ステラバース   作:猫間黄泉

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第八話「スターノックス」

見覚えのある建物…「スターノックス」と言うカフェに入る。

 

 私はお金の心配をして、アンズに聞こうとしたら、私の言葉を遮って……「お金は――」

 

「安心して、私が奢るから」

 

 そう言うと、アンズと私は席に座って、メニュー表を見る。

 

「ここのチョコパイ、好きなんだよね。あなたも食べる?」

 

 アンズはそう言って、メニュー表の左下を指差す。

 

「じゃあ、私も同じのを貰おうかな」

 

 注文が終わり、待っている間――

 

「ごめん。こんな事に巻き込んで」

 

 アンズは申し訳なさそうに私に謝る。

 

「あなただって、帰りたいはずなのに……」

 

 そういえば……帰るのにはどうすればいいんだろう? でも、あんなクソみたいな仕事に行かなくてもいいならこのままでも……

 

「全然いいよ」

 

 私がそう返すと、「でも……」とアンズが口にしかけた所で、注文した物が届いた。

 

 アンズは言葉を引っ込めて、吸い寄せられるようにチョコパイに手を持っていく。

 

 手に持ったチョコパイを美味しそうに頬張るアンズを見て、私は微笑みながら、釣られて自分のチョコパイに手を伸ばす。

 

 私は手に取ったアツアツのチョコパイを口に頬張ると、口の中でチョコが蕩ける。それに呼応して、私の顔も蕩ける。

 

 アンズは私の顔を見て、「美味しいでしょ?」と尋ねる。

 

 私は思わず、「美味しい!」と叫んでしまった。

 

 店内が静まり返った。死にたい……

 

 叫んだ私を見て、アンズは顔を逸らしながらクスクスと笑っていた。

 

 不思議と嫌な気分にはならなかった。それは――

 

 いつも無表情なアンズが、しっかり笑っていたからだ。何故だか、笑っているアンズを見ると、嬉しくなってしまう。

 

 ……どうしてなんだろう。私――

 

「助けてください……!」

 

 考え事をする私の耳に入ってきた声。丁度私達の隣にある窓越しに聞こえてくる。

 

 その声を聞いたアンズは、「行こう」と一言私に放って、店を出る。

 

 急な展開に、私は驚いたけど……アンズの後に続いて店を出る。

 

 店から出て左の方を見ると、助けを求める声の主と話しているアンズが見える。それを見て、急いで私はアンズの方に駆け付ける。

 

「すみません、助けて頂けませんか……!」

 

 そう言っている男の人に、アンズが「どうしたの?」と返すと、男の人は……

 

「家の猫が行方不明で……!」

 

「分かった。いつから居ないの?」

 

 アンズの質問に、「昨日の夜から姿が見えないんです」と男性が答えると……アンズは「あなたの家を教えて」と、デリカシーが欠如しているような事を言い始めた。

 

 男性は困惑して、「本当に教える意味があるんですか……?」と聞くが、アンズは急かすように「早く、痕跡が消える」と言う。

 

 それを聴いた男性は、押しに負けたのか……「分かりましたよ……」と不満そうにしながら歩き出す。

 

 私はその男性に一言挨拶して、現在の状況を聞きながら3人で歩き始める――

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