仮面ライダーヴァレン・オーブエトワールショコラ   作:Ryo-ka

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ホワイト&ヴァレンタイン5

 広と駅で別れた俺は電車に乗って移動をしていた。流石に日が暮れてきたし、広を初星学園の寮まで送ろうかとも思ったが夜にプロデューサー以外の男と一緒に帰っている姿を他の生徒に見られるのは良くないよな。それに広も「自分で帰れる。」と言っていた。たぶん、大丈夫だろう。......いや、大丈夫じゃない気がしてきた。アイツ本当に駅から寮まで帰れるのか?体力が常人よりなくてぶっ倒れるようなやつだぞ?心配になってきた。これなら寮まで送ってやればよかったな。とりあえず明日、初星学園にもう一度行こう。

 

「まもなく千鶴ー千鶴です。お出口は右側です。」

 

 車内にアナウンスが鳴り響き、俺は荷物をまとめて立ち上がる。目的の駅へと到着した俺は電車を降りて改札を通った。いつも通る住宅街を歩いていると少し遠くに光る看板を見つけた。ラーメン屋だ。へーあんなところにラーメン屋なんてあったんだな。日中の時は気づかなかった。町中華って嫌いじゃないんだよな。中坊の時はよく仲間同士で行ったっけ。それに師匠ともよく行ったな。金ねぇ時はよく餃子を割り勘したりしたっけ。最後の一個はじゃんけんっていうのが定番だったな。全然、勝てなかったけど。思い出に浸っていたら腹が減ってきた。今度、時間があったらあのラーメン屋に行ってみて美味かったらショウマ達も誘ってみるか。

 そんなことを考えていたら目的地へ到着。周りの住宅地とは全然違うカラフルな外装をしたへんてこな建物。入り口には「なんでも屋 はぴぱれ」と書かれた看板がある。俺は階段を上がって、ドアを開けた。

 

「ちーーーっす。」

 

「あ、遅いよハンティ!」

 

「わりぃわりぃ。ちょっと野暮用でな。」

 

 社長と一緒に青いパーカーを着たふわふわした髪の青年が笑顔で俺がいる入り口までやってきた。ショウマだ。なんか飼い主が帰ってきて玄関に迎えにくる犬みたいだな。

 

「絆斗!おかえり!」

 

「おかえりって俺はここに住んでねぇぞ。」

 

「あ、そっか。おかえりは変か...で、こんな夜にどうしたの?」

 

 俺は社長と共にショウマと話しながらはぴぱれの中に入るとテーブルに自分の荷物を置いた。相変わらず中はカラフルなインテリアで溢れている。社長の趣味なのかもしれない。ここにいるだけで子供とかは楽しい気分になりそうだ。

 

「社長からいつも以上にお菓子があるって聞いてな。」

 

「そう!みてみて絆斗!これとかすごいよ!」

 

 お菓子の話題を振った瞬間に目の色を変えたショウマは台所の方から高そうな箱に入ったお菓子を持ってきた。本当にお菓子が好きなんだな。瞳を輝かせながらショウマはその箱を俺の前で開けた。中には色とりどりの一口サイズのチョコレートが入っている。まるで絵の具を乗せたパレットみたいだ。

 

「うおーすげぇな。これ。」

 

「お得意さんが旅行のお土産でくれたんだよね。結構、有名なお店みたいだよ。」

 

「へー」

 

「ねぇ、幸果さん!これ食べてみてもいい?」

 

 純粋な目で社長を見つめて訴えかける。社長は「うーーーーん」と唸って少し考えたあと、笑顔で「食べたあとにちゃんと歯を磨くんだったら......いいよ!」とショウマに言った。それを聞いたショウマは「うん!」とうなづいて、すぐさまピンク色のチョコレートを口に運んだ。イチゴのチョコレートか?

 

「んー!甘酸っぱくってすごく美味しい!本当にイチゴを食べてるみたい!」

 

 ショウマは次に緑色のチョコレートを口に運んだ。見た感じ抹茶のチョコレートだな。

 

「なにこれ!独特な苦味がチョコレートの甘みと一緒に口にいっぱいに溶けてく!不思議な味!」

 

 そのあと、ショウマは色とりどりのチョコレートから白いチョコレートを手にとって少し匂いを嗅いだ。不思議そうな顔をしている。

 

「どうした、ショウマ?」

 

「ホワイトチョコと...匂いが違う?」

 

「ん?どれどれ......」

 

 社長も気になってそのチョコレートの匂いを嗅いでみた。俺もそのチョコレートの匂いを嗅がせてもらう。普通のチョコレートとは違う花のような、アロマのような独特な香りだ。俺はその正体がすぐに分かった。

 

「これってミルクティーじゃない?」

 

「だよな。」

 

「ミルクティー......へー!ミルクティーもチョコレートになるんだ!」

 

 ショウマはミルクティーのチョコレートをすぐさま口の中へと運んだ。

 

「ほんとだ!ミルクティーの味だ!普通の飲み物のミルクティーはすぐに口からいなくなっちゃうけど、ミルクティーのチョコレートはゆっくり口の中に優しい甘味が広がっていく!......チョコレートってすごい!俺が知らない味がこんなにたくさん!」

 

 ショウマが立ち上がると同時に青いパーカーの隙間から何かがコロコロと床に落ちていった。その床に落ちたものはすぐさま飛び上がりテーブルへと着地した。手のひらサイズの小さな奴ら、ショウマの眷属『ゴチゾウ』だ。

 

「「「わにゃにゃ!!」」」

 

「君達はチョコレートのゴチゾウだね!これからよろしく!」

 

「「「わにゃ!」」」

 

 ピンク色と緑色と白色。それぞれイチゴと抹茶とミルクティーみたいだ。イチゴと抹茶が『チョコダン』、ミルクティーが『チョコドン』らしい。

 

「お前もチョコドンならコイツらと仲良くしてくれよな。」

 

 俺は自分のバッグを開けて中に隠れていたゴチゾウ達を呼ぶ。すぐに出てきたチョコドン達はテーブルの上を仲間と一緒に歩き始めるがミルクティーのチョコドンと目が合った瞬間に固まった。少し震えたあと、俺やショウマの方をじーーっと見つめ始めた。

 

「どうしたお前ら?」

 

「同じチョコドンなのに色が違う子がいてビックリしてるみたい。」

 

「あーたしかに。若干ミルクティーの方が暗い色なのか?」

 

「味が違うとゴチゾウちゃんの色も変わっちゃうんだね。」

 

 そう言って社長はチョコドン達を見つめ始めた。いつもよく見るのは赤色のミルクチョコのゴチゾウ『チョコダン』と俺がヴァレンに変身する時に使う白色のホワイトチョコのゴチゾウ『チョコドン』だ。

 

「色が変わると...できることも変わるのか?」

 

「それは......分かんない。」

 

「まぁとにかく。お前ら仲良くしろよ!」

 

 俺がチョコドン達に言うとチョコドン達は新しいチョコのゴチゾウ達にお辞儀をして挨拶を始めた。俺には何を言っているのかさっぱり分からないが、ものの数分で打ち解けたようで楽しそうにはぴぱれの中を散歩するようになった。俺が座ってその様子をボーーってと眺めていると社長に声をかけられた。

 

「ハンティ、頼まれてた情報集め終わったよー」

 

「お、流石社長。仕事がはえーな。」

 

「へへっ、うちはそれが売りなんで。」

 

「なになにどうしたの?」

 

「いや、実はな......」

 

 

 

 

 

「絆斗の取材先に......グラニュート。」

 

 先ほどまでとは違う真剣な表情で俺の話を聞いたショウマはボソッと呟いた。グラニュートの事件になるとコイツは普段のショウマとは別人のようになる。本人はそういうの自覚してないと思うんだけどな。

 

「まだ決まったわけじゃねぇ。でも、失踪した途端にその企業と連絡が取れなくなるのは怪しいよな。」

 

「調べてみたんだけど、その企業は実在してたみたいだよ。」

 

「実在...してた?」

 

「うん、ホームページはあるんだよ。」

 

 社長はノートパソコンでその企業のホームページを開いてみせた。見た感じ、どこにでもある普通の小さな会社の初心者が作ったような簡単なホームページのように見える。社員達が写った写真が数枚ホームページに載せられているがなんか違和感を感じる。

 

「地域に根づく伝統を未来へ。なんか数ヶ月前にできたベンチャー企業らしいけどすぐに終わっちゃったみたい。」

 

「まぁベンチャー企業なんてそんなもんだろ。成功しなかったら簡単に倒産しちまう。」

 

「でもね。このホームページ見て思ったんだけどさ。この写真......全部おかしくない?」

 

 俺も違和感を感じていた。ホームページに載せられた写真を一枚ずつ見ていく。社員達と一緒に撮った集合写真に小さな工場で社員が笑顔で働く写真。オフィスで雑談する写真。どれも普通の写真に見えるが何か変だ。

 

「うーん、俺には普通の写真にみえるけど?」

 

「ウマショー。たぶんこれ本当の写真じゃない。『AI』が作ったやつだよ。」

 

「えーあい?」

 

「まぁ簡単に言うと機械に作ってもらったリアルな写真だな。偽物ってことだよ。」

 

「これ本当の写真じゃないの!?ぜんぜん分からなかった......」

 

 なるほどな。ようやく違和感の正体に気づいた。数ヶ月前にできたベンチャー企業にしては綺麗すぎる広いオフィス。工場の写真も写ってる機械がめちゃくちゃ古いし、なんだこの笑顔で頬を赤らめたじーさん。そして全員同じ笑顔で写ってるのも不自然すぎる。全部が「それっぽい」で構成されているんだ。つまり、このホームページの情報は全部ウソ。グラニュートがアイドル達を呼び出すためにAIに作らせた隠れ蓑のホームページって可能性が高い。

 

「よし、やっぱこの企業はクロだな。明日にでもこの企業があった住所に行ってみる。ありがとな、社長。」

 

 俺は荷物をまとめて立ち上がった。すぐに情報を集めないと。十王学園長曰く、失踪してしまったアイドル達は今は諸事情により活動を一時休業中ということになっているらしいが、そう長くは持たないだろう。すぐに失踪していることが表沙汰になってしまう。それにグラニュートが攫ったなら工場で闇菓子にされる前に被害者達を助けねぇと。先ほどまで遊んでいたチョコドン達が次々と俺のバッグに入っていく。

 

「依頼料は......」

 

「あー依頼料はいいよ。」

 

「いや、でも。」

 

「その代わり、頼み聞いてくれない?」

 

「頼み?」

 

 社長は戸棚から袋を取り出すと俺に手渡した。思った以上に重い。中身、何が入ってるんだ?

 

「これをラキアンに明日届けてくれない?」

 

「ラキアン?あーアイツか......は!?俺が!!?」

 

「任せたよハンティ!」

 

 




仮面ライダーガヴ 最終回

 みなさん観たでしょうか?
 ついにガヴが終わってしまった......まさかここまで思い入れがある仮面ライダーになるとは思いませんでした。この一年間でどれだけゴチゾウを集めたことか。とりあえずゴチポッドは一回使えると思います。今となってはゴチゾウ争奪戦もいい思い出......うん?そうか?でも集めるのはすごく楽しかったのは事実!!ゴチゾウ、もっと続いてほしい。

 第一話のラスト、「目指せ!俺の新天地!」と言ってショウマが旅立つシーンで流れたGot Boost?の「出会って別れ、幾千の人の流れ」という歌詞に心を打たれて早一年。
 この歌詞を聞いて「あぁ、この異界からやってきた青年は母がかつて生きていた人間界で母が生前愛したお菓子を通じて様々な人と出会い、そのなかで「大切な何か」を見つけていくんだな。」と強く惹きつけられてしまいました。

 そして最終回、ついにショウマは探していた「新天地」を見つけることができたんだね。

 ガヴの本編は終わってしまいましたが、この小説はもう少し続きます。絆斗が活躍するVシネ『仮面ライダーガヴ ギルティ・パルフェ』までの繋ぎとして楽しんでいただけると幸いです。
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