【悲報】マチアプしたら元親友のTS娘が来たんだが【結ホモ】   作:霧切キリコ

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うざい親友編
2人目


 

「これくださーい、あ。すぐ使うんで袋はいらないでーす」

 

「ちょっとー、やだー!」

 

「あ、はい」

 

その日、俺はいつものようにコンビニバイトをしていた。

といっても基本は暇だから、隠れて携帯を触ったりしている。

 

「TS病…なぁ…」

 

最近TS病というやつが流行ってるらしい。

男が女になるっていう、病気。

 

といっても、正直。

 

自分の性別が女になろうが、男になろうが。

 

「死ぬほどどうでも良い…なんでもいいから女と付き合いたいんだよ!俺は!」

 

「ちょっと、バイト中だよ?綾瀬君」

 

「あ、すみません!つい…」

 

やべ、思わずバイト中に叫んじまった。

くそっ、これもさっきのバカップルのせいだ。

いちゃつきやがって…しかも『0.01』買っていくとか…最早公然猥褻だろうが!

あいつに至っては、連絡来ないし…やることやってやがるんだろうな!

 

「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

「綾瀬くん!????お客さんびっくりしてるからやめようか!?」

 

 

⭐︎★☆★

 

 

店長にもう帰りなさいと言われ、無理矢理早退させられてしまった…うわー、こりゃクビだろうな。

 

はぁ…なんで俺ってこんなんなんだろ。

 

バイトすらまともにできなくて、単位もギリギリで…彼女もいなくて…

 

はぁ………………

 

今日100回目のクソデカため息が出た。

 

俺、『綾瀬 レン』はしがない大学生だ。

 

自己紹介といっても特に話すことがない。

強いて言うなら、大学デビューで金髪にしたとか…

あと、一人暮らしで趣味はお酒と煙草とゲームで将来の夢はシンガーソングライター!ってとこかな?

 

最も、ギターは弾けても歌が自他共に認める超絶下手っぴなのだが。

え?バンド組めって?

無理無理、俺協調性ないから。

 

まあそんな感じで、よくいる大学生ってやつだ。

 

はぁ……………

 

101回目の溜め息が出た。

 

俺の心はどうしてこんなに荒んでいるのか。

さっきも言ったが、決してあのバカップルだけのせいではない。

 

俺がこんな事になってる間も、あの美女とやる事やっているあいつのことを思うとイライラする。

 

こんな時にやることは決まっている。

 

今日も夢に向かって無断で路上ライブしてストレス発散だ!!

 

 

⭐︎★⭐︎★

 

 

「誰かー!聴いていきませんかー!?未来のスターの貴重な下積み時代ですよー!?」

 

歌う前に声が枯れてしまうんじゃないかってぐらいの声量で道ゆく人々に声をかけていく。

この元気さが意外とウケていて、特に面白がったカップルなんかが集まってくる。

カップルなんかのために歌いたくないが、今の俺は下積み時代。

客層を選ぶことなんてできない。

相手が誰でも本気で歌って、本気でギターを弾いてぶつかるだけだ。

 

こうして呼びかけること15分、1人が来るとまた1人と連鎖的にゾロゾロと人が集まってくる。

 

いいねいいね。

武道館には程遠いが今日はかなり集まってる。

この集まってきた奴ら、全員が俺の曲を楽しみにしてるんだ。

 

俺がバンドを組まない理由。

それは俺に協調性がないから、それもあるが一番は、自分が一番目立ちたいからだ。

全員俺だけを見て、俺のギターと歌だけを聞いてほしい。

 

功績を仲間と分け合いたくない、全部独り占めしないと気が済まない俺は承認欲求の化け物なのだ。

 

「早速一曲目!いきまあす!天体観測!!!」

 

オリジナルの曲は二曲目からだ。

まずは一曲目、誰もが知ってる曲で場を盛り上げる。

 

しかし俺は知っている。

ギターの弾き始め、それが俺のライブのピークだ。

 

「午前二時 フミキリにー」

 

俺が歌い始めると、観客はみんな鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。

理由は明確、俺の歌が絶望的に下手だからだ。

 

「望遠鏡を担いでった ベルトに結んだラジオ 雨は降らないらしい」

 

音程はガタガタ、リズム感は皆無、表現力もない、のくせ声量はでかいから頭に響いてきて不快。

俺の歌を聞いた友人がそう称していた。

 

でも関係ない。

いくら不愉快に思われようが俺の目的は自分の曲を聴いてもらう事だから。

拍車喝采が欲しいわけじゃない、才能を認めて欲しいわけじゃない。

聴かせた時点で俺の勝ちなんだ。

 

その事を言うと、テロリストみたいな思考と言われた。

ある意味そうかもしれない。

 

「君の震える手を握ろうとした あの日は!」

 

 

 

サビに入る頃には、いつもかなりの人数が顔を顰めながらどこかへ行ってしまうのだが…

けど…あれ?

なんかいつもより人が多いような?

あ、わかったぞ。

なんでこんな下手な奴が路上ライブなんかやってんだって晒し上げようとしてるんだな、きっとそうに違いねえ。

 

けどそんなことどうでも良い。

拡散してくれるなら逆にありがたい、無料の広告だ。

 

「見えないモノを見ようとして!望遠鏡を覗き込んだ!静寂を切り裂いていくつも声が生まれたよ〜」

 

サビになると俺は感情が乗って更にヒートアップしてきて、マイクが音割れを起こしてくる。

今日は心なしか声がいつもより高く、キンキン鳴っていて酷い音だ。

 

こんなものを聞かされている側は溜まったものじゃないだろう。

 

早くこの歌を辞めろという声が聞こえてくるような気がする。

けど俺は最後まで歌い切るまで絶対に終わってやんねえ!

 

 

「oh yeah yeah ah〜…」

 

 

ラスサビをしっかり歌い切り、アウトロを弾き終わった俺は満足顔でギターをかき鳴らした。

 

周囲を見渡すと殆どの人間がその場を離れずにスマホを構えているではないか。

 

いくら俺の歌が下手だからってこんなに大勢の人達が晒し上げようとするか?

 

いや、もしかして、とうとう今日は成功したのか?

 

俺の才能、開花されちゃった感じ?

 

 

「おっいいねいいねー、どんどん拡散しちゃってよー!そんで俺を大スターにしてくれよな!」

 

 

そう思うとすっかり調子に乗った俺はマイクを持って煽ると、チャラそうなカップルの片割れがニタニタ顔で近づいてきた。

 

「おっ?俺の演奏に感銘を受けちゃった感じ?いいぜ、握手ぐらいならいくらでも!」

 

「あの、これってドッキリすか?どこで入れ替わったんすか?」

 

「は?」

 

あ?ドッキリ?

 

男の言葉に俺が全く理解できないでいると、周りで拍手が起こった。

 

「入れ替わりマジックだ!初めて見た!」

 

「どこで入れ替わったんだ?自然すぎて全く気づかなかったよ!」

 

「あの下手くそな歌で意識を他に向けてってことだろ?全くしてやられたなー」

 

入れ替わり?マジック?

何を言ってんだこいつらは!?

 

 

「何言ってんだよ、あんたら…俺はマジックなんて」

 

 

狼狽しながらそう呟くと目の前のチャラ男がまたニヤニヤ笑いながら

 

 

「何言ってんすか、さっきはどう見ても男だったのに、今は()()()じゃないっすか」

 

 

「お、女の子!?は、俺は男だっつーの!だってちゃんとついてんぞ!…あれ?」

 

 

ない。

下半身にあるはずのものが消失してしまっている。

 

ど、どうなってんだ!?

 

というか、目の前の男でかくねーか?

いや、俺が()()のか?

 

よく見ると、マイクの位置が自分の顔よりも高い。

ちゃんと口の前の高さになるように調整しているのに。

 

こんなの…まるで子供になったみたいじゃねぇか。

 

急いでスマホの内カメを付けると、いつもの手入れしていないぼさぼさの金髪が綺麗なサラサラのツインテールになっていて、顔は…明らかに毎朝鏡で見ている自分の顔じゃない。

 

おい…どうなってんだ…

俺、ライブ中に女になっちまったっていうのか!?

 

 

 

 

「う、う…うわぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!」

 

 

「あ、ネタバラシしないんすか?テレビだと思ったのになぁ」

 

現実を受け入れられず、顔面から血の気が引いた俺はいつもより重く感じるギターだけ担いでとにかく家まで全力失踪した。

後ろから色んな声が聞こえてくるが、俺は足を止めなかった。

 

 

 

 

 

⭐︎★⭐︎★

 

 

これは夢、これは夢。

そう思って何度も何度も、目を瞑った。

起きるたびに鏡を確認して、それでも鏡に映っているのは見知らぬ女の子。

 

大学を休んで、ひたすら眠り続けること二日。

 

 

「…まじか」

 

 

いくら眠っても結果は変わらない。

どうやら俺は本当に女になっちまったらしい。

 

 

「これが、『TS病』ってやつなのか…?どうしたらいい…病院行かないとダメか…?いや、行っても治らないのに行く意味あんのか?」

 

 

まさか俺が女になっちまうなんて…

 

戸籍はどうなるんだ?女になったら色々変わんのか?

親父にはなんて説明すればいいんだよ…大学にも言わねえと駄目だよな?

つか女ってことは生理とかあるんだよな?わかんねえよ、どうしたらいいんだ…?

 

もしかして俺の人生って……

 

様々な問題が次々と思い浮かんでくる、当然だ。

急に女になって、これからどうやって生きていけばいいんだろうか。

 

足りない頭で色々考えた挙句、一つの結論に行き着いた。

 

 

「まあ、別にいっか。死ぬわけじゃないし」

 

 

考えるのが面倒だ。

それにこの綾瀬レン、こんな事で病むほど柔じゃない。

 

起こってしまったものはしょうがねぇしな。

 

とはいえ誰かに相談しねぇとな…まあ、こういう時に頼れるのは()()しかいないよな。

流石に2日も経てば解散してるだろう、『よう色男!今日の夜、飲まね?』…っと!

 

 

時間が来るまでどうしようか。

 

ふと気になったので、もう一度鏡で自分の姿をじっくり見てみることにした。

 

TS病にかかるとみんな美女になるって聞くし、俺もめっちゃ可愛くなったんじゃないか?

 

鏡の前に立ち、自分の新たな身体を分析していく。

 

身長は明らかに小さい、145cmほどだろうか?

元の身長は160cmで元から小さいけども、かなり縮んだな…

顔は童顔で、八重歯があってサラサラの金髪ツインテール。

身体は凹凸がなく、全体的にぷにぷにしている。

かなり可愛い方だと思うが、どこか生意気そうな印象を受ける。

笑顔を作ってみると、人を食った笑みに見える。

「くすくす…ざぁこ♡」とでも言いそうな感じだ。

 

 

…これじゃ美女っていうより

 

 

「ロリっ娘じゃねぇか!」

 

 

しかも女になったっていうんだから胸揉み放題だと思ったのに、こんなのまな板じゃねぇかよ…

 

「ちくしょおおおおおおお!!!!なんで俺はこんなについてねぇんだぁあ!!!!

 

 

ちなみに今の「()()()()()」は男のアレがかかってるダブルミーニングなんだけど、わかった?

え?わかったところで面白くない?そっか…

 

 

 

 

⭐︎★⭐︎★

 

光を置いて約束通りの時間に行きつけの居酒屋に向かうと、そこで俺を待っていたのは見知らぬ女の子だった。

 

「といったような感じでさ、どうやら俺、『TS病』にかかっちったみたいなんだよなー」

 

「…………」

 

「いやなんか言えよ!ったく…親友が女になったっつーのに、もっと面白いリアクション取れねーのか?」

 

「…この状況を飲み込むのに必死なんだよ」

 

 

ついこないだ会ったばかりのレンが大学を休んでいたと思えば、路上ライブ中に女になっていたらしい。

…とうとう俺の身近な人間が2人も女になってしまうなんて。

まるでTS娘のバーゲンセールだな…。

もしかしたらいつか俺も女になってしまうんじゃないか?

 

「それにしても…あれだな。なんというか、お前が女になった時のイメージピッタリだよ」

 

「ああ?どういうことだよそれぇ…こんな金髪ロリが俺のイメージに合ってるってそう言いたいのかよ?」

 

「ロリというか…メスガキ?生意気そうな感じがな」

 

 

なんというか、美少女ではあるのだが…うん。

今日の朝にTS病にかかったこいつの姿を想像したが、あまりにも想像と一致しすぎて驚いてしまった。

 

 

「それにしても、よくそんな状態で明るくいられるな?」

 

「まあ、なっちまったもんはしょうがないっしょ〜…それに、俺が女になったところで俺が綾瀬レンである事は変わらないんだからさ」

 

「それはそうなんだが…まあ、いつも通りみたいでよかったよ」

 

くすくす、と何でもないように笑いながら言ってのけるレン。

ポジティブシンキングを極めているのか、馬鹿すぎて事の重大さが理解できていないのか…

何にせよTS病にかかった人が現実を受け入れられず自死を選ぶ人もいる中で、普通に受け入れているのは良かったとは思う。

 

「とはいってもさ、やっぱり困るよなー。女の友達とかいないし…急に女の子になって服とかトイレとか風呂とかどうしたら良いのって感じじゃん?」

 

「ああ…まあな」

 

そう言って、やってられねー!と酒を一気飲みするレン。

今の身体、どう見ても小学生だが…酒を飲んでもいいのか?

 

「そこでさ。お前、女友達それなりにいるだろ?誰か助けになってくれる人紹介してくれね?」

 

「……うーん、頼んでも良いが、どうだろうな」

 

「なんだよその反応!」

 

 

俺は特に偏見はないが、世間で『TS病』という病気が完全に受け入れられているかというとそうではない。

光は高校時代、女になってからは人気者だったが、すぐそうなったという訳ではなく、それは光が何を言われても堂々と振る舞っていたからだ。

男から女になった存在を気味悪がる人は多い、光は最初、女子トイレに入っただけでクラスメイトの女に嫌味を言われたことがあるらしい。

 

「なるほどな…こんな俺のことを理解してくれて親身に相談に乗ってくれる女の子はそう簡単にいねーのか…」

 

「いや、いないこともないが」

 

そう、いないことはない。

 

同じTS娘なら、今のレンの状況を100%理解してあげられる。

 

「俺の知り合いに、お前と同じような奴がいるんだよ」

 

「へ!?まじ?じ、じゃあ会わせてくれよ!」

 

「いや…でもなあ…」

 

「なんだよ!?また問題があるのか?」

 

今は治っているのかもしれないが、光は極度の人見知りだ。

いきなりこいつを連れて行くと困ってしまうかもしれない。

 

しかし、レンは大学で出来た最初の友達で…大事な奴だ。

 

明るく振る舞ってはいるが、本当のところはかなり参っているのだろう。

いつもはしょーもない相談ばかりだが、今回ばかりは出来るだけ助けになってあげたい。

 

よし、決めた。

 

 

「今から俺の家に来い、レン。なんとかしてやれるかもしれないから」

 

「ああ?いいけど…お前の家に行くのなんて久しぶりだな」

 

「ついでにこの前お前に見せたあのマチアプの美女もいるぞ」

 

「ええ!?どういうことだよ、まさかお前、あの美女ともう同棲してんのか…!?」

 

「あー、うんうん。そう」

 

ややこしすぎて一から説明するのも面倒だ。

まあこいつの事だし、適当に解釈するだろう。

 

とりあえずこいつを光に会わせよう。

 

きっと光なら助けになってくれるはずだ。

 

そうと決まれば後ろでピーピー喚くレンを無視してお会計を済ませ連れて行くことにした。

 

しかし。

 

 

この決断が後々あんな修羅場を迎えるとは、今の俺には思いもよらなかった…

 

 

 

 

 

 





帰路にて。

「あれ?マッキーさんなんか距離感遠くないっすかー?…あ!わかった!俺が可愛い女の子になったからって意識しちゃってるんだー♡くすくす」

「いや、こんな夜中に今のお前に近づくと事案だと思われて通報されるかもだろ」

「なにそれひどい!!!!!!!」

『綾瀬 レン』
うざい、うるさい、面倒臭い、かまちょ。by牧村涼太
ひょんなことがきっかけで牧村涼太に懐き、大学で顔を見るたびに全速力で絡みにいく。うざい。
歌は下手くそだが、ギターの腕前だけは高いと自負している。
が、別に高くはない、普通。
TSして金髪ツインテールのメスガキになった。
承認欲求が高く、独占欲が強い。

どっちルートを先見たいですか?

  • 浅野光
  • 綾瀬レン
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