悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME 作:MTHR
今までプリキュア映画はdアニメストアからしか観たことなくて、スクリーンで観るのは初めてでした。
「「うわぁああああああっ!?」」
あんなとみくるは、床に体を思いきり打ち付けた。
アビスマッシャーは二人が床に倒れた事で解放され、すぐにその場から去っていく。
「あたたたたた……」
「ポチぃ……」
「あんな、大丈夫……って、あれ?」
「みくる?」
床に打ち付けた箇所を押さえながら立ち上がると、辺りを見渡したみくるが首をかしげる。あんなも同じ様に辺りを見渡すと、すぐにその違和感に気付いた。
「アトリエ……あの先生も、生徒達もいなくなってる……?」
そう、先程までデッサンをしていたアトリエこ生徒達が、誰一人としていなのだ。アビスマッシャーの乱入で逃げ出したのもあるかもしれないが、部屋の中は不気味なほどに静かだった。
「見て!文字もなんか変だよ!?」
「なにこれ……右左反対……?」
アトリエに置かれていた本も、描かれていたイラストや記されていた文字が、まるで鏡に映されたように反転していたのだ。
「まさか、プリキュアが紛れ込むとは思いませんでしたね」
その時、聞き覚えのない男の声が入口から響いてきて、あんなとみくるは振り替える。そこには、教室の扉の前で佇む一人の戦士がいた。
「ですが、プリキュアも我々の抹殺対象ですからね。この場で死刑を申し渡しましょう」
黒をベースに一部に青色と空色が配色されたボディに、鮫を正面から見たような形状の仮面。左腕を小判鮫を模したようなグローブで包む戦士はゆっくりと部屋に足を踏み入れた。
突然現れた仮面の戦士にあんなとみくるは困惑していると、その戦士が右手に持っていたものを見て、声を上げた。
「あれって!」
「純一さんのバッグ!」
「ポチィ!」
「これですか?これにはどうやら我々が欲するものがあるようでしてね。すいませんが、これは渡してもらいますよ」
鮫の騎士が持つ紫のバッグ──あんなとみくるの依頼人であった【小松崎純一】のバッグを見て声を上げるが、鮫の騎士はバッグを見せつけながらそう答えた。口調こそ丁寧だが、その声色にはこちらに対しての気遣いや優しさなどは微塵も感じられない。
「そんなのダメ!それは純一さんの大切な原稿なんだから!!」
「そんなものは、我々の目的には関係のないことですよ」
鮫の騎士──【仮面ライダーアビス】は、ベルトのカードデッキから一枚のカードを取りだし、それを左腕に覆っているグローブ“アビスバイザー”に装填しようとした、その時だった。
「はぁっ!!」
「ぐおっ!?」
あんなとみくるの後ろにあった窓ガラスから赤い影が飛び出し、アビスの顔面に鉄拳を繰り出した。そしてアビスを殴り飛ばした影は、あんなとみくるの前に降り立った。
そにいたのは、顔に「リュウキ」という文字が記載され、龍の衣装を持つショルダーアーマーを装備した戦士──仮面ライダージオウ・龍騎アーマーだった。
「この世界にもミラーワールドがあるなんて思わなかったよ。それに、ライダーもいるとはね」
ジオウ──入間はアビスを見据えながらそう呟く。起き上がったアビスは拳を喰らった箇所を擦りながら立ち上がった。
「ジオウですか。時の王者といえど、この私に勝つことは出来ません」
「それはどうですかね?」
ジオウは軽く答えながらジカンギレードを手にするとチラリとあんなとみくるに視線を向けた。
(とはいえ、この二人のことどうしようか……)
プリキュアと接触するつもりとはいえ、こちらの事情に巻き込むつもりはなかった。ましてや、ミラーワールドに引きずり込まれるなんて誰が想像しただろう。プリキュアと協力体制を敷いておきたいと思っていたが、ライダー世界の敵は出来る限り自分で討伐しておきたかった。
とはいえこうなれば、なるようになれだ。そもそも入間がこの世界にいる時点でプリキュアの歴史も、世界の近郊も歪んでいるのだ。ノイズまで出てきている今、彼女達の強力も必要に成るはずだ。
取り敢えず、今は目の前の敵に集中する事にしたジオウはジカンギレードを手にしながら走り出した。
「説明は後でするから、今は下がってて!」
「えっ?ちょっ!?」
ジカンギレードを振り下ろし、アビスのアビスセイバーとぶつけ合う。金属同士が打ち合う音が響き渡り、飛び散った火花が二人の装甲に当たる。
ジオウとアビスはそのまま剣戟を開始し、狭い絵画教室のなかで、キャンパスや棚を破壊しながら剣をぶつけ合う度にアビスの持つバッグが右へ左へと動き、ジオウ達の剣に擦れそうになっていく。
「あのままじゃ、バッグと原稿も切られちゃうよ!!」
「止めないと!!」
あのまま二人が戦えば、純一のバッグが巻き込まれ、中にある漫画も切られてしまう可能性があるだろう。それを危惧したあんなとみくるは、ジオウとの戦いに参戦する決意を示し、二人はペンダントを手に取った。
「「オープン!ジュエルキュアウォッチ」」
その言葉と共に、ペンダントが光と共に飛び出し、時計型のアイテムとなって二人の手に収まると、それぞれ紫とピンクのマコトジュエルを装填する。
「「プリキュア!メイクアップタイム!!」」
マコトジュエルを装填した二人は、横ピースで宣言する。
「「サン!」」「見つける!」
ジュエルキュアウォッチの針を3時に合わせ、瞳とヘアスタイルが変化。
「「ロク!」」「向き合う!」
針を6時に合わせると二人の身体が光に包まれ、コスチュームを身に纏う。
「「キュー!」」「奇跡のふたり!」
針を9時に合わせると、ブーツとグローブを装着する。
「くるっと回して」「キュートに決めるよ!」
針を11時まで回すとアクセサリーやケープなどを整える。
「どんな謎でもはなまる解決!名探偵、キュアアンサー!!!」
「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵、キュアミスティック!!!」
名乗りをあげたあと、二人は靴音をならして歩き、手を繋ぐと、高らかに声を張り上げた。
「「名探偵プリキュア!!」」
そして、ミスティックは靴音をならして踵をそろえると、指を指す。
「私の答え、見せてあげます!」
アビスと戦いながらその光景を目にしていたジオウは、一言。
「長い変身だなぁ……」
グランドジオウになる際の自分も大概だが、プリキュアの場合、基本形態からこれなのだろうか?と場違いなことを考えてしまったが、いっても仕方ないだろうと余計な考えを切り捨てると、ジュウモードに切り替えたジカンギレードをアビスにむけ、引き金に指をかける。
その時、アンサーとミスティックの声が聞こえてきた。
「待って!」
「そのままだと、純一さんのバッグに当たっちゃう!!」
「ポチィ~」
「は?」
二人と一匹の声に、訳がわからずにアビスを見るジオウ。確かに、アビスの片手には紫色のバッグが握られているが、あれが何だと言うのか分からない。何処にでもありそうなバッグにしか見えないのだが……。
「すみませんね。私の目的はマコトジュエルの回収。出来れば速やかに済ませたいのでね」
その時、アビスがアビスバイザーにカードを装填する音が聞こえてくる。ジオウ達の視線がそちらに向かうと、津波と共にアビスが契約した巨大やサメの姿をしたモンスター【アビソドン】が現れた。
「さ、サメ~!?」
「ポチポチぃ~!?」
アンサーとポチタンの驚愕の声が聞こえてくる。しかしジオウはそれを無視して、次にやって来る攻撃を迎え撃つため、ジュウモードに切り替えたジカンギレードな“フォーゼライドウォッチ”を装填した。
放たれたミサイルが水流を迎え撃ち、アトリエ内に盛大な爆発を起こした。
現実世界。
「おいおい、こりゃどうなってんだぁ?」
ゴウエモンはアトリエの窓ガラスを小突きながら呟いた。
ミラージュの書に現れた記述に従い、マコトジュエルを探し求め、新入りの推理により先回りしたことで、マコトジュエルが宿っていると思われる漫画の原稿が入った鞄を盗もうとしたのだが、そこにタイミングよく名探偵プリキュアの二人が現れたかと思ったら、窓ガラスから現れた鮫のような怪物がバッグを盗み取り、名探偵プリキュアも、続けて現れた青い髪の男も窓ガラスの中へと吸い込まれるように消えていった。この理解不能な現象の連続に、流石のゴウエモンも困惑を隠せない。
「……」
一方、純一が取り違えたバッグの中に食パンが入っている事から、本物のバッグがアトリエにあることを推理したるるかは、一連の出来事をみて顎に手を当てて考え込んでいた。
「るるか?」
側で浮遊しているマシュタンが見上げて声をかける。るるかはパートナーを一瞥したあと、再びアトリエに視線を向けた時、紫色の瞳を僅かに開いた。
「わぁっ!!」
「きゃっ!!」
「ポチ!」
「ッ!」
「グゥッ!!!」
アトリエの窓ガラスから、五つの人影が飛び出してきた。
大技同士の衝突の際に起こった爆発によりミラーワールドから弾き出されたアンサー、ミスティック、ポチタン、ジオウ、アビスは地面を転げ回る。
「こ、今度は何……?」
「戻ってきたんだよ。現実の世界に」
怒涛の展開に目を回すミスティックの言葉に淡々と告げたジオウは、目の前で立ち上がる。
「見て!純一さんのバッグ!」
アンサーが指し示す方に、ミスティックとジオウの視線が移る。その時、ヒラリと羽織を翻しながら降り立ったゴウエモンが、そのバッグを拾い上げた。
「「あぁっ!!」」
「とんだ横槍が入っちまったみたいだが、マコトジュエルはいただいていくぜ!!」
ゴウエモンは踵を返して走り出そうとした時、ゴウエモンの前に巨大な影が現れた。アビスが召喚したアビソドンだ。
アビソドンは唸り声を上げてゴウエモンを威嚇したかと思うと、アビソドンは頭部からノコギリのような刃を出現させ、ゴウエモンに襲いかかったのだ。
「おっと!誰だか知らねぇが、ここは押しとおらせてもらうぜ!!」
ゴウエモンは高く跳躍し、アビソドンの一撃を回避する。そして、アビソドンが未だに唸り声を上げているのを見て、扇子を開く。
「嘘よ、覆え!来やがれ、ハンニンダー!!!」
ゴウエモンが振るった扇子から、桜吹雪が舞う。桜吹雪は、バッグの中にあった茶封筒──漫画を覆い尽くすと、漫画に宿っていた黄色いマコトジュエルが闇に覆われ、桜と共に巨大な何かが現れた。
「ハンニンダァー!!!」
奇怪な雄叫びを上げて現れたのは、漫画のような姿をしたシルクハットとマントを着けた怪物、ハンニンダーであった。
同時に、ジオウは空間に妙な反応があることに気付くと、ハンニンダーと、ハンニンダーを追いかけようとしたプリキュア達の姿が消えた。
ハンニンダーの直ぐそばにいたアビソドンは、標的を見失いキョロキョロと辺りを見渡しており、それを目にしていたジオウとアビスも驚きを露にした。
「消えた!?これは一体……!?」
「空間操作……?何はともあれ、これで君に集中できる」
ジオウの視線がアビスに向けられる。アビスは、やれやれと言わんばかりにアビスセイバーを手に取ると、彼の背後にアビソドンが降りてくる。
唸り声を上げてくるアビソドンを見て、ジオウはふと、視線を下ろして、ジカンギレードを持つ手とは逆の手に握られた
(使えば来るのかな……いや、安易に使うべきじゃないかな)
頭の中に過った考えを断ち切り、ジオウはエゴルギアをしまった瞬間、アビスの剣がジオウに襲いかかる。ジオウはそれを地面を転がりながら回避すると、新たなライドウォッチを取り出した。
ジオウは龍騎ウォッチを取り外し、ディケイドライドウォッチをジクウドライバーに装填してドライバーを回転させる。
ディケイドアーマーに変身したジオウは、先程取り外した龍騎ウォッチを、ディケイドウォッチに装填する。
ジオウのボディと仮面のモニターが【仮面ライダー龍騎サバイブ】のものとなり、装甲の文字も『リュウキ』『サバイブ』に変化したことで、ジオウは【ディケイドアーマー龍騎フォーム】へと姿を変える。
ライドヘイセイバーとドラグバイザーツバイを手にしたジオウは、アビスの振り下ろしたアビスセイバーを受け止め、アビスと剣戟を繰り広げながら、アビスにむけて言葉を投げ掛けた。
「プリキュア達をミラーワールドに引きずり込んで、何をするつもりだったんですか!?」
「フン。プリキュア達など、オマケにすぎない。我々の目的は、マコトジュエルのみ!!」
「っ!」
アビスセイバーの一撃に、ジオウは盾にしたライドヘイセイバーから火花を散らせて後退する。
「マコトジュエル…やっぱり、プリキュアと接触しないと分からないことだらけだね!」
今後の方針を取り決めつつ、ジオウはライドヘイセイバーとドラグバイザーツバイを交差して、突撃してくるアビソドンの刃を受け止める。
交差した剣を振り抜き、アビソドンを押し返すと、ライドヘイセイバーにRXウォッチをセットし、針を動かしてライダーを選択する。
ライドヘイセイバーの刀身に光が灯り、ジオウは迫りくるアビソドンに向けてライドヘイセイバーを振り下ろした。
「しゃあっ!!!」
振り抜かれた一閃が、アビソドンの体に亀裂をいれる。アビソドンは奇怪な断末魔を上げ、盛大な爆発を起こす。
アビスがその光景に動揺した隙を見逃さず、ジオウはディケイドライドウォッチのボタンを押し、中国拳法のような構えをとりながら腰を下ろす。
「はぁっ!!」
ジオウは地を蹴って飛び上がる。
身体が炎に包まれ、右足を突き出してキックの体制をとると、アビスに向かって急降下した。
「だああぁぁぁっ!!!」
「ぐぁああああああっ!!?」
ジオウのキックが炸裂し、アビスは身体から爆発を起こして吹き飛ばされた。
着地したジオウはゆっくりと立ち上がると、爆心地に視線を向ける。そこには、破損したアビスのカードデッキの破片が錯乱しており、更にその側には、一体の怪人が立っていた。
「アンデッド……」
黒い身体をした虫のような怪人──【パラドキサアンデッド】は、身体から緑色の血液を流しながら入間から距離を取っていくと、出現したオーロラカーテンの向こうへと消えていった。
カードデッキも契約モンスターも破壊した以上、深追いする必要はないとジオウがそれを見送った時、空間に異常を感じて振り向く。
すると、そこにはいつの間にかキュアアンサーとキュアミスティックの姿があり、近くに建てられた建物の屋根の上に、ゴウエモンの姿があった。
「楽しませてもらったぞ、プリキュア!また合い間見えようぞ!」
その言葉と共に、ゴウエモンは桜に包まれて消えていく。
ジオウはその光景を目にすると、コツコツと靴音を立てながらアンサーとミスティックの元に歩み寄る。
プリキュアへの変身を解いた二人が振り替えるのと、ジオウがあんなとみくるの前に辿り着いたのはほぼ同時だった。
「君達がプリキュア……この世界の戦士で合ってるかな?」
「えっと、貴方は……?」
困惑したような視線をジオウに向けるみくる。あんなも似たような表情だ。
ジオウは知らないような人をみる目をされて戸惑うが、自分が今、ディケイドアーマー龍騎フォームの姿であることを思いだし納得する。基本形態や他のライダーアーマーとは似ても似つかないこの姿を見れば、別人と思うのも無理はないかもしれない。
ジオウはジクウドライバーに手を伸ばすと、それを取り外して変身を解いた。
「あぁっ!貴方!!」
「この間の!!」
「ポチィ~!!」
驚きを露にするあんなとみくる、そしてポチタンを目にして、入間は僅かに頬を緩める。
(さて、これからどうなるのやら……)
入間がこうして直に相対した時点で、この世界の歴史は正史から外れ始めているのだろう。
これまで、異世界に迷い込んでなんらかのゴタゴタに巻き込まれることは多々あったが、自ら積極的に異世界の事情に関わろうとするのはこれが始めてだ。本来の道筋が分からないこの世界で、異物である入間が介入したことでこの世界にどんな未来があるのか、入間ですら予想ができない。
入間は空を見上げ、これから起こる不確かな未来に不安と期待を抱き、不適な笑みを浮かべた。
プリキュア達はジオウがアビスを相手してる間にハンニンダーを倒しました。
次回は互いに情報共有する回になります。
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