TCG学園の卑怯者〜無警戒に引っかかる方が悪い〜   作:クロマ・グロ

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違法決闘

 

翌日の放課後、俺達は学園に外出申請を出してから学園の外である街へと向かう事になった

 

基本的に学園の外はこのギガフロートに住んでいる研究者達用の街となっており、学園の生徒達はこの場所に向かうには外出申請をする事になっている

 

理由としては単純にこの場所に来る必要が学生達には本来無いため、成績等が危うい者などが勝手にそういう所へ向かい危ない目に遭うのを防ぐ為という意味合いもある

 

学園の正門前で待ち合わせをしていると久慈川さんと桜木先輩に加えてもう一人見覚えのある人物がこちらに来ていた

 

「お待たせしました……!」

「いや、俺もついさっき到着した所だ」

「はは、まるでデートの待ち合わせみたいな返しだね」

 

桜木先輩がからかうようにそんな事を言うと久慈川さんが顔を真っ赤にする

 

「デ、デデデデ!?」

「からかわないでくださいよ。

それでそっちの人はフェリーの時ぶりですね」

「あぁ、そう言えばまだ彼の自己紹介をして無かったね」

 

制服ではなく燕尾服な身を包んだ俺達と同年代と思われる人物……フェリーの時桜木先輩と共にいた使用人は俺達に軽く礼をする

 

「改めまして初めまして。

ワタクシはハルト様の使用人をさせていただいております"枢木(くるるぎ) レイ"と申します。

浅麦様におかれましては以前お会いした際に大変失礼致しました。」

「いや、気にしてないから問題ない。

世間一般的な盗賊の扱いを考えればまだマシな方だ、こちらこそ今日はよろしく頼む」

「えぇ、よろしくお願い致します」

 

俺は枢木と握手を交わすと久慈川さんが困惑した様子で俺と枢木を交互に見ている

 

「あの……お二人はお知り合いだったんですか?」

「このギガフロートに来る時に少しな」

 

その後お互いに軽く自己紹介をしてから本題へと入る事にする

 

「とりあえず現在このギガフロートで『デュエニュクス』が関わっていると思われる箇所はこの4箇所だ」

 

先輩がホログラムの地図を投影するとその地図の4箇所にピンが刺さっており、それぞれ商業区、居住区裏路地、デュエル区、情報区の4箇所に刺さっていた

 

デュエル区はその名の通りデュエルをメインに行えるように至る所にデュエルフィールドが設置されているエリアであり、情報区は主にこの島の管理者の一部が住んでおり、島中の情報を集める事が可能な特殊な区だ

 

「とりあえず今日は僕達が向かうのはこの居住区裏路地だ。

事前にドローンをとばしてみたんだがにやはりと言うべきか数名この島の住人リストに登録されいない人間を何名か発見した、十分注意してくれ」

「この島に来る手段は限られてる、そうなると小型の船か何かでこの島に来たってことか?」

「それもあるだろうけど僕としては潜水艦という可能性も考えている。

このギガフロートは色々と曰く付きで色々と他の国との揉め事に巻き込まれる事もあってね……ちょくちょく忍び込もうとしてくる人間がいるんだ」

 

物騒だなおい……

 

「デュエル中の皆様の安全はワタクシがお守り致しますのでご安心ください」

「あぁ、いつも通り頼むよ。

それじゃあさっそく向かおうか」

 

俺達は桜木先輩に付いていき、目的地へと向かっていった

 

 

 

 

 

「っと到着だ」

 

学園から歩いて20分程の距離にあるギガフロート居住区第1地区

 

このギガフロートの居住区は第1から第6まで存在しており、学園の教師やカード研究を主に行っている者達は主にこのエリアの居住区に住んでいる場合が多いらしい

 

その居住区の裏路地……監視カメラにすら映らないその場所にはまるでスラムのような微妙に生活感のある空間があり、明らかに何度も誰かが出入りしているような痕跡が見受けられた

 

「あぁ?誰だテメェ?」

 

そこにはガラの悪い男や明らかに研究者ではない一目見ただけで怪しいとわかる黒尽くめの男、不良のような人間などが何人もあつまっており、盗品と思われるデュエルフィールドを使ったデュエルを行っていた

 

「学園の生徒みてぇだがここにいつも来ている連中じゃぁねぇな。

何が目的だ?」

「僕は学園生徒会副会長の桜木ハルトと言う。

学園で『デュエニュクス』の関わっていると思われる事件が起こったんでね、彼らが関わっている場所の調査に来たんだ。」

 

先輩がそうバカ正直に答えると連中は臨戦態勢になり、一斉にデッキを構える。

前世の世界を知っている俺からすればシュールなことこの上ないのだがこの世界ではこれが正常な反応だ

 

「悪いんだが『デュエニュクス』と聞かされてしまった以上俺達もお前らをただで帰す訳にはいかねぇ。

基本的にお前らみたいな子供には出来るだけ関わらない方針だが『デュエニュクス』は俺達の生活の要だからな」

 

成る程、『デュエニュクス』は違法滞在者への生活支援をする代わりに何かしらの裏の取引をしているわけか

 

恐らく《侵食》カードもこいつらを介して渡しているのだろう

 

少なくともこっちも蜥蜴の尻尾の可能性が高そうだ

 

「別に僕としては違法滞在云々に関しては関わるつもりは無いんだけどね」

「一人につきノルマとしては4人ってとこですか」

「頑張ります……!」

 

「「「違法決闘(イリーガルデュエル)!!」」」

 

違法滞在している12人の男たちの内3人がそう宣言すると俺達の視界が真っ黒に染まる

 

視界が元に戻ってくると俺は現実の肉体のままホログラム投影されたデュエルフィールドのある空間に閉じ込められていた

 

違法決闘(イリーガルデュエル)……先輩曰く最近裏で流行し始めているデュエル方式であり、自分と相手をデュエルが終わるまで脱出不可能にする特殊な空間へと閉じ込め、そのデュエルが終わった後の相手に自分の望みを何でも一つ聞かせる事ができるという隷属の効果を及ぼす『アクティベーションカード』を組み込んでいるらしい

 

とはいえ基本的に勝負における不正等は行えない使用の為に裏流の正々堂々としたやり方として認められているそうだ

 

早い話が邪魔が入らないようにすると言うのが主目的のようであり、学園側もこのシステムを一部流用しているそうだ

 

「悪いがその口を封じさせてもらうぞ……!」

「俺に勝てたらの話ですけどね!」

「「デュエル!!」」

 

 

 

 

 

 

「テ……テメェ……!んなの卑怯だろが……!?」

「チクショウ……!俺のデッキが……!?」

「なんだよその特殊勝利……!?」

「盤面の攻撃力が……!?」

 

一通りデュエルが終わった後、ガラの悪い男達は全員その場に倒れ伏していた

 

どうも違法決闘(イリーガルデュエル)には逃亡対策に敗北した相手を極限まで疲労させるらしく、男達は全員立てなくなっていた。

 

正直戦っていて拍子抜けしたのだが俺が相手した奴らは全員《侵食》カードを使っておらず、特にユニークレア等も無かった為上に能力のないステータスのみのカード、通常バニラカードもデッキに入れているくらいだったのでそこまで強くはなかった。

 

《侵食》カードを使わない理由を聞いてみたのだが……

 

「あんなただでさえ貴重な能力持ちのカードを無駄にするもん使えるかよ。

こっちはただでさえ資金に余裕はねぇんだよ」

 

との事だった

 

今まで学園にいた為に忘れていたがこのデュエル学園にいる生徒達はその全員が世界でも上積み中の上積みの連中ばかりであり、全てのカードが能力持ちユニットばかりにしていた

 

だが世間一般の価値観的には能力持ちというだけで価値が高く、デッキの全てを能力持ちで揃えるには相応の資金力や運が必要になることを

 

そしてここに違法滞在している連中は何かしらの依頼を受けてこの島に密かに来た者達が多く、報酬なんかはそれが終わってから受け取る為に生活なんかは『デュエニュクス』なんかとの取引でえられる支援を当てにしているそうだ

 

まぁこのギガフロートは徹底的に管理されているからな、滞在許可の無い者にはまともに施設を使う事は出来ないのだろう

 

とはいえ俺としては何故この場所に留まり続けているのかという疑問が残った

 

「お前達は何でこの島に残り続けてるんだ?

普通に考えれば依頼を蹴って帰ったほうが圧倒的に良いだろうに」

「普通ならな」

 

黒尽くめの男は首元を見せてくる。

そこにはまるで鎖のような模様が首周りに巻き付くように刻まれていた

 

「これは……隷属の契約か」

「俺達は『デュエニュクス』の命令には逆らえねぇ。

契約に関してバレたら口封じされるがそれ以外の事について話しちゃいけねぇって契約はしていないからな。

ただ一つ言えるのは俺達も所詮は蜥蜴の尻尾なんだよ」

 

隷属の契約で無理やりこの島に連れてこられている人間だというのは予想していなかったがコイツラも蜥蜴の尻尾なのは予想通りだったな

 

多分だがこいつらは運び屋のような役割であり、主な目的は学園にいる『デュエニュクス』と繋がっている実力至上主義者に物を運ぶのが目的なのだろう

 

そしてそのルートは恐らくこいつら以外の3箇所であり、何かあった時には瞬時に流通のルートを切り替えられるようにしてあるわけだ

 

「少し困ったことになったね……本格的に『デュエニュクス』の残党がこの島に潜入している可能性が浮上してきた……!」

「どうします先輩?多分他の場所の連中を倒しても大した情報は得られないと思いますよ?」

「そうだね……とはいえ奴らにこのギガフロートと学園を好き勝手されるのも少々気に入らない。

ここはちょっと限界まで嫌がらせといこうか」

 

先輩はそう答えた時、何故か無言の圧力を感じる笑みを浮かべていた

 

これどう考えても俺達も手伝わされる感じだよな……

 

 

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