悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME 作:MTHR
私は23話見た辺りからそうなんじゃないかと思いましたけど……皆さんはどうでしたかね?
劇場のような空間の中、本を捲る音が響く。
ルネサンス時代の貴族風の豪奢な服の上に、中世の騎士のような鎧を着込み、ベネチアンマスクのような仮面で素顔を隠している存在──【ウソノワール】は、台座の上に置かれた本の内容に目を遠し、頷く。
「……成る程、新たなマコトジュエルの在処がわかった」
「僕が華麗に盗ってまいります」
そこで声を上げたのは、ニジーだ。
「いや、アゲが行くっしょ!」
そこへ、女の声に割り込まれたことで、ニジーは不快そうに声が聞こえてきた方向に目を向け、スポットライトに当てられた少女を睨み付ける。
ピンクがかった薄いオレンジ色の長髪を紫色のオオコウモリの羽がついた黄色のハイビスカスの飾りでパイナップルヘアーのようにしたハーフポニーテールにしている。頭には、縁が濃いピンク色のサングラスを乗せている。服装は、おへそが出るほど裾が短いピンク色のノースリーブインナーに、左脚側に切り込みが入った黒のマイクロミニスカートと左脚にしているレッグハーネスとお揃いのベルトで全体的にギャル風ファッションとなっている。ノースリーブマントや両腕のアームウォーマーは、モコモコの飾りがついている。足には濃いピンク色のハイソックスとグレーのブーツを履いている。瞳の色は黄緑の四芒星が入ったエメラルドグリーンをしており、赤紫色の長いマスカラがあり、右の頬には黒い四芒星のチークがチャームポイントで、ピンク色の口紅も付け、紫色の少し長めのネイルがある。
まさにギャルといった容姿を持つ少女──【アゲセーヌ】は、得意気な表情でニジーを指差した。
「アンタは引っ込めって感じ~?」
「それはこっちの台詞だよ、ベイビー!!」
そのまま、二人の言い合いが始まる。しかし、ウソノワールも、もうひとつの席に座る人物も、日常茶飯事だと思われてるのか、止める気配は一切ない。そんな光景を見て、ため息を吐く存在が一人。
「あ~ぁ、また始まった……」
体色は紫色を基調としており、顔・耳・尻尾には薄紫、耳と手足には濃い紫の模様が入っている。瞳は緑色で、まつ毛があり、ややツリ目となっていて、額にはハート形のピンク色の石が埋め込まれており、頬にはハート形のチークが施されている。耳や尻尾の形状、顔の模様など、全体的な雰囲気は狐に近く、胸元にはハート形の白い胸毛が生えており、耳には白い羽根のような物が生えている。手足にはピンク色の肉球がある。両耳の下側からは二束の毛が飛び出しており、その下には赤紫色の雫型の石飾りを着けている妖精──【マシュタン】がそう言うが、アゲセーヌとニジーには聞こえていない。
「……」
すると、マシュタンのすぐそばにある椅子の上で、アイスを食べていた少女が、マシュタンの言葉に同意するように頷く。
その少女は、くすんだベージュ色のセミロングヘアでインテークの間の部分に黒いリボンを結び、頭頂部には2本のアホ毛が生えている。瞳の色は紫。白いトップスの上に白い襟と紫のボタンが付いた黒いケープを羽織り、ケープと同色のスカートを着ている。薄紫色のタイツを履き、黒いパンプスを合わせている少女だった。
「待て待て待てぇ~~!!」
その時、拍子木のような音と共に、男の声が聞こえてくる。ニジーとアゲセーヌが口を止めて、その空間の劇場に目を向けると、劇場の舞台のライトがつき、そこに花吹雪と共にある人物が照らされていた。
「熱くなるのは結構だがな、受ける相手が違いやしねぇか!?」
顔を開いた扇子で隠した人物は、歌舞伎役者のようなポーズをとりながら、会場全体に届くような声で叫ぶ。
「その喧嘩、このゴウエモンが預かったぁッ!!」
銀髪のガタイが良い男性であり、顔に歌舞伎風のメイクを施し、黒のタンクトップに先を閉めた短パンと下駄、そして腰には桜のエンブレムを付けており全体的に和風な雰囲気を醸し出している。
左目を覆うドミノマスクを付けているが、ニジーやアゲセーヌとは異なり左目部分が閉じたデザインになっている。
「でた、面倒なのが」
マシュタンの言葉に、ベージュ色の髪の少女──【森亜るるか】が頷いていると、【ゴウエモン】と名乗った男は片ひざをつき、ウソノワールを見上げる。
「ウソノワール様、お任せください!」
「結局君が行きたいだけだろ!」
「マジチョベリバ~」
「違う!新人のためだ!連れていって、怪盗のイロハを教えてぇんだよ!俺の背中を見て学ぶと良い!」
「余計なお世話なんだけど……」
扇子を向けて指名されたるるかはマシュタンの言葉に頷く。
「──成る程、頼もしい限りではないか」
その時、拍手と共に渋い男の声が劇場に響き渡る。
怪盗団ファントムの面々は、その拍手が聞こえてきた場所に視線を下ろす。ゴウエモンが立っている舞台の観客席の一つに、いつの間にか腰をかけている人物がいることに気付いた。
白いスーツを着た、黒い手袋を両手につけた男は、ゆっくりと席から立ち上がる。
「何者だ!?どうやってここに入った!?」
ニジーの声に、男はゆっくりと顔を上げる。
すると、白いスーツの男の後ろに銀色のオーロラが現れ、二体の異形が現れた。驚きを露にするニジー達をよそに、男は手を広げる。
「我が名はガイ。ライダーとプリキュアにとって、迷惑な存在だと言っておこう」
その男──【ガイ】は、ウソノワールに視線を向ける。
「単刀直入に言おう。ウソノワール……我々は、君達怪盗団ファントムとの協定を望んでいる」
「何……?」
ガイの申し出に、ウソノワールは訝しげな声を上げると、先程まで目を通していた本に視線を向け、ページをパラパラと捲る。しばらく、白紙のページを見続けると、ウソノワールの顔がガイに向けられた。
「ない………貴様の事など………」
「当然だ。我々はこの世界に存在してないのだからな」
「なに?」
「我々はこの世界とは違う…別の世界から来た。そして今この世界に、お前の望む『嘘で覆われた世界』を壊す程の損害が現れた」
ガイはスッと手を上げると、先程二体の異形が現れたものと同じ銀色のオーロラが、劇場の空中に現れる。そして、オーロラにある映像が写りだした。
そこに映るのは、黒と金の鎧に身を包み、時計のベルトのような襷に、時計の指針をもしたマントを着け、時計の基盤をもした顔には「ライダー」と書かれた「王」と呼ぶに相応しい出で立ちの戦士だった。見るからに只者ではないと思い知らされる姿に、ニジー、アゲセーヌ、ゴウエモン、るるか、マシュタンがその戦士の映像から目が離せなくなる。
「今から69年後の世界……2068年、世界を滅ぼす魔王…その名もオーマジオウ。今この1999年の世界には、若かりし頃のオーマジオウが現れたのだ」
続いて、オーロラカーテンの映像には、無数のノイズを相手に圧倒的な戦いを見せつける時計の基盤のような仮面をした戦士──仮面ライダージオウの姿が現れる。
その姿を見て、ニジーは目を見開く。
「コイツは……!」
「そう。君が遭遇した男こそ、若かりしオーマジオウなのだ」
「そのような話を信じろと?」
ウソノワールの声が響く。同時に、劇場内の空気がズシッと重くなったような感覚に、ニジーとアゲセーヌが息を飲むが、ガイはなにも感じていないように答えた。
「やれやれ、理解のない妖精だ。協力する気がないのならば、マコトジュエルとやらは我々がいただく」
「何っ!?」
「マジチョベリバ~!」
その言葉に激昂したのはニジーとアゲセーヌだった。るるかは敵意こそ出していないものの、アイスを食べる手を止め、鋭い眼差しでガイを睨んでいる。
「奴は既に、スーパー戦隊のみならず、ギャバンインフィニティやシンフォギアの力まで手にする処か、ドラゴンや英霊というあらゆる勢力を引き込んでいる。奴がプリキュアの力まで手に入れてしまえば、最早誰にも手のつけられない、史上最悪のオーマジオウとなるだろう……。それを防ぐために、利用できるものは全て利用するのだ」
その言葉と共に、ガイと怪物達の姿が消える。
静寂が劇場を支配する。誰もが何も言えずに立ち尽くしていると、ウソノワールは席から立ち上がる音が響いた。
「行け、ゴウエモン!キュアアルカナ・シャドウ!奴らよりも先にマコトジュエルを手に入れるのだ!!」
まことみらい市。
入間はとある建物の屋上から町の風景を見下ろしながら物思いに耽っていた。脳裏に浮かぶのは、昨日現れた認定特異災害──ノイズの事だ。
(なんでノイズがこの世界に……)
ノイズとは、入間がかつて迷い込み、一人の少女を連れ帰ってからを転機に幾度も関わるようになった世界に存在していた災害だ。しかし、ノイズは『シンフォギアの世界』に存在するものであり、プリキュアの世界になど現れる筈もない。
かつてジットがコアメダルとバイスタンプを奪ったことで造り出したノイズもいるが、あれは普通のノイズだ。ソロモンの杖があれば自由に使役できるが、もしもそうでないとしたら…
「……僕の存在のせいかもね……」
入間は懐から、白地に黄色いのベゼルのライドウォッチ──“ガングニール(響)のライドウォッチ”を取り出す。
紅渡も行っていたが、入間は本来ならばこの世界に損害する筈のない異物。本来この世界にいる筈のない入間がこの世界にいることで、世界に何らかの影響が出るのは分かっていた。もしかしたら、シンフォギアの力を持つがゆえに、ノイズがこの世界に引き寄せられてしまったのかもしれない。
(もしそうなら……想像してたよりもずっと影響が出るのが早い。どうにかしないとなぁ)
イマジンやロイミュードを送り込み、この世界に手を伸ばそうとしている敵。それらの居場所を突き止めるのは簡単だ。何故なら、入間には探し物チートな“導越の羅針盤”がある。
しかし、この世界に来ているのは入間しかいない。昭和、平成、令和のライダーのライドウォッチを手に入れ、それ以外の戦士のライドウォッチも所持しているとはいえ、結局入間一人だ。降りかかる火の粉を払える自信ならあるが、一人で未知の勢力と決戦など出きるわけがない。
(やっぱり、プリキュアと協力体制をとらないとダメかなぁ)
あまり関わらないでいきたいと思っていたが、やはりこれからも敵が現れると言うのなら、プリキュアとの協力は必要になってくる。怪盗団ファントムとの戦いには関わりたくないのだが、それは未来の自分に任せることにしよう。
(よし。先ずはアナザープリキュアの元、キュアアンサーとキュアミスティックを訪ねてみよう。あの黒いるるかってプリキュアは……まぁ、同じ町にいるんだろうし、そのうち会えるか)
導越の羅針盤を取り出して二人の居場所を探ろうとしたが、止める。この羅針盤、チート性能に相応しいほどに魔力消費が激しく、距離が遠ければ遠い程消費量が上がっていく。距離が離れていなけれな消費量猛者ほど少ないが、魔力が存在しないこの世界で、供給の当てがないのに魔力の多用はしたくはない。
「まぁ、この町にいるのは確実っぽそうだし、少し歩いてれば何処かに……ん?」
建物の下から騒がしい音が聞こえてきて、入間は建物の下を覗き込む。
そこには、桜も咲いてないのに桜吹雪が舞っており、歌舞伎役者のような出で立ちをした大男が、扇子にバッグを引っ掻けて何処かへと去っていき、二人の少女が光るピーナッツのような何かを使って飛び上がっていく光景があった。
「えー……」
二人の少女には見覚えがある。プリキュアに変身していた二人だ。大男は恐らく、怪盗団ファントムか何かだろう。しかし、状況が意味不明すぎる。流石の入間も困惑してしまう。
しかし、何故あのようなことになったか分からないが、恐らく怪盗団ファントムを追っているのだろう。何せ、“名探偵”プリキュアなのだから。
「少し、追ってみようかな」
入間は“タカウォッチロイド”を起動し、タカの姿に変形したウォッチはピィッと鳴き声を上げると、大男とプリキュアの二人を追って飛び立っていった。
数十分後、屋上でのんびり待機していた入間は、タカウォッチロイドの通信を受けとり、タカウォッチロイドの居場所を特定すると、コズミックステイツのウォッチを使い、ワープドライブである場所にやってきた。
「アトリエ?ここにプリキュア達が来たの?」
『アトリエプレンティ絵画教室』という看板が立てられた家の前で、入間はタカウォッチロイドに問いかけると、ピィッという返事が返ってくる。
入間は少しだけ考えると、そのアトリエの敷地に足を踏み入れ、インターホンのボタンを押す。その時、後ろから靴音と声が聞こえてきた。
「ここだよ。あんな!」
「うん!」
「え?」
聞き覚えのある声に振り返ると、そこには件のプリキュアの変身者である二人の少女がいた。
「あれ?誰かいる……って!!」
「貴方はーー!!」
「少しタイミング早かった感じかな……?」
二人組の少女──【明智あんな】と【小林みくる】は、入間の姿を見るなり驚いたような顔をしている。数日前におもいっきり生身の姿を晒していたので無理はない。
その時、アトリエの扉が開き、紫色の髪に眼鏡をかけた女性の姿が見える。女性は入間達の姿を見て不思議そうな顔をしていたが、あんなが抱えていたバッグを見ると、表情を明るくした。
「あっ!私のバッグ!!」
そして、あんなとみくる、そして何故か入間もアトリエに招かれると、そこではデッサンをしている絵画教室の生徒達の姿が見える。そこで、あんな達は窓際の棚の上に視線を集める。
「そっくり!間違えても仕方がないね!」
棚の上には紫色のバッグが置かれており、あんなが持っているバッグとそっくりだった。
話を聞くと、どうやらあんなとみくるは漫画家志望の依頼人が持ち込みのための原稿をいれていたバッグが、公園でアトリエの先生とぶつかった際に、二人の持っていたバッグが入れ替わってしまったらしい。あんなとみくるがこの場所にたどり着いたのは、アトリエの先生のバッグと中に入っていたエプロンに絵の具が着いており、中にあったジャガイモやタマネギが芽が出て、リンゴは古くて飲食店で使えない事から、デッサンのモデルになるものだと推理したらしい。
(流石、名探偵って名乗るだけはあるか……)
観察眼には自信があるが、僅かなヒントからそこまで見抜くことができた二人に、入間は素直に感心する。そして、二人は依頼が終わるまで話を持ちかけることは出来ないと察し、一旦その場をあとにしようとしたその時だった。
鏡が擦れ合うような不快な音が聞こえてくる。
「っ!!」
「えっ!?どうしたんですか?」
入間は咄嗟に辺りを見渡すと、あんなが不思議そうな顔をしているのが見える。誰も疑問を持っていない辺り、自分にしかこの音は聞こえてないらしい。
「この音……まさか!?」
その時、アトリエの窓ガラスの表面が波紋が広がるように揺れ、そこに一体の影が現れると、実態をもって飛び出してきた。
「シャァッ!!!」
「っ!きゃああああああっ!!!」
飛び出してきた影は、アトリエの先生を突飛ばし、教室内に降り立つ。
それは、鮫のような姿をした二足歩行の怪物──アビスマッシャーと呼ばれるミラーモンスターであった。
「か、か、鏡から鮫が出てきたーーー!?」
「ファントムやハンニンダーじゃない!?」
あんなとみくるの声が響く。
アトリエにいた生徒達は悲鳴を上げてデッサンをする手を止めてその場から逃げ出していく中、アビスマッシャーは棚の上にあったバッグを掴みとった。
「バッグ!?なんでミラーモンスターがバッグなんか……!?」
その行動に入間は違和感を覚える。ミラーモンスターが鏡から出てくるのは人間を補食するのが主な理由であり、知能が獣レベルな彼らはバッグなんて狙わない。しかし、アビスマッシャーは入間達に見向きもせず、バッグを抱えたまま、踵を返して歩き出そうとする。
「待って!!」
「それを返して!!」
「ポチぃ~!」
「なっ!?」
その時、なんと先程までミラーモンスターの登場に驚いていたあんなとみくる、そしてあんながショルダーバッグのようにかたがけしていた熊──ポチタンが、アビスマッシャーに掴みかかったのだ。あのバッグを取り替えそうとしているのだろうが、あまりにも無鉄砲な行動に入間も驚きを露にする。
しかし、プリキュアに変身していない二人と赤ちゃんの妖精が、ミラーモンスターのパワーを抑えきれる筈がなかった。
「……ッ!シャァァァァッ!!!」
「「きゃああああああああああっ!!!」」
「ポォチィ~~~!!!」
アビスマッシャーは地を踏みしめ、鏡に向かって飛び込む。
すると、アビスマッシャーに掴みかかっていたあんなとみくるとポチタンが、一緒に鏡の中へと吸い込まれていったのだ。
「これは不味い…!」
入間は本格的に焦りを浮かべて、腰にジクウドライバーを巻く。窓の外であの怪盗団ファントムと思わしき大男が現れたが、入間は無視してジオウライドウォッチと、赤と銀の“龍騎ライドウォッチ”を取り出した。
ジクウドライバーにその二つを装填すると、背後に時計が現れ、入間は構える。
「変身!」
入間の姿が仮面ライダージオウに変わると、ベルトから「リュウキ」という文字が飛び出し、アーマーが現れる。
アーマーが装着され、文字が顔に張り付く。
頭部や胸部は【仮面ライダー龍騎】を模しており、複眼にはカタカナで「リュウキ」と描かれ本家同様スリッドになっており、両肩の装甲はドラグバイザーを模している姿──【龍騎アーマー】に変身したジオウは拳を口元に持っていき、気合いをいれた。
「っしゃぁっ!!」
気合いと共に、ジオウは窓ガラスに向かって飛び出してきた。ミラーワールドへと飛び込んでいった。
次回から、入間は本格的にプリキュアと関わっていきます。
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