ステラバース   作:猫間黄泉

4 / 8
第四話「フォアモスト」

 受け付けを済ませた私達は、中央タワーから出て左側を歩いて行った場所にある、第一戦闘場「フォアモスト」に向かう。

 

「アンズ、私迷いそう……」

 

 広く、複雑なレダンズ内を歩きながら言う。

 

「大丈夫。私の手を離さないで」

 

 アンズは私の手を強く握る。

 

「うん、ありがとう」

 

 少しすると、大きなドームが見えてきた。レダンズは中央タワーを囲むように戦闘場が5つ繋がっている場所らしく、このドームはおそらくフォアモストだろう。

 

 私達がドームに入ると、目の前の画面から音声が流れる。

 

「受付番号-10486-、受付番号-10487-、入場を確認しました。左手の階段から5階にお上りください」

 

 画面にも同じ文章が書かれている。どうやって確認したんだろうか?

 

 言われた通り階段を登ると、コロシアムのように円形に囲まれた戦闘場が見える。

 

 観戦席は1/3くらい埋まっている。

 

「一万人くらい居るのに、結構席空いてるんだね」

 

「今は自由観戦の時間帯だから、あまり有名な人達は見れないけど、普段と違って料金が要らないんだ。いつもは予約しないと絶対入れないんだけどね……(人数が多すぎて)」

 

「そうなんだ……」

 

 戦闘が娯楽として盛ん……

 

 ようやく意味が分かった気がする。この世界での戦闘は、スポーツなんかと同じような公式競技になっているんだ。

 

 私達は受付時に言われた席に座って一息付く。

 

「私の家からレダンズまでは少し遠いから、疲れたでしょ?」

 

 アンズはそう言って、私の肩に寄る。

 

「えっ? まぁ、疲れたけど……」

 

「少し休んでて。時間的に今は休憩時間だから、試合が始まるのはあと20分後くらい」

 

 アンズがそう言うと、自分の太ももを指差して……

 

「ここ、頭置いていいから」

 

「い、いや! 大丈夫だよ!」

 

 私は遠慮したけど……

 

「遠慮しなくていい」

 

 アンズが無理矢理、反対の肩に手を寄せて私を倒す。

 

「ほら、ゆっくりして」

 

 アンズの太もも……柔らかい……

 

 少し恥ずかしがりながらも……眠くなってしまう。

 

「アンズ……私寝ちゃいそう……」

 

 アンズは私を見下ろして、少し笑った気がする。

 

 アンズの笑った顔、初めて見た……かも?

 

「いいよ。寝ても」

 

「試合が始まる前に起こすから」

 

 その言葉に甘えて、私は目を閉じた。

 

 アンズの柔らかく、甘い服の匂いが、さらに私の眠気を誘う。

 

 アンズの口ずさむ歌にトドメを刺された私は、ゆっくりと意識が遠のいて――

 

「ら〜ら〜……」

 

「……寝た?」

 

 アンズは、あなたの頭に手を置いて、優しく撫でる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。