【悲報】マチアプしたら元親友のTS娘が来たんだが【結ホモ】   作:霧切キリコ

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元親友編
マチアプしたら元親友のTS娘が来たんだが


 

マチアプして待ち合わせ場所で待ってたら知り合いが来た。

それも、いつの間にか疎遠になっていた元同級生で俺の…親友だったヤツ。

その顔を見てすぐに思い出した俺は学生時代に幾度と呼んだその名前を口にしていた。

 

「おまえ…光か?」

 

「え…?」

 

俺が名前を呼ぶと同時になんで私の名前を知っているんだと言わんばかりに困惑した様子で固まる彼女。

どうやら向こうは覚えていないらしい。

黙って逃げちまえば良かったかな…いや、無理だろ。

 

どうしてこんな状況になってしまったのか、二時間ほど遡る。

 

 

 

⭐︎★⭐︎★

 

「お前、講義中なのにスマホいじって大丈夫なのかよ」

 

「んー、大丈夫だろ。てか星5出たんだけど、やばくね?」

 

俺、『牧村涼太』は退屈な講義をスマホをいじって過ごしていた。

こんな時間にやることといえばSNSかソシャゲだ。

最近始めたソシャゲのガチャで最高レアを引き当てた俺は思わず声が出そうになるのを抑えて隣の友人に自慢するように見せつける。

 

「お前やば!いいなー!」とヒソヒソ声で興奮する友人を横目に、俺はどこか冷めたような、心ここに在らずというような感じで憂いていた。

 

はあ、何でこんな俺の人生退屈なんだろ。

どうも最近は全ての出来事に熱が入らなくて一瞬で興味がなくなってしまう。

 

昔よりも今の方がもっと充実してるはずなのに。

 

高校生の時の俺は、ヒョロヒョロで視力が悪くて所謂もやしメガネって奴だった。

もしかしたら陰で「チー牛」なんて呼ばれていたかもしれない。

そんな自分を変えたくて、大学に上がると同時にジムに通い、いつもの千円カットをやめ美容室に行って眉毛と髪を整えて、スキンケアをしてコンタクトを付けて。

そんな努力が実を結んで世間一般で言う「清潔感」のある男になった。

塩顔が流行っているのも俺にとって追い風で、サークル内でちょっとだけモテたりして彼女もこの一年で3人ぐらい作った。

 

高校生の時に考えていた大学生になったらやりたい事リスト。

彼女を作る、サークルに入る、酒やタバコを吸う、DTを捨てる。

 

そのどれもが叶った。

だが、どこか足りない。

心にぽっかりと穴が空いたような気分がここ最近ずっと続いている。

何か大事な物を無くしてしまったような、そんな気がする。

 

そういやあいつは今、どうしてるんだろう。

 

思い浮かんだのは、幼馴染で小学、中学、高校とずっと一緒だった親友の顔。

『浅野光』…卒業前に大喧嘩してそれから一度も会話せず、連絡先もSNSも全てブロックして疎遠になってしまった男の名前だ。

何で大喧嘩したのかはほとんど覚えていない。

特に大したことないようなしょーもない理由だった気もするし、俺が悪かったような気もする。

謝りたかったが、タイミングがなく、そのままお互い違う進路に進んでしまった。

 

今となっては他人のようなものだが、なぜか光のことを考えてしまっていた。

俺が覚えているあいつは、とにかくいい奴で凄い奴だった。

まず顔が良い。

儚げな美少年って感じで、頭が良くて運動もできて密かに女子にモテるのに、周りと遊ばずに陰キャの俺なんかと毎日つるんでいた変わり者。

劣等感はあったが、昔からの大事な親友だから俺も周りの目は気にせず一緒にいた。

 

そんな俺達の関係が少し変化したのは高校2年の夏頃だった。

光は、女になってしまった。

『TS病』と呼ばれる病気らしく、ある日突然ホルモンバランスがうんたらかんたらで男が女になっちまう最近巷で流行っている奇病だ。

10万人に1人がなるぐらい珍しい病気なのだが、光は運が悪くそれにかかってしまった。

因みに、現状の医療では治す術がないらしい。

 

最初、珍しく学校を休んだ光が気になり『大丈夫か?』とメッセを送ると『俺、女になったみたいなんだ』とそれだけ。

俺は冗談だろと思いつつも、流石に心配だったため早退して一人暮らしをしている光の家に行き、合鍵を持っていた俺は勝手に扉を開けてその姿を見た。

 

「涼太!?おま、学校だったはずじゃ…」

 

サイズの合わないぶかぶかの服に身を包み、一本だけ伸びたアホ毛が特徴的な長い艶やかな黒髪の見知らぬ美少女がそこにいた。

 

「おまえ…光…か?」

 

「っ!メッセ…見たんだろ?そうだよ…俺、光だよ」

 

あいつに妹はいない。

名乗ってもいないのに俺の名前を呼んだ。

外見も、全てではないが部分的に一致している。

 

これらの情報から認めたくはなかったが、目の前の女の子が浅野光その人物であったことは否定しようのない事実だった。

それでも俺は、ドッキリかなにかであって欲しかったが。

 

とにかくその日から光は不登校になってしまった。

それもそうだろう、クラスメイトからは奇異な目で見られることは間違いない、それだけじゃなく優しいこいつのことだ、一緒にいる俺まで迷惑を被ると思ったんだろう。

でも俺は、そんな光を見捨てずに来る日も来る日も懸命に励まして慰め続けた。

 

丁度もうすぐ夏休みだったのもあり、光が一人暮らしだったのが幸いして、俺はほとんどの時間を光の家で過ごした。

料理を作って、一緒にゲームをして…夜泣きするあいつの手を握りながら一緒に寝たりした。

まあ当然だが、そういうことは一切してない。

俺たちは、親友だったから。

 

そんな生活が暫く続いて。

 

「ありがと…涼太。俺…いや、()…受け入れるよ。この身体」

 

そうした俺の献身的な支えが甲斐あって、光は夏休みが終わる直前のある日を境に自分が女であることを受け入れるようになった。

慣れない化粧を始め、女物の下着や服を身につけるようになり、一人称も『俺』ではなく『私』に矯正した。

 

「本当に行くのか?別に無理して行くことないだろ」

 

「いや…行くよ。高校、卒業したいし…涼太と一緒に学校行きたい」

 

「そうか…まあ、光が決める事だしな」

 

日に日に変わっていく光を見て俺の心はなぜか複雑だった。

立ち直ったのは喜ばしい事だ。

でもこのままでいいのか?ずっと一緒にいた光がどこか遠い所に行ってしまうんじゃないかってそんな気がしてならなかった。

 

そんな俺の心境も知らず、光は堂々と学校に姿を現した。

驚愕するクラスメイトに先生が説明し終わると、最初は皆も困惑していたし、陰で揶揄うやつなんかもいたが、徐々に受け入れるようになった。

光は前よりも人気になり、俺以外の奴と話したりすることが多くなった。

寂しくはあったが、別に縁が切れたわけでもない。

休み時間ではいつも通り男子生徒からの視線を受けながらもご飯を一緒に食べたりするし、概ねいつも通りの学校生活をしていた。

 

男子からも「あんなのオカマだろ」と言ってたやつもいたが、そいつが光に告白している場面を見たことがある。

他の奴らも、「逆にアリじゃね?元から女みてーな顔してたし。それに元男だったら男が何されたら嬉しいかとかもわかってんだろ!例えば、ここの扱い方とか?」なんて下心を向けてるやつなんかもいた。

 

俺はそれに気分が良くなかったが、光の耳に入らないところで話しているし何か言うと光に迷惑がかかるかもしれないから黙っていよう。

と、良いように言っているがただクラスの奴に逆らうのが怖かっただけだ。

 

だけどある日の事だ。

いつもみたいに光と教室で話していると、いつもは話しかけてこないのにヤンキー3人組が俺たちに絡んできたのだ。

 

「なあ、お前らってヤったの?」

 

「は?」

 

「きゃはは!それ本人に聞くのやばいって!でも実際、ヤってるよな?どうだった?てかイく時ってどっちが気持ちいいん?」

 

やれ女はどこが感じるんだとか、元男なんだから胸ぐらい揉ませてくれよだの、よくもまあこんなに下品な事を次々と発せられる物だなと思った。

言い返してやりたかったが、その時の俺は臆病で小心者で何を言われたって耐えることしかできなかった。

それに耐えていれば、いつか向こうが飽きるからだ。

こんなふうに揶揄われるのも、光が男だった時から「お前らゲイなのかよ?」と絡んできたりする事があったから初めてではない。

光も俯いて黙ってはいるが、前と同じ様に相手が飽きるのを待っているに違いない、そう思っていた。

 

けど、最後に浴びせてきた言葉だけは違った。

 

「なあ、俺ともヤらせてくれよ。牧村のなんかよりもっと気持ちよくさせてやれるぜ?」

 

陽キャがそういうと、光が震えているのが分かった。

怒っているのか、悲しんでいるのかどっちかわからない。

 

けどそんな光の姿を見た俺はいてもたってもいられず、考えるよりも先に身体が先に動いていた。

 

「ふざっけんじゃねぇ!!」

 

「ふがぁっ!?」

 

気づいた時にはもう遅かった。

俺の右ストレートで、陽キャの顔面をぶん殴ってやったのだ。

おそらく人生で一番キレていた。ジムで鍛えた今の本気の力でも越えられないぐらいの力が出ていたはずだ。

そこからはもう、勢いだ。

 

 

「気持ち悪りぃ!光はなぁ!悩んで悩んで悩み抜いてやっと今を受け入れたんだ!自分が同じように女になって今みたいなこと言われてみろ!人の気持ちもわからないなら小学校の道徳からやり直してこい!クソが!」

 

「…涼太」

 

 

普段なら言い返す事もできない俺が慣れない大声で声が裏返りつつもガツンと言い返して、あまつさえぶん殴ってやったのだ。

それからは…案の定ボコボコにされて、先生が止めに入るまで終わらなかった。

 

そんな事件を起こして何の処分も下されない訳もなく、俺とヤンキー三人組が1ヶ月出席停止。

 

「ごめんな…私のせいで…」

 

光は凄く申し訳なさそうだった。

当の俺は全く怒ってなんかいなく、なんならあのヤンキーを吹っ飛ばしてやったのもあり晴れやかな気分だった。

 

 

「…なんで光が謝るんだよ。俺が勝手にやったことだろ」

 

「だって!あれはどう見ても私のために…」

 

「いいって!…次謝ったら怒るからな」

 

「…凉太。わかった。じゃあ…ありがと」

 

「お…おう」

 

 

 

出停が終わり、学校に通う事になった俺はいつものように話しかけてくる光にある提案を持ちかけた。

 

 

 

「なあ、学校で話すのは辞めないか?」

 

「え…な、なんで?…私のこと、嫌いになった?」

 

「そうじゃないって…その、だな」

 

ヤンキー相手に暴力を振るった俺は悪い意味で有名人になっていた。

ただの陰キャからキレたら何してくるか分からないヤバいやつとしてクラスの俺への対応が空気から腫れ物扱いに変わっていたのだ。

そんな俺と一緒にいると光の評判まで下げてしまう、だから話すのは2人だけの時だけにしよう。

理由を伝えると、光は全く納得がいっていないという顔だったが俺が何回も何回も言い続けるとやがて根負けしたように「わかった」と一言。

 

それからのことはあまり覚えていない。

 

お互い話す時間がもっと少なくなって、些細な事で喧嘩をしたり不満を溜めることが多くなった気がする。

それが卒業前に何かがきっかけで爆発して、とうとう疎遠になってしまった。

そして俺は逃げるように上京して、東京の大学に進学しもう会うこともない。

それだけのことだ。

 

 

⭐︎★⭐︎★

 

 

「ぉーい…牧村?どうした?具合悪いのかよ」

 

「…ん…ああ。大丈夫大丈夫」

 

どうやらかなりの時間上の空だったみたいだ。

なんで今更あいつの事を思い出すんだろう。

もう話すことなんてないのに。

 

その後、気を入れ替えようとスマホを閉じて講義の内容を聞いていた頃だった。

ピコン、とスマホの通知が鳴った。

思ったより大きかったみたいで教授がこっちを睨んでくる。

 

「さーせん」

 

形だけ頭を下げて適当に謝りながらスマホを見ると、『あさ』からのメッセージが来ていた。

『あさ』というのは最近始めたマッチングアプリで昨日やり取りし始めた女の人だ。

写真もマスク姿でまだ会ったことはないが、近くに住んでいて俺の好きな感じのスタイルで雰囲気が可愛かったため気になっていた。

『急だけど今日会えそう?』という内容にどうしようかな、と返信に迷っていると横から強烈な視線を感じる。

 

「おいおいお前こんな人とやりとりしてんの?」

 

「…うるさいな、勝手に見んな」

 

興味津々かのように身を乗り出して覗き見してくる友人を手で押し除け、少し考えた後『もちろん。何時にどこで会います?』とだけ送信した。

 

 

⭐︎★⭐︎★

 

 

講義が終わった後、「ずりーーーぞーー!!!俺もそんな美人と会いたいよおおお!!!」と憎しみの声を上げる友人を振り切って早速待ち合わせの場所まで向かっていた。

まだ昼の4時なので流石に早過ぎる気もしないが、いつでも良いよとの事だったのでじゃあ今すぐ、と会うことが決まったからだ。

どうせ飲んで、ヤって終わるだけ、その作業に何時に会うかなんてどうでも良い。

それに、今はとにかくあいつの事を忘れたかった。

 

待ち合わせ場所の犬の銅像の前に置かれているベンチに腰掛ける。

ふと辺りを見渡すと近くでリップ直しをしている女性がいた。

 

横顔しか見えないが一目見て綺麗な女性だと分かった。

ふんわりパーマがかかったボブカット、肩と腹を出した白のトップスと黒のミニスカートから見える肌がとても扇情的で、スレンダーでとにかくスタイルが良い。

そんな派手な見た目とは対照的に纏っている雰囲気がどこか暗いものだった。

顔が悪い訳ではない、寧ろ美人だ。

しかし表情が暗いように見える。

最近嫌なことでもあったのだろうか。

 

これから他の女の人と会う俺には全く関係のないことだったが、名前も知らない美人に俺の目は釘付けだった。

 

リップ直しを終えると、その女性はスマホを取り出した。

タイピングをしているようで、どうやら誰かにメッセージを送っているのかもしれない。

 

それと同時に聞き慣れた通知音が俺のポケットから鳴った。

『あさ』さんだろうか、とスマホを見ると『もう付いてる?』と送られてきていたため自分の居場所を返信した。

そのすぐ後だった。

 

スマホを見ていると足の影がこちらに近づいてくるのがわかった俺は上を見上げると、そこにいた人物を見て驚愕することになった。

 

 

「えっと…『りょう』くん…で、合ってる?」

 

 

「え…」

 

 

さっき見ていた女性だった。

横顔しか見えなかったが、思った通り…いや、想像していた以上の美人だと思った。

しかし、その女性に俺はどこか既視感があった。

一本だけアンテナを張るように伸びているアホ毛と、右目の下のほくろの位置、それに、下げているブラウンのショルダーバッグは俺があいつの誕生日プレゼントに買ってあげたものだった。

もしかしたら、たまたま特徴が合ってるだけの人違いかもしれない。

そもそも、東京にいるわけがない。

 

でも俺は、どうしても確認せずにはいられなかった。

 

 

「おまえ…光か?」

 





『浅野 光』(あさの ひかる)
『TS病』にかかり、美少年から美少女になった。
男性経験も女性経験もなし。

『牧村 涼太』(まきむら りょうた)
大学デビューに成功した男。
あることがきっかけで疎遠になったが、再会した。

『早川 黒名』(はやかわ くろな)
高校時代に2人に絡んで殴られたヤンキー3人組の1人。
喧嘩も強くないし、DTだがある経験から自分を強く見せようと不良グループに属していた。
名前が可愛いのがコンプレックス。


結局のところホモだよね
光ちゃんはマチアプをやっていますが私は純愛が好きなのでNTRは(ないです)
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