悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME 作:MTHR
ギャバン・インフィニティのVシネに出てくるギャバン・エタニティも気になりますけど、ビスカトニック星団事件の真相も気になりますね。
仮面ライダーマイス……ネズミのライダーということでトムとジェリーを連想させましたが、十二支がモチーフなのは以外に思いました。
入間Aは今、魔具研究
「僕が入間Bを殺した?」
アスモデウス、クララ、るるか、響から告げられた言葉に、入間Aは訳が分からないというように困惑する。
「知らないわけ?アンタ、入間Bに戦い吹っ掛けてたんじゃない」
「いや、知らないよ?僕はずっと校内にいたし、外でそんなことが起きてるなんて今始めて聞いたよ。第一、何でそんなことを?」
その通りである。入間Aは人を殺すことに躊躇を持つこともないが、何の不利益ももたらさなければ、殺意の一つだって向けられていない相手を殺すなんてするわけがない。それではただの殺人鬼だ。
「とは言え、あれは確かにイルマ様A、そしてその上……」
アスモデウスは
「やだ~!この子可愛い~っ!」
「この子、何て名前なの?」
「えっと…ク魔ちゃん」
「デビシンプル~!だけど可愛い~!」
「フン、お子ちゃまね」
【ハルノ】【アヅキ】【コナツ】【ドサンコ】と言った女生徒達に囲まれたオトメン系の入間──イルマEと名付けられた入間は、クマの縫いぐるみを抱き締めながらえへへと笑う。
また別の場所では……
「あっ!イルマくんだ」
「……フッ」
「「「「きゃああああああああっ!!!!」」」」
後ろ髪が内側にカールし、鼻もシャープになった入間──イルマDが、自信の名前を呼んだ生徒に向けて笑みを浮かべると、途端に黄色い歓声が上がる。
「質が落ちてる……」
るるかがポツリと呟く。
ただでさえ三人に増えるだけでも驚いていたのに、一人消えて二人増えたなんて笑い事ではない。このまま増え続けてこの学校が入間で埋め尽くされるんじゃないかと思うと、入間Aは冷や汗が止まらなかった。
「兎に角、僕は入間Bを殺しては……」
「ソイツじゃないわよ」
そこで、今まで興味がなさそうに入間Aの横でお茶を飲んでいた霊夢が口を挟んできた。
確信を持っているような声に、一同の視線が霊夢に向けられる。
「根拠は何だ?」
「勘よ」
「勘っ!?」
あまりにも突拍子のない確信に、思わず響がツッコミを入れる。すると、今度はるるかが顎に手を当てながら考え込んでいると、突如ハッと小さく目を開けた。
「どうしたの、るるか?」
「霊夢の言う通り、犯人は別にいる」
「だから、根拠は……」
「ついてきて」
マシュタンを抱き抱えたるるかは何処かに向かってあるいていく。
認識阻害もしてないのに、悪魔が出歩く校内を彷徨くのは危険であるし、何より『犯人』という言葉にひっかかりを覚えた入間A達は、急いでるるかの後をおっていった。
荒れ果てた荒野の中を、二つの小さな影が歩いている。
金髪の少女──ユエは、森のなかで出会った最愛の人とよく似ている少年の手を引きながら、当てもなく荒野を歩いていた。
ユエは雲に包まれた空を見上げると、手を引いている少年に視線を下ろした。
「……森を抜けた。貴方、道を知ってたの?」
実は、ユエがあの森を抜けたのは偶然ではなかった。出口を探して彷徨っていた所、森のなかで出会ったこの少年は、「こっち」と言ってユエを導いた。訝しげに思っていたユエだが、それに従った結果、この森を抜け出すことができたのだ。自分が時間がかかっても抜け出せなかった森を抜け出す道を簡単に造り出せた事に、ユエは嬉しさよりも不気味さを感じずにはいられなかった。
「……」
そんなユエの質問に、入間似の少年は首を横にふった。その様子に、ユエは口を開こうとした時、突如振り返った少年が声をあげた。
「お姉ちゃん!!」
「っ!?」
咄嗟にユエは少年を突き飛ばして飛び退くと、何者かが飛び掛かってくる。
そこにいたのは、複数の初級インベスが、唸り声をあげながら屯しており、さらに無数の初級インベス達がやって来るのを見て、ユエは即座にウィザードライバーを腰に巻く。
「変身!」
ウィザード・フレイムスタイルに変身したユエは即座に飛び出し、初級インベスに蹴りを加える。幾度も蹴りが炸裂して初級インベス達が後退していると、やがて初級インベスの一体がその蹴りを受け止め、そのスラリとした足に爪を突き立てた。
「ッ!」
仮面の下で一瞬だけ顔を歪めるも、ウィザードは構わず足を一度引き、強烈な蹴りを加える。初級インベス達は呻き声をあげて後退すると、ユエは足に炎を纏わせる。
「はっ!」
炎を纏った回転蹴りが炸裂し、初級インベス達は悲鳴を上げ、跡形もなく消滅した。
敵がいないことを確認したウィザードは変身を解くと、右足に痛みを感じて視線を下ろす。そこには、初級インベスの爪によって刻まれた爪痕から、ダラダラと血が流れていた。
「お姉ちゃん!血!血が出てるよ!」
「このくらい問題ない」
少年が駆け寄ってくるが、ユエは何でもないように答える。すると、ユエが受けた傷がみるみると塞がっていき、数秒後には何もなかったかのように足の傷が消え去っていた。ユエの持つ固有魔法“自動再生”により、一瞬にして傷が消え去ったのだ。
「えっ?」
「……行こう」
「う、うん」
ユエは驚く少年の手を引いて、道なきを道を歩き始めた。
悪魔学校の屋外のベンチに腰掛けながら売店で購入したお菓子を口に放り込む入間C。その時、芝生を踏みしめる音を耳にして振り向くと、そこには入間A、アスモデウス、クララ、るるか、霊夢、響の姿があった。
「あら、皆お揃いでどうしたの?」
首をかしげる入間Cに、るるかは目を細めた。
「単刀直入に言う。入間Bを殺した犯人は……あなた!」
るるかの言葉に、一同の目が見開かれる。当然ながら、入間Cは困惑したようか声をあげる。
「ちょっと、何を言ってるの?私は入間Bを殺してなんてないわよ。その時のタイミングで来たんだし、他の入間達に聞けば、そこにいたのは私じゃないって」
そこで、るるかの言葉が入間Cの声を遮った。
「あの時、貴方は髪を耳にかけていた。それは男ならやるはずのない仕草。それに、入間Aがこの一ヶ月間で一度も見せたことがない」
「それだけで私だなんて……」
「それに、DとEが来たとき、あの場にいたのは霊夢と入間Cを除いて私達だけ。何で貴方が、二人が来たタイミングを知っているの?」
「ッ!!」
今度こそ、入間Cは口を紡いだ。そして、しばらくの沈黙のあと、ため息をはき、艶やかな仕草で髪をかきあげた。
「あ~ぁ、何でばれちゃうかなぁ……」
その言葉をもって、その場にいた全員が、彼女が真犯人であることを確信した。入間Aは、ジクウドライバーを手にしながら問いかけた。
「僕の姿を真似して、入間Bを殺ったって訳だ。何でわざわざ僕を貶めるような事をしたの?」
入間Aの問いに、入間Cは同じ様にジクウドライバーを取り出しながら、挑発的な笑みを浮かべた。
「……簡単な話。私は鈴木入間。他に入間はいらない。この世界の王になるのは……私ってわけ」
「なら……!」
二人の入間がジオウライドウォッチを取り出した時、室内の方から、落ち着いた男性の声が聞こえた。
「手伝いましょうか?ただし、AもBも関係ありませんがね」
案の定、そこには白髪の青年──正義の姿があった。
「おいおい、何の騒ぎだよ?」
「あっ!悪~いイルマち!」
「バカ者!イルマD様だ!!」
そこへ、校舎から入間Dが現れた。入間Dは、まるで状況が分からないと言うような表情をしながら、正義に視線を向ける。その視線を向けながら、正義は入間達を指差した。
「戦争を始めましょう。貴方達、全次元の鈴木入間に挑戦します」
「それってつまり、全ての鈴木入間を消すってこと?」
「その通り。全ての鈴木入間を倒すことが、私のミッションです」
そう言うと、正義は仮面ライダーゼッツのゼインカードを取り出し、そのカードが光を放ちながら、ゼッツドライバーに変化すると、正義はそれを胸に取り付けた。
「なんだか知らねぇけど、売られた喧嘩は買うぜ」
その挑発を受けて、入間Dはジクウドライバーを取り出す。
対する正義は、インパクトやバリアよりも大型で左右にプロペラのような装飾を持つ“デュアルメアカプセム”を取り出すと、それをゼッツドライバーに装填する。
セットされたカプセムのメアトリガムを、握った右拳で叩くようにして押し込む。
「……変身」
周囲に黒いモヤが広がり赤、青、緑、紫の四色の光がカプセム中央の風車から吹き出すと、それがやがて竜巻のようになって莫を包み込む。
筋骨隆々を体現するかの如き上半身、長く伸びたアンテナと大きくなった金の頬当てが特徴の姿──【仮面ライダーゼッツ・カタストロム】に変身する正義。
同時に、入間Dはジオウライドウォッチを装填したジクウドライバーを回転させ、「夜露死苦」という文字のエフェクトを背負いながら走り出す。
「おらぁっ!!」
バイクのような音と共に仮面ライダージオウに変身した入間Eの拳が突き刺さる。しかし、ゼッツはそれを片手で受け止めると、カウンターに拳をつきだした。
「ぐほっ!!?」
凄まじい衝撃に、ジオウDは殴り飛ばされて地面を転がった。
入間Aはジクウドライバーを取り出そうとするが、それを寸前でるるかに止められ、戦いの行く末を見守ることにした。入間Cも同じようで、腕を組みながら静に佇んでいた。
「ふんっ!おりゃあっ!!」
「……ッ!!」
「がはっ!?」
ジオウDの拳の連打を片手でさばき、ゼッツは再び拳によるアッパーを放つ。ジオウDは海老反り宙返りをしながら地面に倒れるが、すぐに立ち上がって殴りかかる。
「ぐふぉっ!!?」
しかし、それもアッサリと受け止められ、ゼッツの拳を受けたジオウDは地面を転がる。
「Eliminate the distortion.」
その言葉と共に、デュアルメアカプセムの中央部「デュアルヘリクス」が軋みつつも自動で青い面に変化する。
セットされたカプセムのメアトリガムを、握った右拳で叩くようにして押し込む。
4色の光が回転し、カタストロムの瞳の色が落ちて黒くなる。
その後、肥大化した装甲の隙間から溢れたオレンジ色の光を塗り変えるように緑色の光が外骨格を形成、半透明になったカタストロムの装甲が弾け飛び、最後に再び瞳が緑に輝きマスクを覆っていた装甲が剥がれ落ちて変身が完了する。
上半身を中心に青緑のラインが走り、何処か近未来的な外見の「骨」を模した外骨格が付与された【オルデルム】に変身したゼッツは、地面に手を叩きつける。
「ぐはっ!?」
地面から飛び出した柱がジオウDに直撃し、ジオウDは地面を転がる。
「この野郎…!」
ジオウDは立ち上がり、ジオウライドウォッチを起動してジクウドライバーを回転。足にエネルギーを纏わせて飛び上がる。それをみたゼッツは、デュアルメアカプセムのボタンを3回押す。
アナトマイズストラクチャーを6本足のパーツのように展開し、足に纏わせてライダーキックを放ち、ジオウDのキックを迎え撃ち、二人のキックがぶつかり合う。
しばらくの拮抗の末に、ゼッツのキックがジオウDに炸裂した。
「ぐぁああああああああっ!!!!」
爆発を起こしたジオウDが倒れると、その身体から金色の粒子が溢れ出す。
「がっ……あっ……」
ジオウDの変身が解けた瞬間、入間Dは黄金の粒子となって、消えた。
ゼッツはカプセムを取り外して変身を解くと、その手に持っていた
「……続きは明日。その時こそ、全ての次元をかけた戦争を終わらせる」
その言葉と共に、正義は踵を返して去っていった。
真夜中。
道なき道を進み続けるうちに日は沈み、ユエは少年と共に夜営の準備をしていた。魔法でつけた炎で暖を取りながら、ユエは少年の質問に答えていた。
「へぇ~、お姉ちゃん!その人の事が大好きなんだ!」
「……ん。入間は本当に素敵。勇敢で強くて優しくて、時々見せる容赦のなさもまたギャップがあってカッコいい。なのに前に悪ドルのライブに出ていた時の女装もまた食べちゃいたくなるくらい可愛いくて素敵。私以外にもいっぱい彼女いるけど、それもまた入間の甲斐性の証。まさに最高最善の彼氏。でも時々打たれ弱いときもあって、私が側にいて支えてあげないとダメな所もあるから(以下略)」
少年に語るのは、殆んどユエの惚気だった。
最初こそ、少年の異常性に警戒していたユエだが、少年からはまるでといっていい程に悪意を感じず、少しだけではあるが、ユエは彼に心を許すことにしていた。
「いいなぁ~、僕も名前ほしいなぁ~」
虚空を見上げて呟く少年に、ユエはトリップを止めて少年に視線を下ろすと、少年は何か思い付いたようにユエをみた。
「ねぇ、お姉ちゃん!僕にも名前つけて!お姉ちゃんが大好きな人の名前と同じがいい!」
「入間の名前を?貴方に?」
ユエの目がわずかに細められる。赤の他人に最愛の人と同じ名前をつけるのは些か気が乗らない。
しかし、目の前にいる少年があまりにも入間に似ていることや、少年の純粋な青い瞳をみていると、何故だかユエは強く言い返す事が出来ず、渋々承諾した。
「……別にいい」
「うん!じゃあ僕は今から入間だ!」
「…それでいいの?」
「うん!」
満面の笑みを浮かべる少年──【入間】に、ユエは少し考えたのちに、フッと笑みを浮かべると、入間の頭を優しくて撫でた。
翌朝。
入間Aは窓の外に広がる光景を眺めながら、深いため息を吐いた。
「なんか、ゴメンね。こんな事に巻き込んだみたいで」
入間Aは振り替えると、るるか、霊夢、響に謝罪した。三人は本来、この事件とは全く関係のない部外者だったのに、自分を狙っていたアナザーオーマジオウという存在に呼び込まれたのだ。入間Aはそんなつもりもないのだが、彼女達からすれば巻き込まれたと言えなくもないだろう。
「……アンタには、ここに匿ってもらってる。謝られることじゃないし」
それに対し、響はそっぽを向きながら答える。
「ねぇ、アンタはあの正義とかいう奴に……」
「死なないよ」
霊夢の問いに、入間Aはキッパリと答えた。懐に手を伸ばし、オーマジオウライドウォッチを取り出す。
「いずれ僕が地獄に堕ちるのは、ずっと前から覚悟してる。だからと言って、死ぬつもりもない。僕には僕の大切なものがある。皆と一緒に過ごしていたいし、まだユエに…皆に伝えていない大切な想いがある。例え神だろうと世界だろうと、それを邪魔するなら抗うだけだよ」
今まで何人もの人間を殺してきた。地獄に堕ちる覚悟なんて、とっくの昔に出来ている。
だからといって、簡単に死ぬ気など欠片もない。たとえどんな理不尽があろうと、最後まで抗って、噛みついて、最後まで走り続けるのだ。
「………」
「るるか?」
るるかはアイスを食べながら、入間Aの背中をみていた。マシュタンが自信の顔を見上げて首をかしげると、るるかは懐に手を伸ばし、何かを取り出そうとした。
その時、学校中から、断末魔のごとき悲鳴が響き渡った。
正義は
同時に、屋外で屯していた初級インベスやマスカレイド・ドーパント、ワーム、ロイミュード、その他にも多種多様な怪人が校内に突撃してきた。
「いやぁあああああっ!!!」
「たすけてぇええええっ!!!」
校舎は一瞬で阿鼻叫喚となった。
怪物に襲われる者、逃げ惑うものの悲鳴が轟く校舎を見上げていると、正義の前に入間Cと入間Dが現れた。
「何のつもりよ、アンタ!」
「戦争ですよ。世界を蝕む悪意を滅ぼすためのね」
入間Cの言葉に答えながら、正義はゼッツドライバーを取り出した。
その時、入間Aとるるかと響の三人が、入間Cと入間Eの前に現れた。三人は、敵意を込めた目で正義を見ていた。
「何でこんなことを!」
響の問いに、正義は余裕綽々の態度で答えながら、大型のカプセムを取り出した。
「無数の世界がアナザーオーマジオウの力によって融合し、崩壊しようとしている。そして、アナザーオーマジオウの覚醒させないためには、全ての鈴木入間を消すしかない」
「…何故、アナザーオーマジオウは入間を?」
るるかがどうしても分からないこと。それは、アナザーオーマジオウなる存在が入間を狙っていることだ。
「ジオウ」という名前から、何か関係があるのは推測できるが、ライダーについての知識はないるるかには、情報が無さすぎてそれを推理する事が出来ないのだ。
「それは、アナザーオーマジオウは彼等がトータスで引き起こした戦いによって生まれたアナザーライダーだからですよ」
「え?」
「そして、鈴木入間を取り込むことでアナザーオーマジオウの力は完成する。そうなる前に、貴方を粛清する。それが私のミッションです」
そう言うと、正義はゼッツドライバーに、“エクスドリームカプセム”をセットする。
正義はエクストリガムを押して読み込むと、開いた右手の親指で唇をなぞるようにして体の左側に持っていき、硬く握りしめる。
「
カプセムの下端に手をかけて回転させる。
正義の周囲に無数の光が球状に広がり、全身を黒いモヤが包み込むと光がプリズム状に走った後体に集まっていき、全身のラインが色付きながら姿が顕になっていく。
最後に一気に光が収束し、複眼に赤い光が充填されるとともに、全身から飛沫のように虹色の光が迸る。
ベーススーツは黒。全身のラインやアーマーの色は金に赤のグラデーションとなっており、差し色に緑が使われている。また、各部のアーマーは『Z』を模した形となった【仮面ライダーゼッツ・エクスドリーム】に変身した正義は、拳を握りしめる。
それを目にした入間Aはジクウドライバーにジオウライドウォッチを装填し、響はシンフォギアのギアペンダント、るるかは首に下げたペンダントを「オープン」の言葉によってティアアルカナロッドに変化させる。
そして、三人は変身の構えを取った。
「──Balwisyall Nescell gungnir tron」
「シャッフル…………リバース」
「変身!」
「神秘と秘密で包み込む……キュアアルカナ・シャドウ!さぁ、迷宮へ誘いましょう」
響はガングニールを纏い、入間Aは仮面ライダージオウに、るるかはキュアアルカナ・シャドウに変身すると、三人はゼッツに向かって走り出す。ゼッツもまた、複眼を赤く光らせながら走り出し、ジオウと拳をぶつけ合った。
ジオウとゼッツが互いに後退した瞬間、続けて響とアルカナ・シャドウが拳と蹴りを繰り出し、ゼッツは両腕で受け止めると、四人は走り出し、激闘を開始させた。
校舎内では、正義が入り口を開けたことで侵入した怪物達は、食欲のままに悪魔達に襲い掛かろうとしていたが、それを阻むものがいた事により、次々と怪物達は撃破されていた。
「ふっ!」
「おりゃあっ!!」
アスモデウスが変身した仮面ライダーウォズと、クララの変身した仮面ライダーツクヨミが、次々と怪人達を倒していたのだ。そのすぐ側では、霊夢もまた、弾幕やお祓い棒を使って怪物達を撃破していた。
その時、背後から飛び出したワームが、雄叫びをあげて飛び掛かろうとする。ウォズが気付くも、僅かにタイミングが悪く、ワームの爪が降りおろされる、その時だった。
「“
黄金の狼の爪がワームを切り裂き、周囲の怪物達も全滅させた。
「エギー先生!」
「フン、この事態を生徒だけで解決できると思ったか?自惚れるな」
「素直じゃないなぁ、カルエゴ君」
カルエゴの隣に並びぶように、バラムも殺ってきた。視線を転じてみれば、他の教師陣も怪物達を相手にしながら生徒達の避難誘導を行っていた。
「我が
カルエゴは“ヴィジョンドライバー”と呼ばれるドライバーを取り出し、腰に巻きつけると、上部の生体認証装置「バイオメトリクサー」に親指を直に触れて指紋認証させる。
大機音鳴り響き、カルエゴは超薄型変身認証カード「プロビデンスカード」を取り出す。
「君達みたいな生き物は、駆除が必要なんだよね……!」
その言葉と共に、バラムは力を溜め、ポーズを取ると、腰の前で両腕を交差させる。
「……変身…!」
バラムの腰にアンクポイントが出現すると、緑色の光がバラムを包み、その姿が大きく変わっていく。緑の光が収まると、バラムの姿は【仮面ライダーアナザーアギト】のものへと変化し、アナザーアギトは拳を構えた。
「変…身…」
同時に、カルエゴはプロビデンスカードを「ヴィジョンリーダー」へスキャンする。
内部のヴィジョンドライバーの縮退炉「ヴィジョンリアクター」によって疑似的なブラックホールからダークマターを抽出しクリーンエネルギーに変換、装甲が装着され変身が完了する。
カルエゴは、装甲は金と白、下地のスーツは紺色をベースとした気品のある明るいカラーリングになっており、電子回路のような幾何学模様のラインが施され、複眼に当たる部分は紫で頭部にはバッタを思わせる触覚がある【仮面ライダーゲイザー】に変身する。
同時に、ゲイザーの肩や胸部・膝に装着された“ドミニオンレイ”が分離し、生徒達に襲い掛かろうとしていた怪物達の行く手を阻み始めた。
ウォズ、ツクヨミ、ゲイザー、アナザーアギトが並び立つ。ウォズとツクヨミとゲイザーはベルトを操作し、アナザーアギトは足元に出現させた紋章を足に集中させる。
「「「「……はぁっ!!」」」」
四人が光を纏わせた回し蹴りによる衝撃波が、怪物達を軒並み撃破させ、その後ろから襲い来る怪物達も断末魔の悲鳴を上げながら次から次へと消滅させた。
「……こっちは任せてよさそうね」
それを見た霊夢は、次々と怪物達を倒していく四人のライダーの姿を見届けると、窓を開けて屋外へと飛び出していった。
ジオウA、アルカナ・シャドウ、響の三人は、ゼッツに向けて次々と連続攻撃を繰り出す。対するゼッツは“ブレイカムゼッツァー”を手に、三対一という不利な状況のなかでも、優位に立ち回っていた。
「はっ!てやっ!!」
「ふっ!」
ジオウAとゼッツが剣をぶつけ合う。しかし、基本フォームであるジオウAと最強フォームのゼッツとではスペックが大きく開いており、ジオウAは徐々に後退させられていく。
やがて、ゼッツはブレイカムゼッツァーを振り上げ、ジオウAは大きく後退させられる。
その時、ジオウAの背後の影から、キュアアルカナ・シャドウの姿が飛び出してきた。
「ッ!」
アルカナ・シャドウの鋭い蹴りがゼッツに直撃する。
ゼッツの肉体でもかなりのダメージを受ける程の蹴りを受け、ゼッツはブレイカムゼッツァーを手放して大きく後退する。
「響!」
「ッ!」
アルカナ・シャドウの声に、ゼッツは後ろを振り替える。そこには、マフラーを風に靡かせて背後に回り込んだ響が拳を振りかぶっていた。
響は右腕のアーマーを変形させ、ブースター付のナックルダスターを形成させると、バーニアを噴射させて圧倒的な加速力でゼッツに拳を突きだした。
「おりゎああああああああっ!!!!」
響の拳がゼッツに直撃し、凄まじい衝撃がゼッツを襲う。確かな手応えに、響が勝利を確信した時──、
「あっ……」
その瞬間、時計の音と共に、響は意識が僅かに遠退いた感覚から脱して、前を見る。そこには、既にゼッツの姿はない。響が目を見開いた時、横から繰り出された拳により、響は地面を転がった。
ジオウとアルカナ・シャドウが駆け寄り、響が立ち上がりながら衝撃の来た方角を見ると、そこには無傷のゼッツが立っていた。
「今のは……!?」
「私という善意を倒せる夢でも見ましたか?」
その言葉と共に、ゼッツは手放したはずのブレイカムゼッツァーを手に走り出そうとする。
「「「「グォオオオオオオオオオオオオッ!!!!」」」」
その時、周囲の草むらから多種多様の怪人達が姿を現し、雄叫びを上げながら襲い掛かってきた。
「ッ!」
「余計な邪魔を…!」
4人は迎撃を余儀なくされ、互いの相手から目を離して、襲い来る怪物達を相手にする。しかし数が多く、ジオウ達は中々戦闘を再開させることが出来ないでいると、ジオウAを黒い影が覆った。
「ッ!……わっ!?」
敵かと思い剣を構えようとした時、飛び掛かって来た者の正体を察して剣を引っ込めると、その途端にその人影がのし掛かってきた。
背中を打ち付けた痛みに少しだけ眉を寄せていると、突如両手を捕まれて引っ張られる。同時に、何やら手に「ふにゅ」と柔らかい感触がしてきたことで、ジオウAは咄嗟に顔を上げた。
「入間……入間……♡」
「ゆ、ユエッ!?どうしてここに……ってそれより、手が……!」
「んっ♡寧ろ触って♡」
「いやいやいや、今状況考えて!?」
そこには、森を彷徨う中で騒音を聞き付けたユエだった。1ヶ月ぶりとなる彼氏の姿を見て我慢が出来なくなったユエは、ジオウAに馬乗りになり、その腕を自信に胸にあてがわせている。
しかもご丁寧に、結界を張って怪物達に邪魔されないようにしている。
「うわぁ……」
「ケダモノ……」
アルカナ・シャドウと響の視線がキツくなっていく。
ジオウAがなんとかユエを離れさせ、必死に二人に弁明をしていると、ユエが連れてきていた少年──『入間』がフラフラとやって来た。
「……」
『入間』はジーッと、ジオウAの姿を見つめている。
すると、『入間』の青い瞳が、血のように赤く不気味な光を灯していく。
『「思い出したぞォォォーーーーーー!!!!」』
「「「「「ッ!!!」」」」」
その瞬間、『入間』の体から赤い波動が吹き荒れ、一同に襲い掛かった。
衝撃を伴うその波動に襲われた怪物達は跡形もなく消滅し、ジオウA達は地面を転がり、変身が強制解除された。
「子供…?」
「まさかあれが……」
「アナザー…オーマジオウ……!」
「入間……!?」
『その通り……。お前のつけた名前は、合っている。私は『鈴木入間』だッ!!』
目を見開くユエの呟きに、とても子供とは思えない邪悪笑みを浮かべながら、雄々しい成人男性の声で答える『入間』──アナザーオーマジオウ。
正義は立ち上がりながら、忌々しげに表情を歪める。
「やはり、私が時空の狭間で共闘した別次元の鈴木入間を取り込んでいましたか……!」
『その通り。時空の歪みにより生まれ出でた私は、その力を安定させるための器が必要だった。そしてジオウの力を持つ鈴木入間を取り込んだ事で、私は思念体ではない……実体を持つ私へと昇華した!』
そもそも、アナザーオーマジオウはかつて入間Aが起こした戦いによって時空の歪みから生まれたイレギュラーなアナザーライダー。アナザーウォッチも存在しない彼は、次元の狭間から出られないはずの存在だった為に、あらゆる次元の存在をよびこみ続け、命を吸い取っていた。
しかし、ある事件で彼が呼び寄せた別次元の鈴木入間には、アナザーオーマジオウの元とも言える仮面ライダージオウの力が宿っており、それはアナザーオーマジオウにとって最高の養分だったのだ。
『だが、その結果私の力に耐えきれなかった鈴木入間の肉体と力は衰え、子供へと退行を始めたのだ。私の力を完全なものにするためには、さらに強い鈴木入間を取り込まなければならない。その為に、私は仮面ライダーの力を手にする入間を集めたのだ』
その時、入間Cと入間Eがその場に駆けつけるが、二人は混沌とした状況に困惑していた。
「何がどうなってんのよ……」
「……!」
その時、入間Eは腰にジクウドライバーを巻くと、ライドウォッチを取り出した。
ウォッチを装填してドライバーのロックを外し、抱きしめていたク魔のぬいぐるみを前に突きだすと、ぬいぐるみかま腕をパタパタと動かしながら浮遊し始め、入間Eの背後で巨大化する。
「変身!」
ドライバーを回転させると、ク魔ちゃんの胸に「ライダー」という文字が現れ、スーツが形成された入間Eの顔に張り付くことで、入間Eは仮面ライダージオウに変身する。
「……!フッ!はぁあああああっ!!!!」
ジオウEは拳を握りしめると、地を蹴って少年姿のアナザーオーマジオウに向かって飛び蹴りを放つ。
『フンッ!』
「ッ!うわぁああ……!!」
その瞬間、少年姿のアナザーオーマジオウは手をかざし、黄金の波動を放つと、ジオウEを吹き飛ばした。ジオウEは体から火花を散らしながら落下していくと、金色の粒子となって消失した。
『残るは二人……戦えッ!生き残った方が、私と一つとなる!そして私は…最高最善の魔王となる!!!』
少年のアナザーオーマジオウの声が響き渡る。
すると、入間Cがジクウドライバーを腰に巻き、ジオウライドウォッチを取り出した。
「……本気?そんな下らない戦いに参加してまで、入間は自分一人だと言い張りたいの?」
「……許してとは言わない。けど、やるしかない」
ジオウライドウォッチのベゼルを回す入間C。その時、地を蹴るような音と、烈拍の声が響き渡った。
「霊符『夢想封印』!!」
「ぎゃあああああっ!!!?」
飛来した弾幕が、入間Aの真横で火花を散らす。
二人の入間が振り向くと、そこには体を透明にする能力を持つ【バイオグリーザ】と呼ばれる怪物の亡骸が転がっていた。
すると、入間Aと入間Cの間に、フワリとリボンを揺らしながら降り立つ影があった。
「全く……世話焼かせないでよね」
「霊夢!」
「それで?この異変を起こしたのは誰なの?いい加減こんなところに閉じ込められてイライラしてんだから、キッチリ制裁を加えないと気が済まないわ…!」
「そ、そうなんだ……でも、ありがとう」
霊夢はお祓い棒とお札を手にしながら辺りを見渡す。どうやら、入間Aを助けに来たというよりも異変解決のためらしいが、それでも助けられたのは事実な為、入間は素直に感謝の言葉を口にした。
すると、突如として入間Cが、フッと笑みを見せた。
「……私の敗けね」
「えっ?」
「私は、自分が生き残って、自分が唯一無二と示したかった。けど、貴方には、本物かどうかも関係なく認めてくれる仲間がいる……」
入間Cは、るるか、響、霊夢を一瞥すると、踵を返して歩きだし、入間Aに向けて一言だけ告げた。
「後は任せたわ」
入間Cの姿が遠くなる。その光景を見つめていた入間A──入間に、後ろから声をかけるものがいた。
『お前が一番強い入間か……。ならば、その命を差し出せ!!』
その言葉と共に、少年姿の入間はポケットから何かを取り出した。
紫色の下地に、怪物の顔が描かれた時計──アナザーウォッチのボタンを押し、それを腰に当てると、黒い光と共に、少年の腰に黄金のベルトが現れ、禍々しい光が彼を包んだ。
アナザージオウにオーマジオウの要素を足した姿。金色の襷をかけ、後頭部に黒い髪が生えている姿──【アナザーオーマジオウ】は、ゆっくりと顔を上げた。
その時、入間の隣に正義が並び立った。
「命を差し出すのは、貴方です」
「正義さん……?」
「時空が歪んだ原因……それが姿を現した今、私のミッションもいよいよ大詰めです」
そう言うと、正義はゼインドライバーを取り出した。それをみて、るるかのそばで浮遊していたマシュタンが声を上げた。
「るるかの考えてた通りね!」
「どういうこと?」
「あの子を全滅させるのが狙いなら、最初から私達に接触する筈がない。彼の狙いは、鈴木入間を倒してアナザーオーマジオウを誘き出すことだったのよ」
「なにそれ?その為にどんだけ苦労したと……回りくどい!」
響が不満を口にするのを耳にしながら、入間は苦笑するとジクウドライバーとライドウォッチを取り出した。
「そう言うことなら……久しぶりに一緒に戦おうか、正義さん」
「えぇ、悪を倒すためならば協力は惜しみません」
二人は同時にベルトを腰にセットすると、それぞれライドウォッチとプログライズキーを取り出す。それに続くように、響はギアペンダント、るるかはティアアルカナロッドを手に取った。
「──Balwisyall Nescell gungnir tron」
「シャッフル…………リバース」
「「変身!!」」
「神秘と秘密で包み込む……キュアアルカナ・シャドウ!さぁ、迷宮へ誘いましょう」
戦闘形態に姿を変えた四人と、並び立つ霊夢。アナザーオーマジオウはそれを見下ろすと、指を鳴らして無数の怪人を召喚し、一斉に突撃させた。
そしてジオウ達もそれを迎え撃つように走り出し、大量の戦闘員を相手にパンチやキックを使い、次々と怪人達を撃破していく。既に幾度も相手にしてきた怪人達が何体こようと、彼らの相手ではなかった。
『ハァーーーッ!!』
そしてアナザーオーマジオウも飛び出すと、眼下にいたジオウに向かい、拳を繰り出した。
「ぐっ!?」
アナザーオーマジオウの拳に地面を転がるジオウ。
それをみたゼインは一枚のゼインカードを取り出すと、ゼインドライバーに装填した。
ゼインの手にブレイカムゼッツァーとエクスドリームカプセムが出現すると、ゼインはカプセムをセットして構える。
「はぁっ!!」
放たれた白銀の斬撃が振り抜かれ、怪物達は一撃のもとに全滅する。雑兵がいなくなったことを確認したゼイン、アルカナ・シャドウ、響、霊夢はアナザーオーマジオウとジオウに試験を向ける。
アナザーオーマジオウはゆっくりと歩きながらジオウに追撃を加えようとすると、ゼインは背後から拳を繰り出そうとする。
『はぁッ!』
「ぐっ!?」
その瞬間、アナザーオーマジオウは振り向き様に拳を当て、ゼインの体に衝撃波を送り込み、ゼインは火花を散らしながら後退する。
「はぁっ!はっ!」
『フンッ!はぁっ!』
「がはっ!?」
響も続いて拳を繰り出そうとするが、アナザーオーマジオウはそれを片手で受け止め、蹴りを繰り出して響を蹴り飛ばす。
続くように、アルカナ・シャドウが蹴りを繰り出すが、それもアナザーオーマジオウは片手で受け止めながら拳を繰り出してアルカナ・シャドウを吹き飛ばす。
遠方から霊夢が弾幕を飛ばすが、アナザーオーマジオウには全く効いておらず、衝撃波を飛ばして霊夢を打ち落とした。
『はははははは…!』
「はぁっ!」
『フンッ!』
「ぐはっ!!!?」
笑い声を上げるアナザーオーマジオウに向かって走っていくジオウに、アナザーオーマジオウは黒いオーラを纏った拳をカウンターで食らわせる。
ジオウが転がっていくのを目にして、アルカナ・シャドウ、響、霊夢の三人はアナザーオーマジオウを見据えながら並び立つ。
無数の漆黒の光線とお札が放たれ、その合間を駆け抜けながら、響がブースターが装備されたナックルダスターを構えて駆け出す。
凄まじい速度で迫りくる必殺技を前に、アナザーオーマジオウは腕を交差させる。
『ハァッ!!』
「「「ッ!?」」」
禍々しい黄金のバリアが、光線とお札、そして響の拳を止める。凄まじい衝撃波が中間点で起こり、やがてその力が暴発すると、響達は衝撃波に押されて後退した。
『貴様らは最早必要ない……ハァッ!!』
お返しと言わんばかりにアナザーオーマジオウが手を振るうと、黄金の衝撃波と共に、地面を伝達するように爆発が次々と巻き起こる。凄まじい速度で襲いくる衝撃波と爆発は一瞬にして三人を飲み込んだ。
「あぁぁあああっ!!!!」
「うぁああああっ!!!!」
「うぅっ!!!」
悲鳴と共に、三人の体が地面に叩きつけられる。るるかと響は変身も強制的に解除され、身体中に傷を負った三人の姿が露になった。
「るるかさん!響さん!霊夢さん!ユエェッ!!」
「…!ん、んっ!」
ジオウはユエを呼びながら三人のもとに駆けつける。呆然としていたユエもすぐに駆け寄ると、二人は即座に再生魔法による治療を行おうとする。
「しっかり!今治療を……」
るるかのそばに駆け寄ったジオウが彼女に手をかざそうとした時、突如伸ばされたるるかの手が、ジオウの装甲を掴んだ。
「ッ!?」
仮面の下で目を見開くジオウ。るるかは、力の入らない身体を無理矢理起き上がらせながらも、真っ直ぐにジオウを見据えて、ふるふると口を動かした。
「私は……エクレールの……マコトジュエルを……だから……!」
何を言っているのか、言葉の意味を含めてジオウにはさっぱりだった。しかし、その瞳には、言葉で言い表せぬほどの強い何かがあることに、ジオウは無言で彼女の瞳を見つめていた。
「アンタに……任せる……」
「…負けたら……ただじゃ済まさないわよ……!」
ユエの治療を受けていた響と霊夢が続くように告げると、二人は目を閉じて力なく倒れる。
ジオウは二人に視線を転じたあと、再びるるかに視線を向けると、自信の胸元を掴むその手に自身の手を重ねると、しっかりと握りしめた。
「君達のその怒り……僕が預かる!」
その言葉を耳にした瞬間、るるかは目を閉じる。
ジオウの手を掴む手の力が緩み、ゆっくりと倒れこむるるかの元にマシュタンが駆け寄ると、ジオウはユエに三人の治療を一任させ、アナザーオーマジオウのもとへと向かっていく。
アナザーオーマジオウと交戦して苦戦を強いられていたゼインは、背後でアナザーオーマジオウに向かっていこうとするジオウに視線を向けると、あるものを取り出して、手を伸ばした。
「入間くん、これを」
「ッ!?」
思わず足を止めたジオウが、前に出された物に目を向ける。それは、赤い下地に銀のベゼルを持つ見たことのない戦士のマークと『2026』の年号が記載された時計──ライドウォッチだった。
「ライドウォッチ!?どうしてこれを……!」
「別次元の貴方に託されたものです。彼の言っていた然るべき人は……君しかいないでしょう」
「仮面ライダーじゃない?どんなアーマーになるんだろう……!?」
ジオウは恐る恐るそのライドウォッチ──“ギャバン・インフィニティライドウォッチ”を手に取ると、そのウォッチが淡く光りだす。すると、ジオウの腕のライドウォッチホルダーに嵌められていたブランクウォッチの一つが、突如光り輝いた。
二人の視線がウォッチに集まると、赤い光と共に、ブランクウォッチの見た目が変化した。
赤い下地に青みがかった緑色のベゼルが取り付けられ、『2026』という年号と角の生えた獣のようなエンブレムが刻まれたライドウォッチをみて、ジオウは驚きながらそのライドウォッチをホルダーから取り出した。
「なにこれ……!?」
「どうやら、力が開花したようですね」
それを見ながらゼインは二枚のブランクカードを取り出す。するとそのカードに【宇宙刑事ギャバン・インフィニティ】と【キャプテン・オメガホーン】の姿が写し出された。
「これを使いましょう、入間君」
「よく分かんないけど……わかった!」
ジオウはゼインの言葉にうなずくと、ギャバン・インフィニティのベゼルを回し、ライドオンスターターを押す。
ライドウォッチをD'3スロットに装填してライドオンリューザーを押すと、ロックが外され、ジオウはベルトを回転させる。
「ギャバン」という文字が飛び出し、赤いアーマーがジオウの前方に現れる。
蹴り飛ばされたアーマーがアナザーオーマジオウにぶつかりながら四散すると、目映い光と共に、ジオウの体に装着された。
アーマーを纏い、ジオウは【宇宙刑事ギャバン・インフィニティ】を模した赤いアーマーに、両肩に“エモルギア”というアイテムに似た装備が纏われ、顔には「ギャバン」という文字が記載された姿に変身した。
アーマータイム。それはレジェンドアーマー装着のコマンドだ。
では、その変身プロセスを、もう一度見てみよう!
ライドウォッチを装填されたジクウサーキュラーが、回転することでライドウォッチのデータを同心円状に展開。
僅か1ミリ秒でジクウマトリクスにより装備が実体化され、アーマーを装着するのだ!
新たなジオウ──【仮面ライダージオウ・ギャバンインフィニティアーマー】はジカンギレードを召喚する。
続けて、ゼインは新たに手にしたカードのうちの一枚──ギャバン・インフィニティのカードを横向きにして、ゼインドライバーに装填。レバーを引くことでカードが裁断され、ゼインはゼインプログライズキーを押し込む。
ゼインの手に、“ギャバリオンブレード”と呼ばれる剣と、“ギャバリオントリガー”と呼ばれる銃が具現化される。二つの武器をまじまじと眺めたあと、ゼインはジオウに呼びかけた。
「行きますよ、入間君!」
「うん!なんか、スッゴくギャバいね!」
ジオウとゼインは剣を手に走り出す。アナザーオーマジオウは両手を広げながらゆっくりと歩きだし、二人が振り抜いた剣を受け止める。
「はっ!」
『ヌゥッ!?』
その瞬間、ゼインのギャバリオントリガーがゼロ距離から発射され、アナザーオーマジオウは火花を散らしながら後退する。
ジオウはそれを見ると、胸部のアーマーにある円形のマークに触れる。
紫色の短剣型デバイス“ギャバリオンセイバー”が武装され、ジオウはギャバリオンセイバーを✕字に振り抜く。
『ぬおぉっ!!?』
✕字型に刻まれた紫の斬撃が、アナザーオーマジオウの装甲に亀裂をいれた。
『バカな……!?この私が何故……!?』
「知らないの?戦いは常に、ノリの良い方が勝つってね!」
『ぐはっ!?』
ジオウがアーマーに備わったブースターで加速し、新たに装備した“ギャバリオンドリル”をアナザーオーマジオウの装甲にぶち当て、高速回転するドリルでアナザーオーマジオウを吹き飛ばした。
「では、私もこれを使いましょう」
ゼインが呟くと、彼が手にしていたギャバリオントリガーに強化アタッチメント「EXアタッチメント」が合体された“ギャバリオントリガーEX”が装備される。
フォアグリップにあるトリガーボタンを長押しする事でエネルギーがチャージされ、ゼインは引き金を引いた。
「御天道様を怒らせた貴方に、正義の裁きを下しましょう!」
オレンジ色のレールショットガンが放たれ、一直線にアナザーオーマジオウに迫る。アナザーオーマジオウは障壁を張って防ごうとするが、あまりの威力に障壁がひび割れ、あっという間に突破された。
『ぐぉおおおおおおっ!!!?』
アナザーオーマジオウは全身から火花を散らして後退する。
頃合い見計らったジオウは、ジカンギレードをジュウモードに変形させると、オメガホーンライドウォッチを装填する。同時に、ゼインも新たなゼインカードを装填・裁断する。
その瞬間、炎と共にジオウとゼインの背後に巨大な影が現れた。
「グォオオオオオオオッ!!!!」
赤の体色でライオンと鹿とベヒーモスを併せたような姿をしており、名前がさす通り、大きく発達したゆらめく炎の様な角を生やしている角獣──【角獣王 炎角】は、天に向かって雄叫びを上げる。
対するアナザーオーマジオウはベルトの両端に手を添え、全身に凄まじいエネルギーを纏うと、背中にある時計の指針のようなマントを展開して飛び上がる。
『はぁああああああああっ!!!!!』
黒黄金の光を纏いながら飛び蹴りを放つアナザーオーマジオウ。
対するジオウとゼインは、己の手にした武器をアナザーオーマジオウに向けると、炎角の背中に装着された“オメガホーン・ファイター”に、真紅のエゴルギアが装着される。
ジオウとジカンギレードと炎角のオメガホーン・ファイターから青白い光線が、ゼインのギャバリオントリガーEXからオレンジのレールショットガンが放たれ、アナザーオーマジオウのキックを迎え撃つ。
二つの技がぶつかり合い、凄まじい衝撃波が広まり、周囲に爆発を起こす。
「入間ッ!!!」
るるか達三人を治療していたユエが、その光景に悲鳴を上げた。
その時、その声を耳にしたアナザーオーマジオウの視線が、ユエに向けられた。人体模型のように不気味な顔にある瞳と、ユエの瞳が一瞬だけ交差する。
「「はぁ!!」」
『ぐぉあああああああああああっ!!!?』
その時、ジオウとゼインと炎角の光線が威力をまし、アナザーオーマジオウは爆発を起こしながら吹き飛ばされた。
『……フ、フフフ……私を倒したか…!だが、これは始まりに過ぎない……鈴木入間……!』
地面に倒れたアナザーオーマジオウが、身体からバチバチと火花を散らしながら起き上がると、ゆっくりとジオウを指差す。
『お前は……この世に存在してはならない…!…お前がいる限り、終わりがくることはない……!フフフ……ハハハハハ……ハーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!』
高笑いと共に仰向けに倒れた瞬間、アナザーオーマジオウの身体は凄まじい爆発を起こした。
ジオウとゼインは、その爆炎を静かに見つめ続けていると、紫色の波動が世界中に広がっていく。
ジオウ達が辺りを見渡すと、目の前に広がっていた広野がノイズを走らせながら消えていき、とても懐かしい…恋い焦がれた魔界の空が広がっていた。
「終わったんだね……」
「そのようです。私もこれでミッションを遂行できた」
ゼインはそう言いながら踵を返して歩きだすと、彼の目の前に銀色に揺らめくオーロラが現れた。するとゼインはオーロラの前で立ち止まると、
「今回な出来事は、時空の歪みにより生まれたアナザーオーマジオウが時間と空間の不調和によって起こったある筈のない戦い。私は兎も角、貴方達は事件が終われば、全てを忘れてしまうでしょう。当然、この事件に巻き込まれたるるかさん達もね……」
「やっぱり……。まぁ、彼女達には彼女達の物語があるからね」
短い間ながらも、本の少しだけ共闘することができた三人の少女。彼女達を忘れてしまうとなると、少しだけ寂しさが残る。
だが、自分の居場所が魔界であるように、彼女達には彼女達自身の『物語』があるのだ。
「君も、まだ戦いを続けるの?」
「全ての世界の悪意を根絶する。それが私の使命ですからね」
「そっか。僕の力が必要になったら、いつでも呼んでよ。すぐに駆けつけるから」
「ありかたく受け取っておきます。その時が来れば、また一緒に戦いましょう」
そう言うと、ゼインは変身を解き、正義の姿となると、オーロラカーテンの向こうへと消えていった。
「入間!」
虚空に消えたオーロラカーテンを見つめていたジオウも変身を解くと、後ろから声をかけられ振り向く。そこには最愛の吸血姫であるユエと、彼女が治療した三人の少女が自身のもとに歩み寄ってきていた。
「それでどうなの?異変解決したのよね?」
「そうみたい……ん!?」
その時、入間が視線を下ろして目を見開く。なぜなら、視線の先にあったるるか、霊夢、響の足が、ゆっくりと透明になっていっていたのだ。
「体が……!?」
「……たぶん、私達の世界に戻る」
目を見開く響の隣で、るるかが冷静に分析する。すると、るるか抱きしめているマシュタンに視線を下ろす。その視線を向けられたマシュタンは即座にるるかの意図を理解すると、あるものを取り出した。
「貴方に渡すものがあるわ。受け取っておきなさい」
そう言ってマシュタンが取り出したものを手に取ったるるかは、あるものを入間に差し出した。
「ライドウォッチ!?」
「どうしてそれを……!?」
そう、るるかが差し出したのはライドウォッチだったのだ。
しかし普通のライドウォッチと違いベゼルが存在せず、ジオウⅡウォッチの“D'9サイド”のような形状をしており、黒い下地に紫色の線でキュアアルカナ・シャドウの顔が刻印されていた。
「あっ、それ……」
「よく見れば似てるわね」
続けて、響と霊夢も同じような時計──ライドウォッチを取り出した。
響が持つものはジオウⅡの“D'3サイド”のように側面にダイヤルがついており、そこには紫色の装甲とマスクが取り付けられた響の顔が描かれている。
霊夢の物は灰色のブランク状態のウォッチだが、普通の形状とは異なり大型で側面にダイアルがついたジオウトリニティのような形状をしている。
「二人まで……!」
「この世界に来たときから、ずっと持ってたの。なんで持ってたのかは分かんないけど」
「これがなんなのかは分かんなかったけど……アンタにあげるわ」
二人も同じようにそのライドウォッチを差し出す。それを受け取った入間はそのウォッチをまじまじ眺めていると、笑みを浮かべて
「うん、ありがとう」
「全くよ。こんなわけ分かんない場所に巻き込まれて、あんなバカみたいに強いのと戦って、本当に厄介な異変だったわ」
「まっ、最終的に帰れるんだし、チャラにしとくけど」
「魔界のアイス、悪くなかったわ」
「……」
口々に呟きつつも、彼女達の顔にはそれぞれ僅かながらに笑みが浮かべられていた。
やがて紫色の波動が自分達の真横を通りすぎていくと、彼女達の体が足先から薄くなっていく。消えていく彼女達を見据えながら、入間は隣に並び立ったユエの手を繋ぎながら、小さく呟いた。
「いつか、未来で………」
その瞬間、入間の意識は遠のいて───、
「────あれ?」
悪魔学校の校門の前で、入間は目を瞬かせた。
辺りを見渡せばいつもと何ら変わらない、悪魔学校の校舎と、思い思いの形で下校したり、残って活動を続ける生徒達の姿。
「入間?」
隣で手を繋いでいたユエが、不思議そうな顔で自分の横顔を見上げてくる。
「ユエ?僕達、さっきまで何してたっけ……?」
「……?私達、二人きりで下校してた。変な入間」
さもありなんと言うように答えるが、何だか釈然としない。記憶を辿れば、確かに二人で下校するために待ち合わせをしていた記憶があるのだが、どうにも違うことをしていた気がしてならない。
「あれ?これ……」
その時、入間は懐に違和感を感じて取り出してみると、そこには見慣れないライドウォッチが幾つかあったのだ。手に入れた覚えのないウォッチをまじまじと眺めていると、校舎の方から声が聞こえてきた。
「イルマ様ぁーー、!!」「イルマち~~!!」
「入間さ~ん!」「イ~ルく~ん!」「ご主人様よぉー!妾達をおいて二人で逢い引きとはズルいのじゃ~!妾も参加させておくれーー!!」
アスモデウスとクララの声に続いて、シア、ミレディ、ティオの声が聞こえてくる。何時も聞いている筈の声なのに、何故かとても懐かしく感じるのは何故だろうか?取りあえず、今はそれよりも……
「ティオ……あの変態はいつもいつも……」
「……んっ。入間、行こう」
ユエが入間の手を引いて後者の方に戻っていく。
入間はそれを見て、僅かに笑みを浮かべながらウォッチをしまうと、悪魔学校から飛び出してくる五つの影を向かえるべく、ユエと共に歩き始めた。
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