悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME   作:MTHR

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ゼイン館のデス・ゲーム編最終回です。
仮面ライダーマイス、二年連続で胸ベルトのライダーとは思いませんでした。猫のライダー、マオウも登場するみたいですけど、猫とネズミと聞くとどうしても猫とネズミのアメリカのアニメーションを思い浮かべてしまう自分……。


Chapter 3 「The LAST Stage」

 波打つ音。

 陸の孤島にポツンと建てられた館の中で、正義はソファーに座り込んだ。

 

「私は全次元の救世主だ。その為に、この事件を解決する。全世界に比べれば個人の死など、大事の前の小事に過ぎません」

 

 光輝の死を、まるで些事だと言うように吐き捨てる正義。しかし、それを咎める声はどこからも発せられない。

 

「また、人が死んだなんて……」

「悔やんだところで意味はありません。仮にその事件を明かしたいのなら、そこの二人を問い詰めればいいでしょう?」

 

 入間の言葉に、正義は視線をスバルとセレナに向ける。

 

「ち、違います!私は光輝さんの悲鳴を聞いてあの部屋に来たら、もう光輝さんは死んでいて……」

「おう!それに、俺はセレナの後に部屋にはいってきたんだ!まちがいねぇよ!それに、俺たち以外に誰かいるかもしれねぇだろ!!」

 

 その時、部屋に備え付けられていた鏡に、黄金の姿をした存在が写り込んだ。しかし、誰もがその存在に気付くことはなく、その存在の姿が鏡面から消えていく。

 その時、入間は机を叩きながら立ち上がった。

 

「そんなの……関係ないよ。こんなゲームがあるせいで、皆が死んでいく……!」

 

 そのまま部屋を飛び出そうとした時、再びテレビの電源がつけられた。そこには案の定、あの仮面男の姿があり、一同の視線が険しくなる。

 

『それでは諸君、王様ゲームのファイナルステージを始めよう!』

「ファイナル……つまり、これが最後のゲームですか……」

 

 正義の目が細められる。入間、セレナ、スバルも、このゲームが終わりに近づいていると言う安堵よりも、次に始まるゲームの内容がどんなものなのか、そして次は誰を犠牲にするつもりなのかと言う恐怖と緊張に包まれていた。

 

『ルールは簡単。この館内に隠されたお宝を見つけ出し、そのお宝を活用して生き残ってもらうことだ。ただし、生き残れるのはただ一人……存分に健闘してくれたまえ。なお、このステージでは3人のダークライダーが無作為に君達を狙っている。殺されないように、気を付けたまえ』

 

 その言葉と共に、テレビの電源が消された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一歩一歩、辺りを見渡しながら館の中を徘徊する仮面ライダーダークゴースト。

 

(変身して戦うこともできますが……ここはゲームのルールに従って、黒幕を誘きだしますか)

 

 部屋の扉の影に隠れた正義は、すぐ間近にいたダークゴーストの気配が遠さがっていくことを感じると、扉の影から姿を現す。

 辺りの気配を探りながら部屋を見渡した正義は、ふと部屋に備わったクローゼットの扉が軽く空いていることに気付くと、正義はゆっくりとその扉を空ける。そこには、直径50センチほどこの木製の箱が置かれていた。

 

 正義はゆっくりと、その箱を空ける。そこには、40センチほどの刀身が鞘に収まった短剣が入っていた。正義は短剣を手に取り、刃を引き抜く。

 

「武器がお宝……そう言うことですか」

 

 お宝を駆使して、最後の一人になるまで殺し合え。

 ゲームの内容を理解した正義は、短剣を鞘に収めながら、不愉快そうに吐き捨てた時、何処からか凄まじい金属音が聞こえてきて、正義は顔を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 浴室に続く道の中で、金属音が鳴り響く。

 

「ぐっ……あぁっ!!?」

 

 漆黒の騎士──仮面ライダーリュウガの蹴りを受けて、セレナは地面を転がった。

 今の彼女は、各所に花びらのような意匠をもつ妖精を彷彿させる白銀の鎧──シンフォギアを身に纏い、短剣を手にリュウガに応戦していた。

 

 しかし、リュウガの戦闘スキルの前にはセレナも成す術がなく、アームドギアの短剣の投擲も漆黒のドラグシールドに防がれ、その隙を着かれてドラグセイバーの一撃で返り討ちに合うの繰り返しだった。

 

『………』

 

 リュウガはセレナとの戦いに勝利を確信し、カードデッキからファイナルベントのカードを引き抜く。

 

「ッ!」

 

 その時、セレナの手にしていた二振りの短剣が投擲される。リュウガは体をそらしてそれを回避すると、再びファイナルベントのカードをドラグバイザーに装填しようとする。

 

FAIRIAL†TRICK

 

『ッ!?』

 

 その時、セレナの投擲した短剣が意思を持つようにリュウガの背中を切り裂いた。予想外の攻撃にリュウガは膝を着き、セレナはその隙にその場から一目散に逃げ出した。

 

「はぁ……はぁ……!」

 

 リュウガを撒いたセレナは、部屋の中に隠れて膝を着く。シンフォギアが解除され私服姿に戻ったセレナは、手にしていたものに視線を落とす。

 

 それは、この館の中で見つけた『お宝』であるピストルだった。

 

「……!」

 

 その時、不意にドアが軋む音がした。セレナが顔を強張らせて振り替えると、開かれたドアから覗く人影に、セレナは安堵のため息を吐いた。

 

 しかし、その人影が手に持っている斧を見て、セレナの目は見開かれた。

 

「えっ?…………がっ!!?」

 

 次の瞬間、セレナの喉元から血飛沫が吹き出し、セレナの体はグラリと傾き、音をたてて崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入間は海岸線が見える草原の前で、静かに海を眺めていた。彼の手には、宝箱はない。最初から、探してもいなかったのだ。

 

「僕は、こんなゲームには参加しない……人が死ぬなんて…もうこりごりだ……」

 

 その時、入間の背後から、ギラリと鈍い光りを放つ斧を手にした人影が現れた。その人影は、海岸線をボーッと見つめている入間の後ろ姿に、ニヤリと口角を吊り上げると、手にしていた斧を投擲した。

 

 投げ放たれた斧は、まるでブーメランのように回転をしながら飛んでいくと、どんな物理法則からか、本物のブーメランのように弧を描きながら戻っていき、入間の腹部にその刃が突き刺さった。

 

「う゛………ッ!?」

 

 入間は目を見開き、己の腹部に視線を下ろした瞬間、入間の体はグラリと傾き、草原のなかに横たわった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 館の中庭に出てきた正義は、お宝である短剣を手にしながら辺りを見渡すと、近くに生えている木の幹に背中を預けているスバルを見つけた。暫く考えた後、正義はスバルのもとに歩み寄った。

 

「スバル君、君もお宝を見つけましたか?」

「…正義か。あぁ、俺も見つけたんだよ。けど、開けてはいねぇ」

 

 スバルのそばには、確かに正義が見つけたものと同じ箱がある。スバルがその箱を開けると、そこには正義の見つけた短剣よりも一回り小さいナイフが収められていた。

 スバルはそのナイフを手に取ると、それを正義に差し出した。

 

「なぁ、正義。これ、お前にやるよ」

「……その意味は?」

「俺は、人を殺したりなんかしねぇ。それに、俺が殺人鬼だって、まだ疑ってんだろ?そうじゃねぇって証明だよ」

 

 正義はその言葉に、関心を示したように頷くと、片手で握って差し出されたスバルのナイフを手に取る。

 その時、ギラリッ!と、銀色の斧が光を放ち、正義の脳天に向かって勢いよく振り下ろされた。

 

「ッ!」

 

 その時、正義は短剣とナイフを交差させ、その斧を受け止める。青い目が睨む先には、ナイフを持つ手とは反対の手で斧を握りしめるスバルの姿があった。

 

「チッ……!」

「やはり、殺人鬼は貴方でしたかっ!」

「ぐっ!!?」

 

 正義の蹴りが繰り出され、スバルは地面に尻餅を着いた。再び斧を手に起き上がろうとしたが、その前に正義に短剣の刃を突きつけられたことで、動きが止まった。

 

「うっ!?」

地球(ほし)の本棚で貴方の事は検索済みです、菜月昴。いくつもの次元にいる菜月昴のうち、私が検索しきれなかった次元から来たようですね」

 

 菜月昴。彼は元いた次元では、深夜コンビニで夜食を買って帰る途中に、突如として異世界に召喚された高校生。彼の運命は無数に分岐しており、「怠惰」「強欲」「傲慢」「憤怒」「暴食」「憂鬱」「虚飾」「色欲」といった様々な未来を持ち、恐らく彼は、そのどのルートとも違うまた別次元世界の菜月昴なのだろう。

 と言っても、別次元の自分の姿など言われても目の前にいるスバルには分からないだろう。正義は困惑した表情を見せるかと思いスバルを見下ろすと、何故かスバルはニヤリと悪意に満ちた笑みを浮かべていた。

 

「そうだよ……。俺はお前達を殺して、王になる…!そして、レミリアを救う力を手に入れるんだよ!!」

「ッ!」

 

 パンッ!という音が響いた。同時に、正義は腹部をおさえて膝を着いた。

 リュウガから逃げ延びて疲弊したセレナを殺した際に彼女から奪ったピストルの弾丸が、正義の腹部に直撃したのだ。

 正義が倒れるのを見て、スバルは狂喜に満ちた歓声をあげた。

 

「はは……やった……これで俺が王だ!あの子を救える力が手に入る…!ははははははははははははッ!!!!」

 

 その時、草を踏みしめる音と共に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「──それはどうかな?」

 

 スバルと正義が振り向くと、そこには水色の服を着た少年──入間の姿があった。

 

「なっ!?お前、何で!?何で生きてんだよ!?確かに俺が殺した筈じゃ……」

「……まぁ、色々と僕も普通じゃないから」

 

 入間はゆっくりと、手にしていた手袋を外す。脱がされた手袋が地面にパサリと音を立てて落ちると、鋭い爪のある黒い皮膚をした腕が露になった。

 同時に、入間は髪をワシャワシャとかき乱すと、特徴的な触覚のある髪の隙間から、黒い角が露になった。

 

 それを見て、正義はその場から立ち上がる。

 

「なっ!?」

「……やはり、貴方は私の知る鈴木入間じゃないようですね」

「テメェ……何でケロッとしてんだよ!弾を打ち込んだ筈……!」

 

 混乱するスバルに対し、正義は右手を前にだし、“ディメイションキャブ”のシフトカーを見せつけた。

 

「悪意ある者の執念は侮れませんからね。次善の策は用意していましたよ」

 

 カラクリは簡単。スバルが殺人鬼だと気づいた時から、正義はナイフを捨て、その手にドライブのゼインカードから生成したディメイションキャブのシフトカーを握りしめており、スバルが銃を射つ瞬間、そのシフトカーの力で弾丸を別の場所に転送したのだ。

 

 入間はそんな正義に苦笑しつつ、彼のとなりに並び立つと、己の素性を空かした。

 

「僕のいた次元では、人間が滅んで悪魔の天下になっているんだよ」

「嘘だろ……!?」

 

 その時、可憐な声と共に、半透明の何かが入間のそばに降り立った。

 

『まさか、入間さんが悪魔だなんて驚きましたよ~』

「うぉおおおおおおおっ!!??」

 

 それは、武神鎧武に殺された筈の幽奈であった。しかし体は前述した通り半透明で、ふわふわと宙に浮いている。

 

「貴方がわざとトランプで負けた時には少しだけ感心しましたが……」

「はぁ?幽霊?」

『はい。改めまして……私、ゆらぎ荘という旅館の地縛霊です。こゆずさんに作ってもらった体が機能しなくなって、ずっとこの辺りを飛び回ってまして……』

「~~~~~~ッ!!!!」

 

 照れ臭そうに笑う幽奈に、スバルはもう訳が分からないというように髪をかき乱す。

 

「助かりましたよ、幽奈さん。貴方が斧をポルターガイストで飛ばしてくれたお陰です。二度も助けられちゃいましたね」

『フフッ……それでは、私はコガラシさん達のいる旅館に帰らせてもらいます。皆さん、気をつけてくださいね~』

 

 そう言うと、幽奈の姿ら霞のように消えていく。すると、髪をかき乱していたスバルが、土星をあげて立ち上がった。

 

「ふっっざけんなぁっ!!!ここに来るまで、どれだけ俺が苦労して…何回死に続けたと思って…!」

「君の努力は認めるに値するよ、菜月昴」

 

 その時、スバルの背後から声が聞こえてきた。

 振り替えると、そこにはテレビの画面でした見えなかった人物──例の仮面男が立っていた。

 

「お前……!?」

 

 男は仮面を手に取りそれを引き剥がす。そこには、ウェーブのかかった前髪にベレー帽を被る端正な顔立ちをした青年がいた。青年は、ニヤリと口角を吊り上げる。

 

「君では王には相応しくないが……私の養分くらいにはなるだろう。さぁ、その命を差し出したまえ」

 

 言葉と共に、青年は口を空ける。その瞬間、青年が開いた口からヒュォオオオオオオッ!!!という音が響き、周囲の空気がその口の中に吸い込まれていく。

 

「おいっ!?なんだこれ!?やめろ……!うわぁあああああああああああッ!!!」

 

 スバルの体が粒子に変わり、男の口の中に吸い込まれていく。やがて全ての体が男の口に吸い込まれると、男は口を閉じ、ゴクリと喉をならした。

 絶句する入間を他所に、正義は鋭い視線を男に向ける。

 

「やはり、仮面男の正体は貴方でしたか……白ウォズ」

「正解だよ、善井正義。では、このゲームを最後まで生き残った君達には、特別にある御方を紹介しよう」

 

 男──【白ウォズ】は、軽く手を上げてヒラヒラと振ると、館の中に足を踏み入れる。入間と正義はすぐさまその後ろ姿を追いかけ、館の中に入る。

 

 そして、最初にいた広間にたどり着くと、白ウォズはテレビの真横に備え付けられた鏡の隣に陣取る。そして、高らかに声をあげた。

 

「紹介しよう。そこにいる御方こそ、全アナザーライダーを統べ、過去と未来をしろしめす裏の王者……その名も、アナザーオーマジオウ!」

 

 その瞬間、鏡面にある存在が現れた。

 白目を向き剥き出しとなった歯茎はさながら「仮面」を剥がされた人体模型のような顔には黒い髪が無造作に伸ばされている。

 白いマッシブな体には金色の装甲をまとい、歪んだ金色の時計のベルトを襷のようにかけ、胸には6つのブランクライドウォッチを取り付けている。

 

 アナザーオーマジオウ。

 このゲームの主催者にして、最強最悪のアナザーライダーが、今姿を現した。

 

「オーマジオウのアナザーライダー……そんな存在が、何故このような下らないゲームを開催したのですか?」

「それは、我が魔王の誕生経緯に問題があるのだよ……我が魔王は鈴木入間、君の手によって生まれたのだからね」

 

 白ウォズが指差した人物──入間は目を見開く。

 

「僕が……!?」

「厳密には、別次元の君自身がね。教えてあげよう」

 

 白ウォズは広間のテーブルに寄りかかり、愉しそうに語り始める。

 

「かつて、別次元に存在する鈴木入間は、トータスと呼ばれる世界で神を殺すための戦争を繰り広げ、神を…そしてバダンと呼ばれる組織を壊滅させた。しかし、戦いの影響はあらゆる世界に広がり、歪みを生み出した。別次元の鈴木入間が持つオーマジオウの力により発生した歪みから生まれたのが……」

「あのアナザーライダーというわけですか……」

 

 正義の言葉に、白ウォズはニヤリと笑って頷いた。

 

「しかし、我が魔王の力は不安定であり、時空の狭間から出ることができないでいる。そこで、我が魔王は私をこの世界に呼び込み、このゲームを開催した」

「そうか……ゲームの勝者は、アナザーオーマジオウに命を吸われ続けていたのか……!時空の狭間から抜け出すために」

 

 入間は全てに合点が言ったように目を見開き、鏡面に写るアナザーオーマジオウに視線を向ける。

 白ウォズはそんな入間の反応を楽しむように妖しい笑みを浮かべると、その手に一つのブランクライドウォッチを手に取る。

 紫の光と共に、ブランクライドウォッチが変化する。

 

「善井正義……あらゆる世界を巡る君の命があれば、我が魔王にとって最高の養分になるだろう。真の魔王が君臨する世界のためにね」

「生憎、私はこのような悪意の肥やしになるつもりはありません。このゲームは……善意のもとに、私が終わらせましょう」

 

 その言葉と共に、正義はゼインドライバーを取り出して腰にセットし、ゼインプログライズキーを取り出した。

 正義に続くように、入間はジクウドライバーとライドウォッチを取り出す。

 

 

ゼイン!

 

 

 正義がゼインプログライズキーを起動すると、プログライズキーがキーモードに展開され、背後に青い宇宙と赤い宇宙の風景が現れる。

 

 

ジオウ!

 

 

 起動したライドウォッチをジクウドライバーに装填すると、時計の秒針と共に、入間の背後に巨大な時計が現れる。 

 

「「変身!」」

 

 正義はゼインプログライズキーをドライバーに装填し、入間がジクウドライバーを腕で回転させると、正義の背後から風景が融合し、時計の音と共に世界が回転する。

 

 

ジャスティス!ジャッジメント!セイギ!ゼイン!

 

salvation of humankind

 

 

ライダータイム!

 

仮面ライダー!ジオウッ!!

 

 

 正義は白いスーツに笑顔を現したような仮面にマントを羽織った姿をした仮面ライダーゼインに、入間は時計をもした仮面に目に当たる部分に「ライダー」と書かれた仮面ライダージオウに変身する。

 

「行きますよ、入間君」

「はい、正義さん!」

 

 ゼインとジオウは鏡の中に映るアナザーオーマジオウに視線を向け、地を蹴って飛び出す。まるで水面のように鏡の中に飛び込むと、二人はアナザーオーマジオウに掴みかかった。

 

 その光景を見届けていた白ウォズは、先程手にしていたアナザーウォッチに視線を落とす。

 

「悪いが、君達の好きなようにさせるわけには行かなくてね……!」

 

 

ディエンド…!

 

 

 起動したウォッチ──“アナザーディエンドウォッチ”を咥えると、白ウォズはそのウォッチを音を立てて飲み込む。白ウォズの体が黒い繭に包まれ、白ウォズの姿が大きく変貌した。

 

 仮面ライダーディエンドを歪ませたような容姿を持ち、頭部・胸部・肩はチノマナコディエンド変身態、それ以外はアナザーディケイドと似た姿をしている。ただしチノマナコディエンドと違い、こちらはよく見ると複眼に黄色い模様が刻まれており、スリットの間に他のアナザーライダー同様の銀色の瞳が確認できる。

 頭部からは下向き、両肩からは上向きの歪んだ巨大な角がそれぞれ生えており、背中には数本のチューブのようなものが確認できる。ライダー名と年号は両肩の角に存在し、右肩には『DIEND』、左肩には『2018』と描かれている。

 

『ふん……』

 

 白ウォズ──アナザーディエンドは、ゼインとジオウの後を追い、自身も鏡の中へと入り込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 合わせ鏡のような空間の中、アナザーオーマジオウに殴りかかったゼインとジオウ。

 

「全次元を救うため、ここで貴方に裁きを下す!!」

 

 ゼインの言葉と共に、三人は空間の中に発生した亀裂に飛び込んだ。

 

 亀裂を越えた先には、荒れ果てた荒野だった。地面に降り立ったゼインとジオウは、同じく地面に降り立ったアナザーオーマジオウに向かって走りだし、拳をつきだす。

 

『フンッ!』

「ぐっ!」

『ハァッ!』

「あうっ!!?」

 

 しかし、アナザーオーマジオウは二人の拳を受け止めると、ゼインには右ストレートを御見舞いして彼を吹き飛ばすと、ジオウを蹴り飛ばす。

 ゼインは立ち上がると、ディケイドのライダーカードに似た“ゼインカード”を取り出す。その時、アナザーオーマジオウの体から、赤黒い光が溢れだした。

 

『……ハァッ!!!』

「ッ!?これは……!?」

 

 その瞬間、ドライバーに装填しようとしたカードが、突如としてゼインの手から弾き飛ばされた。驚いたゼインがそのカードを拾い上げると、そこにはカードの表面に描かれていた仮面ライダーの顔が消えて、何もない、真っ黒なカードに変化していた。

 

「これは……!?」

『我が魔王の前では、平成も昭和も意味をなさない。ここで終わりだよ、善井正義』

 

 突如乱入してきた声に視線を向けると、そこには白ウォズの変身したアナザーディエンドが立っていた。アナザーディエンドは、ゆっくりとゼインに向けて歩み寄り、殴りかろうとした、その時だった。

 

「プリキュア・フローラルパワーフォルテシモッ!!!」

『何ッ!?ぐぁああっ!!?』

 

 その時、白銀の光がアナザーディエンドに突撃し、モロにくらったアナザーディエンドは吹き飛ばされた。

 同時に、ゼインの前に、白銀の衣装を着た人影と共に、ピンク、青、黄色の影が降り立った。ジオウもその音につられて振り向くと、紫色の髪を持つその存在の姿に声をあげた。

 

「ゆりさん!……それと、誰?」

 

 一人はゲームの脱落者の一人──月影ゆりが変身した姿だ。しかし、ゆりと似たような衣装に身を包んだ派手なコスチュームと奇抜な髪型をした少女達など、ジオウは知らない。

 その質問に答えるように、四人は手を重ねて名乗りを上げた。

 

「大地に咲く一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる一輪の花!キュアマリン!!」

「日の光浴びる一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「月光に冴える一輪の花!キュアムーンライト!!」

 

「「「「ハートキャッチ!プリキュア!!!!」」」」

 

「ハートキャッチ…?」

「プリキュアですか……」

 

 首をかしげるジオウのそばで納得した様子を見せるゼイン。アナザーディエンドも立ち上がりつつ、四人のプリキュアを見て頷く。

 

『我が魔王が力を振るった影響か……。だが、良いじゃないか!君達も我が魔王に命を差し出すと良い』

「ふざけたこと言わないで!」

「人の命を弄ぶゲーム……私、堪忍袋の尾が切れました!!」

「海より広いアタシの心も、ここからが我慢の限界よ!!」

「皆、行くわよ!!」

 

 ムーンライトの言葉と共に、ハートキャッチプリキュアの四人はアナザーディエンドに向かって飛び出し、アナザーディエンドは無数の【カッシーン】を召喚して四人の少女達を迎え撃った。

 

『フフフ……ん!?』

「はぁっ!」

 

 アナザーオーマジオウは笑い声を上げながら歩きだそうとした時、漆黒の光を纏う刃がアナザーオーマジオウを切り着けた。

 ダメージはないが、ジオウでもゼインでもない敵の攻撃にアナザーオーマジオウが視線を動かすと、そこには黒い鎧を纏う少女が立っていた。

 

「セレナちゃん!」

「貴方だけは……絶対に倒す……!」

 

 少女──セレナは、イグナイトと呼ばれるギアを纏い、短剣を手にしてアナザーオーマジオウに切りかかった。

 

『……フンッ!』

「あぁっ!!」

 

 しかし、強化されたイグナイトのギアを纏っていても、紛いなりにもオーマジオウの力を持つアナザーオーマジオウには通じず、アナザーオーマジオウの拳を浮けたセレナは地面を転がった。

 

 それを見たジオウは、アナザーオーマジオウに向かおうとするゼインを呼び止めた。

 

「正義さん!これを使ってください!」

「ッ!このライドウォッチは……!」

 

 ゼインは懐中時計──ライドウォッチに視線を落とす。

 

「ギャバン・インフィニティのライドウォッチ……!」

 

 それは下地が赤く、ベゼルがメタリックな銀色で彩られ、『2026』の年号と【銀河連邦警察】と呼ばれる組織のマークが記載された、ライダーとも戦隊とも違う戦士の力を宿したライドウォッチだった。

 

「これは……私には使えないようです……」

「だったら、これは然るべき人に渡してください。……この戦いは、ここでは終わらない…!」

 

 ジオウは拳を握りしめてアナザーオーマジオウに向かっていく。それに続いて、ゼインもアナザーオーマジオウに向かっていく。

 二人は同時に拳をつきだし、アナザーオーマジオウに受け止められた瞬間、ゼインは蹴りを食らわせようとするが、それよりも早くアナザーオーマジオウの裏拳により殴り飛ばされる。

 ジオウもパンチを繰り出すが、アナザーオーマジオウには効いた様子がなく、アナザーオーマジオウの回し蹴りにより、一気に吹き飛ばされた。

 

「ぐぅ……!」

「……っ!」

『ははは……ははははははははははははッ!!!』

 

 アナザーオーマジオウは、濁った不気味な声で笑い声を上げる。

 

『おっと…!』

「待ちなさい!!」

 

 その瞬間、禍々しい黒黄金の光がアナザーオーマジオウに集まっていくのを見て、カッシーン達をハートキャッチプリキュアにぶつけていたアナザーディエンドは銀色のオーロラの向こうに消えていく。ムーンライトの声が響くが、彼は止まることなく姿を消してしまった。

 

『ハァッ!!!』

 

 その瞬間、アナザーオーマジオウから溢れだした黄金の波動が、周囲を一斉に爆発させる。

 

 ゼイン、ジオウ、セレナ、プリキュア達は、その爆炎に呑み込まれていき……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴木入間は目を覚ます。

 ボーッとする頭を振り意識を覚醒させていくと、そこが自分達問題児クラスが使っている教室であることに気づくと同時に、急いで出入り口の扉に向かっていき、勢いよく扉を開けた。

 

「……!」

 

 そこには、鬱蒼とした雲に包まれた空と、何処までも続く荒野が広がっていた。

 

 

 

END





ED「INSIDE-OUT」




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