悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME 作:MTHR
凛「サーヴァントは、過去の神話や伝説の存在が英雄と認められた人物達の魂」
入間(僕死んでないよね?)
ランサー「テメェ……なんだその武器は?」
入間「変身!!」
ジオウ「計らせてもらうよ。異世界の英雄の力」
「テメェ、ナニモンだ?」
ランサーは警戒を解かぬまま、目の前に立つアーチャーと名乗るサーヴァントを見据え、その異常性に眉を寄せた。
怪しい気配を追って見つけた魔術師とサーヴァント。
「アーチャー……けど──今の僕を呼ぶのなら、仮面ライダージオウ。そう呼んでもらおうかな」
「仮面……ライダー?」
その言葉は、ランサーだけでなく凛も頭を傾げた。
しかし、ジオウは二人の疑問に答えることはなく、手にした銃──ジカンギレードの引き金を引いた。
「ッ!」
ランサーはその手に持った深紅の槍でその銃弾を弾く。同時に、水色の刃がランサーに襲い掛かる。ランサーはさも当然のようにそれを槍の柄で受け止めると、ジオウの右手を見た。その手には、まるで右手のような造形に水色の刃を持つ銀のガンレッドソードが握られていた。
「弓兵風情が…切り合いでこの俺に敵うと思ったかァ!!」
ランサーの槍が突き出される。視認すら難しい速度で繰り出される槍を前に、ジオウは地を蹴って後ろに飛ぶことで回避するが、ランサーの槍の追撃は止まらなかった。
まるで豪雨のように繰り出される槍の刃を前に、ジオウは回避を選択する。槍の刺突が繰り出される瞬間に体を動かし、スレスレで槍を回避する。
それを見て、ランサーは攻撃の手を一瞬たりとも止めないまま目を見開く。
(バカなッ!一撃も当てられないというのか!?最速のサーヴァントたるこの俺が!!)
仮面で隠れて見えないが、ジオウからは余裕を感じ取れる。ジオウは反撃できないのではない。反撃をしてこないのだ。まるでこちらの事を観察してるように。
最速のサーヴァントであるランサーの槍を回避しながら観察など正気の沙汰ではない。それを可能とするのは、人間界で培った経験から身に付いた入間の“圧倒的危機回避能力”、そして膨大な場数を踏んできたことによる経験値によるものだった。
「うおおおおおおおっ!!!!」
それを察したランサーは雄叫びをあげ、突撃する。
対するジオウは、ジカンギレードとテガソードを構えながら迎え撃等とするが、直ぐ後ろに凛が立っているのをみると、ジカンギレードを手放した。
(遠距離主体のアーチャーが遠距離武器を捨てた!?何を考えているの!?)
凛はそれを見て目を見開く。
しかし、ジオウは勝負を捨てたわけではなかった。いつの間にかジオウの手には、金色の小さな指輪が握られていたのだ。ジオウは親指でその指輪の土台を回すと、指輪の絵柄が変化する。
「何のお遊びをしてる!?とち狂ったか弓兵!!!」
同時に、ランサーの刺突がジオウを襲う。
ジオウは身を翻してその突きを回避すると、その指輪を右手にもった武器──テガソードに装填する。
センタイリング!!
手の甲が紫色に発光するテガソードを左手で叩くと、ジオウは迫り来るランサーを見据えながら、テガソードを天へと突き出した。
「ペンタフォース!!」
テガソードから赤い光が溢れだし、それが5本のバトン型武器“コンバットバット”の形を形成し、それが一つに収束して星形を形成した“ペンタフォース・ブーメランタイプ”となる。
バトルフィーバー!フィニーッシュ!!
ジオウがテガソードを振るうと、それに連動してペンタフォースが回転しながら、槍を手にするランサーへと突撃した。
「ッ!!」
ランサーはそれを弾き返そうと、槍を振るう。しかし、ペンタフォースに込められた力はランサーの予想を軽く上回っていた。
その瞬間、屋上に凄まじい爆発が起こる。
「うぉっ……とっ!」
その爆発に吹き飛ばされて、ランサーは屋上から落下する。しかし、流石は英霊というべきか、ランサーは落下中に体勢を立て直して華麗に着地した。
しかし、ジオウはこれくらいの事は予想できていた。故に、ランサーを吹き飛ばした事で出来た時間と距離を利用することにした。
「距離が空いたのなら、
その言葉と共に、ジオウは腕に巻かれたライドウォッチホルダーから赤と白で彩られたライドウォッチを取り外すと、ベゼルを回し、ライドオンスターターを押した。
そのウォッチは、従来の仮面ライダーの力を宿したものとは別の、異世界の力を宿したライドウォッチ。
「使わせてもらうよ、クリス」
その言葉と共に、ジオウは“イチイバルライドウォッチ”をジクウドライバーに装填し、ドライバーのロックを外すと、直ぐ様ベルトを360度回転させる。
ジクウドライバーから「イチイバル」という文字が飛び出し、赤い鎧が現れる。
鎧が四散し、ジオウの鎧の上に装着されると、飛び出した文字が仮面に張り付くことで、ジオウは新たな姿を露にさせた。
【仮面ライダージオウ・イチイバルアーマー】へと姿を変えたジオウは、赤いクロスボウを両手に携え、校庭に立つランサーを見下ろした。
「姿が変わった……!?」
凛が驚きを露にするのも束の間、ジオウの腰部アーマーが展開され、無数のミサイルが現れる。同時に、ジオウは鎧から流れる音楽に合わせて歌を口ずさむと、展開されたアーマーから無数のミサイルが発射された。
発射された小型ミサイルが、校庭に立つランサーへと降り注ぎ、学校全体を揺るがす程の大爆発を起こした。
「な、な、何なのよ……アイツは……!?」
凛は言葉もなかった。アーチャーと名乗りながら魔術を使ったり、奇妙な鎧を纏ってライダーと名乗ったかと思えば、手にする武器は銃や短剣、挙句の果てにはミサイルというのだ。アーチャーというクラスの枠組みを完全に逸脱している。
一体、アイツは何者なのだろうか。その疑問が、凛の頭の中に埋め尽くされていた。
(……シンフォギアのライドウォッチは初めて使ったけど、クリスが放つのと遜色ない。これは結構使えるね……)
一方で、ジオウは初めて使ったシンフォギアのライドウォッチの性能を、脳裏に
(あくまでもシンフォギアのウォッチのテストの意味合いが強かったから驚きはしないけど……これ以上、戦う理由はないんだよなぁ。僕は聖杯戦争にあまり興味ないし、あの人もかなり強いから時間かけたくないし……)
元々この戦いは入間にとって、未知の存在である英霊の力を確かめる為の戦いであり、聖杯戦争という殺し合いに参加する気もなかった入間は、ランサーを殺す気は一切なかった。敵対する者を殺すことに躊躇などしないが、『殺し合い』というゲームの為に殺すのはいい気分ではない。
入間はランサーを過小評価はしていなかった。戦闘では優位に立っていたが、どちらかと言えば初見殺しが上手く行き続けてるだけだ。入間は元々近接武器の扱いに長けてるとは言えず、殆んど身体能力と勘に任せて武器を振り回してるようなものであり、単純な接近戦ならば攻める事が出来ずに負けていただろう。無論、入間の手札はまだまだ大量に残っているが、あまり手の内を見せすぎるのは悪手だ。
過去の英雄の魂──英霊の強さが分かっただけでも儲け物だったが、どうやって戦闘を中断させるのか全く考えていなかった事に今更ながら気付いた。
(取り敢えず、もう少し相手してから目眩ましして、凛と一緒に転移して逃げる…かなぁ?)
そう考えつつ、ジオウは屋上から飛び降りて校庭に降り立つ。
ペンタフォースにミサイル爆撃と怒涛の攻撃を食らい続けたランサーだが、目立った外傷は殆んどない。
「やってくれるなぁ……。良いぜ、聞いてやるよ。お前、何処の英雄だ?貴様のような英雄なぞ聞いたことがない」
ランサーの問いに、ジオウは答えない。そもそも、自分が“英雄”だと思っていないからだ。
無言を貫きつつ、両手にもったアームドギア・イチイバルZの照準をランサーに向ける。ランサーも答える気がないと悟ったのか、槍を構える。
ジオウを追って、屋上から飛び降りて魔術で着地した凛は、その光景から目を離せなかった。瞬きした瞬間には目の前で壮絶な戦いが再開されると直感し、まるで金縛りにあったように動くことが出来なかった。
その時、静かになった校庭に、金属音が響き渡った。
「ッ!誰だ!!」
一同の視線がその音源に向けられる。
そこには、いつの間にか学生服を着た少年の姿があり、その少年の足下には空き缶が転がっていた。
ランサーの鋭い眼光を受けて、少年は校舎の中に逃げ込んでいく。ジオウは対したことではないと判断してアームドギア・イチイバルZを構えようとするが、何故かランサーはジオウを無視して、その少年を追って霊体となって姿を消していった。
(逃げた?いや、あの人を追っていった?これは……目撃者を消そうとしてるってこと?)
そうでなければ、わざわざ敵を放置する理由がない。聖杯戦争は表立つ事は禁忌で、目撃者は殺すというルールがあるのかもしれない。
ジオウはジクウドライバーを取り外して変身を解除すると、腕を組んで考える。
(あの人を助ける?……いや、そこまでする必要あるかなぁ……ランサーが戦闘を放棄したっていうなら、目撃者の始末はそれだけ重要な事なんだろうし、聖杯戦争を探るためにあまり目立った行動をするのもなぁ……)
魔界に暮らす悪魔達、そして自信の友達や仲間、そして恋人達へ向ける彼の優しさや愛情は本物だ。仲間だと認識した相手に対して、入間は非常に優しい。だが、それ以外のものに向ける優しさは殆んど存在しない。
我ながら変わったものだなと今更なことを考えていると、凛がこちらまで駆け寄ってきた。
「入間!ランサーはどうしたの!?」
「……多分だけど、さっきの人を追い駆けたと思う」
「ッ!追って、入間!私も直ぐに追い付くから!!」
凛は踵を返して校舎へと飛び込んでいく。
入間は校舎に視線を向けると、ランサーの気配を一瞬だけ捉えたことで、オーロラカーテンを発動させた。入間のオーロラカーテンは正確な緯度経度が分からなければ行ったことのない場所へは繋げられないが、目の届く範囲であるならば何の問題もない。
オーロラカーテンを潜り抜けると、そこは廊下であった。電灯が消えた薄暗い廊下の真ん中で倒れこむ少年の姿を発見した。その少年の左胸には大きな穴が開けられており、そこから赤黒い液体が流れ出している。もってあと数秒だろう。
「間に合わなかったんだね……」
予想はしていた。入間がランサーと同時に動いていればまた違ったのかもしれないが、入間はそうしなかったのだ。同時に、凛が入間の隣まで辿り着いた。
「入間、ランサーは……ッ!!」
凛は、入間の視線を追って倒れ伏した少年を見ると、目を見開いた。呼吸が荒くなり、ゆっくりとした足取りで少年に歩み寄る。
そして、凛は少年の体を起こしてその顔を見る。知り合いだったのか、凛の目が見開かれ、見るからに動揺した様子を見せると、何かを決めたように、首から下げた宝石を取り出した。
凛はその宝石を少年に押し当て、魔術を発動させようとした時その手を誰かに掴まれた。
「………何をするの……」
その人物──入間を睨み付ける。
「彼は心臓を貫かれてる。彼を助けるには治療の他に代わりになる臓器を作る必要がある。君の力で彼を助けられるかは五分五分だよ」
「ッ!」
入間の言葉は的を得ている。しかし、凛はそれでも譲ることは出来ない。
「それでも……彼を死なせるわけには……!!」
それを見て、入間は僅かに口角をつり上げた。
凛の思想は、
「なら、僕がやります。変わってください」
「ちょっ、何を……」
凛を下がらせた入間は、懐から楕円形のライドウォッチ──ジオウⅡライドウォッチを取り出し、それを起動させた。
ウォッチが起動された瞬間、少年の身体に黄金の時計の光を現れ、時計の針が反時計回りに回転する。
凛がその光景に目を見開いていると、その少年の身体が黄金の光に包まれていき、まるで逆再生したビデオのように、少年の傷が消えていき、穴が空いた制服が塞がっていく。数秒後には、少年は何事もなかったかのように、穏やかな姿で眠っていた。
「嘘……こんなの、私の宝石魔術でも不可能よ……!?」
「“絶象”じゃあ燃費が悪いからね。手っ取り早く、時間を戻して傷を受ける前の状態にしたよ」
「時間を…戻した!?何よそれ!?そんな馬鹿げた魔術あり得ないでしょ!?」
「いや、言う程チートじゃないよ、この力。使い方には注意が必要だし、色々制約もあるし」
入間が行ったのは、ジオウⅡライドウォッチを用いた事による時間操作だ。しかし、時間操作とは本来危険な行為であり、下手をすれば歴史に矛盾が生じて世界が崩壊する危険すらある行為だ。入間も完全に使いこなしてるとは言い難く、もしも時間操作する対象が10人以上だったり、時間操作範囲が校庭ほどになると、最悪歴史に悪影響を及ぼすことは免れない。しかし、この能力は魔力を使用しないという利点があり、時間操作の対象がたった一人しかいなかったのは幸運だった。
「(爆撃した校庭は後で再生魔法使わなきゃだけど……)凛、そろそろ帰らない?手っ取り早く転移をすれば帰れますよ」
「ちょっ!?転移って何!?それより、あんたの事についての話は……」
凛の制止も気にせず、入間はフィンガースナップでオーロラカーテンを発生させると、凛と共にその場から姿を消した。
・ライダー紹介
【仮面ライダージオウ・イチイバルアーマー】
雪音クリスの力がコピーされたイチイバルライドウォッチを使うことで変身した姿。頭部、両腕、腰部にイチイバルを模したアーマーが追加され、インジケーションアイが「イチイバル」に変化する。
クリスと同じクロスボウ型の拡張武器“アームドギア・イチイバルZ”を使用し、必要に応じてガトリングガンやハンドガン、バスターライフル等様々な形に変形する。
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