天雨カナという存在について   作:BRだんちょ 

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どうやら牌を表示させるには牌画像変換ツールというタグをつける必要があったみたいです。
多くの方たちに何も表示されていない小説を読ませてしまった……

申し訳ないです


ルールを覚えよう☆

──風紀委員室。

静かな空気を引き裂くように、突如として突き出されたマコトからの挑戦状。内容はまさかの麻雀。

 

条件は過酷だ。負ければカナが万魔殿に引き抜かれ、勝てば予算が三倍になるというハイリスクハイリターン──いや。

 

「ノーリスクハイリターンじゃない?」

 

机に肘をつきながら、ヒナが冷静に吐き出す。まるで数字の計算でもしているかのような口ぶりだ。

 

「ちょっと!! いくら私でも傷つきますよ!!」

 

カナがガタッと椅子を引き、机に手をつく。

 

「そうですよ委員長! お姉ちゃんがいなくなるなら、今から送別会でもするべきです!」

 

アコはカナを擁護するようでさらりと追い打ちをかける。

 

「その前提が間違ってると言ってるんですが!??」

 

もう止める気のないアコの発言に、イオリが腕を組んで首を傾げた。

 

「……でもさ、カナって麻雀できるの?」

 

「できますよ。七並べと同じですよね」

 

胸を張って答えた瞬間、ヒナの口角が引きつる。案の定、ルールの“ル”の字も知らなかった。

 

「今までありがとう、お姉ちゃん」

「カナといた数ヶ月、悪くなかったわよ」

「万魔殿に行っても頑張れよ!」

 

机を挟んで次々と告げられる“惜別の言葉”。しかも誰も涙ぐまない。

 

「違うなら違うって言えばいいのでは!???」

 

「違う」

「バカ」

「カス」

「バカ」

「虫けら」

 

「今バカが二回ありませんでした?」

 

眉間に皺を寄せるカナに、アコが真顔で返す。

 

「そんなんだからバカお姉ちゃんなんですよ!!」

「アコのは気持ちいい! もっと罵ってください!」

「きっしょこいつ」

 

場の空気はすっかり緩くなり、緊張感の欠片もない。

 

「ふふん……やっぱりこの委員会、私に対する愛情が重いですね」

 

「どの口が言ってんのよ」

 

ヒナが呆れ顔で吐き捨てる。

 

「というか……ルールも知らないのによく麻雀やろうなんて思いましたね」

 

「私もあまりルール分からないな。結構複雑じゃなかったっけ?」

 

イオリも麻雀のルールはよく知らないのか、心配そうにカナの方をチラリと見る。

 

「任せてください。簡単に言えば、数字を順番に並べたりするだけです」

 

「それ七並べの説明だろ」

 

乾いたツッコミが飛び交う中、アコが手を叩いた。

 

「はいはい、イオリもお姉ちゃんも落ち着いてください。ここに何故か都合よく麻雀スターターセットがあるので、ルールを覚えましょう」

 

「誰よそんなの置いてったの」

 

「さっきあのタヌキ置いていきましたよ」

 

「では……一応私は一通りのルールは分かるので、説明しますね」

 

すると、チナツが牌を整えながら、いつもの事務的な口調で話し始めた。

 

◆バカでも分かる!麻雀とは?

 

「ざっくり言うと、四人で行うカードゲームの複雑版みたいなものです。山から引いた牌(ハイ)を使って、自分の“手札”を完成させていく競技です」

 

「“完成”って、どうなればいいんですか?」

 

「“アガリ”の形、つまり三枚一組のセット(面子)を四つと、二枚一組のペア(雀頭)を一つ。これが基本形ですね」

 

「ふむ……つまりドラ〇エでいうパーティ四人と仲間モンスター一匹」

 

得意げに例えを出した瞬間、チナツの眉間に皺が寄る。

 

「全然違います」

 

淡々と切り捨てられたが、カナは全く堪えていない。

 

「まず、“刻子(コーツ)”は同じ牌を三枚そろえた形です。{例えば 東東東みたいなの」}

 

「ふむ……あ、つまりトリプル役満ってことですね!」

声だけは感心しているが、理解の深度は限りなく浅そうだ。

 

「全然違います」

 

チナツの語気が少し強くなる。

 

「これを他の人の捨て牌で作ったら“明刻(ミンコー)”と言います」

 

「明るい刻子……つまり陽キャってことですね」

 

「そんな意味は一切ありません」

静かな笑顔のまま、目だけが笑っていない。

 

「次に、“槓子(カンツ)”は同じ牌を四枚そろえた形。

{一萬一萬一萬一萬こういうのです」}

 

「四枚……つまり麻雀界の四天王」

 

「違います」

 

机の上で、チナツの指先がトン、と牌を揃える音が響く。

 

「これも他の人の牌を使って作ると“明槓(ミンカン)”です。手の中だけで作れば“暗槓(アンカン)”ですね」

 

「暗い槓子……陰キャですね」

 

「ちょっと黙ってろ」

 

イオリが机越しに冷たく刺す。

 

「“順子(シュンツ)”は同じ種類の数字が三つ連続している形です。{一筒二筒三筒 のように、数字の階段を作る感じですね」}

 

{「じゃあ一筒三筒五筒でもいいんですか?」}

 

「なんで二段飛ばしなんですか」

 

呆れの空気が委員室を覆った。

 

「この“刻子”や“順子”を四つ作って、最後に“雀頭(ジャントウ)”──同じ牌二枚、{例えば中中をそろえればアガリです」}

 

「ふむ……つまり雀頭は、パピコ」

 

「違います」

チナツの声が完全に棒読みになってきた。

 

「……と、これが超基本です。あとは役の組み合わせや点数計算が入りますけど、それはやりながら覚えてください」

 

そう締めくくると、チナツはため息混じりに牌を並べ直した。

一方、カナは説明の半分も理解していない様子で、にこにこと頷いている。

 

「しかしですね、ここが麻雀の複雑な所なんですが……“役”がないとアガれません」

 

チナツが机の上に並べた牌を指で軽く揃えながら告げる。

 

「役?」

 

カナは小さく首をかしげる。さっきまでの説明を聞いていたのか怪しいほど、純粋な顔だ。

 

「はい。麻雀は“ただ完成させれば勝ち”ではなく、決められた役の条件を満たしていないとアガれません」

 

「なるほど……つまり料理で言うと、ただ食材を皿に盛っただけじゃ料理じゃないってことですね」

 

例えは悪くないが、言い方がやけにドヤ顔だ。

 

「……まあ、例えとしては間違ってません」

チナツは渋々認める。

 

「そして、役には“リーチ”や“タンヤオ”、“ピンフ”など色々あります。たとえば──」

 

「リーチはあれですよね?犬を散歩させる際に使う」

 

「それは“リード”です」

 

「あっ、よくソシャゲの運営が目玉キャラを漏らしたり」

 

「それは“リーク”です」

 

チナツは微動だにせず、淡々と間違いを切り捨てる。その隣でアコは額を押さえ、イオリは無言で天井を見上げていた。

このやり取りは、今日中に何度繰り返されるのだろう。

 

「役は覚えるほど勝ちやすくなります。逆に言えば、知らないと一生アガれません」

 

「……ふむ、なるほど。リーチ、タンヤオ……エクスプロージョン……」

 

「最後なんか爆発したぞ」

 

イオリのツッコミも虚しく、カナは満足げに頷いていた。

 

「お姉ちゃん、その調子でいくと一局目で死にますよ」

 

「まあ役についてはとりあえずリーチしとけばいいと覚えておいてください」

 

「「はーい」」

 

素直なのか分かってないのか、二人の声が重なった。

 

「そして、アガり方についてですが……自分で引いた牌でアガるのが“ツモ”、誰かが捨てた牌でアガるのが“ロン”です」

チナツは再び牌を並べながら、淡々と続ける。

 

「それは何が違うんです?」

カナが手を挙げるようにして質問する。

 

「ツモは全員から均等に点をもらいますが、ロンはその捨て牌を出した人だけが失点します。つまり、ロンされた人は一気にピンチになるわけです」

 

「じゃあ、私とお姉ちゃんのタッグであのタヌキと闘うためには、なるべくロンをした方がいいですよね」

 

アコが少し悪い笑みを浮かべながら言う。

 

「そうなりますね」

 

「じゃあお姉ちゃん、なるべく“ロン”でアガるようにしましょう」

 

「分かりました」

 

カナは胸を張って答えるが、その声の軽さに、誰も本当に理解しているとは思っていなかった。

 

「でも、あのタヌキがまともに勝負すると思う?」

 

イオリが半眼で問いかける。その声色には、すでに半分以上の警戒と、残り半分の呆れが混ざっていた。

 

「ありえないわね。そもそも場所が万魔殿の執務室……完全に私たちがアウェーな空間で、アイツらが用意した牌で闘う……絶対イカサマしてくるわよね」

 

ヒナが腕を組み、机をコツコツと指で叩く。その音がやけに場を締める。

 

「「じゃあこっちもイカサマすればいいですね」」

 

アコとカナのセリフが完全に一致する。

 

「……姉妹で息ぴったりなのは分かったけど、言ってることの質が同じなのはどうかと思うわよ」

 

「え、でも相手だけズルして勝つなんてズルいじゃないですか」

 

「そうですよ。こちらも正々堂々とズルをすべきです」

 

アコとカナは悪びれもせずに胸を張り堂々と断言した。

 

「その“正々堂々”って言葉の意味でも調べてきたら?」

 

「……まあ、あのタヌキ共のことだから、勝負が始まる前から変な細工をしてくるだろうな」

 

イオリが牌の山を眺めながらつぶやく。

 

「まあ任せてくださいよ。私とアコのコンビネーションでネチョネチョにしてあげますから」

 

「卑猥すぎるだろ」

 

カナはやけに自信満々に、しかも余計な擬音を添えて宣言した。

 

「深く考えることなんてありません。勝てばいいだけですから」

 

「どっからその自信生えてくんのまじで」

 

「まあ……私は明日実況席から見ることになると思うけど……くれぐれも恥だけは晒さないでね」

 

「ふふっ……言われてますよアコw」

 

「あんたですよ」

 

アコの即答に、カナはなぜか得意げに鼻を鳴らした。

もはや誰も本気で止める気はない──いや、止めても無駄だと悟っているのだろう。

 

こうして、ろくな準備もしないまま、そして不安と期待が入り混じった空気の中で、

翌日の“風紀委員会 vs 万魔殿”麻雀対決の幕が、静かに上がろうとしていた。

今後はどんな話がみたい?

  • ブルアカ本編のストーリーに介入
  • ギャグ路線で暴走
  • アコとカナの百合展開
  • カナの空白の10年間
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