ロゴス先生のちょっと(かなり?)変わった子育て方法 作:青瑠璃
しかし、私が心配していたイタズラ親子の話は途端になくなった。
ロゴスが教育方針()を変えたのか、ヴェールを訓練室に連れて行ったり、後方支援部の仕事を見学させたりしているらしい。周りからの反応は上々で「ヴェールくんはなんでも興味を持って話を聞いてくれました」と多くの人がそう口々に言っていた。
そして一番大きな反応を見せたのは、病棟エリアの患者たちと話をしに行った時だったという。病気や怪我で苦しんでいる患者たちに親身になって話を聞いたり、背中をさすってあげたりしていたのだそうだ。特に患者の子どもたちと一緒に遊んであげたのは評価が高かったようである。
そこでロゴスがまた執務室に来て私にこう提案してきたのだ。
「ヴェールを簡単な作戦に参加させてはくれないか?」
ロゴスの突然の思いつきかのような発言は時々私を驚かせる。だが、人手は多くあった方が助かるし、アーツ適性検査は既に済ませてあるので、私は試しに簡単な作戦にヴェールを編成してみたのだ。
結果は上々であった。一緒に同行した戦隊メンバーたちもヴェールを高く評価し、際立ったイタズラをしたり嫌なことを言ったりもしなかったのだという。ただ皆口を揃えて言うのは「ちょっと無口」というだけで。
何より故郷についてや家族についてはほとんど語りたがらず、愛想よくニコリと微笑むばかりだったという。確かに、ロゴスも以前は故郷の話をしたがらなかったとは聞いたことはあるけれど、ヴェールもロゴスについてはスムーズに答えるのだそうだ。そこにはやはり、文字の読み書きを教えてくれたという話題もあったようである。
ヴェールが本当にロゴスの息子なのかはよく分からないが、私はだんだんと、仮に血が繋がっていない親子だとしても、訳ありでそのように育った子どもなら何も聞かずにロドスで受け入れよう、と思い始めていた。ケルシーも、戦力になるならなんでもいいと言っていたし、アーミヤは人に対して優しいし最初からすでに受け入れているのだと思う。私だけが拒絶反応を起こしていてもどうにもならないのだ。
それに、ヴェールもわずかだが鉱石病感染者ではあったし。
ロドスは鉱石病の研究所でもあり、鉱石病に苦しむ患者やそれをどうにかしたいと思う者たちが集う志の高い製薬会社なのだ。私があれこれと疑ったり差別なんかしていたら、誰も救えない。
そうして私は心のモヤモヤに決着をつけ、溜まりに溜まった仕事を片付けていると、すっかり夜中になっていたことに気がついた。色々と考え過ぎて根を詰め過ぎたのかもしれない。少し気分転換をしよう。
私はロドスの甲板へ出て外の空気を吸い始めた。よく晴れた空で星がいくつも瞬いている中、誰かがいる気配がしたのだ。