レフィーヤはエルフである。
エルフとは基本的に潔癖症で他種族を見下す傾向にあり、他者との接触や肌を晒す事への嫌悪が強かったりする。知らんけど
レフィーヤはエルフである。しかしエルフとて童貞処女のままこの世を去るわけではない。同族と婚約する者も居ればヒューマンと婚約する者も居る。ハーフエルフがその例である。種族的に同族かヒューマンとしか子を為せないのでその他の種族はドンマイである。
レフィーヤには好いている人物が居る。その人物は同じファミリアの剣姫アイズ・ヴァレンシュタインである。アイズには色んな感情があるが、正直めっちゃ好きだ。アイズが男性だったらと有りもしない想像をした事もある。エルフとは…?
レフィーヤには好敵手がいる。あの憎き白兎である。最近は学区の後輩であるハーフエルフを誑し込んだクソクソクソクソヒューマンだ。なのに向こうはレベル5で相変わらずお人好しの人気者だ。死なない程度にコロコロしてやりたい腕を2.3回くらい折ってやりたい…
いくら心の中では愚痴ったって現状は変わらない。現実逃避しちゃ駄目だ。けれど、どうして…
「どうして好きになっちゃったんですかリヴェリア様!?!?!?!?!?!?」
それは朝の食堂での出来事だった。久方振りの遠征を控えたロキ・ファミリアでは、皆がワクワクそわそわしていた。初めてとなる派閥連合での遠征であり、レベル7が複数同行する事実、かの神時代の象徴であるゼウス・ヘラファミリア以来の60階層へのアタック未だロキ・ファミリア面々が見たこともない正しく"冒険"をする事に浮き足立っていた。
フィンもまた遠征を待ち侘びていた一人だった。紆余曲折ありアスラと結ばれた後の初めての遠征。さながら気分は新婚旅行である。
そんな中、一人のエルフが爆弾を落とした
「リヴェリアに好きな人が出来たぁ!?」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」」
「うみゅう…」バタン
「あ、アリシアー!!!」
「レフィーヤが死んだ!?」「アイズがナイフで机を切り裂いた!?」「誰かアミッドを呼んでこい!」「女神の黄金もだ!」「ロキが息をしてないぞ!」
「お、お前たち、声が大きいぞ…………」////
ソーセージを突き刺す筈だったフォークを左手から抜きながらフィンは指示を出す
「総員注目!今日の予定は全部白紙にする!幹部とレフィーヤはロキの部屋に集合!他の幹部候補は門番と部屋の護衛だ。その他の団員は別命あるまで自室で待機!」
「「「「「り、了解!」」」」」
ーロキの部屋ー
「で?リヴェリア、どういうことなん?」
ロキの部屋に集まっている面々はリヴェリアの方を見る。部屋の隅っこで正座しているアスラを無視して。
「…………どう、とは?」
「いやいや今さらしらばっくれるのはナシやろ?こんだけ騒ぎ起こして何もありませんでしたーってみんなは納得せんやろ」
「それは、そうだが…」チラチラ
「ん?なんやアスラの方を見てどないしたん?」
「その、直接話すのはアレなんだ…」
「アレ?」
「面と向かって話すのは恥ずかしいんだ…!だからアスラを介してなら話せる…筈」
「…しゃーない、フィン」
「ああ」
そう言うとフィンは脚の痺れを回復魔法で癒しているアスラの方へ足を向ける。
「アスラ、頼めるかい?」
「もち!」グッ
「こら」ポコッ
「あてっ」
「リヴェリアー?ホントにこの体勢じゃないと話せないの?」
「ああ、頼む」
「じゃあ質問どーぞ」
「「「「「「……………」」」」」」
まるで二人羽織のような姿勢でアスラを盾にしてリヴェリアは座り込む。なんかすごいシュールな光景だった。
「えー、じゃあ質問するよ。リヴェリア」
「ゴニョゴニョ」
「なんでも良いって」
「じゃあ単刀直入に聞こう。君の好きな人はエルフか?」
「ゴニョゴニョ」
「違う」
「ンーそうか、そうかぁ…」
「じゃあ次はウチや、その好きな人はオラリオにおるんか?」
「ゴニョゴニョ」
「居る」
「そうなんや」
「次はワシじゃ、そいつは冒険者か?」
「ゴニョゴニョ」
「そうだ」
「ほう、そいつは強いのか?」
「ゴニョゴニョ」
「強い」
「あー!ガレス2回連続で質問した!罰として1回休みね!」
「うるさいバカティオネ!」
「バカってなにさ!じゃあリヴェリア、その人の種族は?」
「ゴニョゴニョ」
「ヒューマンだって」
「ヒューマン!?」
「オラリオに居る上級冒険者でヒューマンなんてそうそう居ないわよね…?」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ」
「レフィーヤ?大丈夫?」
「え、いやまさかそんな…………」
「レフィーヤ!」
「は、はい!なんですか!」
「次、アンタの番だけど?」
「え!?あ、はい!」
「え、えっと…(何を質問すればいいの!?)」
「レフィーヤ?」
「あ、えっとですね(もうどうなってもいいや!)」
「レフィーヤー?」
「リヴェリア様!今から大変無礼な事を話します!処罰はなんなりと受けるので答えてください!」
「ゴニョゴニョ」
「分かった」
「リヴェリア様の好きな人は…」
「ゴクッ」
「ベル・クラネルですか!!!」
「「「「「!!!!!」」」」」
「ゴニョゴニョ」
「なんて?」
「ゴニョゴニョ」
「…………そうだ、だって」
・・・・
「「「「「えええ!?!?!?」」」」」
「ふひっ」バタン
「レフィーヤー!?」「うそやろ?」「兎野郎かよ!?」「本当か…!?」「リヴェリアが、ベルのこと好き…?ベルがリヴェリアに食べられる…?あ、あはは」「アイズが壊れたー!?」「今の悲鳴はどうしたんすかってえええーー!?」
「…………ハァ」
ロキの部屋はもうめちゃくちゃだ。この様子では明日にでも噂は広がっていくだろう。かつて都市中のエルフから追い詰められた先駆者としてフィンはもうベル・クラネルの無事を祈ることしか出来なかった
戦争遊戯でベルに惚れた女の子はたくさん居ると思います