「んん……」
ピー――
耳鳴り……?
何だろう……
「起きて……!」
「はっ!」
私はその声を聞いて、飛び起きる。
「あれ……病院……?」
私は辺りを見渡すと、そこは病室だった。
隣には、心配そうな顔をするアンズ。
「アンズ、大丈夫?」
「こっちのセリフだよ」
あ、そうだった……
「あなたが無事で良かった」
アンズはずっと私の手を握っていたのか、左手が汗ばんでいる。
「アンズ……私、どれくらい寝てた?」
「2時間くらいだよ」
「もしかして……ずっと私の手を握ってたの?」
「うん、そうだけど……」
アンズは私の左手がびしょびしょになっている事に気づいていないみたい……
「それよりアンズ、一体何があったの……?」
私はフォアモストでの話を聞いた。
「……長くなるよ」
「うん、いいよ」
アンズは恐る恐る話し始める。
「ダリヤが背後に来た瞬間、私はあなたを突き飛ばしたけど……間に合わなくて、銃弾があなたの脇腹に掠ったの。あなたはただの人間だから、あの銃弾を掠ったのに生きてるのが奇跡だよ」
「まぁ、私の治療が効いたのもあるけど……」
「ダリヤが何で私を狙ってるかは聞かないで」
「悪い知らせがあるの」
アンズがそう言うと、私の目を見て……
「私が
「え……?」
アンズが指名手配……? 何で……?
「だから、しばらく私はここを離れるよ」
そんな……
「安心して、あなたはここに居れるはずだから」
「何で……指名手配されたの!?」
「銃を撃つ瞬間、ダリヤが……私に姿を変えたの。それで、あなたを傷つけたのが私だって事になってる」
私は真剣な表情で言う。
「私も連れて行って」
その言葉を聞いたアンズは、酷く驚いた顔をしていた。
「ダメだよ。あなた、殺されちゃうよ」
「いいよ。私はアンズと一緒に行く」
引き下がらない私に、降参したようで……
「なんで……? 私には分からない」
「だって、アンズは私を特別だと思ってる」
「何言って……」
「左手を見たら分かる。アンズは、会った時からずっと私の手を掴んでる。それに、私へのスキンシップも多い」
「私を……信頼してくれてるんでしょ?」
その言葉を聞いたアンズの右目からは、涙が流れていた。
「気づいてたんだ」
ダッダッダッ……
何? 足音……?
「逃げるよ」
アンズは私の手を引っ張って、窓から出る。
「追っ手が来た」
アンズは私を背負って、体勢を取る。
「な、何?」
「しっかり捕まってて」
アンズがそう言うと、涙が垂れる右目をゆっくり閉じる。
紅葉がひらひらと落ちたその瞬間。もの凄い轟音と共に、私達は全く別の場所に居た。
「ごめん。少し強引だった」
アンズが私に謝る。
「私は大丈夫だけど……今のは?」
「対象の過去が見えるって言ったでしょ? 私は自分の過去の記憶を元にテレポートした」
そんなことまで出来るなんて……やっぱり人間じゃないな……
「だからこの左目は泣くことも出来ないんだけどね……」
アンズが何か呟いた気がするけど、周りの音であまり聞こえなかった。
ここは……さっきまでとは違って、凄く現代的な街だ。
一体どこまで飛んだんだろう?