mission28 ~要塞都市エリドゥ~
~シャーレ・執務室~
現在バージルは閻魔刀の手入れをしていた
アロナ((ジーっ))
バージル「・・・・おい、アロナ」
アロナ『どうしましたか?先生』
バージル「先ほどからずっとお前から視線を感じるのだが」
アロナ『あ、すみません。先生がそこまでその刀を大事にしているのが、少し気になってしまって 』
バージル「・・・・大事か、考えたことは無かったがな。ただ、あいつが扱っていい代物ではない」
そんな会話をしているとピコンと連絡アプリから通知が届く
アロナ『あ、生徒さんからメッセージが来ました』
バージル「・・・・誰からだ、また遊びの誘いなら断ってくれ」
アロナ『・・・・いえ先生、今回はそうではなさそうです』
バージル「?」
アロナ『メッセージ相手はミレニアム、ゲーム開発部所属の才羽モモイさんからです』
バージル「内容は?」
『先生、アリスが連れていかれた! すぐに来てお願い!』その一文だけ書かれたメッセージだった
アロナ『どうしましょう 先生?』
アロナの問いに答えず立ち上がり刀の手入れ道具をしまうと机に無造作に置かれていたシッテムの箱を懐に仕舞い、続けて立て掛けてある閻魔刀の鞘に左手を伸ばす
アロナ『行くんですね!ではいつも通り交通網の案内を──』
バージル「いらんな」
アロナ「え?」
右手に持つ閻魔刀の刀身で空間を切り分けると空中に亀裂を生み、ミレニアムまでの直行のゲートを作り出す
バージル「これですぐだ」
アロナ『あ、アロナちゃんの存在意義が』
~ミレニアム・ロビー入り口前~
─ゲーム開発部視点─
モモイ「先生、どれくらいで着くんだろ」
ミドリ「お姉ちゃんさっき先生に連絡入れたんでしょ」
モモイ「もちろん!さっき『すぐ向かう』って返信来たよ」
ミドリ「だったらもう少し時間かかりそうかも」
モモイ「でも先生ならもう到着していたりしてね」
ミドリ「さすがにそれはあり得ないでしょ」
モモイ「あははー、冗談だって」
バージル「冗談が何だって?」
モモミド「!?・・・・せ、先生!」
モモイ「い、いつの間に来たの!」
バージル「・・・・さっき来たところだが」
モモイ「さっきってまだ返信来てから数分も経ってないよ!どうやってきたの?」
バージル「別に俺がどのようにこようがどうでもいい、それよりも天童に何かあったのか?」
モモイ「それについては後!とりあえず中に入って! ネル先輩たちやウタハ先輩たち、それにユウカにも話は通してあるの!」
モモイ「今はアリスを連れ戻すための作戦を練っているところなの! 」
~ミレニアム・ロビー~
モモイ「というわけで、先生も来たことだし、アリスを連れ戻す方法を考えよう!」
バージル「その前に何故天童が連れていかれたんだ?」
ミドリ「それは、アリスちゃんはこの世界を滅ぼす「魔王」だって会長が・・・・」
バージル「魔王?会長?」
ミドリ「会長・・・・ミレニアムの生徒会長、調月リオさん、なんだけど詳しい理由は分からなくて」
ミドリ「でも一つ、分かってることはアリスちゃんのヘイローを破壊しようとしているという事」
バージル「・・・・」
モモイ「でもそんな理由で私たちは納得できてない。だから私は、みんなはアリスを連れ戻したい!」
ハレ「・・・・うん、そういうこと」
ネル「チビの言う通り、ゴチャゴチャ考える必要はねぇ、奪われたモンがあるなら、取り戻せばいい。単純明快だ」
バージル「まぁ、大方やろうとしていることは分かった、つまり天童は危険な存在で調月が連れていったと?」
モモイ「アリスは危ない子じゃない!!」
バージル「・・・・そうか。でだ、その作戦は?」
モモイ「今、ユウカにリオ会長の居場所を突き止めて貰うために情報を確認してもらってるところなの」
するとすぐ近くに立体映像が流れ二人の少女が現れた
ユウカ「リオ会長がアリスを連れて行った先が分かりました!」
ユウカ「って先生!いつの間に」
モモイ「ユウカ、それよりアリスの居場所は!」
ユウカ「え、えっと、では今、画面に映します」
ユウカがそういうとホログラムで大きな画面が現れた
モモイ「ユウカ、この都市は?」
ユウカ「ここはデータベース上から消去された資料を復元したところ──とある都市のデータを見つけたんです」
ユウカ「コードネーム『エリドゥ』」
ユウカ「リオ会長が秘密裏に建設していた・・・・『終焉に備えるための要塞都市』だそうです」
ミドリ「でも、どうしてこんな広い都市を?」
ノア『リオ会長は、ご自身がやると決めたことに関して絶対に迷いません』
ノア『合理的な判断を──時には重大な決断が必要な場面でも何ら迷うことはなく、目標達成のためであれば、ブルドーザーみたいに強引に事を進めてしまう』
ノア『そうして危険を排除し、キヴォトスの終焉を防ぐべく奔走した結果できたのが・・・・』
ノア『あの要塞都市、「エリドゥ」なのでしょう』
ユウカ『アリスは、『エリドゥ』の中心部にあるタワーに連れて行かれた可能性が高いわ』
ユウカ『今から「エリドゥ」の座標をお伝えしますね』
ノア『立場上、私たちがお手伝いできるのはここまでですが・・・・』
ユウカ『お願いします・・・・リオ会長を止めて、アリスを連れ帰ってきてください』
ユウカがそう言い残すと映像が消える
ウタハ「エリドゥの座標は確認できた後は潜入方法だね」
ウタハ「会長ならきっと、対侵入者用の防御システムを構築してるだろうから」
ウタハ「何の準備もなく接近したら・・・・身をもって要塞に相応しい目に遭うことになるだろうね」
モモイ「じゃ、じゃあどうすればいいの!?」
ミドリ「近づくことも難しいなんて・・・・」
ウタハ「──それはあくまで、『普通に接近した場合』の話だよ・・・・私たちエンジニア部は別のルートを知ってるんだ」
ウタハ「都市建設の『人手』だけだったら、リオ会長のドローンで事足りるだろうけど・・・・」
ウタハ「『資材』となると話は変わってくる 。無から有は作れないからね」
ヒビキ「ミレニアム自治区の郊外には、輸送用の無人列車がたくさんある・・・・」
ウタハ「都市建設の資材をミレニアムから運んでいたと仮定するのなら、その路線のどれがエリドゥと繋がってる可能性が高い」
モモイ「じゃあ、路線さえ分かれば・・・・!」
ウタハ「ああ、エリドゥに行けるよ」
ミドリ「で、でも、路線はいっぱいありますよね・・・・?一体、どうやって探せばいいんですか!?」
ウタハ「ああ。なので、その辺りをエンジニア部がサポートしようじゃないか」
ヒビキ「うん」
コトリ「えへん!お任せください!」
アカネ「では次はアリスちゃんをどのように連れ戻すかですね。要塞都市と呼ぶくらいですから・・・・リオ会長には万全の備えがあるのでしょう」
ウタハ「都市のセキュリティはもちろん、防御システムもかなりのレベルだと思うよ」
ハレ「それに・・・要塞都市をどうにかしても、まだ問題が残ってる」
コタマ「リオ会長の護衛をしているメイドが一番の障害ですね」
バージル「・・・・護衛?」
ネル「あたしを物ともしないでアリスを連れて行ったアイツ・・・・」
ネル「アイツは、自分の事を「コールサインゼロフォー」って言ってた」
ネル「名前は飛鳥馬トキ」
ミドリ「トキさんの動きは・・・・まるで・・・・」
ユズ「『チートプレイヤー』・・・・みたいだったね」
ネル「チートだろうが何だろうが関係ねぇ」
ネル「あたしらがやることは一つ」
ハレ「ネル先輩・・・・もしかして何か作戦が?」
ネル「単純な事だ。あれこれ浅知恵こねくりまわす暇があるんだったら、初っ端から突っ込んだ方がいいって事だ」
アカネ「ですが部長、それはリオ会長の思うツボでは・・・・」
ネル「そんな考えなしで行くってわけじゃねぇよ、このゲームの勝利条件は単純明快『あたしらがやられる前にあのチビを救い出す』」
ネル「あたしらC&Cが正面から突っ込んで騒ぎを起こしてやる。そうしたら、リオはもちろんトキ、あいつもあたしらの相手せざるを得ないだろ?」
ネル「その間にお前たちがチビを救え。どうだ?簡単な話だろ?」
ユズ「アリスを救ったら・・・・」
ミドリ「私たちの勝利・・・・!」
モモイ「でもネル先輩、大丈夫?相手はあの『チートプレイヤー』だし・・・・バージル先生に任せた方が・・・・」
ネル「あ?あたしを誰だと思ってやがる。あいつには一杯食わされたんだ、うけた仕打ちはしっかりとやり返してやるって決めてたんだよ」
ネル「後はそれを実行するだけだ」
カリン「わかった、従おう」
アスナ「うんうん!私たちに任せて」
アカネ「ふふっ、精一杯頑張りますね」
アカネ「ではこれで決まりですね。正面は部長と一緒に私たちC&Cが担当いたします」
ハレ「ヴェリタスは遠隔で支援するね」
ウタハ「後方から潜入するのはその他、ゲーム開発部と私たち・・・・そして先生かな?」
バージル「・・・・?俺は別行動を取らせてもらう」
ウタハ「もしかして、先生にも何か作戦が?」
バージル「俺は一人調月の所まで行かせてもらう」
モモイ「だったら私たちと同行した方がいいでしょ?」
バージル「・・・・俺一人の方が早い 」
その場にいるバージル以外の全員「???」
ミドリ「そ、そういえば先生がお姉ちゃんのメールで返答したとき、何処にいました?」
バージル「シャーレにいたが」
ミドリ「シャーレから数分でここミレニアムに来た」
モモイ「え?どういうこと?」
ミドリ「もしかして先生って、遠くの場所まで一瞬で移動できたりするんですか? 」
モモイ「えぇ!?そんな冗談な事」
ミドリ「それに、その日本刀・・・・先生が初めて私たちと会った時には持っていませんでした・・・・どうなんですか先生?」
バージル「良い観察眼だ、その認識で間違っていない 」
モモイ「えぇ!?じゃあすぐ行って、アリスちゃんを連れて帰ってこれるってこと!?」
モモイ「私たちの今までの作戦は何だったの!」
バージル「・・・・先に言っとくが別に俺は向かうだけで、天童を連れ帰るつもりはない」
モモイ「え?」
バージル「調月にも理由はあるのだろう」
バージル「お前たちの主観だけで感じた事をそのまま聞かされてもな 」
モモイ「でも会長はアリスを・・・・」
バージル「お前たちの言葉だけで決める気はない。調月本人から聞く 」
モモイ「それじゃあ何?、話によっては先生はリオ会長の味方するってこと!?」
モモイ「そんなの・・・・見捨てるのと同じじゃん!」
モモイ「アリスが消されるかもしれないんだよ!?」
ミドリ「・・・・先生、それ、本気で言ってるんですか? 」
ウタハ「合理性だけで割り切れる話じゃないと思うよ」
ネル「一体、何考えてるんだ?」
バージル「?・・・・何か勘違いしているようだな」
バージル以外の全員「?」
バージル「俺は”連れて帰らない”と言っただけで、天童を見殺しにするとは言っていないぞ」
バージル「先ほどからお前たちの会話を聞くに天童とは大分仲を深めているようだしな」
バージル「天童を助け、連れて帰る役目はお前たちがやるべきことだ」
モモイ「・・・・でも」
モモイ「先生なら、すぐアリスを・・・・」
バージル「何でも俺に解決させようとするな」
バージル「助けたいなら、まずお前たちが動け」
バージル「それで無理そうなら・・・・呼べ」
その場が静まり返る
ミドリ「・・・・先生」
ユズ「私たちで、やるってこと・・・・」
モモイ「先生は厳しいな」
モモイ「・・・・でも、分かったよ先生、私たちでアリスを連れ戻す!」
ミドリ「うん、絶対に」
ユズ「・・・・助ける」
モモイ「それじゃあみんな!先生も動いてくれることだし」
モモイ「私たちは私たちの力で、アリスちゃんを連れ戻すよ!」