悪魔と青春の記録   作:黒凪カズキ

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mission10 〜救出~ ◎

黒服「······あなたの事は昔から知っています」

 

バージル「?」

 

黒服「まず、はっきりさせておきましょう」

 

黒服「私たちは、あなたと敵対するつもりはありません」

 

黒服「むしろ、協力したいと考えています」

 

バージル「何者だ?······貴様らは」

 

黒服「······おっと、そういえば自己紹介をしていませんでしたね」

 

黒服「私たちはあなたと同じ、キヴォトスの外部の者······」

 

黒服「私たちの事は『ゲマトリア』、とお呼びください」

 

黒服「そして私の事は、『黒服』とでも。この名前が気に入ってましてね」

 

黒服「私たちは、観察者であり、探究者であり、研究者です」

 

バージル「······近頃、妙な視線を感じていたが、貴様らだったか」

 

黒服「····えぇ、これまでの貴方の動きは私が見届けていました」

 

バージル「······気色が悪い」

 

黒服「············」

 

黒服「······さ、さて、話を変えましょう、ゲマトリアと協力するつもりはありませんか?

先生にも相応の利点がある話ですよ」

 

バージル「断る」

 

黒服「ふむ·····そうですか。私はてっきり、貴方ならばこの提案を歓迎するかと」

 

バージル「······俺を理解したような口ぶりだな」

 

黒服「えぇ、理解していますよ。悪魔であるあなたのことは」

 

バージル「!?」

 

黒服「いえ、正確にはこう言い換えた方がいいですかね」

 

黒服「人と魔との間に生まれた存在――伝説の魔剣士スパーダのご子息」

 

バージル「······なるほど······貴様らは本当に何者だ?」

 

黒服「クックックッ、今は違いますがね。何十年も前に、悪魔について研究していたことがありまして。その過程で、知り得たに過ぎません」

 

バージル「····まぁいい、長話が過ぎた。本題に入ろう」

 

黒服「······ホシノさんのことですか?」

 

バージル「あぁ、さっさと返してもらおう」

 

黒服「······クックックッ、届け出を確認されていないのですか?」

黒服「ホシノさんはもうアビドスの生徒ではありませ──」

 

バージル「あの届け出、俺はまだ署名していない」

バージル「ゆえに、依然としてアビドス対策委員の所属に属することになる」

 

黒服「······なるほど、中々に厄介ですね」

 

黒服「なら、先生········ホシノさんさえ諦めて頂ければアビドス高校については守ってさしあげましょう」

 

バージル「聞くに値しない、無駄口は要らん。さっさと居場所を吐け」

 

黒服「······なぜ?」

 

バージル「っ?」

 

黒服「なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?」

黒服「貴方にとって、ホシノ、生徒たちなど取るに足らない······どうでも良い存在でしょう」

黒服「貴方は一体何のために?」

 

バージル「······」

目をつぶるバージルと共に霧がかってるがとある言葉を思い出す

 

~~~~~~~

 

??????「─ ー ─ ─ ─ ─ 、─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─」

 

~~~~~~~

 

バージル「······さぁな」

 

黒服「·····答える気はありませんか」

黒服「······いいでしょう、交渉は決裂です」

黒服「これ以上、貴方の機嫌を損ねてしまえば、何が起きるか目に見えていますし」

 

黒服「······ホシノさんは、アビドス砂漠のPMC基地の中央にある、実験室にいます」

黒服「『ミメシス』で観測した神秘の裏側、つまり恐怖。それを、生きている生徒に適用することができるか──そんな実験を始めるつもりでしたが前提から崩れてしまったようですね」

 

ホシノの居場所を聞けた以上このばいる必要が無くなりその場を後にしようとした瞬間、

バージルの背中に黒服が語りかけてきた

 

黒服「······長い年月の間に、随分と変わられましたね」

黒服「このことなら、もっと早く貴方を勧誘していれば······」

 

バージル「········昔の俺を知っているのなら、分かり切ったことだろう?」

バージル「状況次第だが、貴様らを徹底的に利用し、用が済めば潰していただろうな」

 

黒服「クックック、最初から貴方は私たちの手に負える存在ではなさそうですね」

黒服「ですが、諦めはしませんよ。いつか必ず貴方をこちら側に引き込んでみせます」

 

バージル「··········」

 

そしてバージルはその部屋を出て行った

 

 

黒服「······本当に残念で仕方がありません。

貴方なら、今ここで私を殺すこともできたでしょうに」

 

黒服「私には理解できません。今の貴方の考えが──」

 

バージルが高層ビルを出てきたときには朝日が現れようとしていた

 

~対策委員会・教室~

 

その後バージルはシロコたちを集めホシノの居場所を説明した

 

アヤネ「カイザーPMC基地の実験室」

 

ノノミ「そんな場所に囚われていたなんて」

 

セリカ「だったらぐずぐずしてられない」

 

シロコ「助けに行こう」

 

アヤネ「ところで、ホシノ先輩に会ったら、なんて声を欠けましょうか」

 

ノノミ「叱らないとです」

ノノミ「自分で言ったことを守れなかったのですから」

ノノミ「おしおきです」

ノノミ「きちんと、叱ってあげないとです☆」

 

シロコ「ん、『おかえり』って言って『ただいま』って言わせよう」

 

セリカ「えっ!」

セリカ「何それ、はずかしい、青春っぽい、透き通った学園生活な感じがする」

セリカ「そんなの私たちっぽくない」

 

ノノミ「私は言います」

ノノミ「セリカちゃんが言わなくても」

 

セリカ「えっ、えぇっ!?」

 

アヤネ「わ、私も。ちょっと恥ずかしいけど」

 

セリカ「か、勝手にして!私は絶対、そんな恥ずかしいこと言わないから!!」

 

バージル「······」

 

シロコ「先生は?」

 

バージル「······何事もなく終えたらな」

 

セリカ「ちょ、不穏なことを言わないでよ」

 

ノノミ「大丈夫ですよ、先生も強いですし」

 

バージル「······あの場では、奴らの隙や混乱に乗じてできたことだ。

次からは、何かしら対策を取らんほど阿呆ではあるまい」

 

バージル(何せ数が多い、できれば分散させたいところだな)

 

シロコ「ん、なら誰か協力者を・・・」

 

セリカ「便利屋は?」

 

バージル「······便利屋とその絡みでゲヘナ学園は俺が協力を求めてみるとしよう」

 

バージル「お前ら······対策委員はトリニティで協力を求めて来てくれ」

 

ノノミ「トリニティですか、協力してもらえるのでしょうか?」

 

シロコ「ん、ファウストがいるし、アビドスと先生に借りを作るっていう体で提案をしよう」

 

セリカ「私たちは別にいいけど、先生は良いの?」

 

バージル「あぁ、構わん」

 

シロコ「ん、ホシノ先輩を助けるため準備をはじめよう」

 

そして、対策委員はトリニティに向かい、バージルはとある人物たちに電話をかける

 

~新・便利屋事務所・前~

 

バージル「······」

(まさか、此処ではないだろうな)

 

公園にある遊具の前に立ち呆然としていると

 

ムツキ「あ、先生じゃーん」

 

新しい便利屋の事務所(公園の遊具に手を加えて作ったもの)の中から、ムツキがひょっこり顔を出す。

 

バージル「·········」

 

アル「ふふふ、待っていたわ先生、どんな依頼をしに来たのかしら」

 

そして、バージルは依頼の内容を語った

 

バージル「さて、受けてくれるか?」

 

カヨコ「この戦い、私たちにはなんのメリットもない。それ相当の報酬もないとPMCと戦う理由にならない」

 

バージル「そうだな、ざっとこのくらいは出そう」

 

そう言うとに一枚の依頼書を渡すとアルが手にし読み始める

 

アル「えっと依頼金額は、一、十、百、千·····」

 

アル「な、なんですってーー!?」

 

ハルカ「どうかしましたか!アル様」

 

ムツキ「なになに、何が書かれているのー?」

 

その依頼書を机に置く、

そこに書かれた内容は

============

1.以下の内容の依頼内容をこなすこと

 

~~~~割愛~~~~

 

2。先払いとして以下の金額が支払われる

 

依頼金額:10,000,000

 

============

 

カヨコ「一千万!?」

 

ムツキ「これほどのお金なら、贅沢な生活ができるね」

 

バージル「呑んでくれるか?」

 

アル「えぇ、良いわ、受けるわ」

 

目をキラキラと輝かすアル

 

バージル「そうか、なら」

と同時に机の上にバージルが手にしているアタッシュケースを置く

 

バージル「先払いの金だ、時間を守ってこいよ」

 

そうしてさっさと、ゲヘナ学園へと向かう

 

~ゲヘナ学園・正門~

 

イオリ「·······シャーレの先生がゲヘナに何の用だ」

 

バージル「風紀委員長に用があって来た」

 

イオリ「そんなに容易く会えるとでも思ってるのか?」

 

バージル「そこを何とかできんか?」

 

イオリ「··········そうだな、じゃあ土下座して私の足でも舐めたら考えてやろう」

 

バージル「········は?」

 

イオリ「聞こえなかったのか?、土下座して足を舐めれば考える。と言っているんだ」

 

バージル「······っち」

 

イオリ「ふふ、どうした?しないのか?」

 

バージル「······」((ドン引き))

 

イオリ「な、なんだよその顔は」

 

バージル「······他者に足を舐めさせ、快感を得るとは。風紀委員が聞いて呆れるな」

 

イオリ「は、はぁぁぁー!?、ち、ちがうし」

 

バージル「さっき、不敵な笑みを浮かべていただろう」

 

イオリ「あ、あれはそんなじゃ──」

 

??「なんだか楽しそうね?」

 

イオリ「い、委員長····?」

 

バージル「······数日ぶりだな空崎ヒナ」

 

ヒナ「えぇ、シャーレの先生がゲヘナ学園に何か用?」

 

バージル「あぁ、実は頼みが有って来た」

 

ヒナ「頼み?」

 

バージルはヒナに一件の事情を話す

 

ヒナ「そう」

 

ヒナ「······」

 

バージル「別に断っても構わん」

 

ヒナ「分かった、協力する」

 

イオリ「委員長!?」

 

バージル「·····そうか。礼は言う」

 

そう言い放ちゲヘナを去った

 

~対策委員会・門前~ 

 

後日

 

バージル「準備はいいか?」

 

シロコ「ん、完璧」

 

ノノミ「はい。弾薬などの補給も十分用意しました!」

 

セリカ「こっちもバッチリよ!睡眠はしっかり取ったし、お腹もいっぱい!カイザーPMCだろうが、どっからでもかかってきなさい!」

 

アヤネ「私も、アビドス砂漠の地図をすべて最新のものに直しておきました。先生の頂いた情報から、ホシノ先輩の囚われたカイザーPMC基地の最短かつ安全なルートで案内します」

 

バージル「········さて、行くぞ」

 

アヤネ「ではホシノ救出作戦」

 

シロコ「開始」

 

················

········

 

~PMC基地前~

 

PMC兵「!?なんだあれ」

 

一人のPMC兵が声を発する

 

それは基地へ走り向かう

バージル、シロコ、セリカ、ノノミ、アヤネ

 

セリカ「先生!、作戦とかあるの?」

 

バージル「作戦などない、強行突破あるのみ」

 

セリカ「えぇぇぇ!?」

 

シロコ「先生に賛成、時間が惜しい」

 

アヤネ「ですが、どうするのですか?門は固く閉まっています」

 

バージル「······アロナ、頼んだ」

 

アロナ「はい!、ハッキングして門を開かせます」

 

それと同時に基地の門が開く

 

PMC兵「な、門が」

 

PMC兵「おい、なぜ開けている、早く閉めろ」

 

バージル「開いた!入るぞ」

 

対策委員「「はい」」「ん」「うん」

 

~PMC基地内~

 

基地への潜入は成功。だが兵士、オートマタ、戦車が次々と立ちはだかる。思ったよりも数は少ない──そう判断した矢先、アヤネが声を上げた

 

アヤネ「······!?、北方、西方に敵兵力が分散しています」

 

セリカ「え、どういうこと?」

 

バージル「おそらく、ゲヘナとトリニティが協力しているのだろう」

 

アヤネ「············はい!、先生の言うとおりに北方にはゲヘナ風紀委員会、西方の基地外部の離れたところからトリニティ総合学園L118、トリニティの牽引式榴弾砲を確認しました」

 

中央にそびえる巨大なビルへ向かって進む一行。

現れる敵を、バージルが前線で一体一体を確実に蹴散らしていく。

その背後では対策委員が援護射撃を行い、徐々に目的の場所へと近づいていった。

 

気がつけば周囲の風景は崩れた建物ばかり。

その中には黒板やロッカーなどが散乱しており、学校が建てられていた面影があった

 

セリカ「この痕跡········多分、学校だよね?」

 

シロコ「砂漠の真ん中に学校········もしかして」

 

崩れた建物の影から、見覚えのある姿が現れた

 

PMC理事「ああ。ここは、本来のアビドス高等学校だ」

 

セリカ「アンタは········!」

 

PMC理事「ついにここまで来たか、アビドス対策委員会の諸君」

 

セリカ「あんた、どこまで邪魔すれば気が済むのよ!」

 

ノノミ「退いてください!」

 

PMC理事「対策委員会········ずっとお前たちが目障りだった。

だがこれで貴様らとシャーレは終いだ」

 

その瞬間、地面を割ってPMC理事の背後に人形兵器が現れた。その時、ただ一人·····バージルだけが、その機体から何かを感じ取る

それとは別でアヤネが声を発する

 

アヤネ「!!敵の増援を確認しました。」

 

PMC理事「いっただろうここでお前達は終わりだ」

 

バージル(あの大型人形兵器から()()と同じ力を感じるな···)

バージル「······その機体、他と比べて明らかに異質だな」

 

PMC理事「フフッ······その通りだ、シャーレの先生。これはゲマトリアから頂いた特別製だ」

 

バージル「·········」

(ゲマトリア·····黒服の差し金か?)

 

PMC理事「さてまずは······」

 

その言葉と同時に、大型機体とは思えない機動力で、人形兵器は一瞬にして対策委員の間近へと迫り、拳を振り下ろそうとする。

対策委員はその速さに反応できなかった――ただ一人を除いて

地を蹴り、機体へと飛びかかり、 放たれたバージルの蹴りが直撃し、巨体を一撃で吹き飛ばす

 

PMC理事「がはっ」

 

バージル「巨体のわりに、動きは悪くないな」

 

アヤネ「せ、先生、助かりました」

 

バージル「·········お前らは先に行け」

 

シロコ「ん、それは無理」

 

ノノミ「先生、一人だけでは危険ですよ」

 

アヤネ「それに、ここに敵戦力が向かってきています、少しでも援護を」

 

バージル「········」

 

その時、倒れている人形兵器――ゴリアテへ、追撃のように爆薬が投下された

 

アル「またせたわね、先生」

 

ムツキ「じゃーん!やっほー」

 

カヨコ「······」

 

ハルカ「お、お邪魔します!」

 

アヤネ「べ、便利屋の皆さん」

 

バージル「来たか。……早速だが便利屋はオートマタとPMC兵の掃討を任せる。

俺は奴を相手にする。

対策委員はさっさと小鳥遊の救出に向かえ」

 

アル「ええ、任せて頂戴」

 

ムツキ「依頼料分はきっちり働かないとねー」

 

ハルカ「で、ですが先生一人で何とかできるのでしょうか?」

 

カヨコ「情報と噂が本当なら大丈夫でしょ」

 

対策委員「「「「········」」」」

 

バージル「行け!」

 

シロコ「ん、分かった」

 

シロコの言葉を合図に、対策委員たちはビルへと駆け出した。気づけば便利屋の姿もなく、

残されたのはPMC理事とバージルだけだった

 

バージル「······」

 

PMC理事「ぬああああああ」

 

理事が雄たけびをあげ、積もった瓦礫を吹き飛ばす。

だが、便利屋による爆薬のダメージはほとんど見られなかった

 

PMC理事「さっきは油断していたが次はそうはい──」

 

バージル「小鳥遊を救い出すまでの間に……身体の鈍りを解しておくか」

 

PMC理事の言葉を遮遮り、バージルは平然と口を挟んだ。

 

バージル「遊んでやろう」

 

そう言い放ち、バージルは腕をゆるやかに掲げる。

手のひらの上で、幻影剣が静かに回転していた。

 

PMC理事「舐めるな!!」

 

先程から学ぶことなく、バージルとの間合いを詰め、真正面から拳を振り抜く。

その瞬間、バージルの腕も動いた。

ゴリアテの拳とバージルの手が触れ合った刹那――

 

((カキン))

 

高い金属音が鳴り響き、白い閃光が空気を裂く。

いつの間にかゴリアテの腕はあっけなく弾き返されていた。

 

PMC理事「っぐ」

 

バージル「愚かだな、闇雲に向かってくるだけか?」

 

バージル「······さて、これからは逃げられるか?」

 

その言葉を合図に、幻影剣によく似た一回り大きな剣がバージルの背に現れる。

それは彼の魔力によって生成された近接武器――ミラージュエッジ。

バージルはそれを両手で握り、体を横にひねりながら構え、勢いよく回転させて投げ放った。

 

PMC理事「!?」

 

回転しながら飛んでくる剣を、ゴリアテは横へ移動して回避した。

しかしミラージュエッジは、まるで追尾するかのように軌道を変えて理事へ迫る。

回避の隙を突かれ、舞うように回転する刃が、装甲全体を切り刻んでいった

その後、剣はブーメランのようにバージルの片手へ戻り、反動とともに背中へと収められる。

 

ゴリアテの体からは、所々で電線が飛び出していた

 

バージル「つまらんな········所詮、その程度か」

 

PMC理事「黙れ」

 

距離を取り、腕に搭載されたガトリングガンをバージルへと向けるも――

ゴリアテの頭上に数十本の幻影剣が展開された

 

バージル「······俺ばかりに気を取られているな」

 

配置された幻影剣は雨のように降り注ぎ、次々と幻影剣が突き刺さる

ゴリアテは怯んで膝を崩し、低い姿勢となり動きが鈍くなった。

 

バージル「······」

それを見たバージルはゴリアテに背を向け、袖口を軽く整え、余裕を見せる

次の瞬間、ミラージュエッジを手に持ち

 

青いオーラを纏い、残像を引きながら高速で滑り――

ゴリアテへ突撃し、鋭い突きを繰り出した

 

真正面から受けたゴリアテは衝撃に耐えきれず、

数メートル先へ吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。

動きの鈍化は解けたものの、機体はすでに深刻なダメージを負っていた。

 

理事は考えた。距離を詰めれば、容易く弾かれ、重い一撃を受ける

離れれば、幻影剣が自信に襲いかかる。

増援を呼ぶも、便利屋がそれを阻む。

逃げ場はない。焦りが徐々に、その顔に滲み始めていた

 

PMC理事「こうなったら······!」

 

理事はポケットからリモコンを引き抜いた。

 

バージル「······っ!」

 

PMC理事「アビドスの連中だけでも、道連れにしてやる!」

 

そう言い放つや否や、理事はリモコンのボタンを押した

直後、対策委員が潜入したビルで轟音と共に爆発が巻き起こる

 

バージル「·········」

 

PMC理事「ククク·····想定外の出来事に、声も出ないか。シャーレの先生よ」

 

PMC理事が大声で嘲笑を響かせる中、バージルは理事に目目を向けることな、

高層ビルの入口をじっと見つめていた。

そして、わずかに口角を吊り上げる

 

バージル「哀れなものだ」

 

PMC理事「な、何だと?」

 

バージル「後ろを見ろ――ビルの足元をな」

 

煙の中から影が現れる。最初は四つに見えたそれは、近づくにつれ五人分――一人を背負って走る姿だとわかる

 

PMC理事「っ!?」

 

バージル「ふん、戦闘中に後ろを気にするほど貴様には余裕があるのか?」

 

そして、2度目の重い蹴りがゴリアテの横腹を捉え、再び巨体が吹き飛ぶ

 

対策委員「「「「先生!」」」」

 

バージル「······何事もなく、奪還を果たしたようだな」

 

アヤネ「はい、なんとか」

 

ノノミ「先生も怪我をしていなくてよかってです」

 

セリカ「それで、先生あいつは?」

 

バージル「奴はそこでくたばっているはずだ」

 

シロコ「ん····さすが先生」

 

バージル「対策委員は先に基地を離れろ。俺はこいつを片づけてから追う」

 

対策委員「わかった」「「分かりました」」「ん」

 

策委員たちはそう言って、ホシノを背負い立ち去った。

 

PMC理事は倒れたゴリアテを起こそうとしたが、機体はすでに限界で、黒煙を上げていた。

 

バージル「意外と持ったな········だが、もう限界か。これで終わらせよう」

 

PMC理事「ま、待て」

 

PMC理事の声に耳を貸さず、バージルは息を整え集中する。

その両手には、いつの間にか二振りのミラージュエッジが握られていた。

 

そして身体を低く沈める。

重心を前へ傾け、踏み込み突きを放とうとした。

 

そして、バージルはドリルのように回転を始める。

 

一本はバージルを軸に外側へと回転し、地面に無数の削り跡を刻み、

もう一本は前方へ突き出されて、一直線にゴリアテへと迫った。

 

ゴリアテには、それを躱すだけの機動力はなく。

バージルの秘奥義をまともに受け、その巨体の中心部に、どでかい風穴が空いた

 

············

 

PMC理事「ぐっ····化け物が」

 

バージル「········さて、貴様には聞き出すべきことがある。――少々、付き合ってもらおうか」

 

············

········

····

 

~アビドス砂漠~

 

対策委員のもとへ戻ると、ホシノは目を覚ましており、五人揃ってバージルを待っていた。

 

ホシノ「あ········先生──」

 

セリカ「遅いわよ!どれだけ苦戦してたのよ」

 

シロコ「もう私たちで『おかえり』って先輩に言い終わった」

 

バージル「····そうか」

 

ノノミ「先生もホシノ先輩に『おかえり』っていうべきです」

 

アヤネ「何事もなく終えましたので」

 

バージル「············」

バージル「····Welcome back(おかえり)

 

セリカ「なんで英語!?」

 

シロコ「ん、先生なりの照れ隠し」

 

ホシノ「····うへ~、しょうがないなあ」

ホシノ「なら、私も先生に合わせてあげようじゃないか」

 

ホシノ「········」

ホシノ「I'm~ back~(ただいま)///」

 

[misson10 対策委員会編〜救出〜 end]




ゴリアテ、吹き飛ばされてばっかだな。
·····可哀そうに(棒読み、無心)

ちなみに今回バージルが使用した技の一部は、DMC3で披露された技を引用している。
※DMC5SEで披露した技も使えます

さて、次話からはいよいよ新章へ――
·····の前に、もう少しだけ続きます。
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