仮面ライダーヴァレン・オーブエトワールショコラ   作:Ryo-ka

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ちゃっす!仮面ライダーヴァレン、辛木田 絆斗だ。

ジープがグラニュートの世界の大統領の娘『リゼル』を連れて現れたり、俺とラキアの腕がくっついたり、ビターガヴの黒いガヴをつけたマーゲンっていうやつが現れたり......いろんなことがあった。

でも、デンテのじいさんが作った『ゴチポッド』の力でパワーアップしたショウマは!ついにストマック社の社長『ランゴ』を倒すことができた!!

これで戦いが終わり......ってわけでもねぇ。まだ俺達にはやらなきゃいけないことがたくさん残ってる。俺の母ちゃんの攫ったあのグラニュートもまだ見つかってねぇ......




甘いも苦いも飛んでいけ4

 俺はとある森の中を歩いていた。フリーライターがこんなところに何の用があるんだ?って話だが、取材のネタのためにツチノコを探してるわけじゃねぇぞ。いや、ちょっと近いのか?俺にはここでしか会えねぇ人がいるんだ。しばらく歩いているとその人が住んでいる洞窟を見つけた。

 

「ちゃーーっす。」

 

「おぉ、ハンティか!久しぶりじゃのう!」

 

「絆斗!」

 

「ショウマ、お前も来てたのか。」

 

「うん!」

 

 俺の目の前にいるクジラみてぇなグラニュートのじいさんは『デンテ・ストマック』っていうんだ。社長のアダ名のせいで俺の名前は完全に『ハンティ』だ。覚えとけよ社長。ショウマの父ちゃんの父ちゃんの弟?まぁ、ショウマの親族で俺達の手助けをしてくれてる。最初はその姿を見てビックリしたけど話してみれば気の良いじいさんだ!酸賀がいなくなった今、俺の身体を見てくれてる。今日もそんな感じだ。

 

「うむ、だいぶ傷も治ってきたのう!この調子なら一週間もしないうちに全快じゃ!」

 

「そうか、ありがとなデンテのじいさん。これ......少ないけどお菓子買ってきたんだ。」

 

「おぉ!すまんのう!では早速!!!」

 

「おっおい!!」

 

 俺がバッグからコンビニで買ってきたお菓子が入ったレジ袋を出した瞬間、デンテのじいさんは奪い取るような形でレジ袋の中のお菓子を袋ごと食べ始めた。相変わらず豪快というかその食べ方はマジで心配になる。グラニュートの身体はそんなに頑丈なのか?

 

「あ、そういえばショウマ。この間分けたチョコケーキはどうだった?」

 

「うん!すごく美味しかったよ。チョコレートの苦さが甘さを引き立てて口の中でじんわり優しく溶けていく感じ!あと!黒くてザクザクしたところも歯応え抜群だった!」

 

 それはたぶん焦げた部分だな。でも、俺も食べたがショウマが言う通りすごく美味かった。今日、初星学園に取材の予定があるからもし、広達に会ったら礼をしないとな。俺がそんなことを考えているとショウマがゴチゾウを手渡してきた。見たことがないゴチゾウだ。三匹くらいいる。

 

「チョコケーキのゴチゾウ!絆斗の力になりたいって!」

 

「おぉ!形はチョコドンとかと同じだな。よろしくな!」

 

「「「わにゃーーーー!!!!」」」

 

 俺がそう言うとチョコケーキのゴチゾウ達は俺のバッグの中へと入っていった。一体コイツらにはどんな力があるんだろうな。俺とショウマの様子を見て腕を組んで微笑んでいたデンテのじいさんは思い出したようにショウマに声をかけた。

 

「で、ショウマ。話の続きなんじゃがな。」

 

「あぁ、うん。」

 

「話?俺が来る前に何か話してたのか?」

 

「うん、父さんについて聞いてたんだ。」

 

「父さん?」

 

 ショウマの父さん。ランゴの前のストマック社の社長だったか?人間の世界から攫った人の中にいたショウマのお袋さんを勝手に見初めて、二人のことをずっと部屋にほぼ監禁してたっていうヒデェ奴だったよな。俺達は手頃な岩に腰をかけてデンテのじいさんの話を聞くことにした。

 

「ショウマにとって嫌な奴だろ。なんで今さら......」

 

「今だからこそ知りたいんだ。父さんのこと。」

 

「ごほん!お前さんの父さん『ブーシュ・ストマック』はのう。元々、そんなに会社経営は好きではなかったんじゃ。じゃが、父親であるワシの兄貴『ゾンブ・ストマック』には頭が上がらなくてのう。長男である以上、継ぐ以外の道がなくて、なんとか会社の業績を下げないように必死じゃった。」

 

「......」

 

「じゃが、兄貴はすぐに「コイツはダメだ。」と見切りをつけて。すぐに次の跡取りを作ろうと色んな上流階級のグラニュートと見合いをさせたんじゃ。ブーシュ本人はそんなに乗り気ではなかったんじゃがな。」

 

 言われてみればショウマ以外の他の兄弟達って全然顔が似てねぇよな。やっぱり全員母ちゃんが違うのか?

 

「そして生まれたのがお前さんの兄弟達なんじゃが......生涯で一人だけ、ゾンブが自分から好きになれた人がおった。それが......」

 

「俺の、母さん......」

 

「そうじゃ。そしてお前さんが産まれたんじゃ、ショウマ。人間である妻と人間とグラニュートの間に産まれた我が子をどうやってグラニュート界を生かすべきなのか。他の兄弟達も二人の存在をよく思っておらんかった。少しでも隙があればヒトプレスにしてやろうとも考えておった!そして、ブーシュが導き出した結論は二人をほぼ監禁のような状態にして幸せにしないようにしたんじゃ。愛する二人にまともに愛を注げない!ブーシュも辛かっただろう。」

 

「......やっぱり納得いかねぇ!全部、ショウマの親父のエゴじゃねぇか!」

 

「絆斗、待って。」

 

 立ち上がった俺をショウマが服を引っ張って静止する。その手は少し震えていた。なんで、お前が止めるんだよ。

 

「ショウマ、自分とお袋さんを傷つけた親父のことなんて許さなくていい!」

 

「許すなんて言ってないよ......」

 

「え、」

 

「俺、人間の世界に来てデンテ叔父さんに初めて会って少し父さんの話を聞いた時、絆斗と同じようにすぐに反発したんだ。俺にとって記憶の中の父さんは最悪な人だったから。でも、時間が経って色んな人をグラニュートから助けていくうちに思ったんだ。」

 

「何を......」

 

「今、俺がたくさんの人の幸せを守れてるのは父さんのおかげもあるかもしれないって。」

 

「父さんの...おかげ?」

 

「ブーシュはショウマがグラニュート界で生きていけるようワシに幼いショウマの未発達なガヴの改造手術を頼んだんじゃ。何度も手術を重ねて、そして今の眷属を生み出す力となった。」

 

 デンテのじいさんはそう言ってテーブルの上で掃除をしているゴチゾウ達の頭を優しく撫でた。そうか、ショウマの親父さんがいなかったらゴチゾウが作れなくって、ショウマも仮面ライダーになれてないし俺も仮面ライダーになれてねぇ。誰の幸せも守れてなかったかもしれないのか。

 

「それだけじゃないよ。俺が今戦えてるのも父さんの稽古が身になってるとも思う。攻撃の避け方とか武器の使い方とかね。」

 

「ショウマ......」

 

「嫌なこと酷い思い出はたくさんある!父さんが母さんにしてきたことは絶対に許さない!でも、ちゃんと父さんのこと全部知って向き合わっていかないとダメだって思ったんだ。」

 

「ははっ......やっぱり強いな、お前は......俺にはそんなこと出来そうに思えねぇ。」

 

「できるよ!絆斗なら.....俺のことも許してくれたから。」

 

 俺はショウマの顔を見ることができなかった。俺がお前のことを許せたのは俺に手を差し伸べてくれたからだ。俺をずっと仲間だと信じてくれたからだ。幼い頃、母ちゃんが攫われたあの日のことを今でも全部夢に見る。あのグラニュートの顔もハッキリと。もし、アイツが俺の前に現れた時に俺はショウマみたいにアイツの話を聞いてやれるのか?

 頭の中でその様子を浮かべた瞬間、頭の中の俺はヴァレンバスターの銃口をアイツに向けて引き金を何度も引いていた。

 

「無理だ......悪りぃ、俺そろそろ行くわ。仕事があってな。」

 

「うっうん......」

 

 半ば強引にショウマとデンテのじいさんがいる洞穴を出て、街に向かって歩き始めた。バッグの中でゴチゾウ達が何か会話をしている。新しい仲間が入ってきて喜んでいるのか?仲良くなれそうなら良かった。街に着くとすぐに駅に向かった。初星学園の取材もこれで最後か......短かったようで長かったような、でも色んな人と交流を持てて自分が知らない世界を知ることができた。

 今まであったことを振り返りながら、歩いているとあっという間に駅に着いて電車がやってきて、席に座る。プシューという音を立ててドアが閉まった。電車が揺れて動き出す。昨日、徹夜したせいかだんだん眠くなってきた。

 

「やべ......眠く...なって......」

 

 乗り過ごすとヤバいのに睡魔に勝てず俺は眠りについてしまった。誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる。

 

 

 

 

 

「絆斗......」

 

 

 

 

 

「うん?」

 

 

 

 

 

「絆斗くん、起きてって。」

 

 

 

 

 

 聞き覚えがある声、まだ眠いのに......瞼を擦って目を開けた。アンティークなテーブルの上にうつ伏せになっていた俺はあくびをかいて目を覚ます。辺りを見渡すとコーヒーカップを片手に俺を見下ろすメガネをかけた男がいた。ため息を吐いて、こちらに近づいてくる。

 

「はーやっと起きた。俺の研究所は絆斗くんの仮眠スペースじゃないんだけど?」

 

「酸...賀......?」

 

 




仮面ライダーベイクのフィギュアーツをずっと待ってます。
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