mission11 ~ゲーム開発部~
~シャーレ・執務室~
アロナ「先生、ミレニアムサイエンススクールから要請が届きました」
バージル「唐突だな。……ミレニアム……たしか、早瀬が所属している学園だったか」
アロナ「はい、そして送り主は…『ゲーム開発部』?みたいです。読んでみますね」
アロナ「『ゲーム開発部は今、存続の危機に陥ってます。生徒会からの廃部命令により破滅が目前に迫っている今、助けを求められる相手はあなただけです。勇者よ、どうか私たちを助けてください!』だそうです」
バージル「……」
アロナ「……なんとと言いますか・・・かなり切羽詰まっているということは、ひしひしと…伝わってますね……」
バージル「……まぁ、あらかた書類は終わらせたところだ。暇もある。行くとしよう」
席を立ち上がりシッテムの箱を持ち、執務室を出る。
・・・・・
~ミレニアム・キャンパス~
バージル「ここがミレニアムか」
ゲヘナ、トリニティに並ぶ三大学園と呼ばれる理由に納得するほどの広大な学園。
バージルは目の前にある巨大なタワーに入ろうとすると……
数階上の窓ガラスが割れ誰かしらが声を挙げたと同時に物が降ってきて、それがバージルの頭に直撃しようとしていた。
だが頭上、数メートル以内に入った瞬間、減速した
落下物を手に取ると上から声が聞こえる
???「うわっ!どうしよう下の人に当たっちゃったかも!」
???「プレイステーションは無事!?」
窓から2人の顔がひょっこり出てきて、バージルと目が合う。
???「「・・・・」」
バージル「・・・・・」
・・・・・・
~ミレニアムタワー・廊下
バージル「ほれ」
そういうと共に家庭用ゲーム機を緑色のヘッドホンをした少女に渡す。
???「あ、ありがとうございます」
???「あれ? その首に掛けている物、もしかして貴方がシャーレの先生?」
桃色のヘッドホンをした少女が口を開く。
バージル「?…あぁ、そうだ」
???「本当に!?じゃあ私たちが送った手紙、読んでくれたんだ!もし読んでくれたつぃても、本当に来てくれるなんて思ってなかった」
バージル「……もしかして、貴様らがゲーム開発部か」
モモイ「そう、そして私はシナリオライターの才羽モモイ!」
ミドリ「私は才羽ミドリ。イラストレーターで、ゲームのビジュアル全般を担当してます」
モモイ「あと今はここにいないけど、企画回りを担当してる私たちの部長、ユズを含めて……」
「私たちが、ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部だよ!」
バージル「……そして近々、廃部になる部活か」
モモイ「そうなんだよ~、でも先生が来てくれた事で、廃部を逃れられる」
「まずは『廃墟』に行くとしよっか!」
バージル「……廃墟?」
モモイ「あ、まず説明する必要があるね」
「まず私たちゲーム開発部は今までずっと、平和に16ビットのゲームとかを作ってたんだけど、ある日……急に生徒会から襲撃されたの!」
「一昨日には、生徒会四天王の一人であるユウカから最後通帳を突きつけられて」
バージル「最後通帳?」
???「それに関しては、私から直接ご説明しましょうか?」
背後から聞き覚えの声がしてバージルは振り返る
モモイ「出たな、生徒会四天王の一人!『冷酷な算術使い』の異名を持つ生徒会の会計、ユウカ!」
ユウカ「勝手に変な異名を付けて、人をモンスターか何かみたいに呼ばないでくれる?
失礼ね」
ユウカ「それよりも……先生」
バージル「久しぶりだな早瀬」
ユウカ「えぇ、久しぶりにお会いした先生とは色々と話したい事が山ほどありますが、それは後にするとして…モモイ」
ユウカ「本当に諦めが悪いわね。『シャーレ』まで巻き込むだなんて」
バージル「……廃部の理由を聞きたい」
ユウカ「そうですね……まず、部員数が足りていません。それに、部活動として成果を示せるものも無い。それどころか、校内に妙な建物を建てたと思ったら、まるでカジノみたいに装飾してギャンブル大会を始める始末です。さらに“レトロゲームを探す”と言いながら古代史研究会を襲撃したり……成果どころか、迷惑ばかりかけています」
バージル「……」
モモイ「ぐぬぬぬぬ」
ユウカ「モモイ、これ以上は無意味よ。ミレニアムでは『結果』が全て」
モモイ「け、結果だってあるもん!私たちも、ゲーム開発してるんだから!」
ミドリ「そ、そうですよ!『テイルズ・サガ・クロニクル』はちゃんと、『あのコンテスト』で受賞、も・・・」
ユウカ「そうね。確かに受賞、してたわ」
バージル「……なんだそれは?」
ユウカ「『テイルズ・サガ・クロニクル』……このゲーム開発部における、雄一の成果です」
「まぁ、その成果が『今年のクソゲーランキング1位』に受賞という結果ですが」
「貴方たちのような部活がこのまま活動していても、かえって学校の名誉を傷つけるだけよ」
「もし自分たちの活動にも意義があるのだと主張したいのなら……証明して見せなさい」
モモイ「証明って……?」
ユウカ「何度も言ったでしょう。きちんとした功績や成果を証明すれば、廃部は撤回するって」
ミドリ「例えば、何かの大会で受賞するとか?」
ユウカ「そう、スポーツならインターハイに出るとか、エンジニア部なら発明品を公表するとか、そういう類のものよ」
「ゲーム開発部なら、そういうコンテストも色々あると思うけど……」
「とはいえ、出せば何とかなるとも思えないわね。貴方たちの能力は、あのクソゲーランキングが証明済み」
ミドリ「ぐっ……」
ユウカ「どうせなら、お互い楽な形で済ませましょう?今すぐ部室を開けて、この辺のガラクタも捨てて」
モモイ「……ガ、ガラクタとか言わないで…!」
ユウカ「じゃあ何なの?」
モモイ「……分かった。全部、結果で示す」
ユウカ「へぇ…」
モモイ「そのための準備だって、もう出来てるんだから!」
ユウカ「え?」
モモイ「私たちには切り札がある」
「その切り札を使って、今回の『ミレニアムプライス』に私たちのゲーム……」
「『TSC2』……『テイルズ・サガ・クロニクル2』を、出すんだから!」
ユウカ「!?」
バージル「……ミレニアムプライスとは何だ?」
モモイ「ミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合う、ミレニアムでも最大級のコンテスト!ここで受賞さえすれば、いくら何でも文句は言えないでしょ!」
ユウカ「……まあ、そうね。受賞できたなら、の話だけど」
「けどねモモイ、今貴方が言ってるのは運動部がインターハイに出場するとか、そういうレベルじゃなくて……」
「『高校野球児がいきなりメジャーリーグに出る』みたいな、雲をつかむような話よ」
「……まあいいわ、私もちょっと楽しみになってきたし」
「そこまで待ちましょう」
「今日からミレニアムプライスまで二週間……この短い時間でどんな結果が出せるのか、楽しみにしてるわ」
「それでは先生、次は落ち着いた状況でお話でもしましょうね」
そういうとユウカは出て行った
モモイ・ミドリ「……」
よどんだ空気の中ミドリが口を開く
ミドリ「そういえばお姉ちゃん、『切り札』って何?」
モモイ「それはもちろん、先生の事だよ」
バージル「……俺?」
モモイ「話を戻すと、私たちの目的は『廃墟』にあるの」
「『廃墟』っていうのは…もともとは連邦生徒会が出入りを制限してた、ミレニアム近郊の謎の領域」
「出入りを制限してたのは『危険な地域だから』って言われてたけど……実際の所、具体的に何がどう危険なのかを誰も知らない」
「誰も入ったことが無いのか、そもそも入ることが出来ないのか、それとも戻ってきた人が誰もいないのか……それすらもよく分からない」
「……そういう、謎に包まれた場所があるの」
バージル「……で何故、そこを目指そうと?」
モモイ「良いゲームが作りたいから!」
バージル「?」
モモイ「私は、証明したいの」
「たとえ、今の私たちのレベルは『今年のクソゲーランキング1位』にすぎないとしても」
「私が大好きな…私を幸せにしてくれた、このゲーム達が……」
「決してガラクタじゃない、大事な宝物何だってことを!」
ミドリ「……お姉ちゃん」
バージル「……」
モモイ「協力してくれるかな?、先生」
バージル「……いいだろう」
モモイ「本当!」
バージル「あぁ」
モモイ「なら、早速廃墟に行って『あれ』を見つけないと」
バージル「……あれってなんだ」
モモイ「あ、順番が良くなかったかも、今度は、この話をしないとね」
「先生。G.Bible……って、知ってる?」
バージル「…知らんな」
モモイ「じゃあ、簡単に言うと、伝説的な、ゲームクリエイターがいたの」
「その人がミレニアム在学中に作ったのが『G.Bible』」
「その中には、『最高のゲームを作れる秘密の方法』が入っているんだって」
ミドリ「……それ、どこかのゲームクリエイター学校の広告じゃなくて?」
モモイ「違うよ!G.Bibleはあるって!読めば最高のゲームを作れるようになる『ゲームの聖書』は、絶対にある!」
「そのG.Bibleを読めば、最高のゲームが作れるはず!」
バージル「なら、さっさとその廃墟に行くとするか」
・・・・・
~ミレニアム近郊・廃墟~
バージル「で、ここが目的の場所か」
モモイ「そう、ヴェリタスから聞いた話だけど」
「ここの出入りを制限して、存在自体をできるだけ隠そうとしてたのは……」
「連邦生徒会長だったの」
バージル「……」
ミドリ「連邦生徒会長…あの、キヴォトスの生徒会長たちの頂点にいたのに、突然いなくなっちゃた人?」
モモイ「そう。あの人がいなくなってから連邦生徒会の兵力も撤収しちゃって、そのまま放置されてるみたい」
「そのおかげでこうして入り込めたんだけど……とにかく」
「はやく、ここでG.Bileを探し出そう!」
モモイがそう言い放った瞬間、目の前に数体のオートマタが現れた。
モモイ「あ、あれって!」
ミドリ「ロボット!?」
「な、なんだかすごい狙われてない!?こっちの方に集まってきてるし!?」
モモイ「うわわわ、ど、どうしよう!?」
才羽姉妹が慌てている中、バージルは瞬間移動でオートマタの群れへと飛び込み、容赦な
く蹴散らし始めた。
数体が反撃し銃弾を放つも、一発も当たることなく、瞬く間に一掃し終える。その光景を目撃した才羽姉妹は──
モモイ「…え、えぇぇぇ!、先生ってそんなに強いの!」
ミドリ「すごい…」
バージル「……俺を呼んだ理由はこのことではないのか」
モモイ「そりゃ、先生は強いって聞いたけど、ここまで動けるとは思わなかったし」
バージル「っ!……はぁ」
才羽姉妹が絶賛している中、バージルはふと気配を察しため息を吐き、何も告げずに二人を両脇に抱える
ミドリ「/ / / / / /!?」
モモイ「え、先生何を!?」
バージル「黙ってろ、舌を噛むぞ」
モモイ「え、それってどういう──?」
状況を把握しきれないモモイをよそに、突如として目の前の物陰から、のオートマタが次々と姿を現し始めた
モモイ「え!、まだこんな──」
モモイの言葉を最後まで聞くことなく、バージルは走り出す。それと同時にオートマタの軍団が一斉に銃を撃ち放つ。
しかし、弾丸は一発も彼に当たらず、かわしながら群れをすり抜けていく。
モモイがギャーギャーと騒ぎ立てる一方で、ミドリは頬を赤らめ、うつむいていた。
~???~
オートマタを無視して強行突破を果たした。気づけば、軍勢の猛攻はいつの間にか止んでいた
モモイ「あれ、あのロボットたち、急に折ってこなくなった・・・?」
「あんな恐ろしい勢いで追いかけてきたのに、とにかくラッキ~、で良いのかな?」
ミドリ「あ、あの先生」
バージル「なんだ?」
ミドリ「もうそろそろ降ろして欲しいです」
バージル「あぁ、そうだな」
そう言って二人を下ろした瞬間、どこからともなく、謎の声が響いた。
謎の声『接近を確認』
モモイ「えっ、な、なに?」
ミドリ「部屋全体に、音が響いている・・・・?」
謎の声「対象の身元を確認します。才羽モモイ、資格がありません」
モモイ「え、え!?何で私の事知ってるの?」
謎の声「対象の身元を確認します。才羽ミドリ、資格がありません」
ミドリ「私のことも…一体どういう……?」
謎の声「対象の身元を確認します…『バージル先生』……」
モモイ「あれ?」
謎の声「資格を確認しました、入室権限を付与します」
ミドリ「えぇっ!?」
モモイ「え、どういうこと!?先生はいつこの建物と仲良しになったの!?」
バージル「……ここを訪れた記憶はないな」
謎の声「才羽モモイ、才羽ミドリの両名を、先生の『生徒』として認定、同行者である『生徒』にも資格を与えます。承認しました」
謎の声「下部の扉を解放します」
その声と同時に、床が開く。
ミドリ「ゆ、床が無くなっ……落ちるっ!?」
モモイ「うわわわっ!」
バージル「……」
落下の最中、バージルは先ほどと同じように二人を抱えると、空中から一瞬で地上へと瞬間移動した。
その際、落下の勢いは完全に消え、バージルの足が「スタッ」と地に着地した
ミドリ「……あれ?さっきまで落下して」
モモイ「い、いやー、死ぬかと思った…先生がいなかったら大けがしてたかも」
ミドリ「た、助かりました先生、ありがとうございます」
バージル「……」
バージルは何も言わず黙って二人を下ろした。
モモイ「うーん、そんなに深いところまで落ちたわけじゃないみたいだけど…ん?」
「……えっ!?」
ミドリ「ん……?どうしたのお姉ちゃん…?」
「えっ……!?」
二人が驚いたであろう方向へバージルも目線を向ける。そこには椅子に座り目を閉じている一人の少女がいた。
バージル「……こんな場所に人か?」
モモイが先走りバージルも後を追うとミドリが両手でバージルの腕を掴みその場で静止させる。
ミドリ「せ、先生はここで後ろを向いて待っててください」
バージル「なぜだ?」
ミドリ「え?それは、あの子…裸だから」
この言葉を聞いて察するバージル。
バージル「……しょうがない」
その場で体を180度回し、背を向ける。ミドリはそれを確認すると、モモイの後を追っていった。
ミドリ「この子…眠ってるのかな?」
モモイ「ねぇ、ミドリ、ここに何か、文字がかかれてる」
「…AL-IS…アル、イズ…エー、エル、アイ、エス?どう読むのか分からないけど、この子の名前?……アリス?」
ミドリ「ちょっと待って、これよく見ると全部ローマ字なわけじゃなくて……AL-1S、じゃなくない?」
モモイ「え、そう?」
ミドリ「……とりあえずこのままじゃか可哀そうだし、服でも着せてあげよっか」
モモイ「へえ、予備の服なんて持ってきてたんだ」
・・・・・
ミドリ「……よし。これでいいかな」
モモイ「せんせーい、来ても大丈夫だよー」
モモイの言葉を聞き、二人のもとへ向かうと――眠っていた少女が目を覚ました
???「……」
???「状況把握、難航」
???「会話を試みます……説明をお願いできますか」
モモイ「え、えっ?せ、説明?なんのこと?」
ミドリ「せ、説明が欲しいのはこっちの方!あなたは何者?ここは一体なんなの!?」
???「本機の自我、記憶、目的は消失状態であることを確認。データがありません」
ミドリ「うーん……先生、どうしましょう?」
バージル「……さすがに、ここに置き去りにするわけにもいかん、か」
モモイ「ふふっ、良いこと思いついちゃった」
バージル「?」
ミドリ「嫌な予感」
???「???」
・・・・・
~ミレニアム・ゲーム開発部~
???「???」
ミドリ「ねえ、ちょっと!?この子を部室にまで連れてきてどうするの!」
モモイ「し、仕方ないじゃん。あんなロボットたちがいる場所で放っておくわけにはいかないでしょ」
ミドリ「それはそうだけど……」
「今からでも、連邦生徒会に連絡した方が良くない?」
モモイ「それはそうだけど……とりあえずこの子の名前は必要だよね。「アリス」って呼ぼうかな」
???「……本機の名称、「アリス」。確認をお願いします」
ミドリ「ちょ、ちょっと待って!それお姉ちゃんが勝手に読んだ名前でしょ!?本当ならAL-1Sちゃんなんじゃないの?」
モモイ「そんなに長いと呼びにくいじゃん。どう、アリス?気に入った?」
アリス「……肯定」
「本機、アリス」
モモイ「あはは!ほら、見たか私のネーミングセンス!」
ミドリ「うーん…本人が気に入ってるならいいけど」
バージル「……で、そいつをどうするつもりだ?」
モモイ「ふっふっふっ、それはねアリスを私たちゲーム開発部の仲間に引き入れる!」
バージル「……なるほど、生徒に偽装させ、ゲーム開発部の部員にすると」
モモイ「そういうこと!良いゲームも作りたいけど、まずは部活の維持が最優先ってことで」
そこでアリスの方へと目を送るとゲーム機をかじっていた
モモイ「ああっ!私の『ゲームガールズアドバンスSP』食べちゃダメ!」
バージル「…先が思いやられるな」
ミドリ「……そうですね」