仮面ライダーヴァレン・オーブエトワールショコラ   作:Ryo-ka

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甘い幸せ、ミルクティー3

「くっ!ヒトプレスを取り返せ!二手に分かれるぞ!これ以上奪われてはならない!」

 

「「「あぁ!」」」

 

 一人のエージェントが他三人に指示を出してエージェント達がバラバラに行動を始めた。指示を出したエージェントと小柄なエージェントが銃を構えながらヴラムを窓際へと追い込んでいく。

 

「お前ら、邪魔だ!」

 

「今だ!下へ迎え!」

 

 その合図を聞いた他の二人のエージェントが壁に設置されたロッカーから二つのアタッシュケースを取り出すと部屋から出て階段を駆け下り始めた。「まだ隠し持ってたのか!」ヴラムが後を追いかけようとするが、二人のエージェントが行手を塞ぐ。

 ヴラムはヴラムブレイカーで応戦しながら窓から顔を出し、下でヒトプレスが入ったアタッシュケースの中身を確認するガヴに向かって叫んだ。

 

「ショウマ!あと二つエージェント達がアタッシュケースを隠し持ってた!」

 

「え......!」

 

「すまない、二人のエージェントが下の階に向かって逃げようとしているはずだ!そいつらを頼む!」

 

「うん、分かった。そのエージェントは俺がなんとかする。みんな!そのアタッシュケースを持って逃げて!!!」

 

「「「「わにゃーーーー!!!!!」」」」

 

 ガヴの声かけと共に待機していた大量のゴチゾウ達が現れ、回収することができたアタッシュケースを十数匹で一つのアタッシュケースを持ち上げると一生懸命に逃走を始めた。すると、入り口から一人のエージェントが銃を発砲しながら自分目掛けて走る姿がガヴの視界に映った。ガヴは自身の腹部から露出した赤いガヴの上顎を開け、辛いポテトチップスのゴチゾウ『ヒリヒリチップス』を舌の上へと乗せて上顎を閉じた。

 

『スナック!』

 

「やっぱり、この数のヒトプレスは取り返しにくると思った。」

 

「くっ!!」

 

『イート!スナック!イート!スナック!』

 

 ガヴは赤いガヴのレバーを回転させてゴチゾウを咀嚼するとピンクのボタンをザクザクチップスラッシャーの柄の部分で強く押した。力を解放したザクザクチップスラッシャーの刀身が赤いオーラを纏い、メラメラと燃え盛る。

 

『ヒリヒリチップス!!』

 

 その間もエージェントは猪突猛進で突っ込んでくる。ガヴは放たれた弾丸を炎を纏ったザクザクチップスラッシャーで切り裂いていく。そして再びレバーを回してピンク色のボタンを強く叩きつけた。先ほどの炎とは比べ物にならないほどの業火を纏ったザクザクチップスラッシャーの刀身同士を十字に重ね合わせ、業火の斬撃をエージェントに放った。

 

『ヒリヒリチップスファイヤー!!!!!』

 

「はぁぁあぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「ぐあぁぁぁぁぁあぁ!!!!」

 

 十字の業火の斬撃がエージェントの身体を真っ二つに焼いて切り裂き、焼かれた身体は灰となって消えた。その姿を見届けたガヴはあることに気がついた。

 

「アタッシュケースを持ってない......まさか!もう一人は別の入り口から逃げた!!」

 

 

 

 

 

 三階で二人のエージェントと戦闘をしていたヴラム。エージェントに窓際まで追い込まれた彼はガヴに二つのアタッシュケースを持って逃げたエージェントがいることを伝えると窓の外へと飛び降りた。ヴラムの身体が重力に沿って落ちていく。まさかの行動に動きが止まるエージェント達、一人の小柄なエージェントが窓から顔を出して下を見下ろした。

 

「なっ!」

 

 しかし、ヴラムの姿はなかった。右左下を何度も見回すが見つからない。同じように透明化したのかと一瞬考えたが、その考えを否定するかのように上から『セット!』という機械音が聞こえてきた。エージェントは恐る恐る上を見上げる。そして、そこにはヴラムブレイカーを弓状態へと変形させて必殺技の準備が完了したヴラムの姿があった。

 

「は?」

 

「......じゃあな。」

 

『ヴラムシューティング!』

 

グサッ

 

 強く引いた弓の弦のようにヴラムブレイカーのレバーからゆっくりと指を放す。一本の鋭い矢が窓から顔を出したエージェントの頭部を貫通し、力無く頭が下に落ちる共にそのまま灰となって消えてしまった。

 壁に張り付いたヴラムの腕から伸びた長い触手は屋上の鉄格子へと巻き付いている。ヴラムが窓から落下した瞬間、自身のグラニュートとしての能力である触手を窓から見える範囲外で伸ばして上へと移動したのだ。エージェントが困惑して下をひたすら探している隙にゴチゾウを装填して必殺技待機状態にした。

 

「あとは一人だな。」

 

 ヴラムは自身の触手を伸ばし、窓の位置まで降りてくると振り子のように勢いをつけて揺らして部屋の中へと突入した。窓の近くで呆然としていたエージェントを部屋の入り口まで蹴り飛ばす。

 

「ぐあぁああ!!」

 

 そのまま倒れてしまうエージェント、ヴラムは部屋の中へと綺麗に着地するとヴラムブレイカーを構えた。エージェントはすぐに立ち上がって銃を発砲する。ヴラムはヴラムブレイカーを鎌へと変形させ、刃部分を近くにあった移動が可能なホワイトボードの脚にかけた。ガラガラと音を立てながらヴラムの前に置かれたホワイトボードが盾の役割を果たし、弾丸を受け止める。

 

「何!!」

 

『セット!』

 

 ヴラムブレイカーにゴチゾウを装填する。ヴラムブレイカーの細かいチェンソーの刃がブゥゥゥゥゥン!!!と重厚感のある音を立てながら回転速度を上げていく。

 

「散れ、」

 

『ヴラムスラッシュ!』

 

 ヴラムブレイカーを振り下ろし、斬撃を放つ。放たれた斬撃はホワイトボードを真っ二つにしてその向こうにいたエージェントの身体も切り裂いた。

 

「ぐっ......あぁあぁぁぁあ。」

 

 真っ二つに割れ、床へと壊れながら散らばるホワイトボード。膝から崩れ落ちたエージェントは灰となって消滅してしまう。その姿を見届けたヴラムは安堵のため息を吐いて、その場に置いてあったパイプ椅子へと腰かけて一言呟いた。

 

「......だるっ。」

 

 

 

 

 

「一体.....!どこに逃げたんだ!」

 

 ガヴが先ほど倒したあのエージェントはヒトプレスの奪還に見せかけたただの囮。倒している時間の間にもう一人のエージェントがヒトプレスが入った二つのアタッシュケースを持って逃走したはずだ。どの方向に逃げたのか今から追いかけることは不可能。

 

「どうすれば......」

 

「「わにゃ!!」」

 

 危機的状況に焦燥するガヴに二匹のゴチゾウが足元から声をかけた。見下ろすとマシュマロのゴチゾウ『ふわマロ』と以前食べた抹茶味のチョコレートのゴチゾウ『チョコダン』が何かを必死に訴えかける。

 

「そうか......うん、分かった。」

 

 ゴチゾウの言葉に耳を傾け、意図を理解したガヴは頷くと赤いガヴの上顎を上げた。地面からふわマロを拾い上げると舌の上へ乗せて上顎を閉じて、レバーを回した。

 

『マシュマロ〜』

 

『イート!マシュマロ!イート!マシュマロ!』

 

 ピンクのボタンを押し込み、ガヴの全身が白いマシュマロに包まれて膨れ上がっていく。身体を叩くと「フワフワ」という大きな文字が現れて風船のように上空へと上がっていった。

 

『ふわマロ〜フワフワ〜!』

 

「よし!」

 

 ガヴはその大きな文字を掴むと上空へと高く上がっていった。建物の屋上よりも高い位置までくると上空から下の景色を見下ろす。ビルとビルの間、エージェントは人が密集している大通りや駅の方には逃げないはずだ。そしてガヴは見つけた。数キロメートル先、人気のない路地裏を必死に走るアタッシュケースを持ったエージェントの姿だ。

 

「いた!」

 

 ガヴは掴んでいた「フワフワ」という大きな文字の上に完全に乗ると自身の赤いガヴの舌の上に抹茶味のチョコダンを乗せて上顎を閉じ、レバーを素早く回した。

 

『チョコ!』

 

『イート!チョコ!イート!チョコ!』

 

 全身から溶け出た緑色の抹茶チョコレートがピンク色のボタンを叩き込むと同時に硬化し、西部劇のガンマンのような装甲を形成していく。普段のチョコダンフォームならミルクチョコレートらしい茶色だが、緑色の姿をしている。

 

『チョコダン!パキパキ!!』

 

「これが...抹茶チョコレートの力!」

 

『チョコダンガン!』

 

「いつものチョコレートの銃じゃない......」

 

 緑色のチョコレートの銃。この『チョコダンガン』は拳銃の形状とは異なり、銃身が長くライフルのような形状をしていた。「これならこの距離でも狙える!」そう言ってガヴは膝立ちの状態になって銃身の位置を固定すると赤いガヴのレバーを回転し始めた。

 

『チャージミー!チャージミー!』

 

「この一発に全てをかけて......」

 

『チャージミー!チャージミー!』

 

「......」

 

 狙いを定め、ピンク色のボタンを勢いよく押し込んだ。チョコダンガンの銃口に緑色の粒子が集まっていく。今にも破裂寸前だ。

 

『チョコダン......』

 

「いけ。」

 

 そう言ってガヴはチョコダンガンの引き金を強く引いた。

 

パキッ!

 

『フィニーーーッシュ!!!』

 

 放たれたチョコレートの弾丸は数キロメートル先のエージェントに向けて美しい直線を描きながら、高速で進んでいく。そして数秒後、エージェントの背中に着弾して腹部を貫通した。何が起こったのか分からないままエージェントは力なくその場で倒れ、灰となって消滅してしまう。二つのアタッシュケースが音を立てて路地裏の真ん中に落ちていく。

 

「よかった......絆斗、大丈夫かな?」

 

 安堵のため息を吐いたガヴは絆斗がいるであろう場所の方角へ顔を向けた。

 

 

 

 

 

 

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