TCG学園の卑怯者〜無警戒に引っかかる方が悪い〜   作:クロマ・グロ

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どうも、マグロさんです。

個々最近あんまり他の小説の投稿が進んでいないのですが実はネオページ様で連載契約をさせてもらっていてこっちに構う程の余裕がなくなってました(ヽ´ω`)スンマセン

しばらくの間はこっちでも毎日投稿するつもりですがあらすじでも書いたように基本的にはネオページ様での投稿が優先されますのでご了承ください。

それでは本編どうぞ!


カードゲーム世界への転生

トレーディングカードゲーム『デュエル&ライバルズ』、通称『DaR』

 

この世界においてこのカードゲームは遥か古より続く世界共通の文化であり、ありとあらゆる問題の解決手段の一つだ。

 

古の時代から娯楽目的での勝負、奪い合いの勝負、己の誇りを賭けた決闘、国同士での戦争に至るまでありとあらゆる事において『DaR』は欠かせない物となっている。

 

このカードゲームは何故か人々にまだ文字という概念がなかった頃にもあったらしいという噂は耳にする。

何故ならこのカードゲームはこの世界が生み出したものではなく隣接している別世界が干渉してこの世界に現れたものだからである。

 

この別世界は便宜上『デュエル世界』と呼ばれているがこれは正式名称が存在せず、向こうの世界の文化の歪さ故に正式名称を命名するのが難しいため現在に至るまで便宜上の名前で呼ばれていた。

 

『デュエル世界』とは一つの世界でありながら何百何千という異界の集合体であり、大まかに分類したとしてもかなりの数の異界が存在する謎の多い世界だ。

 

この世界と隣り合った際にその異界の概念や英雄、文化等の情報が結晶化してこの世界に顕現した……というのが今の所一番有力な『DaR』の始まりに関する説だ。

 

俺はこの奇妙な世界……あらゆる物事がカードゲームで解決するこの世界に『浅麦 誠』として極々一般的な価値観を持っていたはずの世界から転生してきたのだった。

 

輪廻転生という概念は俺の元々いた世界では比較的ポピュラーなネタとも言えた。

一時期異世界物なんていう小説や漫画、アニメなんかがブームになっていた時期もあった為にこの手の話は色んな所で耳にする。

 

ただ俺が転生したのは異世界というよりは概念的には"パラレルワールド"というのが近いだろう。

何故なら俺が転生したこの星も前世同様”地球”とよばれる惑星であり、この世界における歴史もとある一点を除けば概ね前世の史実通りだからだ。

 

そしてその一点というのがこの『DaR』という訳である。

 

「誠ー!朝ご飯が出来たわよー!」

「あぁ、今行くよ母さん。」

 

今世での俺の両親はかなり良い人達だと思う。

母さんこと『浅麦 真理亜』は料理研究家であり家事の達人、面倒見の良いとても優しい母だ。

 

まぁ怒る時はしっかりと怒るしその時に浮かべる笑みが凄まじく怖い人ではあるのだが……

 

父さんこと『浅麦 誠司』はテレビ局に勤めており、色んな番組のカメラマンや撮影補助等を行っているらしい。

テレビ局というのもあり比較的忙しい人ではあるが基本的には俺達家族の方を優先してくれる良き父であり、たまにヘタレな所が出てしまい母さんに怒られることもある我が家の大黒柱だ。

 

まぁ年がら年中場所も考えずにイチャつかれるから俺としても見てて若干呆れる所はあるんだがな……

 

 

 

とはいえこの優しい両親の下に生まれた俺は比較的不自由なく育ててもらえた方だとは思う。

 

ただこの世界では何をするにしても『DaR』が関わってくるという問題がある。

 

カードなんかは道端に何故か落ちていたり普通に購入したり何故か家の中に現れたりするもの等入手方法は様々だ。

 

だがレアリティの高いカードの入手確率が前世に比べると信じられない程に低く、最高レアのカードに至っては売れば家が買えるレベルの金が手に入るレベルと聞いた事がある。

 

そんな環境でまともに『DaR』で強くなるのはかなり難しく、例えある程度強くなれてもレアリティの暴力によって理不尽に負けるような自体が容易に想像できた。

 

しかもこの世界にはカードゲーム至上主義だからこそと言うべき社会問題が起こっており、それが余計に俺の警戒心を強くセざるを得ない状況に追い込んでいた。

 

『……続いて次のニュースです。

実力至上主義団体による事件が……』

 

実力至上主義団体ね……

 

「ここ最近随分と物騒になってきたわね」

「父さん達の職場は大丈夫なのか?」

「まだそれといった問題は出てきてないが実力至上主義に染まった新人が最近多くてな。

何でもかんでもバトルで解決しようとする奴も多くて恐喝なんかもいつ起こってもおかしくないだろうな」

 

《実力至上主義団体》……この世界における最大の社会問題の一つだ。

 

下手に何もかもに『DaR』の実力が関わってくる世界だからかこの世界には実力さえ高ければ何をしても良いという風潮が若者の間で広まりつつある。

 

脅迫等の手段を選ばない方法で相手を強制的にバトルさせ勝った相手から金品やカード等を奪い酷い時には奴隷として自分達の言いなりにさせていると聞く。

 

この世界のカードによる勝敗の結果は一種の契約であり、勝負してしまったが最後その結果には従わなくてはならない。

 

だからこそ俺は極力リアルのカードを使った『DaR』にはかかわらず、情報収集と契約の関わらないネット対戦等を利用して実力を隠しながら上げてきた。

 

なぜこの世界の人達は負けることへのリスクを軽く見ているのかはどうしても理解出来ないが何も知らない状態よりは下調べや下積みをした状態でやる方が圧倒的に良いからな。

 

「ご馳走さま」

「お粗末様でした。

今日は確かデュエル学園の入試だったわよね?」

 

国立デュエル&ライバルズ専門学園……通称『デュエル学園』

毎年倍率200倍とかいうとんでもない人気を誇る『DaR』専門の学園であり、プロと呼ばれている『DaR』プレイヤーの大半がこの学園を母校としている事でも有名だ。

 

この世界でトラブル等に巻き込まれないというのは正直不可能だろう。

ならトラブルに巻き込まれても勝てるだけの実力を得るしか無い……そういう面で見ればこの学園程適した場所は存在しないだろう。

何故ならこの学園に入学した者は全てが実力者……強い者と戦えば戦うほどこっちも対応力は増していくし自然と実力はついてくる。

 

俺にとってあまりにもリスクだらけなこの世界で搾取されずにいるにはどうしてもこの学園のような実力の底上げにつながる場所へ挑むしかないのだった。

 

「あぁ、だからそろそろ会場に向かって場の空気に慣れてくる」

「気をつけていけよ?ニュースでもやってたが最近は物騒だ。

なにも無いとも限らないわけだからな」

「それを言うなら父さんの方が気をつけたほうが良いんじゃないか?

それじゃいってきます」

 

俺は玄関を出た先で決意を改めて決める。

 

幸い俺が調べたり対戦した限りこの世界の主流はカードパワーによるゴリ押しが多く、搦手は人気がない傾向がある。

 

原因としてはいくつかあるがここ最近の実力最上位者の殆どが搦手を使わない奴が多かった。

 

それ故に今まで誰も注目していなかったであろう一部のカードが初見殺しとしてネット対戦でも猛威を振るうことが出来た。

 

戦績としては勝率92%、酷い時にはマイナーカードを出しただけで明らかに舐めたプレイングをしてきたプレイヤーもいた。

 

まぁそいつらも含めてほとんどのプレイヤーはこっちのギミックに気付けずにやられていったんだけどな。

 

「デッキの最終チェックをしておくか」

 

俺は試験会場へと向かうバスへと乗り込み、自分のデッキケースとバランス調整用に用意してあるカードケースを取り出して自分のデッキを調整する。

 

このカードゲームには各プレイヤーが選択する複数の職業とその職業専用のカード、全職業共通して使えるカード等がある。

 

俺の選択している職業は盗賊であり、この職業は相手のカードを盗む又はコピーする、罠を仕掛ける等を得意とする職業だ。

 

各職業にはそれぞれ『アビリティ』と呼ばれる能力が三種備わっており、デッキ事にその能力のうち一つを選び、デッキを組む。

 

例えば盗賊の持つアビリティは……

 

・相手のデッキからランダムなカードを二枚奪って手札に加える『奪う』

・自分の手札にあらかじめ決められた5種類の罠から一つを選び、そのカードを二枚手札に加える『罠作成』

・場にある自分のユニット一体に"攻撃するまでの間相手の攻撃やカード効果の対象として選ばれない"効果を持った《隠れ身》を付与する『隠れる』

 

この三種がある。

 

基本的に盗賊のカードの特徴としてはユニットの能力は比較的低い代わりにかなり特殊な発動条件のカードが多いことにある。

 

相手のカードを盗むとか罠カードなんかは代表的だ。

 

この世界の対戦環境で色々と試してはいたのだがこの世界には所謂テンプレと呼ばれる物が存在しない。

 

理由としてはすごく単純でカード総数が多すぎて同じデッキを作ろうとしてもカードを揃える労力が半端ではないのだ。

 

それ故にか戦術開拓もあまり広がっておらず、特殊な効果を持ったカードを使いこなすような人はかなり少ない。

 

そのせいかこの手のギミック型のデッキに対応が出来る人間はかなり限られていた。

 

 

 

デッキの調整が終わるとちょうどデュエル学園前にバスが到着する。

 

途中数人から嘲笑うような笑みで見られたが、それは俺がこの世界では弱いと思われている盗賊のデッキを使おうとしてるのを見られたからだろうな。

 

今まではネット対戦だけで自重していたがここまで騙しやすいのもつまらない。

 

この世界における戦術を……読み合いによるスリルを俺が広げてやる。

 

リスクはあるがここまで立ち回りが少ないのは面白くない

カードゲームは戦術を開拓してこそだ。

 

「俺が一番になってやる……!」

 

俺は覚悟を決めて国立デュエル&ライバルズ学園の入試会場へと足を踏み入れた。

 

 

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