ニコ・ベリック、先生になる   作:東ドイツ空軍航空部隊

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シャーレ奪還作戦 その2

 

 

 

連邦生徒会の非武装アナイアレイターに乗り込み、外郭地区へと向かっている最中だ

こんな非武装ヘリで大丈夫なのかと疑問に思いながら操縦してるが……

 

「リン、ここであってるのか?」

 

「えぇ、間違いありません。ここが外郭地区……ですが、下の状況は最悪ですね」

 

下はまるで戦場だ。こりゃ骨が折れそうだぜ……

ん?なんだあの光は……嘘だろ…!

 

「RPG!!」

 

回避運動はとったが、《クソ!》

被弾した!だが一発で落ちなかっただけマシか!

ヘリからうるさい警告音が聞こえるが、今は緊急着陸だ

 

「全員衝撃に備えておけ!舌を噛んでも責任は取らんぞ!」

 

そのまま道路へと強行着陸するしかないな!

墜落寸前のヘリとは思えないような緊急着陸に成功し、ヘリから降りる

 

「し、死ぬかと思った……」

 

「皆さん怪我は無いようですね……ですがヘリはお釈迦になりましたが……恐らくここからが本番でしょう」

 

リンが言った通り、シャーレ奪還するためにはこの不良達を相手にしなくてはならない

まぁあの数は何度も相手にしたことはあるから言うて問題は無いが…

 

「どうして私たちがこのまま不良と戦わなきゃならないのよ!」

 

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから…」

 

「それは聞いたけど…!私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!それにさっきヘリが落ちそうで皆死にそうだったのに!」

 

ユウカが言うのも無理はないが、オレ一人じゃ不良全員の相手なんて難しいからな

それにさっき一発不良に撃ったが、一発だけじゃ倒れんかったし……キヴォトス人は生身の防弾チョッキでも着けてるのだろうか?

 

「ってかなんで先生までしれっと前線に居るの!?」

 

「銃は持ってるから問題ないだろ?それに銃の扱いは慣れてるから大丈夫だ」

 

「それなら良いですけど……ですが、被弾には気をつけてください!」

 

ユウカの忠告はオレも分かってる。

何度も銃弾が飛び交う戦場に居たんだ。……どうやらこの世界に馴染めるのも時間の問題だな

 

「いっ、痛っ!痛いってば!あいつら違法JHP弾使ってるんじゃないの!?」

 

「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されてはいません」

 

「うちの学校ではこれから違法になるの! 傷跡が残るでしょ!」

 

ホローポイント弾喰らって痛いで済むだけマシだと思うんだがな

不良の一人を拳銃で倒し、落としたアサルトライフルを拾う

 

「先生……ここに来る前は何を……?」

 

「…まぁ、それは後にしてくれ。今は話せないからな」

 

少なくともこの話をしたのはブラッドを殺した際にローマンに話したことぐらいしかない。

一つ言うが、オレは快楽殺人犯なんかじゃない。オレの家族や友人に手を出すヤツが許せないだけだからな?

 

オレはアサルトライフルを構え、物陰に隠れながら応戦した

 

「雑魚を倒すのは飽きた。他のヤツらは何処だ?」

 

 

 

 

 

 

そして、不良達を倒していき、途中現れた巡航戦車はハスミが見事始末した。

よく単発ボルトアクションライフルで戦車をやれるなと思ったが、案外この世界の戦車はそんない硬くはないのかもしれん

 

「シャーレの部室は目の前よ!」

 

ユウカが言った通り、このあたりの敵は一層し、シャーレのビルへと辿り着いた。

このアサルトライフルは他の不良からマガジンを掻っ攫って何とかまだ使えているが

 

『今、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました』

 

「一体誰なんだリン?」

 

『ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。

似たような前科がいくつもある危険人物なので、気を付けてください』

 

ヒャッキ……何だ?まぁその学院から何かしらやって停学受けて今はテロリストになってるのか

素晴らしいこった。この世界じゃ退学したらテロリストになれる教育でもしてるのだろうか

 

「分かった。オレは取り敢えずその連邦生徒会長が遺した物を取りに行けば良いんだな?」

 

『はい。ですが、もしかしたらワカモが居るかもしれません。くれぐれもご注意を』

 

「あぁ分かった」

 

 

 

 

 

 

「うーん…これが一体なんなのか、まったく分かりませんね。これでは壊そうにも…あら?」

 

地下室に到着すると、仮面で顔を隠した女が何かを漁っているようだった

ってか何だその仮面は……リバティーシティ銀行強盗ですら着けたことないぞ

 

「よう。アンタは誰かは知らんが、今すぐ逃げた方がいいぞ」

 

「あら、あららら…あ、あぁ…」

 

「?おい、どうしたんだ?何か「失礼いたしましたーーーー!!」……何だったんだ?」

 

何処の誰だったのかはさっぱり分からんが、まぁ気にする事は無いだろう。

リンも丁度来たようだった

 

「お待たせしました…何かありましたか?」

 

「いや、何も無かったぜ」

 

「そうですか。ここに、連邦生徒会長が遺したものが保管されています。

…幸い、傷一つなく無事ですね」

 

そう言って渡されたのは……何だこれ?

リバティーシティ警察の警察端末より平べったいなこれは

 

「これがか。例の遺した物とは」

 

「はい、連邦生徒会長が先生に遺したもの…『シッテムの箱』です」

 

……聞いたことは無い筈なのに何故か頭に引っかかるが

リンの話を聞いてみるか

 

「普通のタブレットに見えますが、実は正体の分からないものです。

製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みの全てが不明」

 

タブレットっていうのかこの端末は……

すごい洗練された技術じゃないと作れなさそうだぞこれは…ローマンが欲しがりそうだ

製造会社がわからなくてシステム構造すらも不明な端末って何だそれは? 

 

「連邦生徒会長は、この『シッテムの箱』は先生のもので、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。

私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生なら起動させられるのでしょうか、それとも…」

 

「まぁ、やってみた方が早いのかもな」

 

リンに渡されたタブレット?を見て、起動ボタンか何かを確認する。

時代のはるか先の技術なんてオレにはさっぱりだが……

と思っていたら起動に成功した。凄いなこれ……

 

パスワード画面に来たが……なんて入れればいいんだこれ?

まぁ取り敢えず頭に入ってるパスワードでも打ち込んでみるか

 

 

──我々は望む、七つの嘆きを。 

──我々は覚えている、ジェリコの古則を。

 

 

……これで駄目ならオレは降りるぞ先生を

 

 

『「シッテムの箱」にようこそ。ベリック先生』

 

『生体認証及び認証書作成のため、メインオペレートシステムのA.R.O.N.Aに変換します』

 

 

どうやらパスワードは合ってたようだった。

そして、突然の光に目を閉じ、再び目を開けると、そこには半壊している教室?みたいな場所だった。

そしてその机で突っ伏して寝ている一人の少女……

 

『くううぅぅ……Zzzz』

 

随分気持ちよさそうに寝ているが……

 

『むにゃ、カステラにはぁ……いちごミルクより……バナナミルクのほうが……くううう……Zzzzzzz』

 

まずいちごやバナナがカステラに合うのかが分からんが?

ってか幸せそうに寝てるなこの子

 

『えへっ……まだたくさんありますよぉ……』

 

さて、幸せそうな夢を見ているがそろそろ起きてもらわないとな

 

「おーい、起きろ」(ツン)

 

『うにゃ……まだですよぉ……しっかり噛まないと……』

 

「頼む、起きてくれ」

 

何回も突きまくって起きてもらおうとすると、気づいたようかゆっくり起き上がった

 

『むにゃ……んもう……ありゃ? ありゃ、ありゃりゃ……!? え? あれ? あれれ?』

 

どうやら意識はまだ覚醒はしてないようだな。

 

『ベリック先生!?この空間に入ってきたっていうことは、ま、ま、まさか、本当にベリック先生……!?』

 

「そうだが……まぁ一応新任の先生だ」

 

『う、うわああ!?そ、そうですね!?もうこんな時間!?

うわ、わああ?落ち着いて、落ち着いて……』

 

…何というか、少し落ち着きがなさそうな感じだ。

 

『えっと……その……あっ、そうだ!まずは自己紹介から!

私はアロナ!この『シッテムの箱』に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれからベリック先生をアシストする秘書です!

やっと会うことができました! 私はここでベリック先生をずっと、ずーっと待っていました!』

 

…まるで初めて聞く単語だらけだが、技術の進歩はここまで優れてるのか……

 

「寝てるほど長く待ってたようだな」

 

『あ、あうう……も、もちろんたまに居眠りしたりしたこともあるけど……』

 

「まぁそれはいいとして、初めましてだな。よろしくな、アロナ」

 

『はい!よろしくお願いします!』

 

ニッコリと笑顔でアロナは返してくれた。

オレも自然と笑みが出そうになるなこれ……

 

『まだ身体のバージョンが低い状態でして、特に声帯周りの調整が必要なのですが……これから先、頑張って色々な面でベリック先生のことをサポートしていきますね!

あ、そうだ! ではまず、形式的ではありますが、生体認証を行います!』

 

「?どんなのなんだ?」

 

『少しこちらに来てください!

もう少しです。うん、その辺りで。さあ、この私の指に、ベリック先生の指を当ててください』

 

ぴっ、と人差し指を出したアロナ

こういう物なのか?近代の生体認証は?

 

『うふふ。まるで指切りして約束するみたいでしょう?』

 

「まぁそうだな。だが、これで出来るものなのか?あんまり疎くて分からんが」

 

『実はですね、これで生体情報の指紋を確認することで、認証を確り行なっているんです!』

 

……そりゃ凄いな。

やはりこのキヴォトスは異常なのかそれとも……

 

『どれどれ……うう……うーん……よく見えないかも…………まあ、これでいいですかね?』

 

……だが、案外杜撰だなと思ったオレは何もおかしく無い筈だ。

 

『……はい! 確認終わりました!』

 

ニッコリと元気な声でいうものだから突っ込むの野暮だと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

『なるほど……ベリック先生の事情は大体分かりました。

連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでキヴォトスのタワーを制御する手段がなくなった……』

 

「連邦生徒会長って何者なんだ?オレタクシー運転手から急に先生にジョブチェンジしちまった訳だが……」

 

『私はキヴォトスの情報の多くを知ってはいますが……連邦生徒会長についてはほとんど知りません。彼女がどうしていなくなったのかも……。お役に立てず、すみません

……え?先生は元々別のお仕事をされたんですか?』

 

成る程……何となくだが、きな臭い動きだな。自分自身の情報などを消す。こう言うのは大体何かから追われてたりする時に使う常套手段だ

公表できない汚職でもしたか或いは……誰かに殺されそうになりその追っ手から身を守る為に自分の行き先などの情報を丸々消したかだな

……まぁ、オレはFIBやIAAみたいな組織の捜査官じゃねぇからそこまで断言はできんがな

 

「まぁな。急に転職っていう形なんだろうが………それより、サントゥクムタワーはどうにか出来ないのか?」

 

『はい!サンクトゥムタワーの問題は何とか解決できそうです』

 

「何?それは本当か?」

 

『勿論です!ベリック先生が指示して頂ければいつでも!』

 

どうやら、警察端末以上の仕事はできるのか。

思ったよりポンコツではなかったらしい

 

『ベリック先生?何か失礼なこと考えてませんでした?』

 

「気のせいだ。アロナ、頼む」

 

『はい! 分かりました。それではサンクトゥムタワーのアクセス権を修復します! 少々お待ちください!』

 

そうして約数十秒後、目を見開き宣言した

 

『ベリック先生。サンクトゥムタワーの制御権を無事に回収できました。今サンクトゥムタワーは、私アロナの統制下にあります。

今のキヴォトスは、ベリック先生の支配下にあるも同然です!』

 

オレはあんまりこういうのは好きじゃねぇんだがな……

権力の怖さは誰よりも理解してると思うし、何より後が1番怖い

独裁者は失脚した後が悲惨なのだ

 

『ベリック先生が承認さえしてくだされば、サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管できます。でも……大丈夫ですか? 連邦生徒会に制御権を渡しても……』

 

アロナが心配そうに聞いてくる

だが、オレは権力よりも大事にしなきゃならねぇものがあるからな。それくらい容易く手放さすさ

 

「…OK、大丈夫だ。やってくれ」

 

『分かりました。これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します!』

 

そういうと、オレは再び明かりの付いたシャーレの地下室へと戻っていた。

 

「サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね」

 

「そいつは良かった。お疲れ様、リン」

 

「お疲れ様でした、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して深く感謝いたします。

ここを攻撃した不良たちと停学中の生徒たちについては、これから追跡して討伐いたしますので、ご心配なく」

 

「そうか……」

 

まぁ当然の措置とも言えるな……

ただ、リバティーシティ警察みたいな過剰対応は勘弁してくれよな

 

「それでは『シッテムの箱』は渡しましたし、私の役目は終わったようで……あ、もう一つありました」

 

「?」

 

「ついてきてください。連邦捜査部『シャーレ』をご紹介いたします」

 

そう言ってリンが先導しながら、地下室を出てエレベーターに乗り込んだ。

 

 

 

「ここが、シャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね」

 

リンが言うように、ロビーの扉には『空室。近々始業予定』と書かれた紙が貼られていた。

 

「そして、ここがシャーレの部室です。ここで先生のお仕事を始めると良いでしょう」

 

部屋は長い間誰も居ない割にはとても綺麗だった。

はっ、これじゃローマンの家より遥かにマシな部室だなこれは

 

「具体的には何をすればいいんだ?」

 

「……シャーレは、権限だけはありますが目標のない組織なので、特に何かをやらなきゃ行けない……と言う強制力は存在しません

キヴォトスのどんな学園の自治区にも自由に出入りでき、所属に関係なく、先生が希望する生徒たちを部員として加入させることも可能です。……面白いですよね。捜査部とは呼んでいますが、その部分に関しては、連邦生徒会長も特には触れていませんでした」

 

つまり、シャーレは立場的には中立の組織としてか……

これはなかなかなれるのは難しいな

 

「連邦生徒会長は相変わらず行方不明のまま。私たちは彼女を探すのに全力を尽くしているため、キヴォトスのあちこちで起きる問題に対応できるほどの余力がありません。

今も連邦生徒会に寄せられる様々な苦情……。支援物資の要請、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請などなど……」

 

「もしかしたら、時間が有り余っている『シャーレ』なら、この面倒な苦情の数々を解決できるかもしれませんね」

 

何故かそのセリフだけ妙に元気が良さそうに聞こえたのはオレの気のせいなのだろうか

まぁ確かに時間だけはあり余ってるからな……

 

「その辺りに関する書類は、先生の机の上にたくさん置いておきました。気が向いたらお読みください。

全ては先生の自由です。それではごゆっくり。必要な時には、またご連絡いたします」

 

と言ってリンは退出していった。

そうしてオレはここまで来てくれた生徒達に会いにいった

 

 

 

 

 

 

「ええ。サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会が取り戻したことを確認したわ」

 

「ワカモは自治区に逃げてしまったのですけど……すぐ捕まるでしょう。私たちはここまで。あとは担当者に任せます」

 

「お疲れさまでした、先生。先生の活躍はキヴォトス全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になってしまうかもしれませんね?」

 

「…あんまり有名になるのはゴメンなんだがな」

 

シャーレ前でユウカ達を労っている。

まぁこんな30歳のおっさんが話題になるのだろうか……?

 

「これでお別れですが、近いうちにぜひ、トリニティ総合学園に立ち寄ってください、先生」

 

「私も、風紀委員長に今日のことを報告しに戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃった時は、ぜひ訪ねてください」

 

「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会いできるかも?」

 

各々が、感謝をいう中、ユウカがオレの顔を見ながら

 

「ところで結局、先生ってここに来る前は何をしていたんですか?」

 

と質問してきた。そういえば答えていなかったな……

 

退役軍人……いや、微妙だな。どっちにしろ軍人経験はあるからどう思われるのか一目瞭然だ

 

裏社会の殺し屋……は論外すぎる。それにもうそんなオレとは決別したんだ

 

オレは、あの時とはもう違う新しい人生を歩んだんだ。だから、これ一択だろう

 

「オレは、タクシー運転手だ」

 

これだけは絶対に崩せないものだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とても長くなりましたね……
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