ティオネは激怒した。
必ず、かの年増エルフを排除しなければならぬと決意した。アマゾネスには恋愛がわからぬ。いや、恥を忍んで言うなればティオネには恋心がわからぬ。
オラリオに来たばかりで調子に乗っていたメスガキな自分をわからせた年上の小人を自分の雄と認めてから早数年、幹部クラスにまで上り詰めて少なくとも確かな時間で交際(交流)を続けてきた。
しかし、ティオネは恋に盲目すぎて近くに居たハイエルフが恋敵だと気付かなかったのである。灯台下暗しとはこの事か
ロキ・ファミリアにはハイエルフが2人いる。リヴェリアとアスラである。
彼女等は知的で、荒くれが多いこのオラリオという都市の中で珍しく高度な教養と品性を保ち都市中のエルフから慕われている。
リヴェリアはアイズの育ての親と言っても過言ではない位に面倒を見ている。アスラもまた然り。故に気付かなかった。
ティオネはあまり頭が良くない。高度な戦術も機転を利かせる言動や行動も分からない。しかし、これだけは分かる。ティオネは、ティオネ・ヒリュテは負けたのだと
オラリオは今日も騒がしい。昼間から冒険者が今日の稼ぎで酒を飲み、市場では人の往来が絶えず活気が溢れている。
しかしこの酒場では世紀末のような空気が漂っていた。
「……………」
「……………」
「…………ねぇ」
「なにさ」
「……………」
「……………」
「あのさ」
「うん」
「何がいけなかったのかな…」
「(うわ、めんどくさ)」
「団長と出会ってからさ、団長に頼ってもらえるように頑張って身なりとか言動とか気を付けてきたの」
「うん」
「苦手な料理とかしてみたり好意だって私なりに全力でストレートに伝えたと思っている」
「そうだね~」
「団長が小人の象徴になって再興を目指してるのも知ってた。だからいつかはこの恋を諦める日が来るって何となく分かってた。」
「フィンの夢だもんね」
「わたしはアマゾネスだから、団長と子を為しても小人は産まれない。だから団長が連れてきたのが小人だったら私もしょうがないって納得出来てたの」
「………」
「けどさ、こんなのってないよ…」
「ティオネ…」
「どうして…どうしてアスラなの!!!」
「アスラはエルフじゃん!小人じゃない!わたしがロキ・ファミリアに入る前からの仲なのは知ってる」
「うん」
「夢は!?象徴は!?小人の希望になるんでしょ!?」
「うん」
「だったらわたしでも良かったじゃん!!」
「うん………」
「どうしてなの!?どうしてフィンの隣にいるのはわたしじゃないの!?!?」
「ティ、ティオネ…」
「うわああああああああああ!!!!!」
「………」
「わたしに必要だったのは勇気なのかな…」
「え?…」
「関係を壊してしまうのが怖くて、どうしても一歩踏み出す事が出来なかった。団長に拒絶されたらとか怒られたくなくて、タラレバばっかりで勇気が出なかった。まだその時じゃないって無意識に足踏みしてた。けどアスラは踏み出した。お酒の力もあったからかもしれない。タガが外れてたのかもしれない。けどアスラは冒険をしたんだ。決死の覚悟で進んでいったんだよ」
「うん…」
「だからフィンはアスラを受け入れたんだ」
「さすがにそれは…」
「あーあ、なんかもうどうでもいいや」
「…ティオネ?」
「団長も、ファミリアも、オラリオも、もうどうでもいいや」
「大丈夫?酔ってるよね?」
「よってませーん」
「酔ってるよね」
「酔ってない」
「酔ってる」
「…うるさい!あっちいけ!!」
「ほら、帰るよ」
「うるせえ!さわんな!」
「ほーら、行くよ」
「やめろ!まだのみたりねえんだよ!」
「すいませーん、お会計で」
「おい!はなしきけよ!」
「ほーら暴れない暴れない」
「うわあああ!!」
「……………」
「やーいペチャパイ!貧乳!まな板!断崖絶壁!ロキ!」
「……………」
「なんか言い返してみ「あ、フィンだ」え!?どこどこ!?団長!?!?」
「嘘だよ」
「…………」
「…………」
「「殺す!」」
おしまい
腐のフィンさんは攻めだけどNLになると受けだと思う