仮面ライダーヴァレン・オーブエトワールショコラ 作:Ryo-ka
銃声が響き渡る。俺に飛びかかろうとしていたベロルスは手の甲を抑えながらどこかを睨みつけていた。俺もその方向へ顔を向ける。そこには足を震わせながら、ヴァレンバスターを両手で握って構える広の姿があった。銃口から煙が上がっている。まさかアイツが撃ったのか!!?
「広!なんで!!」
「...絆斗、たすけにきた、よ。...こういうセリフ、一度言ってみたかった。」
「そういうこと言ってる場合じゃねぇだろ......」
「いったいな......でも、マトが帰ってきた。アハハハハ!!」
ベロルスは不気味に笑いながらそう言うと身体を武者震いのように揺らして広へと近づき始めた。広も顔を青ざめながら、ヴァレンバスターの重さに握力が耐えきれずその場に落としてしまう。それを広が肩から掛けているバッグの中から飛び出したゴチゾウ達が集まってキャッチした。
「「「わにゃにゃ!!」」」
「おーないすきゃっち。ありがとう、すごく重いね、これ。」
「さぁどうやって殺そ......」
「させるか!!!」
ドガッ!!
「ぐえ!!」
広に近づこうとするベロルスを背後からドロップキックして止めてやった!ベロルスは受け身も取れないまま顔面から地面に倒れてしまう!ざまぁねぇぜ!同じように倒れた俺もすぐさま立ち上がると広の方へと走り出し、ゴチゾウ達からヴァレンバスターを受け取った。
「ありがとな、広。」
「へへ、どういたしまして。」
「「「わにゃわにゃ!!!!!」」」
「わりぃわりぃ、お前達もサンキューな。」
「なんなんだよ!!なんなんだよ!!せっかくあともう少しでヴァレンを始末できたのに!!人間なんかに邪魔された!しかも人間のなかでも弱そうな奴なんかにぃぃい!!!」
「うん、その認識であってる。自信もって。」
「黙れ!!!」
ベロルスは子供のように地団駄を踏み始める。なぜか自信満々な表情をしている広の頭の上に乗っていた三匹のゴチゾウが広の手のひらの上へとやってきて、広に何かを訴え始めた。
「わにゃわーにゃ!」
「うん、絆斗の力になってあげて。」
「「「わにゃ!!!」」」
三匹のゴチゾウ達は広の手のひらから飛び降りると俺に向かって飛び掛かってきた。咄嗟にキャッチしてそのゴチゾウを見つめる。今まで使ったことがない新しいゴチゾウだ。
「お前らは広達が作ったチョコケーキのゴチゾウか。」
「イートケーキ!イートケーキ!」
「あぁ、そうだな。やってやる!」
俺はヴァレンバスターのレバーを開くとチョコケーキのゴチゾウを勢いよく装填した。
『ケーキ!』
『Set!ケーキ!Set!ケーキ!』
「わにゃぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁ!!!!!」
ヴァレンバスターのレバーを閉じると同時にチョコケーキのゴチゾウが狼のように雄叫びをあげた。俺はゆっくりとベロルスへと近づいていく。
「マトのくせにぃ!!」
「ベロルス!テメェが思ってるほど人間は単純でも弱くもねぇ!それぞれが違う夢に向かって必死に生きてるんだ!......それなのに、何がマトだ!俺達はテメェなんかに屈しねぇ!ここでぶっ潰して前に進む!!」
ヴァレンバスターの銃口を天高く突き上げ、思いっきり引き金を引いた。銃口から重力に逆らって勢いよく滝のようにチョコレートのホイップクリームが噴き出す。
「変身ッ!!」
『ケーキング!アメイジング!!』
噴き出したチョコレートのホイップクリームが俺の全身を覆い、装甲へと硬化して装着されていく。身体中に纏わりついたホイップクリームを吹き払うと共に、真っ直ぐな風が吹き抜けていった。腰についた長いローブが風を受けて旗のように揺らめく。
「なんだよその姿!!」
「知らねーのか?ケーキの王様、不屈には悪くねぇ称号だろ。」
「うるさい!!うるさいうるさいうるさい!!!!」
ベロルスは俺に向かって走り出すと俺の顔面に向かって殴りかかってきた。全力で放ったその拳を片手で受け止める。ベロルスは茫然として立ち尽くしていた。どうやら攻撃を受け止められるとは思わなかったみてぇだな。
「なっ」
「これがケーキング、力が溢れ出してくるぜ!ベロルス......遊びの時間は終わりだ!」
受け止めた拳を片手の握力を使って握り潰していく。ベロルスは痛そうにもがき始めるが絶対離さないぜ!すると足元にチョコケーキのゴチゾウがやってきて何かを叫んでいる。自分を使えってのか?でも、どうやって.......俺がそう考えているとあることを思い出した。そうだ!ヴラスタムギアがあるじゃねぇか!チョコケーキのゴチゾウを拾い上げるとヴラスタムギアの天面に押し付けた。
「力を貸してくれ!」
「わにゃ!」
『プルイン!』
ヴラスタムギアの中へゴチゾウが吸い込まれていき、ベロルスの拳を掴んだ方とは別の腕にナックル状の武器が装着された。チョコレートの色をした美味そうな武器だ。俺はナックル状の武器がついた腕をぶんぶんと振り回して勢いをつけるとベロルスの鳩尾目掛けて拳を放った。ベロルスは「ぐはっ!!」という声をあげながら数メートルほど飛び上がる。
『カカオガントレット!』
「いいじゃねぇか!気に入ったぜ。」
飛び上がったベロルスは辺りを見渡すと何かを見つけたのか掴む動作をした。ゴミ袋の山からさっきベロルスが蹴り飛ばしたビターガヴガブレイドが飛び出してきて、ベロルスはそれを掴み取った。地面に着地するやいなや俺に斬撃を放つ。その斬撃をとっさにカカオガントレットで防ぐ。なんとかダメージは免れたがカカオガントレットが割れて地面に落ちていってしまった。
「やろう!せっかく気に入ってたのに!」
「知るかそんなの!!」
ベロルスはビターガヴガブレイトをめちゃくちゃに振り回しながら俺目掛けて走り出してきた。何か対抗できるものはねぇか!!
「わにゃ!」
「絆斗、さっきと同じ子が、そこにいる。」
広が指差す方を見るとドラム缶の上で飛び跳ねるさっきのチョコケーキのゴチゾウの姿があった。急いで駆けつけてつまみ上げるとヴラスタムギアの天面に押し当てる。ゴチゾウが中に吸い込まれ、俺はさっきと同じカカオガントレットが出ると思っていた。目の前まで迫ってきたベロルスに向かってその武器を突きつけた。
「ぐあっ!!」
ベロルスの腹部に先端部分が突き刺さる。咄嗟に突きつけたが、ヴラスタムギアから排出されたのはカカオガントレットではなくレイピア状の武器だった。
『ヴァレンホイッピア!』
「...ホイップクリームのしぼり袋?」
「これって...ガヴが使ってるやつか!使ってみたかったんだよな!」
チョコレートカラーのガヴホイッピア改め、ヴァレンホイッピアを興味深々で見渡してガヴがいつも使ってるやり方を思い出しながら攻撃を続ける。ビターガヴガブレイトとヴァレンホイッピアの刀身が激しくぶつかり合い、火花が散る。こういう戦闘も悪くねぇ!!ヴァレンホイッピアの持つ手を強く握りしめ、力で押し進めていく。
「うおーーーー!!!!」
ヴァレンホイッピアのホイップクリームのしぼり袋を握り潰す。先端からプシュッとチョコホイップクリームが飛び出して、ベロルスの顔面に飛び散った。視界をホイップクリームで塞がれて混乱している隙をついて、ヴァレンホイッピアの刀身でベロルスの身体を切り裂く。
「ぐぁあぁぁぁぁあ!!!」
「どうだ!」
「いまがチャンス、絆斗!」
「分かってるって!えーーっと確か。」
ヴァレンホイッピアのしぼり袋を長く握り潰す。先端が赤くなってきてエネルギーが溜まっていく。斬られた部分を抑えるベロルスのど真ん中に狙い定めてしぼり袋を手を離す。チョコホイップクリームの濁流がベロルス目掛けて噴き出した。
『チョコ!ホイップバースト!』
「いっけぇぇえぇぇぇえ!!!」
「ぐぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁ!!!」
チョコホイップクリームの水圧に押し潰され、ベロルスが壁にめり込んでいく。クレーターのようにヒビが入り、チョコホイップクリームで姿が見えないが壁の方からベロルスの絶叫が聞こえてきた。そして!壁から爆発が起き!炎が立ち昇っていった。すぐさまヴァレンバスターのレバーを開閉する。遠くからゴチゾウ達と一緒に俺の戦いを見ていた広が呟く。
「...勝った?」
「まだだ!!!」
俺の予想通り、爆炎の中から身体中のチョコレートの装甲が焼け焦げたベロルスが飛び出してきた。肩や膝の装甲がドロドロに溶けてしまっている。顔はもはや元の姿をとどめていない。よくその状態で立ってられるな。
「残念でしたー!オレはまだ生きてるよー!!!!あっははははははははははは!!!!!」
「だろうな!テメェは本当に渋てぇ奴だぜ!」
ヴァレンホイッピアの空白部分にチョコドンを押し当てて吸い込ませる。しぼり袋を三回握り潰した。握り潰すたびに刀身にエネルギーが溜まっていき光り出す。周囲からゴチゾウ達の歌声のようなものが聞こえ始めてきた。
『チョコ!ホイップチャージ!!』
『『『うぉーお!うぉうぉ!!うぉーお!うぉうぉ!!』』』
ヴァレンバスターの銃口とヴァレンホイッピアの先端をベロルスに向けた。今度こそ戻ってこねぇように地獄にぶち込んでやる!!!二つの引き金を同時に引く。
「喰らえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇええ!!!!!」
「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
『ケーキ!』
『チョコ!ケーキングブレイキング!!!』
噴き出した二本の濁流が交わって一本の濁流となってベロルスの全身を覆い尽くす。濁流の中からベロルスの笑い声がずっと消えない。俺は引き金を引き続けた。ここで押し負けてたまるか!!!コイツはここで絶対に倒すんだ!!!そして濁流を浴び続けたベロルスの笑い声が消え、先ほどとは桁違いの爆発が巻き起こる。俺の目の前に再び爆炎が現れる。俺はヴァレンバスターから消える寸前のチョコケーキのゴチゾウを引き抜く。ヴァレンホイッピアを投げ捨てて爆炎に向かって走り出した。
「はっ絆斗!」
(アハハハハ!!なんとか耐えたぞ!!背後に路地があるのは確認済み!爆炎に紛れて逃げ切ってやる!!生き残ればこんな怪我なんてニエルブさんに頼めば治してもらえる!!そうだ!オレはまだ遊ぶんだ!アッハハハハハ......)
『カカオガントレット!』
「......は?」
爆炎の中に突っ込んだ俺はチョコケーキのゴチゾウをヴラスタムギアの天面に押し当ててカカオガントレットを右腕に纏った。そうだ!目の前にいるコイツをぶん殴るために!!!まさか爆炎の中に入ってくるとは思わなかったのか?廃工場の時みたいに逃さねぇ!!!放心状態で目の前にいるベロルス目掛けてカカオガントレットで俺が持つ全力を持ってぶん殴る!!!
「トドメだぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!」
「嘘だ!嘘だウソだうそだうそだ!!!!!ぐへっ!!!!!」
溶けたベロルスの顔面にカカオガントレットがゴリゴリと音を立てながらめり込んでいく。それでも拳を叩きつけ続けた。そして最後には思いっきり吹き飛ばされたベロルスが壁へと背中から打ち付けられた。
「こっ!この!オレが......負け、る?赤ガヴでもヴラムでもない!弱っちい人間なんかに?ゴミクズのマトなんかにいぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃいぃい!!!!」
「人間、舐めんな。」
俺はベロルスに背を向けて歩き出す。次第にベロルスの叫ぶ声が聞こえなくなっていき、背後から爆発音が聞こえてきた。
ドッガァァァァアァァァァァァアァァァン!!!!!!!
おまけ 仮面ライダーヴァレン ケーキングフォームのビジュアル