仮面ライダーヴァレン・オーブエトワールショコラ   作:Ryo-ka

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こんにちは、月村手毬です。

私は広の誘いを受け、一夜限りのユニット結成をすることになりました。ユニットメンバーは私と広と十王会長......まさか一番星と同じユニットを組むことになるなんて。

この話を聞いた時、最初は......少し驚いたけど、今はそれ以上に胸が高鳴っています。一番星と同じステージに立つ。二度とないかもしれないこの機会を私はチャンスと受け取りました。この月村手毬が、絶対に!最高のライブにしてみせます!!

それと、今日は千奈のお屋敷に呼ばれてるんだけど......きっと、美味しいお菓子が食べられるはずです!





甘い幸せ、ミルクティー1

 国内有数の大財閥が有する別荘の屋敷。そこに、やる気で満ち溢れた三人の女子生徒がいた!!エプロンの紐を強く引き締めたその姿......そう!彼女たちは!!

 

「千奈と!」

 

「広と」

 

「佑芽の!!!!」

 

「「「ドキドキ!?スイーツクッキング〜〜!!」」」

 

 キッチンに立つ三人の女子生徒は楽しそうに拍手をした。キッチンのテーブルにはこの日のために用意されたであろう様々な調理道具と食材が綺麗に並べられている。そしてその様子を少し離れた場所に置かれたテーブルの椅子に座る一人の女子生徒。三人の姿を冷たい目で傍観している。彼女の名前は月村手毬、この日のために呼ばれた彼女は言うなれば......ゲストだ。

 

「篠澤さん!花海さん!準備はよろしくて!」

 

「うん、大丈夫。」

 

「はーーい!!いつでもバッチリだよ!!」

 

「ねぇ。」

 

 三人が各々準備に取り掛かろうと動き始めた瞬間に傍観していた手毬が彼女達に話しかけた。全員が一斉に手毬の方へ顔を向ける。

 

「どうしたの?手毬。」

 

「いや......なにこれ?」

 

「あれ?手毬ちゃんには聞こえてなかったのかな?」

 

「じゃあ、もう一度!......千奈と!」

 

「広と。」

 

「佑芽の!!!!!!!」

 

「違う!そういう意味じゃない!」

 

「......手毬、端的に説明する、ね。」

 

「端的に、じゃなくて。詳しく説明してほしいんだけど。......千奈!」

 

「はっ!はい〜〜!どっどうされましたか?月村さん......」

 

「説明して。」

 

 手毬はそう言って千奈を蛇のような鋭い目つきでじーーっと睨みつけた。その顔を見た千奈は蛇に睨まれたハムスターのように顔を青ざめながら、横に立つ広の背後へとゆっくりと隠れる。身体を少し震わせながら、広の背後からひょこっと顔を出して説明を始めた。

 

「きょっ今日は、スイーツをみんなで作って月村さんに食べていただこうかと!」

 

「私に?......は!!」

 

 突如、手毬の脳内にフラッシュバックする記憶。それはこの三人が家庭科の授業の補習の補習を受けているところに手毬が偶然居合わせた時のことだ。

 

「前回は、なにを作ったの?」

 

「お姉ちゃん特性フードペーストをあたしなりに再現したモノに......」

 

「色々あって、わたしの生き血がかかったもの。」

 

 絵面を想像しただけで悍ましいものだ。もし、テレビのバラエティー番組の生中継で、アイドルの生き血がかかった謎のフードペーストもどきがお茶の間に映ったが最期。放送中止になってしまうだろう。それを考えた手毬の顔が青ざめていくのを三人はただ呆然と眺めていた。

 そして、「私、ダイエット中だから......」と言って身体が反射的に立ち去ろうと椅子から立ち上がった。それを佑芽が慌てた顔で引き止めようとする。

 

「待って!!手毬ちゃん!!」

 

「待たない!」

 

「わたくしたち!この日のために頑張って料理のお勉強してきましたの!!」

 

「だから、手毬に、食べてみてほしい。」

 

 三人の声で振り返る。手毬のことを三人は必死にめでうったえかけていた。信じて欲しそうな顔。手毬は瞳を閉じて考えた後、息を深く吐いてこう言った。

 

「......分かったよ。美味しくなかったら、ただじゃおかないから......」

 

 手毬はそう言って再び椅子に腰掛けた。突き放すように聞こえるその言葉には、なんだか手毬なりの優しさが篭ってるように感じて三人の顔が一気にパーーっと明るくなる。

 

「気を取り直して!スイーツ作りの再開ですわー!」

 

「「おー!!」」

 

 

 

 

 

「本日はお忙しいなか、お時間をいただきありがとうございました。」

 

 俺は初星学園内での取材を終えて、ベンチに腰をかけていた。コートのポケットから、先ほど取材したトレーナーの方が話していた内容をまとめたメモ帳を取り出す。ペラペラとめくって記事に使える文章をピックアップしていく。グラニュート探しも大切だが、自分の仕事も進めておかないとな。時間は有限だ、有効活用をしていこう。

 

「ここらへん、使えそうだな。初星学園の食堂、人気なランチか......」

 

「おい、貴様。」

 

 反射的に声がした方へと振り返る。長い黒髪をまとめて結んだ女子生徒が俺を見下ろしている。吊り上がった眉毛と睨みつけるような特徴的な垂れ目。会ったことがない生徒だ。

 

「えーっと。」

 

「先に名前を名乗っておこう。三年の雨夜燕(アマヤ ツバメ)だ。」

 

「雨夜......それって確か、副会長!この学園のNo.2!」

 

「No.2......まぁいい。この辺りに生徒達から学園内を彷徨く不審な男の目撃情報があってな。」

 

「不審な男?まさか......俺は違うぞ!?」

 

「ふん、知っている。その不審者情報のおかげでお前に辿り着いたわけだ。」

 

「辿り着いた......俺に何か用か?」

 

「星南と学園長からの伝言だ。別のアイドル養成校で今回の事件と酷似した怪しい企業からの依頼があった......ここまで言えば分かるか?」

 

「なっ!!」

 

 俺はすぐに立ち上がった。そうか、アイドルとプロデューサーの失踪事件にきっかけになったベンチャー企業に似た依頼が別のアイドル養成校に。星南達を通じて他の養成校に呼びかけておいて正解だった。やっぱり同じ学園は狙わねーよな。俺がそう考えているとスマートフォンが振動し始めた。誰かから電話か?

 スマートフォンをコートのポケットから取り出すと画面には「ショウマ」の名前が映し出されている。

 

「もしもし。ショウマ、どうした?」

 

「絆斗、ゴチゾウ達が見つけたよ。人プレスの回収場所。」

 

「そうか、俺もグラニュートの居場所の手がかりを掴んだかもしれねぇ。俺は明日、そっちに行く。」

 

「分かった。じゃあ、俺とラキアでエージェント達から人プレスを取り戻す。」

 

「おう。」

 

 そう言って俺は通話を切った。まさか、こんな同時に事件が動くとはな。俺がグラニュートが絡んでる可能性が高いベンチャー企業に、ショウマとラキアが人プレスを取り戻す。二手に分かれて、攫われた人達を取り戻す。俺は顔を上げ、雨夜燕という生徒に顔を向けた。

 

「俺が行く。詳しい情報を教えてくれ。」

 

「貴様には明日、そのアイドル養成校のプロデューサーとしてその怪しい企業と接触してもらう。」

 

「あぁ、それでいい。......でも、その養成校のアイドルには危険な目には遭ってほしくねぇな。」

 

「だったら、その日は担当アイドルが体調不良になったためプロデューサーが一人で打ち合わせに行く。という筋書きでいいか?」

 

「そうだな、それがいい。で、そのアイドル養成校ってどこだ?」

 

「......極月学園だ。」

 

「極月...学園?」

 

 

 

 

 

 仄暗い一室にカチャカチャという金属製の手術道具を替えるたびにぶつかる音が響き渡る。そして縫った糸の余った部分を真っ直ぐ伸ばして金属製のハサミで切り落とす。

 

「気分はどうだい?」

 

「......」

 

 ストマック家次男、ニエルブが手術台の上に横たわった状態の一人のグラニュートに声をかけた。数秒経って意識がはっきりしたのか何かを探し始めた。その様子を見て、ニエルブは「君のはこれだよ。」と言って、人間に化けるために必要なミミックキーを手渡す。そのグラニュートは受け取ってすぐに自身の腹部の口であるガヴのミミックデバイザーに装填した。

 装填した瞬間にミミックキーが収納されて、グラニュートから人間の女性の姿へと変化する。手術をしたせいか服を着ていない。マネキンのような透き通った白い肌と体つき、服を纏わないまま立ち上がって窓の外の景色を見つめた。外から差し込むグラニュート界の風景が緑色の瞳に映り込む。グラニュートは自身の長い白い髪を手で簡単にとき始めた。

 

「あぁ、いい気分だ。力が溢れ出てくる。」

 

「そう、それは良かった。」

 

「すぐに新しい人間の服を用意してくれ。......仕事がしたい。」

 

「君にはみんな期待しているんだ。頼んだよ、ベロルスくん。」

 

「任せてくれ。キミ達の期待にオレ達が答えるよ。」

 

 

 

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