」

「……」

 

 未来の必死の懇願を前に、響は視線を下に向ける。

 響は、未来のことは恨んでいない。何故引っ越したのかも、何故連絡をくれなかったのかも、今となっては聞くつもりもなかった。

 だが、響はもうこの世界を捨てて魔界へと身を置いたのだ。家族を喪ったあの日、響は人間の世界に明確な決別をした。あの日に負った心の傷が、そして決別を果たした響の心が、未来の瞳を拒んでいた。

 

「───ゴメン」

 

 その言葉と共に、響は未来の手を離す。

 無言のまま扉を開け、未来が呼び止めるよりも早く、ふらわーを後にする。

 

『なんで断っちゃうんだよ?響って未来の事、嫌いなの?』

「ッ!何も、知らないくせに……!」

 

 バイスの言葉を聞いて、響はバイスを睨み付けながら歯を食い芝って走り出す。

 響へと伸ばしていた未来の手は、宙を彷徨った後、力なく下げられた。

 未来のお好み焼きは、既に冷めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失敗、ですか……」

「まぁ、こうなるよね」

「響お姉ちゃん、大丈夫なの?」

 

 とあるラーメン屋のカウンター席にミュウを挟み並んだ入間と愛子は、“タカカンドロイド”に運んでもらっている“バッタカンドロイド”からスマホに送られてくる映像を見て、溜め息を吐いた。その別々の席には、シア達も座っている。

 響の最近の荒れ気味を考えれば、こうなるのはある意味必然だっただろう。しかし、忙しかった愛子はそれを察するのが難しかったのだ。

 

「どうすれば、良かったんでしょうか……」

 

 生徒である未来と、大切な仲間であるの為を思い、ゴーカイガレオンに招待までしたのに、何の成果まで出せなかったことに落胆するが、入間はそんな彼女の頭にポンッと手を置き、優しく撫でる。

 

「焦る必要なんてないよ。響は未来のことを嫌ってる訳じゃなさそうだし。気長にやろう」

「入間君……えへへ、ありがとうございます」

「むぅ~!パパ!ミュウもなでなでしてほしいの!」

「「「「「じと~……」」」」」

 

 愛子は頬を赤らめてデロデロになると、ミュウは頬を膨らませて自分もしてほしいと駄々をこね、シア、ミレディ、チマ、優花、ティファニアのジト目が突き刺さる。

 

 その時、店に佇む未来の姿を映していたスマホの映像が、パタリと途絶えた。

 

「あれ?」

「消えちゃったの~?」

「あっ、これもしかして……!」

 

 次の瞬間、店の扉が乱暴に開かれ、とてつもない勢いで何かが投擲された。しかし、入間はラーメンの面を掴んでいた箸で見事にそれを挟み、火花が散るような回転をするそれをピタリと停止させた。

 

「……チッ!」

「響……せめてもう少し周りの迷惑にならないようにやろうよ。周りの人達、驚いてるよ?」

「覗き見してて悪びれもせずこの男…!」

 

 その犯人──響は、魔力を付与して全力投球したタカカンドロイドをアッサリと受け止めた入間に苛立ちつつ、入間達の座るカウンター席にドカッと座り込んだ。入間が奢れと言うことらしい。覗き見してたのは事実なので、文句を言うことなく入間は財布の中身を確認する。

 

 その時、再び扉が開く音が聞こえると、入間の隣の席に靴音が聞こえてきた。

 

「やぁ、隣に座っても良いかな?」

「別に構いま……」

 

 入間が顔を向けると、その言葉を止めた。

 そこにいたのは、赤いシャツを着た大柄な大男。

 その男の人間離れした実力を見抜いた入間は警戒心を露にする。みれば、ティファニアと愛子と優花以外のメンバーもその男を警戒していた。

 

「こうして顔を会わせるのは互いに初めてだな、入間君、響君。そして──畑山愛子君」

「ッ!?」

「「……」」

「んみゅ?」

 

 まさか自分の名前が出されるとは思わず目を見開く愛子。入間と響は大男──風鳴弦十郎を睨み付ける。

 

「勘違いしないでくれ。何かする気はないさ。俺は風鳴弦十郎、翼と奏の上司に当たる」

「……愛子の事はどうやって?」

「ウチの諜報員は優秀でな。未確認の出現とほぼ同時に赴任したという愛子君の経歴を少し調べたんだ。普通に見れば問題ないように見えたが、詳しく調べると所々穴があるのに目を付けたんだ」

「……」

 

 確かに、この世界に置いての身分証は殆どトールが魔法で偽装したものであり、生活には支障がなかったが、()()()のプロに本腰を入れられるとこうもアッサリバレてしまうとは。入間達は基本的に組織とは無縁であるため、人間の諜報力を少し甘く見すぎていたのだろう。とはいえ、未来という悩める生徒を前にしている愛子が今更リディアンを止めるとは思えない。

 

「愛子に手を出したら八つ裂きじゃすましませんよ」

「肝に銘じるよ。彼女は学校では真面目に教職を全うしてるからな」

 

 何処まで本気か分からないが、一応の言質は取りつつ、入間は鋭い視線のまま弦十郎に問いかける。

 

「で、何のようですか?」

「何、難しい話は後にしよう。今は先に夕食といこうじゃないか。そこにいるお嬢さん達も含めてな」

 

 シア達が僅かに動揺する。

 しかしそう言った空気の揺れを気にせずに店主に口頭で注文する弦十郎。どうやら、彼の実力を見抜いて警戒したのが裏目に出たらしい。

 入間としても、食事の時間を邪魔されるのは嫌なので、ここで彼が追い付く時間をくれるなら断らない手はない。見た感じ魔法に対する抵抗力はなさそうなので、素の実力なら兎も角、倒す手ならいくらでもある。なので、言葉通り食事を楽しむことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、夕食を食べ終えた入間達と弦十郎は、リディアン音楽院の近くにある公園で話をすることとなった。既に太陽は沈みかけており、公園には子供や保護者の姿はない。

 

「単刀直入に聞く。君達の目的は何なんだ?」

 

 真っ直ぐな視線での問いかけ。

 ブランコを漕いで体を前後に揺らしていた入間は、仲間達を代表して、その問いに答えた。

 

「探し物、ですね」

「探し物?」

「そう、僕達は“真相”を探るために、ノイズと戦ってます」

 

 帰ろうとするならば何時でも出来る。だが入間達がこの世界に留まっているのは、魔界に黒いノイズが現れたことの真相を探るためだけであり、人を守る気なんて一切ない。ディケイドのライダーキーの事もあるので、しばらくはノイズを殲滅しながら手掛かりを探していくつもりだ。

 ……とはいえ、もうかなりの時間が経っているのに、手懸かりのひとつも見つからないのが現状だが。

 

「君達が探る“真相”とは何だ?」

「それを言う義理はありません」

 

 異世界云々なんて話を信じるのかどうかという事から話を始めなくてはならないため、それを明かしただけでも譲歩した方だ。

 

「では話を変えよう。奏に渡したあの力は何だ?」

「……それに関しては、無関係じゃないので答えましょう」

 

 入間はコンドル、カマキリ、ライオンのコアメダルを取り出しながら、入間はオーズの事を、現状話せるだけの事は余さず離した。

 

 コアメダルとは、八百年前、錬金術師達がとある国の王の協力の元に造り出した生物の力を凝縮したメダルであり、そのメダルを造らせた王が身に纏っていた力が【オーズ】である。

 コアメダルは全部で五種類、一種につき10枚ずつ存在し、その内の一枚を抜くことにより、メダルから「欠けた数を埋めたい」と言う欲望が生まれ、欲望の怪人【グリード】が誕生する。

 昆虫の力を持つ緑のメダルから生まれた【ヴヴァ】

 猫系の生物の力を持つ黄色のメダルから生まれた【カザリ】

 重量系の生物の力を持つ灰色のメダルから生まれた【ガメル】

 水棲生物の力を持つ青のメダルから生まれた【メズール】

 鳥類の力を持つ赤のメダルから生まれた【アンク】

 三つのメダルの力を自在に使いこなすオーズは、“コンボ”というメダルの色を揃えた力を使えばシンフォギアの“エクスドライブ”にも匹敵を発揮する。

 王は全てのコアメダルを手にし、世界を我が物にしようとしたが、メダルの力を制御しきれずに他のグリードを巻き込んで、グリードを封印する棺となった。

 

「そんなものを……にわかには信じられんが……」

「信じるかは、貴方次第です」

 

 本当は、入間は“爬虫類系のメダル”や“恐竜メダル”、“未来のコアメダル”も全て所持しているのだが、それを明かさずに口を閉じた。

 奏に渡したオーメダルホルダーに、コンボを使えないように何枚かメダルを抜いておいたのは、二課が万が一自分達の敵に回った時に対する保険である。

 

「なら、何故君はそんなものを奏に渡した?君は我々に不干渉を貫くつもりでいたようだが……」

「あれは……まぁ気紛れですかね」

 

 奏にオーズの力を渡したのは、どちらかと言えばライドウォッチが奏を選んだ、といえ心持ちの方が強い。

 しかし、ライドウォッチはあくまで『力』と『歴史』を内包する時計であり、ウォッチに意思がある筈もない。何故ライドウォッチがシアやミレディやティオ、そして奏を選んで力を渡したのかは分からないが、意思を継ぐ気はなくとも敬愛する先輩ライダーの力が選んだというのなら、渡すことに躊躇いはない。仲間でもなかった、あったばかりのティオにもそうしていたのだから。

 

「入間君、響君、愛子君、そして君達に恥を忍んで頼みがある……ノイズから人々を守るために、我々に力を貸してもらいたい」

 

 頭を下げて懇願する弦十郎。

 入間としては、答えはNOだ。入間はあくまでも異世界(魔界)の人間。世界を守る、人々を救うということの難しさをよく知っている彼は、“政府”という清濁の思想が渦巻く世界と密接に関わっているであろう二課と関わりたくなかった。武力ならば入間達の方に部があるが、策略となると入間達も万能ではないので、意外なところで浸け入れられる可能性もある。

 だが、流石に年上に誠意を持って頼まれて足蹴にするほど薄情では無いため、仲間達の意思を確認するためにシア達に視線を向ける。

 

「んー……入間さんに任せますぅ」

「私は、協力してもいいかなって……」

「ミレディさんも平気だよ?寧ろ、二課にミレディちゃんのファン続出の予感☆」

「ミュウなのー!」

「私は、どっちでも…」

「イルマ先輩の意見に賛成します!」

 

 シア、ティファニア、ミレディ、ミュウ、優花、チマの意見としては、入間の意見次第では協力しても良いということらしい。

 

「私は、協力するのは遠慮したいかと」

 

 愛子は拒否の意思を提案した。愛子としては、リスクが大きいのは自覚しているが、トータスで強い権力を持っていたハイリヒ王国のせいで多くの生徒達を喪った過去から、この手の話には少し警戒心が強い。

 

「……無理」

 

 それは、響も同じだった。

 

「第一に、私達は人助けをしてるんじゃない。アンタ等が人々を守りたいとか言うなら自分達でやって。私は、私の陽だまりにいられればそれで良い……」

 

 その言葉と共に、響は踵を返して公園を後にする。

 入間は苦笑と共に、弦十郎に視線を向けて口を開く。

 

「貴方達が悪人じゃないのは分かりますが、一人でも納得してないなら協力はできませんね。それに僕自身、響と同じで人助けするために戦ってるんじゃないので」

「そうか……」

 

 それだけ言い残すと、入間はミュウを抱っこし、響を追って歩きだす。

 ミレディとチマは気にした素振りもなく追従し、愛子、シア、ティファニア、優花は気まずそうに弦十郎をチラリと見てから響と入間を追いかけ、その場をあとにした。

 

 その場に残された弦十郎は、入間達の言葉を思い返し、拳を握りしめた。

 

(ひたすらに我が道を往く連中だな……。それに、入間君のあの雰囲気……直接対峙して分かった。彼は明らかに普通じゃない)

 

 弦十郎は愛子の正体を知ったことを明かした時に入間が自分を睨み付けていた時の目を思い出す。

 その時感じたのは、殺気だ。一瞬だけ見た、まるで人を殺す事にすら躊躇いを持たないような、冷たく静かな鋭い目。子供があんな目をする事に、弦十郎は心の奥底で僅かに戦慄していた。

 だが、悪人とは思えなかった。

 入間が本当に残酷なだけの男なら、響が、奏が、そしてあの少女達が彼に向ける信頼を向けるとは思えないからだ。

 

(鈴木入間君……君は一体、何者なんだ……?)

 

 だが、素性も、目的も、力も、何もかもが謎に包まれた少年に、弦十郎はそう思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入間達が響の世界に来てから、1ヶ月が経過した。

 愛子は依然としてリディアンに勤めているが、弦十郎の宣言通り、二課は愛子に何かして来ることはなかった。せいぜい、リディアンに在籍する翼が警戒したような目を向けるくらいらしい。

 響と未来の関係は……上手くはいっていない。愛子も、流石にいきなり自分達の拠点に部外者を招き入れたことは反省しているのか、未来がゴーカイガレオンに姿を現すことはなかったが、響に未来と話をしてほしいと何度か話をしていた。しかし、響はそれらを全て却下しているため、一歩も進まないまま、入間達はノイズを倒し続ける日々を送っていた。

 

「何故こうも頻繁に、ノイズはでてくるんですかぁ!!」

「一匹見たら三十匹以上……まるでゴキブリじゃない!!」

 

 エグゼイドとエターナルが愚痴を飛ばしながら、人型ノイズを切り裂き、炭素へと還した。

 そのすぐ傍では、ジオウ、ウィザード、ゲイツ、ゴースト、ゴーカイレッド、ゴーカイピンク、ゼイン、シノビ、そしてガングニールを纏った響もまた、自分達を囲むように迫るノイズを殲滅していた。

 

 久々に全員揃い、ミュウたっての希望で外食に行こうとしていたのだが、そんな時に限って一同はノイズと遭遇。仕方なく相手をすることになった次第である。そして、周囲に被害を出さないためにノイズを引き付けて雑木林までやって来たのだ。

 

「まっ、大した問題じゃないね」

 

 ジオウはそう言いながらライドウォッチを取り出した時、二つの歌が聞こえてきた。

 

 

!  

 

 

「──Imyuteus amenohabakiri tron」

 

 その歌と共に、二つの影が舞い降りた。

 

「貴方達も来ましたか……」

「当然だ!」

 

 やってきたのは、オーズと翼だ。

 それに伴い、ウィザード達もジオウの元へと集まる。槍と刀を構えるオーズと翼は、この場所へと到着するまでの間にもかなりの数のノイズを倒しているのだが、未だに視界の先には溢れんばかりのノイズが屯している。

 

「ウジャウジャいる……!」

「何か、私達ノイズと遭遇する確率高すぎない!?」

「偶然にしては少しおかしい……もしかして……」

「……誰かがノイズを仕向けさせてる?」

 

 ジオウの推理と同じ結論に至ったウィザードの言葉に、エグゼイド達だけでなく、オーズと翼も驚いた。

 

「ノイズを操るなんて……そんな事が可能なのか?」

「どうかな。僕は専門家じゃないし」

 

 しかし、ほぼ毎日遭遇している事を考えると、その可能性が高い。もしもノイズが毎日こうも頻繁に出てくるものなら、人類はとっくにノイズにより絶命している。

 

 しかし、謎解きは後だ。

 今はノイズの殲滅が優先だと伝えると、最初にシノビは動き出す。

 

 シノビは、シノビドライバーを“クイズドライバー”に変化させると、クエスチョンマークになったクイズトッパーを装填する。

 

「変身」

 

 

ファッション! パッション! クエスチョン

 

 

 

 背後にレール状のエフェクトに大きな○と✕が表示されると、無数の?マークに包まれたシノビが姿を変え、背後の○と✕が収縮して胸部装甲に張り付くと、【仮面ライダークイズ】への変身が完了された。

 

「問題。お前達は誰かの指示で私達を狙っている。○か✕か?」

 

 クイズが問題を出し、何処からか秒針が鳴り響く。しかし、言語能力を持たないノイズはそれに答えず、ジリジリと迫ってくる。 

 

「私も!」

 

 

WEATHER MAXIMUM DRIVE!!

 

 

 続くように、エターナルもエターナルエッジに気象の力を持つメモリを装填すると、エターナルエッジの刀身が暗雲に包まれる。

 

「……奏さん、クワガタのメダルを使ってください。雑魚掃除にはピッタリです」

「そうか?なら、まだ使ったこと無いしやってみるか……」

 

 ジオウの進言に答えたオーズは、クワガタメダルを取り出してタカメダルと入れ換えると、オースキャナーでメダルを読み込む。

 

 

クワガタ

トラ!

バッタ!

 

 

 頭部がクワガタの顎をもした形状にオレンジの複眼を持つ【ガタトラバ】に変身すると、頭部の“クワガタヘッド”に緑色の稲妻が帯電する。

 

「正解は──○」

「「はぁっ!!!」」

 

 その瞬間、戦場に雷鳴が轟く。

 クイズの問題に答えられなかったノイズが電撃に襲われ、エターナルが発生させた暗雲から赤い稲妻が轟き、オーズのクワガタヘッドから緑の稲妻が飛び出す。

 広範囲に渡って雷の一撃を受けたノイズ達は、たちまち炭素の塊となって全滅した。

 

「アババババッ!?」

「か、奏!?」

 

 しかし、雷を発生させたオーズは頭から火花を散らして倒れると、強制的に変身が解除され、頭から煙を吹き出す奏の姿が露になる。翼が慌てて駆け寄って奏を抱き起こすと、未未だに痺れているチリチリになった髪の毛から煙を上げている奏は、ジオウに抗議の声を上げた。

 

「い、入間!お前、こうなるの、分かってただろ!!」

「慣れるしかないんですよ、それ。ここで試せて良かったですね」

「「いいわけないだろ!!」」

 

 奏と翼の声がシンクロする。

 ジオウはそれをスルーして辺りを見渡すと、もうノイズの姿は何処にも見られなかった。

 

「ノイズについて少し視点を変えてみないとね。……まっ、それはそうと帰ろうよ。もう戦いは終わったし」

 

 ジオウの言葉に、ウィザード達も頷いて歩き出そうする。翼は未だに煙を上げている奏を介抱しながらも、咄嗟に彼等を呼び止めようとする。

 

 

「戦いは終っただぁ?馬鹿言うなよ。戦いはここからだろうが」

 

 

 その時、雑木林の奥から声が聞こえてきた。

 そして、木々の影から姿を現したのは、白銀の鎧を纏った存在だった。

 各所に鋭利な棘がある鎧を纏っている人物の顔はバイザーに隠れて口元しか見えないが、声や体格から女性であることが分かった。

 

 それを見て、奏と翼が目を見開く。

 

「あれって、まさか……!」

「ネフシュタンの、鎧ッ……!?」

 

 その言葉と共に、鎧の女性は鎧から鋭利な鞭を出現させる。それは、彼女の戦闘の意思を何よりも明確に示していた。

 

『……』

 

 そして、彼等の様子を木の陰から眺めている仮面ライダーがいた。しかし、その存在に、ジオウ達が気付くことはなかった。




次回予告

ゴーカイピンク「強い…!」

鎧の少女「あたしのてっぺんはまだまだこんなもんじゃねえぞォ!!」

 圧倒的な完全聖遺物(ネフシュタンの鎧)の力──

翼「月が覗いているうちに、決着をつけましょう……」

オーズ「翼!まさかお前、絶唱を!?」

 の覚悟は──

ジオウ「ちょっと不味いかもね……」

オーズ「これで三枚……コンボになるんだろ!」

Episode 08 謎の敵と絶唱と最強コンボ
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