悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME 作:MTHR
第1話 世界を救う
──XXXX年。
空に星が煌めく。
満天の星空の下、波が海岸に打ち付ける音を聴きながら、四人の少女が並び立つ。
紫色のコスチュームを纏った少女。
ピンク色のコスチュームを纏った少女。
緑がかった水色のコスチュームを着た少女。
金髪で杖を手にした少女。
その少女達は、二十代にも達していないように見える可憐は容姿と派手で可愛らしいコスチュームに身を包んでいる。
それこそがこの世界を守護する伝説の戦士──【プリキュア】と呼ばれる存在だった。
その伝説の戦士達こ視線の先には、四人とはまるで違う容姿を持つ一人の戦士が立っていた。
「……」
その戦士は、全身にスーツと装甲を身に付けていた。
黒と銀のスーツと装甲に、顔を隠しているマスクはまるで時計の基盤のようであり、10時10分を指した指針のような装飾。そしてなにより特徴的なのが、額に銀色で「カメン」、目に当たる部分にマゼンタで「ライダー」と書かれた文字であった。
その戦士こそ、魔王となる未来を背負う戦士──仮面ライダージオウ。
二つの戦士はお互いをにらみ合い、ジリジリと砂浜を踏みしめる。
やがて、波が浜辺に打ち付けられる音と共に、二つの戦士は走り出す。プリキュアは超人的な身体能力で瞬く間にジオウに近付くと、紫とピンクのプリキュアが同時に鋭い拳を繰り出す。ジオウはそれを、刀身に「ケン」と書かれた剣で受け止め反撃に蹴りを与える。
続けて水色のプリキュアと金髪のプリキュアが向かってくる。ジオウはそれも受け止め、再び反撃に剣による一撃を加える。
4対1という圧倒的な数の不利。しかし、ジオウは一歩も譲ることなく、四人の連携に拮抗できるだけの戦いを繰り広げていた。
4人の同時キックを受け、ジオウは砂煙を巻き上げながら膝をつく。しかしすぐに立ち上がると、腰に巻き付けているベルトのバックルを回転させた。
「はぁああああああああああっ!!!」
飛び上がったジオウは右足を突きだし、プリキュア達に向かって急降下する。
ジオウの蹴りと、プリキュアの拳がぶりかり合った瞬間──世界は光に包まれた。
──2019年
悪魔が住む世界、魔界。
「うわぁっ!!?」
仮面ライダージオウ──鈴木入間は衝撃を受けて地面を転がる。しかし大したダメージにはなっていないのかすぐに起き上がり、顔を上げる。
『ウゥ……!』
そこにいたのは、怪物だった。
巨大で歪んだ右半分が白、左半分が黒で彩られたマスクで顔面を覆っており、その右側には元の虚ろで光のない単眼が一つだけ覗いている。頭頂部の羽飾りは鋭角的で金属質な折れた翼のような形状。髪はピンクとパープルだが、ボサボサで所々が擦り切れた布や羽毛のように見える。
ドレスを着た少女のような出で立ちをしており、黒と紫のマントはボロボロで、裾には蝙蝠の羽のような装飾が施されている。ドレスのスカート部分も裂け、黒いレースやトゲトゲしたプロテクターが露出しており、有機的な甲冑と布が融合したような質感になっている。胸元や腰のリボンは、黒い革ベルトや奇妙な記章へと変化している。
左肩には元のコンパクトに似た禍々しい装置が埋め込まれており、そこから有機的な紫のコードが全身に這っている。右腕は鋭い爪が伸びている。
右腕の外側には「2027」の年号が、マントの裏地と腰のベルトには「ANSWER」という名前が刻印されている。
その怪人──【アナザーアンサー】は、唸り声を上げながらジオウに向かって飛び出す。ジオウはジカンギレードを召喚し、アナザーアンサーが繰り出した拳を刀身で受け止める。
「ッ!?」
しかし、アナザーアンサーの拳は、完璧に防いだ筈のジオウの体を吹き飛ばした。地面を転がったジオウは相手のパワーに驚きながらも反撃に出ようとする。しかし顔を上げた頃には、既にアナザーアンサーが飛び蹴りの体制で急速に接近していた。
ジオウは咄嗟に腕を交差してその蹴りを受け止める。アーマータイムを行っていないノーマルフォームとはいえ、ジオウはビリビリと伝わる衝撃に仮面の下で顔を歪める。
「ならこれで……!」
距離をとったジオウは腕に取り付けられたホルダーから【ロボライダー】のライドウォッチを取りだし、ベゼルを回して起動する。ジクウドライバーにライドウォッチを装填して、ドライバーを回転させる。
ジオウは黄色と黒の装甲に顔には「ロボライダー」と書かれた【ロボライダーアーマー】に変身したと同時に、アナザーアンサーは地を踏みしめ、地面が没落するほどの脚力で飛び出す。同時に、アナザーアンサーの蹴りがジオウに繰り出される。
「ふっ!」
しかし、ロボライダーの力を纏った鎧を着るジオウはその蹴りを受けてもビクともしない。逆に蹴りを浴びせたアナザーアンサーの方がダメージを受けてしまう。
その隙を見逃さず、ジオウは“ボルティックシューターZ”とジカンギレード・ジュウモードの二丁でアナザーアンサーを銃撃する。アナザーアンサーは火花を散らして後退する。
「そろそろこれで……」
『アァアアアアアアアッ!!!!』
「ッ!?」
ジオウは新たなライドウォッチを取り出した時、アナザーアンサーが再び飛び掛かってくる。わずかに対応が遅れたジオウはその攻撃を咄嗟にかわすが、矢継ぎ早に繰り出される攻撃に、そのウォッチを使う隙を失ってしまう。
『アァァァァッ!!!』
その時、アナザーアンサーの拳が、ジオウの顔にめがけて突き出される。ジオウはその拳が繰り出される速度に驚いて動きが鈍り、その拳が顔面に直撃する──、
直前で、回転鋸の一撃が、横からアナザーアンサーを襲った。
『ウァアアアッ!!?』
吹き飛ばされたアナザーアンサーは地面を転がる。同時に、ジオウの隣に二人の影が現れた。
「イルマ、この程度の敵に何を手間取っている?」
「アメリ……」
「…入間、大丈夫?」
「ユエ!」
そこにいたのは、ゲイツリバイブ剛烈に変身したアメリと、ウィザード・フレイムドラゴンに変身したユエだった。
同時に、ゲイツリバイブが吹き飛ばしたアナザーアンサーが唸り声を上げながら起き上がる。ゲイツリバイブは、アナザーアンサーの体に刻まれた名前と年号に視線を向ける。
「…見た事のないアナザーライダーだな。新たに生まれたライダーの力か?」
「……どのみち、倒すだけ」
ウィザードの言葉にジオウとゲイツリバイブも頷いた瞬間、アナザーアンサーが飛び掛かる。それを、ゲイツリバイブはアナザーアンサーに向けてジカンジャックローの回転鋸で迎え撃つ。
「はぁっ!!」
『ウゥッ!?』
ゲイツリバイブ剛烈のパワーの前には、流石のアナザーアンサーも勝ち目はない。火花を散らして吹き飛ばされるアナザーアンサーに向け、ウィザードとジオウが動き出す。
『ウワァアアアアアアアアアッ!!』
ウィザードの放つ炎の弾丸と、ジオウの放つ無数の光弾がアナザーアンサーに全弾命中する。
吹き飛ばされるアナザーアンサー。明確な隙が出来たのを見て、ジオウは使うつもりだったそのウォッチを起動させる。
ジオウは二つの時計のエフェクトを纏い、仮面ライダージオウⅡへと変身を遂げる。
同時に、ゲイツリバイブばゲイツリバイブウォッチの砂時計部分を回転させ、リペアードクリスタルを下ブロックに落とし、フォームを切り替える。
装甲が開き、仮面ライダーゲイツリバイブ疾風に姿を変える。
姿を変えたジオウⅡとゲイツリバイブ、そしてその隣に並び立つウィザードの威容に臆したようにアナザーアンサーが後退る。
「逃がさん!」
その瞬間、ゲイツリバイブが走り出す。
視認すら不可能な速度で加速したゲイツリバイブの爪による斬撃が、アナザーアンサーを蹂躙する。
その瞬間、ウィザードの具現化したドラゴンスカルから紫の炎が発射される。
『アァアアアアアアア!!!?』
無数の斬撃と地獄の業火に襲われたアナザーアンサーが吹き飛ばされる。
そして、ジオウは新たに召喚したサイキョーギレードをジカンギレードと合体させ、必殺の構えをとる。
「はぁああああああッ!!!!」
『……ッ!ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
ジオウⅡがサイキョージカンギレードを振り下ろすと、「ジオウサイキョウ」という文字を纏った黄金の光刃がアナザーアンサーを切り裂き、アナザーアンサーは盛大に爆発を起こした。
「やった……」
全てのアナザーライダーを倒すことの出来るジオウⅡの力による撃破だ。アナザーウォッチも破壊されている筈だと、ジオウⅡは構えを解いて爆心地に目を向ける。ゲイツリバイブとウィザードも同様の考えなのか同じ様にジオウⅡの視線を追う。
しかし、その先には予想に反した光景が広がっていた。
『ウゥ……!』
「なっ!?」
「倒せてない……!?」
体にノイズのようなものが走り、アナザーアンサーが立ち上がった。その体には、先程までジオウ達が与えていたダメージが綺麗さっぱり消えている。
『フゥゥ……ヤァアアアアアアッ!!!!』
アナザーアンサーは、持ち手がボロボロの虫眼鏡のようにも見える剣を取り出し、その剣を振るって紫の斬撃を飛ばした。
咄嗟にウィザードが障壁を張ってそれを防御するが、その際に起きた爆発で視界が遮られる。視界が明瞭になる頃には、既にアナザーアンサーの姿は何処にもなかった。
「消えた……」
「何なの、あのアナザーライダーは……」
ジオウⅡが呟いた時、三人の耳にある声が聞こえた。
「──あれはアナザーライダーではありません」
「「「ッ!?」」」
その瞬間、彼らが目にしていた光景が一瞬にして変わる。
星々が煌めく宇宙空間に、幾つもの『地球』が浮かぶ雄大にして圧倒的な光景。なぜか身体が無重力状態にならず、呼吸もできる。足場も見えない床で固定されているようで、普通に立っていられた。 いつの間にか変身も解除されたおり、困惑している入間達の前に、一人の男が現れた。
「貴様は……」
「紅渡さん……!」
白い服を着こなした茶髪の男性の名前は【紅渡】。仮面ライダーキバであり、入間にエンペラーフォームのライドウォッチを託した男だ。
渡は、微笑みを浮かべながら入間に声をかける。
「お久しぶりです、入間君」
「その節は色々と……。っと、それより、何で貴方がここに?……まぁ、なんとなく予想はつきますけど」
思わず物腰丁寧になりそうになるが、すぐに気を取り直す。
「はい。貴方には、ある世界の危機を救ってもらいたいのです」
「それは、あの妙なアナザーライダーにも関係があるのか?」
渡はコクリと頷く。
「貴方達は、プリキュアという存在をご存じですか?」
「プリ、キュア…?」
ユエが首をかしげるなか、入間はその名前に聞き覚えがある気がして記憶の海を探ると、それに該当する情報を思い出した。
「仮面ライダーとは違う、別の世界の戦士って事くらいですかね」
「その認識で問題はありません。ですが、今そのプリキュア達の世界に、別の世界からの異物が介入しようとしているのです。そして、存在する筈のないものが現れてしまいました」
「それがあの怪人だと?」
アメリの言葉に、渡は再び頷く。
「あの怪人は、名探偵プリキュアの一人、キュアアンサーというプリキュアの力を元にして生まれた怪人です。そしてその特性は、貴方達がよく知るアナザーライダーと同じものです」
「そういうことか……」
渡にそこまで言われたことで、入間も答えにたどり着く。数歩遅れてからアメリとユエも同じ結論を導きだし、目を見開いた。
「あの怪人……呼称するならアナザープリキュアには、我々ライダーの力では倒せないということなのだな?」
「はい。勿論、プリキュアの世界にはそんなものは現れない筈でした。ある意味において、あれは最大の異物といえるでしょう」
ジオウⅡはどんなアナザーライダーでも倒せる無双の力。しかし、それはあくまでも『アナザーライダー全てを倒せる力』だ。アナザーアンサーがプリキュアの力を元に生まれたのなら、それを倒すにはキュアアンサーの力が必要になる。いくらジオウⅡでも、仮面ライダーという概念からは逃れられない。だからこそ、入間達にはアナザーアンサーを倒す術がないということになる。
「あのアナザープリキュアがどのような経緯で生まれたのかは、我々も分かりません。ですが、世界を越えて貴方達のいる魔界に現れたように、このままではライダーの世界にも影響が現れる可能性もあります」
「何故我々に頼む?別の世界というならディケイドに頼めば良かったのではないか?」
紅渡はかつて、ディケイドこと門矢士を九つの世界をめぐる旅に送り出したことがある。そのあと一度敵対したらしいが、どちらにしろ自分達よりも、幾つもの世界をめぐってきたディケイドの方が適任なのではないかと思う。
「確かにそれも出来たでしょう。ですが、プリキュアの世界はスーパー戦隊の世界と同じで、本来ならライダーなど全く必要のない世界です。既に異物が混入しようとしているプリキュアの世界に僕達仮面ライダーが介入すれば、どんな影響が現れるのか想像もできません」
「じゃあ、私達が行ってもダメなんじゃ……」
ライダーが介入してはダメなら、自分達が行ってもダメなのではないかと問いかけるユエだったが、渡は首を降った。
「貴方達は
入間は考える。本来なら、異世界を救うなんて面倒なことは受けるつもりがない。
入間にとってもっとも大切なのは魔界と、その世界に暮らす家族や友人達であり、縁も所縁もないプリキュアの世界に異物が現れようが滅びようが、知ったことではなかった。しかし、先程のアナザーアンサーのように、ライダーの力で倒せない敵がこれから何人も生まれ、自分達の世界に侵攻してくる事態は回避しなければならない。何より、キバの力を託してくれた渡の頼みだ。
「分かりました。やりましょう」
「……ん。それなら私も」
「いいえ、申し訳ありませんが、今プリキュアの世界に送り込めるのは入間君一人だけです」
「なっ!?何故だ!!」
当然ついていくと言おうとしたユエの言葉を遮る。アメリはそれを問い詰めると、渡は真剣な表情で答えた。
「これはプリキュアの世界における異物を破壊するために、更に異物を送り込む荒療治です。いくら貴方達がイレギュラーでも、一度に何人も送り込めば世界の均衡は崩れる。なので送り込むにしても一人ずつ、それも慎重に好機を伺いながら行う必要があります」
渡の言葉を聞いた後で、入間はライドストライカーを起動させる。バイクに跨がり、ヘルメットを被る。すると、渡は腕を動かして銀色に揺らめくオーロラを発生させる。
バイクのエンジンをつけようとした時、入間はユエとアメリの視線に気がつき、コクリと頷く。それだけで、ユエは入間の言いたいことを察したらしい。とびきりの熱を孕んだ視線を入間に向け、妖艶に微笑んだ。
「……ん。入間、すぐに追い付く。それまで頑張って」
「フフッ、待ってるよ」
「……入間、会えない分のカプチュー、していい?」
「いや、それは……」
ユエが入間の首に腕を回す。そこへすかさず、アメリがユエの首を掴み、猫のように持ち上げた。不満そうに頬を膨らませるユエ。
そんな騒がしくも楽しい光景に、入間は思わず笑みをこぼす。
「……もういいですか?」
「あっ、すみません……」
渡に促され、入間は恥ずかしさを誤魔化すようにバイクを発進させる。アメリとユエの視線を背に受けながら、ライドストライカーはオーロラカーテンの中に飛び込んでいった。
入間「ここが、プリキュアの世界。なんだか町も人も時代がずれてる気がするねぇ……」
「ん?あの熊のぬいぐるみ持ってる子はなに?何でペンが怪物に!?もうなにもかも分からないよーーーっ!!」
入間「その謎、キュアっと解決!!」
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