悪魔と青春の記録   作:黒凪カズキ

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対策委員会編 第2章 後日談

~ゲヘナ学園~

今、バージルはホシノ奪還の際に協力してくれた

トリニティのティーパーティーと、ゲヘナの風紀委員会へ礼ぐらいは伝えようと考え、

ゲヘナ学園に訪れていた。

ゲヘナを訪れるのは今回で二度目だが、前に来た時とは比べ物にならないほど荒れ果てていた。

道はボロボロに崩れ、穴ぼこが点在し、建物の壁には銃痕がびっしりと刻まれている。

そして今まさに、バージルの目の前で不良生徒たちが銃撃戦を繰り広げていた。

 

バージル「······」

 

そんなこととは関係なく、飛んでくる銃弾を避けながら、風紀委員会本部を目指して歩く。

道すがら、風紀委員会のメンバーが不良生徒たちを制圧している光景が目に入る。

その中にはツインテールに褐色の肌、見覚えのある生徒の姿があった。

 

バージル「あいつは」

 

イオリ「ん?」

 

こちらに気づいたイオリは、不良生徒を鎮圧すると、銃を肩に担いだままバージルの方へと歩み寄ってきた。

 

イオリ「よぉ、シャーレの先生。で、今回は何の用でゲヘナに来たんだ?」

 

バージル「カイザーの件でな。少し礼を言いに来ただけだ」

 

イオリ「ふぅん、そうか」

 

バージル「それにしても、前に来た時より騒がしいな」

 

イオリ「あぁ、風紀委員が留守にしてたのをいいことに、不良どもが暴れ出してな。

今日中に片付くかどうかは怪しいな」

 

バージル「なるほどな」

 

イオリ「委員長なら部室にいる。さっさと行ってこい」

 

バージル「そうさせてもらおう」

 

~ゲヘナ風紀委員会・本部内~

 

委員長室の前に立ち、扉を開ける

 

ヒナ「 ((チラッ)) 。え!? 先生!?」

 

バージル「······そんなに驚くことか?」

 

ヒナ「え、ええ、そうね。ところで先生がどうしてここに?」

 

バージル「カイザーの件で礼を言おう」

 

ヒナ「·····そう」

 

ヒナ「別に大したことじゃないわ。ただ先生が困っていたから手を貸しただけ」

 

バージル「とはいえ、このまま何もせずに帰るわけにはいかないから、何か手伝えることはないか」

 

ヒナ「そうね、ならこの仕事を手伝ってもらってもいいかしら」

 

と、山積みになった書類を指差した

 

バージル「いいだろう」

 

·········

······

···

 

数時間後

 

ヒナ「ここまでで大丈夫よ、先生」

 

バージル「······まだ書類が半分以上残っているが」

 

ヒナ「平気。残りは私たちで片づけられるわ」

 

バージル「そうか。ならば、ここでゲヘナを退くとしよう」

 

席を立って委員長室を出ようとするバージルだが、扉の前で足を止め──

 

バージル「·····何かあれば、連絡でもして来いほかの風紀委員にもそう伝えておいてくれ」

 

背を向けながら告げた

 

ヒナ「······ふふっ、そうさせてもらうわ」

 

~トリニティ総合学園~

 

ヒフミ「お久しぶりです、先生」

 

バージル「あぁ、そうだな」

 

バージル「まずは小鳥遊の救出に力を貸してくれたこと、助かった」

 

ヒフミ「い、いえっ、そんな、大したことはしていません。実際に動いてくださったのは、ティーパーティーの方々ですので」

ヒフミ「礼を言われるほどのことはしていませんよ」

 

バージル「······だが、阿慈谷が居なければ、生徒会は動かなかっただろう」

 

ヒフミ「そ、そう···でしょうか?」

 

バージル「······何はともあれ、困り事があれば頼りに来てくれ」

 

ヒフミ「じゃ、じゃあ何かあれば先生に相談しますね」

 

バージル「あぁ、さて、トリニティに来た理由はそれだけだ」

バージル「それじゃあな」

 

ヒフミ「はい、またどこかで」

 

~シャーレ間近~

 

今日のやるべきことを終え、シャーレへと戻る。

ホシノ奪還から今日までを振り返れば――

アビドス対策委員は無事、正式な委員会として認められたそうだ。

柴咲ラーメンも屋台として営業を再開している。

もっとも、アビドスの借金は九億残っているが

返済のため、対策委員はこれからも活動を続けるだろう。

便利屋から直接聞いた話では、依頼金を使い、まともな事務所を構えたらしい。

一方で解明すべきことがある。

あの人形兵器(ゴリアテ)から放たれていた魔力··········

 

バージル「·····はぁ。先生というのは、思っていた以上に骨の折れる役目だな。ん?」

 

再び視線がバージルの背に突き刺さる

 

バージル(この視線。黒服のものではないな)

 

バージル(いつまでも隠れて俺の動向を探るとは、気分のいいものではないな。誘い出すか)

 

そう考えたバージルは、暗い路地裏へと足を踏み入れた。

策が的中し、

視線の主が、彼の後を追うように裏路地へと姿を現すも、

そこにいるはずのバージルを見失った。

 

???「あら、一体どこへ?」

 

バージル「視線の主は貴様か」

 

???「!!」

 

いつの間にか視線の主の背後に立つバージル振り返った人物の容姿は、

狐の耳と尻尾を持ち、顔は狐の面で覆われている

 

???「あ、あわわわ、し、失礼いたしま──!」

 

逃げ出そうとした狐の仮面をかぶった少女の腕を掴み、その逃走を拒んだ。

 

バージル「貴様は、たしか“七囚人”と呼ばれていたな。こうして顔を合わせるのは二度目だな」

 

???「!?」

 

バージル「·····俺のことを探って、何が目的だ?」

 

???「あ、あの。ま、まずは、腕を、はなして、いただけますか?」

 

バージル「離せば、貴様は逃げるだろう」

 

???「あ、貴方様に誓って逃げたりはいたしません!」

 

バージル(·····貴方様?)

 

バージルは少女の腕を離すと、彼女は息を整え始める

 

???「ふぅ」

 

バージル「さて、放したわけだが、色々と聞かせてもらおうか」

 

???「はい、まずは自己紹介から」

 

と言った後、狐の少女は顔につけている仮面をはずす

 

ワカモ「私、狐坂ワカモと申します」

 

ワカモ「そして――貴方様のことを、ずっと見守らせていただいておりました」

 

バージル「·····俺がブラックマーケットで拉致されかけた時、余計な手助けをしたのも貴様だな?」

 

ワカモ「はい。貴方様が危険な目に遭われたゆえ、このワカモが手を下しました」

 

ワカモ「あのカイザーなる者どもが先生に敵意を向け、『殺す』などとほざいたときは。

この手で一片残らず鉄くずに変えてしまおうと、本気で思いましたが」

 

ワカモ「貴方様が前に出て、あの連中を二度も圧倒なさった時。

とても凛々しくて、思わず見惚れてしまいました/////」

 

バージル「·····ずいぶんと俺を慕っているような口ぶりだな」

 

ワカモ「はい! 私、貴方様を言葉では到底言い尽くせぬほどにお慕いしております!」

 

バージル「会ったばかりの相手、俺に情を抱く理由は何だ?」

 

ワカモ「·····一目惚れです」

 

バージル「??」

 

ワカモ「一目惚れなんです」

 

ワカモ「貴方様を一目見たその瞬間から·····この胸は貴方様のことでいっぱいになったのです」

 

バージル「·····そ、そうか」

 

これまで群れることなく孤独に生きてきた彼にとって、ワカモのように真っ直ぐ想いをぶつけてくる存在は初めてだった。

普段は冷静な彼の顔に、珍しく狼狽の色が差す

 

バージル「·····とりあえず、俺をどう思おうが勝手だが、物陰に隠れ付け回す真似はやめろ」

 

バージル「遠くからじろじろと視線を向けられるのは、好まん」

 

ワカモ「で、でしたら! 

逆に、これからはこのワカモを、常日頃貴方様のおそばに置いていただけませんでしょうか!」

 

バージル「··········ダメだ」

 

ワカモ「·····」((シュン))

 

バージルから拒否されワカモの耳と尻尾が垂れる

 

バージル「··········((はぁ)) 。まぁ、常日頃は駄目だが、少しくらいなら構わん」

 

ワカモ「!·····本当ですか!」

 

バージル「ただし、条件がある」

 

ワカモ「条件。とは何でしょうか?」

 

バージル「騒動を起こさんこと、それが条件──」

 

ワカモ「はい! 貴方様に誓って、決してしません」

 

バージル「·····ならいい」

 

ワカモ「それでは、今日一日、貴方様のお傍にいてもよろしいでしょうか?」

 

バージル「·····自由にしろ」

 

バージル「もっとも、今日中に急ぎの用もない。シャーレで静かに過ごすだけだが──」

 

バージル「貴様には退屈な時間になるだろうな」

 

ワカモ「貴方様と二人きりで共にできれば、それだけで、何よりも幸せです」

 

バージル「·····」

 

[対策委員会編 第2章 後日談 end]




以上、作者が今回描きたかったことでした。(要するにワカモを登場させたかっただけです)
次回からはいよいよ新たな章に突入します。
あわせて、設定資料的なものを投稿しようと思います。
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