悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME   作:MTHR

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今回のサブタイトルは仮面ライダー電王23話の「王子降臨、頭が高い!」が元ネタです。
時系列的には第3話ですが、あんなとみくるは殆んど出てきません。


第3話 神秘降臨、謎が深い!

「インテリアぁ?そんなもんどうでもいいだろ」

「地図が貼ってあるだけじゃ味気ないし。来てくれたお客さんも、素敵な事務所の方がいいでしょ?」

 

 まことみらい市の市街地の中を歩く三人。

 【明智あんな】と【小林みくる】と【ジェット先輩】の三人は、三人で新たに開くことになった“キュアット探偵事務所”のインテリアを揃えるために外出をしていた。

 道で配っていたティッシュを受け取ったみくるの言葉にジェットが答えていると、あんなは不思議そうに答えた。

 

「ねぇ、ずっと気になってたんだけど……私の時代は嘘で覆われた世界じゃないし、ファントムなんて聞いたこともない。ここと変わらないよ?平和だよ?」

 

 少女──明智あんなはこの時代の人間ではない。

 彼女は数日前まで、今から28年後の2027年の世界から、『時空の妖精』と呼ばれる【ポチタン】の力によって1999年にタイムスリップし、みくると出会い、偶然にもニジーの反抗現場に鉢合わせた結果、みくると共に名探偵プリキュアとして覚醒したのだ。

 本来この時代の人間でないあんなは、自身を過去に連れてきた張本人であるポチタンの力で元の時代に帰ろうとしていたのだが、28年も時間を遡ったことで赤ちゃんに戻ってしまったポチタンにその力はなく、結果としてあんなはみくると共に怪盗団ファントムからマコトジュエルを守るために戦うことを決意した。

 しかし、未来人であるあんなだからこそ、過去に来たことで明かされた謎の勢力こと怪盗団ファントムの存在に疑問を持っていた。

 

「未来は絶えず変わるんだ。僕達が頑張らないと、ここもお前の時代も、嘘で覆われた世界になるかもしれない。いけすかない妖精の手に落ちる可能性がある」

「いけすかない妖精?」

「言ってなかったっけ?ファントムの奴らも、僕達と同じ妖精なんだ」

 

 ジェットからもたらされた新情報に、あんなとみくるは大きく目を見開く。すると、昨日のある出来事を思い出したみくるは、首をかしげながらジェットに問いかけた。

 

「それじゃあ、昨日現れたあの2体はなんなの?妖精でも、ハンニンダでもなさそうだったけど……」

 

 それを聞かれ、ジェットは難しい顔をして、腕を組んだ。

 

「……分からない」

「え?」

「あの怪物は、僕達みたいな妖精じゃない。マコトジュエルとも関係がなさそうだった。後から出てきたあの顔に文字が書いてある奴を含めて、正体不明としかいえないんだ」

 

 そう言われて、あんなとみくるは、突如現れた二体の怪物を容易く蹴散らした仮面の戦士を思い出す。

 

「あの顔二文字が書いてる人、プリキュアじゃないなら、なんなのかなぁ?自分の事、魔王って言ってたけど……」

「じゃあ、悪者なの?」

「でも、私達を助けてくれたよ?」

 

 顔にライダーと書かれた謎の戦士こと仮面ライダージオウ。確かに彼は、あんなとみくるを追い詰めていた未知の怪物から助けてくれた。その点を見れば、あんな達が味方であると思ってしまうだろう。

 しかし、ジオウは何故か自分の事を()()()()──魔王と名乗っていた。

 自分達プリキュアには見向きもせずに去っていったが、あの怪物達を赤子の手を捻るかのように撃破した力の持ち主が自分達に牙を向いたら、それは怪盗団ファントム以上の驚異となる可能性がある。

 

「どっちにしろ、アイツとはもう一度あってみないと分からないだろうな」

 

 ジェットの言葉に、二人は心から同意するように頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこまでも広がる青い海が見える浜辺──虹ヶ浜に、一台のバイクが停車されていた。

 バイク──ライドストライカーの側に立っていた少年、鈴木入間は、閉じていた目を開き、手に持っていた“サイクロンジョーカーエクストリームライドウォッチ”をしまう。

 

「やっぱり、ヒットしないかぁ」

 

 “地球(ほし)の本棚”にアクセスすることが出来るエクストリームライドウォッチで地球(ほし)の本棚にアクセスし、情報を集めようと試みていた入間。

 しかし案の定、ライダーの世界ではないこのプリキュアの世界のデータベースには、エクストリームライドウォッチの力でもアクセスすることは出来なかった。まぁ、トータスでもハルケギニアのように、今までも似たような事があったので、それ事態には特に驚くことはない。

 

「昨日の話を統合すると……この世界には“マコトジュエル”というアイテムが存在していて、【怪盗団ファントム】っていう組織はそれを集めて嘘で溢れた世界を造ろうとしている。それを阻止するのがあの二人…名探偵プリキュアってことか………。うん、やっぱり訳が分かんない」

 

 入間で言うところの悪喰の指輪やライドウォッチのようにプリキュア特有のアイテムの詳細や、嘘で覆われたとか言う文章で見返すと首をかしげるしかない言葉の意味。それを知るために一か八かで地球(ほし)のアクセスしようとしていたのだが、結果は予想通り。

 昨日の戦いで耳にした情報をまとめた後、入間はその情報を聞いた後に現れた二体の怪人を思い出す。

 

(イマジンにロイミュード……関連もない二種類の怪人が、縁も所縁もないプリキュアの世界に同時に来るなんてあり得ない。つまり、あれはプリキュアやファントムとも違う第三勢力のもの……)

 

 しかも、ニジーとハンニンダーを無視してアンサーとミスティックを襲った辺り、恐らく狙いはプリキュアとみて間違いない。

 だとすれば、入間が取るべき選択は一つしかないのだが……

 

「な~にを迷ってんのっさ」

「アリさん……」

 

 声をかけられて振り向くと、そこにはアリクレッドが後頭部に両手を置き、足を組みながら浮かんでいる姿あった。

 

「あのプリキュアの嬢ちゃん達が狙われてんだろ?そして、あんのプリキュアのアナザーを倒すにはプリキュアの力が不可欠。なら、プリキュアちゃん達と会いに行けばいいんじゃないの?今までと何ら変わりないっしょ」

「それは、そうなんだけどさ……」

 

 アリクレッドのいうことは正しい。敵の狙いがプリキュアであるなら、そしてあのアナザーアンサーを倒すためにキュアアンサーの力がいるのなら、プリキュアとの接触を図るのはメリットが大きい。

 これまでも、入間はトータスやハルケギニアのような異世界、更には装者達や魔術師や英霊達の存在する限りなく現代に近い世界にも足を運び、本人としては巻き込まれただけではあるが、様々な戦いを繰り広げてきた。今更、この世界での身の振り方など気にする事もないだろう。

 

「けどさぁ……この世界を守ってるのは、プリキュアだからねぇ」

 

 しかし、この『プリキュアの世界』が、入間が今まで渡ってきた()()()()()()()()()()()()ではなく、()()()()()()()()()()()()()であるのが問題だ。

 それぞれ異なる時間軸で自分の世界を守る【仮面ライダー】が存在せず、この世界では代わりに【プリキュア】がその役目を担っている。部外者であるライダーは、本来なら全く必要のない存在だ。

 入間の目的は、あくまでもロイミュードやイマジンのように、この世界に現れた異物を排除することだ。怪盗団ファントムの野望を阻止することでも、この世界を守る事でもない。何故なら、それはプリキュアの役目だからだ。

 

 それ故に、入間がこの世界にいるのはリスクが高い。

 

 電王がなんの因果かライダーが存在しない時間軸で、春日部市に住まう嵐を呼ぶ5歳児と出会い、その5歳児が【しん王】というライダーに変身した事もあるように、入間はこれまで、数多くの異世界人にライダーの力を与えてきた。

 しかし、これまで訪れたのはどの世界も()()()()()()()()()()であるために、ゼロではないが、時空に大きな影響を与えることはなかった。しかし、ライダーの存在その物を拒絶している()()()()()()()()()このプリキュアの世界においては、その行為はとても危険だ。

 かつて、この世界と同じようにライダーが存在しない『シンケンジャーの世界』に足を運んだ【海東大樹(ディエンド)】は、シンケンジャーの世界のお宝とも呼べるモヂカラで作り出された“折神”の内の一体──“烏賊折神”を盗み、本来の持ち主である【梅盛源太(シンケンゴールド)】に追いかけられて交戦になった結果、シンケンジャーの世界の敵である【外道衆】の幹部【骨のシタリ】はディエンドの存在を異質に感じ、【アヤカシ】と呼ばれるシンケンジャーの世界の怪人の一人、【チノマナコ】を送り込んだ結果、ディエンドは変身アイテムである“ディエンドライバー”を奪われ、ライダーの力を手に入れたチノマナコはアヤカシという存在から外れ、『戦隊の世界で最初に誕生した仮面ライダー』となってしまった事がある。

 仮面ライダーの力は総じて、怪人と同じ力。一歩間違えれば世界を救うどころかプリキュアに牙を向く可能性もあり、プリキュアというこの世界の要とも言える存在が仮面ライダーに置き換わり、時空の歪みを加速させることに繋がってしまう。

 アナザーアンサー攻略のために、プリキュアと接触はしておきたい。しかし、入間とて完全無欠ではない。幾度もライドウォッチを奪われた経験がある身としては、安易にプリキュアと関わることで、間接的であろうと対峙することになるであろう怪盗団ファントムにライドウォッチが奪われ、この世界にライダーを誕生させてしまうような事態は避けたかった。

 

「じゃあ、どうすんの?」

「そうなんだよねぇ……。プリキュアとは別行動していたいけど……マコトジュエルやら嘘の世界やら、この世界の事がまるで分からないし、プリキュアの力は必要だから接触しないと後々大変なことになる……プリキュアに姿を見せず、影から見守りながら戦う?……いや、それだとストーカーとして通報される。……うぅ~~!」

 

 いつでも冷静な対応を崩さない入間が、頭を抱えて悩むのはかなり珍しい光景だろう。しかし、それだけこのプリキュアの世界における立ち回り方が難しいのだ。

 

 その時、虹ヶ浜の浜辺から悲鳴が聞こえた。

 

 入間の顔つきが変わり、その悲鳴が聞こえる浜辺に視線を向ける。

 今は四月でビーチで遊ぶような人間など一人もいないが、浜辺に来る人がいないわけではない。そんな一般人達が『何か』に怯え、悲鳴を上げて逃げ惑っており、その『何か』の姿を見て、入間は目を見開いた。

 

「あれは……!」

 

 浜辺に集まる人々を襲っていたのは、アイロンのような形の手をしていたり、カエルのような見た目と、多種多様な見た目をした存在達。

 ノイズ。それはかつて入間がアナザーアルティメットクウガを追った際に偶然迷い込み、それから何度も関わるようになった『シンフォギアの世界』に存在していた災害。太古の昔、超存在【カストディアン】が処した“バラルの呪詛”により統一言語を失い、協力よりも互いの殲滅を選んだ先史文明期の人類により作り出された人間だけを殺す存在。

 しかし当然ながら、この世界にはノイズなど現れない筈だ。ジットがコアメダルやバイスタンプの力を応用して改造されているノイズはいたが、あれは普通のノイズであり、ソロモンの杖だって、バビロニアの宝物庫と共に消滅させた筈だ。怪人ならばまだ分かるが、ノイズまで現れるなんて完全に想定外だ。

 

「うっ!!」

 

 入間が混乱していると、ノイズの威容から逃げ惑っていた人々のうち、小さな女の子が転び、そんな女の子に、ノイズのうちの一体が襲い掛かろうとしていた。

 

「イル坊!!!」

「ッ!!」

 

 アリクレッドの声を聞き、我に帰った入間は即座に羽を弓矢に変形させて、超速の矢を放った。討ち放たれた矢は空気の壁を越え、音速に至る速度でノイズを貫いた。

 撃ち抜かれたノイズが炭素となって崩れ落ちると、入間は身体強化を施した脚力で跳躍し、人々の前に降り立つと、倒れていた女の子を起き上がらせた。

 

「早く、逃げて!」

「う、うん!!」

 

 女の子は入間の声に一目散に逃げていく。それを見届けた入間は安堵のため息を吐いた。

 

(この時代に、プリキュアの世界の存在じゃない奴に人が殺されるなんて冗談じゃない……!)

 

 2019年の世界から来た入間にとって、この1999年の世界は過去の世界。勿論、この時代を生きる人間にとってはこの時代が現在であり、ライダーとも魔界とも関係のないプリキュアの世界においての過去の世界なのだが、だとしても、過去で人が殺されるなんて事態は看過できない。事故だったり怪盗団ファントムの所業といった、この世界の出来事によって人が死ぬのなら、助けるか助けないかは別として、入間もここまで必死にならない。

 しかし、ノイズはプリキュアの世界に存在しない異物。それにより人が殺されるなんて、本来のこの世界の歴史にはあり得る筈のない出来事だ。そんな事が起きてしまえば、歴史が取り返しのつかないことになり、入間の世界にだって影響が出る。

 

(人間なんて何度か見捨ててきたけど……今回は絶対に犠牲者は出しちゃダメだね)

 

 考えを纏めた後、入間はジクウドライバーとジオウライドウォッチを取り出し、起動したウォッチをドライバーに装填する。

 

 

ジオウ!

 

 

「変身!」

 

 入間はライドウォッチを装填させたジクウドライバーを回転させる。

 

 

ライダータイム!

 

仮面ライダー!ジオウッ!!

 

 

 ジオウに変身すると、ジカンギレードを手にしてノイズに向かっていく。

 

「……」

 

 そんな彼の後ろ姿を、()()()()()()()()()()()()を抱えた少女が見つめていたが、この時のジオウは気付くことはなく、ノイズに向けてジカンギレードを振り下ろした。

 

「はぁっ!」

 

 切り裂かれたノイズは炭素となって消滅する。そのノイズの背後にいたウクロールノイズが体を紐のようにして突撃してくるが、ジオウは回し蹴りで炭素に変える。

 

「久しぶりに戦ったけど、やっぱり数が多いな……これ使ってみようか!」

 

 

ディ・ディ・ディ・ディケイド!

 

 

 ジオウはディケイドライドウォッチを取り出してジクウドライバーに装填すると、

 

 

アーマータイム!

 

KAMEN RIDE!ワーオッ!

ディケイド!ディケイド!ディーケーイードーッ!

 

電王!

 

ファイナルフォームターイム!デ・デ・デ・デンオウッ!!

 

 

 ディケイドアーマーとなったジオウは続けて電王ライドウォッチをディケイドライドウォッチに装填すると、ジオウの姿が更に変化する。

 

「満を持して……はないけど、降臨!」

 

 胸部と肩の文字が『ウイング』『デンオウ』に変わり、スーツが【仮面ライダー電王・ウイングフォーム】の物となると、仮面のモニターもウイングフォームのものに変わる。【ディケイドアーマー電王フォーム】に変身したジオウは両手にブーメランモードとハンドアックスモードのデンガッシャーを装備すると、ノイズの軍勢に向かっていく。

 

 振り抜かれた二つの刃により、ノイズの体が崩れ去る。その瞬間、他のノイズが次々と襲い掛かってくるが、ジオウはデンガッシャーを持つ手を後ろで組み、わずかに体をそらすだけでノイズの攻撃を回避していくと、カウンターで振り抜いたデンガッシャーによってノイズを切り裂いていく。

 

「この姿……意外と使いやすいな」

「とーぜんっしょ!」

「いや、何でアリさんが得意気なの?」

 

 肩の上で着物を着込んで付け髭をつけて得意気な声を上げるアリクレッドに、ジオウはツッコミをいれる。

 その時、空間から滲み出すようにして、巨大な影が現れた。ジオウがそれを感知すると同時に、凄まじい速度で何かが襲い掛かってきた。

 

「ッ!うわっ!!?」

「どわぁああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」

 

 ジオウはとっさにその場を飛び退くが、アリクレッドは避けきれず、空へと打ち上げられた。

 

「アリさーーーーーんっ!!?」

「ぁぁぁぁぁあああああああああああああッ!!!」

「だはぁっ!!?」

 

 キラーンと星になった相棒に向かってジオウが手を伸ばした瞬間、星になった筈のアリクレッドがすごい勢いで戻ってきてジオウの顔のモニターにビターンッと音を立てて衝突した。

 悪食の指輪の化身であるアリクレッドは、指輪を着けている入間と一心同体であり、一定距離を離れると強制的に入間の元に引き戻される。それが起こったのだろう。

 

「悪ぃ、戻るわ~」

「あだだ……なにこの感じ……?」

 

 その時、アリクレッドを吹き飛ばした巨大な存在──ギガノイズが、体から無数の小型ノイズを生み出し、ジオウに突撃させた。

 

「ぐっ!?うぅ……!あぁっ!!?」

 

 避ける隙間が存在せず、応戦をやむ無く選択させられたジオウは二つのデンガッシャーで次々とノイズを切り裂いていく。しかし、ガトリングガンのような密度で発射されるノイズ達を切り裂くのには些か無理があり、押しきられたジオウは装甲から火花を散らして吹き飛ばされた。

 

 ジオウは多少ふらつきながらも、大したダメージにはなっていなかったのかゆっくりと起き上がる。しかし、それでも明確な隙を見つけたギガノイズは、再び体から小型のノイズを発射させた。

 

「ッ!!」

 

 避ける暇がなく、ジオウはデンガッシャーを交差して盾にし、少しでも衝撃を和らげようと身構える。

 

 その時、横から飛来した漆黒の光線がノイズを貫く。更に次々と放たれた無数の光線は、ジオウに襲い掛かろうとしていたノイズを次々と貫き、一瞬にして小型ノイズを消滅させた。

 

 ジオウは目を見開き、その光線が飛んできた方に顔を動かすと、その先に立っていた人物をみて、更に目を開いた。

 

「プリキュア……?」

 

 そこにいたのは、派手なコスチュームを着込んだ姿をした少女──プリキュア。しかし、ジオウが先日目にしたキュアアンサーやキュアミスティックとは明らかに異なっている。

 

 金髪のロングヘアーを持ち、毛先には薄いピンクのグラデーションが施されている。大きなインテークの上には二本のアホ毛が立っている。瞳の色は赤で、薄紫色のハートのハイライト。

 コスチュームは黒を基調としており、ノースリーブワンピースの上から黒いケープを羽織っている。ワンピースのスカート部分には、紫色のしずく型の装飾が多数あしらわれている。

 黒いダイヤ型が並ぶ髪飾りを装着しており、その中央下にはしずく型の石飾りが付けられている。また、頭の後ろには黒い蝶の飾りを添えた薄紫のレースを身につけている。

 足元は濃い紫色のサイハイソックスを履いており、履き口には金色の装飾が施されている。

 靴は濃紺色のショートブーツを合わせた装いとなっている。

 その手には、先端がカードが埋め込まれたような杖を手にしている。

 

 黒いプリキュアの赤い瞳とジオウのマゼンタの複眼が交差する。

 その時、ギガノイズが地響きを上げながらジオウから標的を変え、黒いプリキュアに向かおうとしているのを見て、ジオウは新たなライドウォッチを取り出し、ディケイドライドウォッチに装填された電王ライドウォッチを取り外し、変わりにそのライドウォッチを装填した。

 

 

ガヴ!

 

ファイナルフォームターイム!ガ・ガ・ガ・ガーヴ!!

 

 

 【仮面ライダーガヴ・ブリザードソルベ】の力を宿した【ディケイドアーマーガヴフォーム】に変身すると、“ガヴガブレイド”を手にしたジオウは極寒の吐息を吐き、発生した氷の上を駆け上がる。ギガノイズは体を捩らせて氷を破壊するが、ジオウは再び吐息を吐いて道を作り、ガヴガブレイドでダメージを与えていき、最後に氷の道を蹴って飛び上がると、ギガノイズに強烈な斬撃を与える。

 

 ジオウは地面に着地すると、ガヴウォッチを装填したディケイドウォッチのボタンを押す。

 

 

ガ・ガ・ガ・ガーヴッ!!

ファイナルアタックタイムブレーク!

 

 

 ジオウが腰をおとして構えると、ギガノイズの周囲に、無数のアイスが現れる。アイスがドリルのような円錐形に変わると、ジオウは息を吸い込み、声を張り上げた。

 

「ハァーーーーッ!!」

 

 方向と共に、アイスがドリルのように回転しながらギガノイズを貫く。体にアイスが突き刺さったギガノイズは、悲鳴のような奇声を上げると、盛大に爆発を起こした。

 

「ふぅ……」

 

 ジオウは息を吐きながら力を抜くと、先程の黒いプリキュアに視線を向ける。そのプリキュアはジオウをジッと見つめた後、踵を返して何処かへ歩きだそうとする。

 

「待ってよ」

 

 ジオウはそのプリキュアを呼び止めようとする。その声に反応したのかは分からないが、黒いプリキュアは足を止めると、ジオウに再び視線を向けた。

 

「君……プリキュアだよね?なんで見ず知らずの僕を助けたの?」

 

 その問いに、黒いプリキュアは沈黙を返す。その佇まいから、昨日見たキュアアンサーとキュアミスティックとは比べ物にならない程の実力者であることを見抜いたジオウは、知らずのうちにガヴガブレイドの柄を握る手に力を込める。

 

「……一つだけ」

 

 黒いプリキュアがポツリと呟く。その声に、ジオウはクラスメイトのアクドルの声が彼女とそっくりであることに僅かに驚くが、そんなことなど露知らず、黒いプリキュアは言葉を続けた。

 

「……最後の攻撃、あれは中々だった」

「………は?」

 

 ジオウら間抜けな声を発すると、黒いプリキュアの側に、薄い紫色の体を持つ狐のような生き物が現れた。

 

「るるかは貴方に興味があるみたいね」

「るるか?それが君の名前?」

「マシュタン……」

「あっ!ゴメン……」

 

 ジオウに自身の名前を知られ、黒いプリキュアから細められた視線を向けられた【マシュタン】と呼ばれた生物は口を紡ぐ。

 黒いプリキュア──【キュアアルカナ・シャドウ】はため息を吐くと、再びジオウから視線を外し、今度こそ何処かへと去ってしまった。

 

 消えていった黒いプリキュアの背中を見送ったジオウは、ジクウドライバーからライドウォッチを取り外して、黒いプリキュアが去っていった方向を見つめると、小さく呟いた。

 

「あのプリキュア……何処かで会った事があるような……。気のせいかな……?」

 

 その疑問は、今の解くことはできなかった。




ED「なぜ?謎?!ANSWER」












 ディケイドアーマー電王フォームをクライマックスフォームではなくウイングフォームにしたのは作者の趣味です。
 入間はクライマックスフォームのライドウォッチを持っていますし、アリクレッドのCVこと三木眞一郎さんはジークの声を担当してましたし、入間くんのCVの村瀬歩さんは夕凪ツバサ/キュアウイングの声を担当していたので、ピッタリだと思うんですよねぇ……プリキュア編ではW系に並ぶほど多用したい形態です。

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