天雨カナという存在について   作:BRだんちょ 

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カスお姉ちゃん

 

覆面水着団、便利屋68、そして……天雨カナ(バカ)。

三つ巴で混迷極まる局面のただ中に、よりにもよって私のお姉ちゃんがいる。

 

──だから私は今、通話越しにひたすら頭を抱えていた。

 

『お姉ちゃん!今どんな状況ですか!?』

 

「問題ありません。すべてを“対象A群”として識別し、排除行動に移ります」

 

……いや、何をどうしたらそういう結論になるんですか。

対象Aって全部ってことじゃないですか!?

 

『えっ!?対象Aって全部!?見分けてからにしてください!ねえお姉ちゃ──』

 

「そりゃっ」

 

──はい、聞く耳ゼロ。

次の瞬間、爆発音。

 

「ぎゃああああああ!!!!」

「誰ですかあああ!!?前触れもなく爆発させたのォォォ!!?」

「うへえええ!!??」

 

叫び声と煙。

……え、これ、私の姉がやったんですよね?風紀委員体験中なんですよね??

 

『ちょっ!?!?やりすぎでは!?』

 

「爆弾の中身は害虫駆除薬です。彼女たちがゴキブリでもない限り死にません。さあ、アコ。迎えに来てください」

 

『ああうん、もうツッコむのも面倒くさくなってきたからいいです。で、場所はどこですか?』

 

「アビドスです」

 

『思いっきり他の自治区行ってますね!?』

 

……ほんとにもう、バカ。

 

 

その後。私はアビドスまでお姉ちゃんを回収しに行った。

 

瓦礫の山の上で仁王立ちしてる姿を見つけて、思わず深いため息。

 

「……はあ。お姉ちゃん、何してるんですか」

 

「見ての通り、風紀です」

 

ドヤ顔で言うな!!私の胃に謝ってください!!!

 

「……で、どうやってここまで来たんですか?バスもないでしょう」

 

「走りました」

 

「うわ、バカだ。お姉ちゃん、バカだ」

 

「しかもさっき走っていたらアビドスの入り口で落とし穴に落ちました。あれは違法です。罠です。訴えます」

 

「落ちる方がバカなんです。ああ、それと。お姉ちゃん、風紀委員室にお姉ちゃん用の紙が沢山あるので一緒に来てくださいね」

 

「私用の紙?ふふ……銀行強盗を退治してしまいましたから賞の一つや二つ……」

 

……違うんだよなぁ。

 

 

風紀委員室。

 

机の上にドサッと積まれる、分厚い紙の束。

 

「はいお姉ちゃん。これ全部始末書なので明日までに提出してくださいね」

 

「そんな!?」

 

「そんなじゃありません!!あのまま建物ぶっ壊しといて、ただで帰れるわけないでしょう!?」

 

机がミシッと悲鳴を上げる。お姉ちゃんは震える手で一枚をめくり──

 

『事案名:銀行施設内における無許可爆破事案』

『関係者:天雨カナ(風紀委員体験中)』

『被害総額:8,300,000円相当(推定)』

 

「……桁を間違えてませんか?」

 

「残念ながら合ってます」

 

「いえ……8300万の間違いでは!?」

 

「そういうセリフは私のセリフです!!あなたが言うやつじゃありません!!」

 

さらに追い打ち。

 

「しかも、相手は覆面水着団でも便利屋68でもなく、一般生徒のカップ麺まで被害申請出してましたからね」

 

「え、まさかあの……?」

 

「そうです。あの床に座ってた子。“食べかけの一〇ちゃんソース焼きそば”が吹き飛んだって」

 

「それについてはあんな場所で食べてたあの人が悪いんじゃ?って待ってください」

 

お姉ちゃん、急に顔をしかめる。

 

「ずっと隠れてたはずなのになんで私がやったってバレてるんですか?」

 

「なんでもなにも、防犯カメラにバッチリ映ってましたよ」

 

私はタブレットを突き出した。

映っていたのは──

 

「そりゃっ!」

 

と叫びながら手榴弾を渾身で投げるお姉ちゃんの姿。

 

「……あ、これは別人ですね。私に似た誰かが……」

 

「ほう?じゃあ今ここにいるあなたは誰なんです?」

 

「お、愚地〇歩です……」

 

「本物のバカですね。この世界でやっても通じませんよそれ」

 

もうため息しか出ない。

 

「はぁ……これも計算のうちとは……便利屋68……」

 

「……あんたですよ!!!!」

 

 

今日も風紀は、嵐のように荒れていた。

 

───────

 

オマケ【風紀委員会 定例会議議事録】

 

 

風紀委員室の空気が……重い。

緊張というより、もう全員が「諦め」に近い表情をしている。

 

私、ヒナ委員長、イオリ、そして──原因の半分以上を担っているお姉ちゃん。

4人で長机を囲み、机の上には議題資料と……なぜか山のようなお菓子とお茶。

 

(ちなみにこの食料は、お姉ちゃんが「空気が和むかと思って」と勝手に持ち込んだもの。結果?逆に重苦しさが増しただけです)

 

そんな状況で、会議は始まった。

 

「今回集まってもらったのは……風紀における、身近な問題を洗い出すため」

 

ヒナ委員長の声は相変わらず凛としてるんだけど……なんでこんな刺さるんですか、銃口より怖いです。

 

「まあ……委員長が言うなら、私も考えてきましたけど」

私は気乗りしないまま、雑に紙を差し出す。

 

「私も……一応」

イオリはそっと視線をそらしながら資料を出す。その表紙に猫シール貼ってあるのが逆にシュール。

 

「考えてきました」

そして我が姉。なぜかスライド付きの資料セットを背負い、堂々と宣言。……嫌な予感しかしません。

 

ヒナ委員長は淡々と一枚を取り上げ──

 

「じゃあ……最初のお題。“アコの第一印象が悪すぎる件”」

 

「はあああああああああ!?!?」

 

悲鳴が出ました。耳を塞ぐイオリ。提案者の欄に書いてあった名前は──

 

「提案者はカナね」

 

「またお前かああああああ!!!」

 

私は即座にお姉ちゃんの首を絞めた。変な音が出てるけど気にしない。

 

「ぐぇぇ……アコ!!いぎが……!」

「第一印象が悪いのは大体お姉ちゃんのせいでしょうが!!」

 

なんとか解放すると、お姉ちゃんは懐からリモコンを取り出し、壁にスライドを投影。

本格的すぎて逆にムカつく。

 

「先日、シャーレの協力のもとアンケートを取りました」

 

アンケート?……全部手書き。どう見ても脅迫と土下座で集めたやつです。シャーレに謝って。

 

 

【アンケート結果】

『あなたが感じる、アコの第一印象は?』

 

・「なんか怒ってそう」

・「いきなりキレてきそう」

・「口悪くて泣いた」

・「横乳の治安が悪すぎる」

・「姉が怖すぎる」

・「好きな食べ物はプリンだと思う」

 

 

「……という結果に」

 

「最後の三つおかしいですよね!?私関係ないか願望混ざってますよね!?」

 

「でも概ね悪い印象じゃない?」

イオリ!?なんでそんな冷静に刺してくるんですか!?

 

そして映し出される改善案。

 

 

【改善案】

① 語尾に“にゃ”をつける

② あえてランドセルで通学する

 

 

「なるほど」

 

「委員長まで!?やめてください!?」

 

「いいえアコ。確かにあなたのいい噂なんて殆ど聞かないんだから、これで改善されるなら意味はあるわ」

 

「お姉ちゃんに比べたら100倍マシでしょうが!!」

 

「私は無限倍素晴らしいので比較になりません」

 

「堂々と敗北宣言してることに気づいてください!!」

 

 

「じゃあ、次の議題。“風紀委員のパンツ管理について”」

 

「ちょっとおおおおおお!?!?」

 

「提案者はカナ」

 

「アンタ何枚出してんですかあああああ!!!」

 

私は今度こそ首どころか全身を締め上げた。

 

「ぐえええ……まっでアコ!!肋骨が!!」

 

「今殺意100%で臨んでるんですよ!!」

 

「いえでもこれは“規律”の話です。風紀委員たる者、下着も厳しく自律され──」

 

「言ってることだけ真面目っぽいけど完全にアウトですからね!?」

 

……そして机にドンッと置かれるファイル。

 

『風紀委員下着管理査察表』

 

【抜粋】

・ヒナ:白。シンプルかつ機能的。好感度:高

・アコ:水玉フリル。子どもか。評価:保留

・イオリ:黒。背伸びしたい年頃ですかね

・カナ:履いてない

 

「いやああああ!?!?」

「どこでその情報……てか私のまであるの!?」

 

「睡眠中の観察です」

 

「ストーカーです!!!」

 

 

「……もうさ。議題からしてアウトだし、カナは停職でよくない?」

「異議なしです!!!」

 

「議論の途中で排除される風紀委員がいてもいい……私はそう思います」

 

「美学みたいに言うなああああ!!!」

 

 

結論:全会一致で却下。

お姉ちゃんは風紀委員としての自覚をもうちょっと思い出すこと。

なお、「下着査察表」はヒナ委員長の手で、その場で燃やされました。

今後はどんな話がみたい?

  • ブルアカ本編のストーリーに介入
  • ギャグ路線で暴走
  • アコとカナの百合展開
  • カナの空白の10年間
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