TCG学園の卑怯者〜無警戒に引っかかる方が悪い〜   作:クロマ・グロ

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生徒会長への対策

桜木先輩から生徒会長からのデュエルの誘いを受けた俺はその日の放課後に自分の部屋に籠もってデッキの調整をし続けていた

 

生徒会長相手だ、生半可なデッキでは恐らく勝負にすらならない。

彼女の使うデッキはユニットを殆んど採用しない代わりにアクションカードによる殲滅とダメージ軽減に回復、更にユニークカードの武器と職業アビリティを用いたプレイヤー自身による高火力貫通攻撃によるゴリ押し……正直俺のデッキとは相性が最悪と言って良い

 

武器の攻撃力を下げた所でアクションカードと職業アビリティで簡単に攻撃力は戻る、ユニットは殆んど出ない為嵌めは不可能、更には下手なユニットを出してしまえば貫通攻撃によって逆に餌にされる

 

試合映像を見る限り生徒会長は敵ユニット死亡時に効果を発揮するカードが複数ある。

そうなると必然的にユニットを出すのは難しくなる。

 

ならいっその事攻撃力が極端に高くHPが低いユニットにするかと思ったがやはりアクションカードが不安の種だ

 

しかも彼女のデッキには少なくとも10枚以上の《アビリティブースト》が採用されている

 

「ここまでやりにくいのは本気で初めてだな……っと」

 

机の上に広げたデッキ作成用の作業台からあまり見慣れない1枚のカードがこぼれ落ちた為に拾う。

だがそのカードを見た瞬間またか……と一瞬呆れた表情をしたがそのカードの能力を見た時にある作戦を思いついた

 

「棚からぼた餅とでも言えば良いのか……なぜこのタイミングで現れたのかは知らないが今回はお前を頼らせてもらう」

 

俺は手に取った初めて見るそのカードを見つめながらそう呟き、デッキを大幅に改良し始めた

 

この作戦が上手く刺さってくれれば良いんだが……

 

 

 

翌日、若干寝不足気味の俺は寮を出て久慈川さんとともに本校舎へと向かっていた

 

「浅麦君、寝不足ですか?」

「まぁな……殆んど徹夜で調整していた。

日付が変わったくらいでようやく対策が固まったからな」

 

正直睡眠時間は2時間も取れてはいないが不思議と頭は回っている……恐らくデュエルが終わった頃に一気に疲れが出てくるだろうがな

 

「あんまり無茶しちゃダメですよ?

それで生徒会長とのデュエルですけど……勝てそうなんですか?」

「相性が悪過ぎてせいぜいワンチャンスある程度。

まさか俺の作って来たどのタイプのデッキとも相性が悪いとは思わなかった」

「そこまでですか……?

でも確か浅麦君って自分のデッキを0枚にする事を条件にした特殊勝利型のユニークレアもありましたよね?

あれならあまり相性とか関係なくいけるんじゃないですか?」

「あぁ、それな。

実はあのカードだけをコンセプトとして組み込むと防衛能力下がりすぎてあまりにも弱いんだよ。

それで相性の良いデッキ破壊はそもそもユニットを殆んど使わない生徒会長にはほぼ効果が無いからかなり厳しい。

特に盗賊は耐久出来るタイプのカード自体が少ないしな」

 

基本回復も無ければダメージ軽減すら殆んど無い。

ユニットの手数だけはあるが《挑発》持ちはかなり少ないから共通のカードを使わないと防御するのは難しい

 

結論から言えば俺が生徒会長相手に勝つにはこっちのHPが切れる前になんとかして削り切る以外に方法がない

 

だが盗む主体では確実に初動が遅くなる為にこちらの準備が終わる頃には既に大ダメージを貰っているだろう。

だがデッキ外から得たカードという条件は何も盗むだけではないからな

 

それに貫通でユニットを纏めてなぎ倒しに来るのであれば出来るだけ横にユニットを置くだけでも十分なケアになる

 

「何処まで喰らいつけるか……」

「なんだか浅麦君……凄く楽しそうな表情をしてますね!」

「ん?そうか?」

「はい!いつものデュエルの時に見せる悪人みたいな笑みとは大違いです!」

 

一言余計だっつの!?

 

 

 

――――――放課後――――――

 

 

『1-Dの浅麦君、久慈川さん、1-Dの浅麦君、久慈川さん。

至急生徒会室へお越しください、繰り返します……』

 

放課後になった瞬間クラス中の視線が俺達へと向けられる。

これから向かおうと思ってたのによりによって放送で態々呼び出すか……普通にやめてほしかった

 

「生徒会直々に……?」

「やっぱりあんな卑怯者はこの学園にふさわしくなかったんだろ?」

「久慈川さんかわいそ〜」

 

好き勝手言ってくれるな……

 

「浅麦……何やらかしたのさ?」

「人聞きの悪い事を言わないでくれ倉木……。

やらかしたと言うか猛獣に餌として見られたと言うか……まぁ軽く一勝負してくるだけだから大丈夫だよ。

特に勝敗で何か関わることもやらないし」

「なら良い……今一勝負してくると言ったかい?生徒会と?」

「まぁな……。

とりあえず俺等は生徒会室に向かうからまた明日。」

「あ、あぁ……また明日?」

 

俺は荷物を纏めて久慈川さんと共に教室を出る

 

だが何やら久慈川さんが若干不機嫌な気がする

 

「なんか最近倉木君とすっごい仲良さそうですよね……」

「そうか……?」

「そうです!なんだが少しだけ疎外感を感じちゃいます……。

コソコソ2人で何かしているんですか?」

 

まって久慈川さん、それ以上は色々といかがわしい意味に聞こえてしまう

 

「久慈川さん以外で初めてこの学校で出来た友人だからな……悪い」

「い、いえその……謝ってほしいのではなくて……」

「……?っと着いたぞ、生徒会室だ。」

 

俺達は本校舎5階……若干通い難い場所にある生徒会室の前へと到着した

 

その扉は重厚で明らかに他の部屋とは雰囲気が大きく異なっており、生徒会……つまり学園における最強の証がどれだけ重要視されているのかがよくわかる

 

俺は若干の緊張を抱えながらも覚悟を決めて部屋の扉をノックする

 

少しすると桜木先輩が態々出迎えてくれた

 

「はーい……浅麦君に久慈川さん、よく来てくれたね。

どうぞ中に入ってってくれ」

「失礼します」

「ししし、失礼しまひゅ!」

 

久慈川さん……緊張しすぎじゃないか?

 

生徒会室の中に入るとそこには数々の『DaR』に関わる器具や中央にかなり大型のデュエルフィールド

 

更には何らかの解析に使われていると思われる数多くの機器が部屋中に設置されており、一般的な生徒会室と比べるとどちらかと言えば研究室の方が近い気がした

 

更に中には桜木先輩の他に茶髪で制服を若干着崩している一見軽薄そうに見える男子生徒と黒髪に眼鏡にオサゲと図書委員とかに居そうなイメージが全て重なったような地味めではあるがクールな印象の女子生徒が居た

 

「ん?そっちの男が副会長か話題にしてた浅麦君っスか?」

「あぁ、彼が僕が注目している生徒であり会長の目に止まった哀れな子羊でもある浅麦君だよ」

「哀れなって……いや別に間違ってないっスけど……」

 

そこまでバトルジャンキーが酷いのか生徒会長……

 

「浅麦 誠……職業盗賊、授業での評価も高く勝率は97%、授業外での勝率は完全な100%……特に初見の相手に対する勝率が100%ですか……それに試合数を見るだけでも随分と大暴れしているようですね」

「俺が喧嘩売っているような言い方はやめてくれません?

殆んど売られた喧嘩なんですが……」

「それでも暴れているのは事実でしょう?」

 

まぁ確かに蹴散らしているからそう言えるが微妙に不服だ……

 

「まぁまぁ、副会長も彼を中心に荒れるって言ってたじゃないっスか。

あ、オレは生徒会書記で2-Cの"田畑 耕作"っス。」

「私は生徒会会計で2-Dの"夢見 魔理"です」

 

田畑先輩……確か職業は商人から派生したユニーク職の農民。

何故商人から農民にと思わなくも無いが植物系のユニットとバフアイテムを大量に生産するカードや職業スキルを使い数と質で勝負するタイプの人だったはずだ

 

夢見先輩は……ん?"夢見 魔理"?

 

俺は思わず夢見先輩を二度見する

 

「あの……夢見先輩?先輩の職業って……」

「…………です」

「すみませんもう一回言ってもらっても?」

「だから……"魔法少女"です!!」

 

夢見先輩は赤面しながら若干ヤケクソ気味にそう叫ぶ

 

あまりにも映像記録と本人の印象が違い過ぎて実際に名前を聞くまで全く気付かなかった

 

"魔法少女"……この世界では一般的な魔法使いの上級職として位置付けられている職業の一つであり、少女なのに何故か男でも漢でもなれてしまう謎な職業だ。

字面の印象やカードのエフェクト、ユニットのファンシーさ等から小学生までの女子等に凄まじい人気を誇る職業ではあるが一度なってしまえば最後……高校生や大人になっても"魔法少女"のままな為に最終的に黒歴史になる悪魔の職業とも呼ばれてる

 

その為にこの職業だけは辞めとけランキングではまさかの盗賊よりもランキングが上な2位である(ちなみに盗賊は6位)

 

職業としての特徴としてはアクションカード主体の殲滅型であり、単体への大ダメージや全体攻撃、更には回復まで可能な為に恥さえ捨てることが出来るのであればこの世界でも相当上澄みな職業だ

 

「あー、やっぱそんな反応になるっスよねぇ。

夢見の職業知った奴全員二度見するんスもん」

「うるさい……!」

 

恐らく夢見先輩は黒歴史になると悟る前に上級職にまで上がってしまったのだろう

 

小学生くらいの年齢で上級職なんて余程の才能があるかそれだけの戦績を叩き出せないと無理なんだがな……しかも生徒会に入っているって事はそれだけの実力がある証だ

 

そんなやり取りをしていると……

 

 

———————ダァン!!———————

 

 

突如として生徒会室の入り口が勢いよく開かれた。

 

そこには入学式の時に宣戦布告にも近い宣言を行った銀髪のポニーテールにその紫色の瞳の奥には殺気にも近い戦意が感じられる長身の人物……この学園最強の生徒会長"戦葉 優希"会長が仁王立ちしていた。

彼女は俺たちの姿をみるとニヤリとした笑みを浮かべながら歩み始める

 

「遅れてすまない、そして君が噂の浅麦君だね?

知っているだろうが私がこの学園の生徒会長、戦葉 優希だ。

よろし……ふにゃ!?」

 

あっ……部屋と廊下の境目に足を引っ掛けて転んだ。

 

 

 

…………入学式の時も思ったがこの人さては筋金入りのドジだな?

 

 

 

 

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