悪魔と青春の記録   作:黒凪カズキ

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気づけば、この作品を書き続けて初投稿から一年が経つのか。
時代の流れは速いなぁ。


第2部 あまねく奇跡の始発点 前半
mission30 ~浸食~〇


~シャーレ・執務室~

 

アロナ「先生、連邦生徒会からメールが届きました」

 

バージル「メール?また、生徒間絡みの問題か。こうも何度も・・・・」

 

アロナ「いえ、今回はよりおおごとな話だそうです」

 

バージル「・・・・?」

 

アロナ『キヴォトス全域で、超高濃度のエネルギー体が観測されたそうです』

 

バージル「エネルギー体?」

 

アロナ『はい、実際には目視では確認できておらず・・・・』

 

アロナ『行政官のリンさんが、主要自治区の代表生徒を招集したようで』

 

アロナ『各自治区が協力し合い、この現象の原因と正体を突き止めるため、今回の招集が行われたそうです! 』

 

アロナ『色々な自治区の生徒さんが集まる分、意見の整理が難しいと判断したそうです!』

 

アロナ『なので、先生にも来てほしいとの事ですよ!』

 

バージル「俺がいなくとも、生徒らだけで十分回る話だろう」

 

バージル「わざわざ俺が出るほどでも──」

 

アロナ『またですか先生』

 

バージル「・・・・ゲマトリアやそこらが介入していなければ、あいつらはあいつらで片づけるだろう。そこに俺がいなくとも──」

 

アロナ『先生・・・・」

 

アロナは呆れたように額へ手を当てる

 

アロナ『生徒さん達にとって先生がどんな存在か、もう少し考えてみてもいいんじゃないですか?』

 

アロナ『先生が思ってる以上に、皆さんは先生を頼りにしてるんですよ』

 

アロナ「そうしたら、少しは気持ちが分かりますよ」

 

バージル「・・・・」

 

バージルは改めて生徒たちのことを客観的に考えるが、答えは出ず沈黙が続く。

 

アロナ『はぁ・・・・この話は今は置いときまして、これについては絶対参加です』

 

バージル「・・・・しょうがない」

 

アロナ『それでリンさんが先生に向けてサンクトゥムタワーまで移動用の乗用車を送るそうですが、どうしますか先生、またいつも通りの移動法ですか?』

 

バージル「あぁ、そうだな、七神には必要ないと送れ」

 

アロナ『分かりました。では、リンさんから送られてきた情報について、私の方でも調べてみますね』

 

アロナ『何か分かったらすぐお伝えしますので、“必ず"シッテムの箱の電源は切らないでくださいね!』

 

ここ最近、妙に世話を焼いてくるアロナに、バージルも少々辟易し始めていた

そんなことはさておき、バージルは閻魔刀を手に取ると、サンクトゥムタワーへ向かった。

 

ー七神リン視点ー

 

リン「・・・・はぁ」

 

カンナ「行政官、連邦捜査部S.C.H.A.L.E、バージル先生の送迎準備が整いました」

 

カンナ「・・・・どうされましたか?リン行政官」

 

リン「いえ。それと、先生の送迎は急遽取りやめになったそうです」

 

カンナ「え?・・・・つまり、先生はお一人で来られると?」

 

リン「まぁ、そうなりますね」

 

その時、扉が勢いよく開かれた

 

連邦生徒会の行政官「失礼します、只今、連邦捜査部シャーレの先生が来られました!」

 

カンナ・リン「「え?」」

 

リン「・・・・今、何と?」

 

カンナ「送迎を断って、もう到着したと?」

 

シャーレからサンクトゥムタワーまでには、相応の移動時間を要するはずだった。

それにも関わらず、送迎中止の連絡から殆ど間を置かず、バージルは到着したという。

 

その後、バージルは何事もなく連邦生徒会室へ案内された

 

やがて、主要自治区の代表生徒たちが集められ、非常対策委員会が発足する。

 

しかし、アビドスは急用により欠席。ミレニアムの生徒会長・調月リオからも返答はなく、それらを除いたトリニティ、ゲヘナなど各学園の重役が集うこととなる

 

だが、会議の空気は開始早々から重かった。

これまでの連邦生徒会の対応が原因なのか、他校の生徒たちは、連邦生徒会へ不信感を抱いており

各学園の生徒たちは協調姿勢を見せず、それぞれが、連邦生徒会を頼りない組織として見ていた。

 

議論は一向にまとまらず、結局、各学園がそれぞれ独自に調査・対応を進めるという結論に至った。

 

会議終了後、バージルは一度シャーレへ帰還した。

 

バージル「自分勝手な奴が多いな」

 

アロナ(それを先生が言います?)

 

するとシッテムの箱から、短い通知音が鳴り響く。

 

バージル「?」

 

アロナ『生徒さんからです。送り主はアビドス高等学校のアヤネさん、ホシノさん、セリカさんですね』

 

アロナ『内容は──』

 

一瞬、アロナの表情が固まる。

 

アロナ『・・・・これは!?』

 

バージル「どんな内容だ?」

 

アロナ『砂狼シロコさんが行方不明になったそうです』

 

バージル「砂狼が?」

 

アロナ『はい。発見されたのは、シロコさんが愛用しているロードバイクだけとのことです』

 

バージル「・・・・次から次へと問題が起こるな」

 

バージル「キヴォトス全域の異変は後だ。先に砂狼を探す」

 

そう言うと、バージルは椅子から立ち上がる。

 

――その時だった。窓の外から差し込む光が、不意に赤く染まる

 

青く澄んでいたはずの空が、何かに侵食されるように赤く染まっていく

 

直後――何もなかった空間に、音もなく“それら”は現れた。

 

???「──ようやく、理解へ至る時が来た 」

 

そこには、かつてベアトリーチェを連れ去った首のない男。

そして――どこかゴルコンダに似ているが、決定的に何かが違う人物の姿があった。

 

???「バージル、お前の力はいままで通りに通用しない」

 

バージル「貴様は・・・・ゲマトリアの──」

 

フランシス「先に言おう、私は『フランシス』ゴルコンダはもう居ない。デカルコマニーと共に、新たにお前を見守る者。従って、最後の警告を傾聴せよ」

 

フランシス「この物語では、あなたは無敵だっただろう。しかし今となっては・・・・」

 

フランシス「──覆されたのだ。」

 

フランシス「脈絡、構成、ジャンル、意図、解釈・・・・」

 

フランシス「すべては破壊され、その意味は絡み合い、混ざり、攪拌され──統制できぬ程に褪せた。」

 

フランシス「これまでの物語は全て滅び、これから先お前の身に起こることは、最早そのような物語ですらないのだから──学園と青春の物語は、幕を下ろした」

 

フランシス「覆され、解体されてしまったジャンルで、お前の価値は揺らぎ、地に落ち、無となり、いつしか忘れ去られるに等しい」

 

フランシス「そうして、始まるのだ。物語ではない──本来の姿が。」

 

バージル「黙れ・・・・一体何を話したいかは知らんが」

 

バージル「仮にこの先、俺の前に壁が立ちはだかるのなら――叩き壊すだけだ」

 

フランシス「であれば、それを見守るとしよう。キヴォトスの異物よ」

 

そう言い残すとフランシス等は消えていった

 

バージル「・・・・なんだったんだか」

 

アロナ『先生!』

 

バージル「どうしたアロナ?」

 

アロナ『説明は難しいので先にこのライブニュースを見てください!』

 

そうアロナがいうとシッテムの箱の画面にニュース映像が映し出された

 

『緊急速報です!!現在、D.U.で怪奇現象が発生しております!これは──』

 

『突如として出現した巨大な塔が落下──サンクトゥムタワーに激突しました!!』

 

『未曾有の大災害に、D.U.の行政は現在は麻痺しております!先ほど命令された戒厳令との関係は明らかになっていないものの──』

 

バージル(・・・・これが七神たちが予兆していた事か)

 

クロノス報道部のニュースを視聴している、その最中だった。

先程のフランシス達とは違う。

だが――どこか覚えのある。一人の男が立っていた。

 

黒服「・・・・くックックッ」

 

バージル「・・・・いつからシャーレはゲマトリアが這い込む場所になったのやら」

 

黒服「久しくお会いした早々、ひどいですねバージル先生」

 

黒服「害虫扱いされると、私でも悲しいですよ」

 

バージル「そんなことより、見ない内に、醜い見た目に成り落ちたか」

 

黒服「それに関しては失礼しました」

 

黒服「なにせ――ゲマトリアは壊滅しました」

 

バージル「・・・・何?」

 

黒服「『色彩』が、遂に到来してしまったのです──いえ、正しくは『侵攻してきた』とでも申しましょうか」

 

黒服「どうやら、今の状況をまだ理解できていないようですね」

 

黒服「では、簡潔に説明しましょう」

 

黒服「『色彩』が到来し──狼の神がソレと接触したのです」

 

黒服「恐怖の領域へと反転した彼女は、命ある全てのものを、あの世へと導く死の神『アヌビス』となり──自身の本質が赴くままに、この世界に終焉をもたらすことでしょう」

 

黒服「色彩はキヴォトスのありとあらゆる神秘と恐怖、そして崇高の懸念を吸収し、自らのものにしようとしています──」

 

黒服「そして・・・・キヴォトスに出現した6つの塔は──『サンクトゥムタワー』の一種と言えるでしょう。それも、反転した」

 

黒服「アレが『色彩』の光を世界中に伝播させ、キヴォトスに存在するすべての神秘を恐怖へと反転させることでしょう」

 

黒服「──あの、狼の神のように」

 

バージル「・・・・さっきから言っている、狼の神とはなんだ?」

 

黒服「狼の神、つまりは――あなたの知る生徒さんですよ」

 

バージル「勿体ぶらずに言え」

 

黒服「砂狼シロコさんです」

 

バージル「・・・・」

 

黒服「色彩が我々ゲマトリアを襲撃した理由は──それは、ゲマトリアが所持している『秘儀』と『検証結果』を奪うためだったのでしょう」

 

黒服「そして、今、『色彩の嚮導者』はそれらすべてを手にした」

 

バージル「色彩の嚮導者?」

 

黒服「色彩の嚮導者・・・・色彩の意思を代弁する存在であり、計画を遂行する実行者──」

 

黒服「──その名を『プレナパテス』」

 

黒服「これから、ヤツと対面する事となるでしょう・・・・」

 

一方で、シッテムの箱から流れ続けるクロノス報道部のニュースは、混乱を極めていた。

 

『緊急速報です!現在、キヴォトス全域で通信障害が発生しています!』

 

『各学園から避難指示が出てもおかしくない状況ですが──現時点では塔の正体が判明しておらず、各学園は警戒を続けながら様子見の姿勢を取っています!』

 

バージル「・・・・話は済んだか?」

 

黒服「いえ、あと二つほど忠告を」

 

バージル「まだあるのか」

 

黒服「バージル先生、あなたは大人のカードを持っているでしょう」

 

黒服「これから先、そのカードを乱用する事になれば──あなたは私たちと同じ結末を迎える事になりますよ。」

 

バージルは懐から“大人のカード”を取り出し、静かに見つめる。それは、バージルがキヴォトスへ来た時から唯一所持していた、謎多き代物。

だが――使用方法だけは理解していた。

 

バージル「・・・・今まで、本来の用途で使った事すらない」

バージル「それどころか、俺自身も把握しきれていない代物。にも関わらず、なぜお前がこの危険性を知っている?」

 

黒服「それに関しては話すことはできません」

 

バージル「・・・・随分と含みのある言い方だな」

バージル「まぁいい」

 

そう言うと、バージルはカードを再び懐へ仕舞い込んだ。

 

黒服「そしてもう一つ──これが最も重要なことですが」

 

黒服「バージル先生。貴方は、このキヴォトスに来てから、一つでも疑問に思ったことはありませんか?」

 

バージル「疑問?」

 

黒服「えぇ。貴方がいた世界と、此処キヴォトスとの決定的な違いです」

 

バージル「・・・・」

 

黒服「人間界、・・・・と言い換えても良いでしょう」

 

――その瞬間。バージルの脳裏に、ある違和感が過る。

 

今まで意識すらしていなかった。いや、なぜ疑問に思わなかったのか。

自分でも不可解に思えるほどの違和感。

 

それは──

 

バージル「・・・・キヴォトスには、俺以外の悪魔が現れていない」

 

黒服「その通りです」

 

黒服「ここキヴォトスでは、バージルさん――貴方以外の悪魔が、実体化はおろか、物へ憑依して現れることすらありませんでした」

 

バージル「・・・・確かに。約一年、このキヴォトスにいたが――悪魔の類を一度も見ていない」

バージル「それどころか情報すら、耳に入った事はなかったな」

 

黒服「バージルさん。貴方は“神秘”の性質について、どこまでご存知でしょうか?」

 

バージル「確か、ベアトリーチェが話していたな」

 

バージル「魔の肉体を浄化する力──だったか」

 

黒服「その通りです」

 

黒服「そして、このキヴォトスは空気中にすら微量の“神秘”が満ちています。本来、悪魔であれば長く存在することすら困難でしょう」

 

バージル「だが、俺はどうなんだ?現にこうして影響を受けていないが、どう説明する」

 

黒服「・・・・そこなのです」

 

黒服「少なくとも、通常の悪魔であれば空気中の神秘に長く晒されるだけでも影響は出るはずでした」

黒服「ですが、貴方にはそれが見られない」

 

黒服「一方で、高濃度の神秘を込めた銃弾では効果が確認されている」

 

黒服「私たちとしても、説明がつかないのです」

 

黒服「半人半魔だから──そう考えるのが最も自然ではありますが」

黒服「・・・・正直に言えば、それだけで片付けて良い話とも思えない」

 

黒服「効かないのではなく。“致命になりづらい”なのでしょうかね」

 

バージル「・・・・そういえば、銃弾の話で思い出したが」

バージル「ベアトリーチェに、聞きたい事がある。この件が終わったら、俺の前まで連れて来い」

バージル「先に言っておくが、拒否権はないからな」

 

黒服「それは・・・・申し訳ありませんが叶いません」

 

バージル「何故だ?」

 

黒服「ベアトリーチェは、我々が処分しましたので」

黒服「彼女を生かしておけば、予期せぬ事態を招きかねませんでした」

 

黒服「故に、やむを得ない判断だったのです」

 

バージル「・・・・っち」

バージル「あいつから聞きたい事があったが、予定が狂ったな」

 

黒服「では、話を戻しましょう──」

 

黒服「これまで、仮に“魔”の侵入が起きたとしても、キヴォトスに満ちる神秘とサンクトゥムの機構によって、真っ先に排除されていました」

 

バージル「どういうことだ?」

 

黒服「現状――あの『虚構のサンクトゥム』によって、世界の法則そのものが上書きされつつあります」

 

黒服「今のキヴォトスには、外界を阻む結界こそ存在していますが・・・・

以前のような“排除機構”は失われている」

 

黒服「つまり、このままアレを放置すれば──いずれ外から“魔”が干渉し始めるでしょう」

 

黒服「それが下級悪魔程度で済むのか、あるいは別の何かなのか・・・・私にも断言はできませんが」

 

黒服「もしキヴォトスの平穏を望むのであれば、早急な解決を勧めます」

黒服「それでは、バージルさん。あなたの活躍を見守らせてもらいましょう」

 

黒服がそう言い残すと黒い霧を纏いどこかへと消えていった

 

アロナ『・・・・これからどうしましょう先生?』

 

バージル「・・・・まずは正体不明の兵を蹴散らしてからだろう」

 

アロナ『それとリンさん達の状況も気になりますしね!私はシッテムの箱を通して、避難支援や情報整理を行いますね!』

 

~D.U地区内~

 

サンクトゥムタワーから少し離れたD.U.地区。

閻魔刀による移動で到着した先――そこには、異様な光景が広がっており、

不気味な外見の機械兵器――オートマタの軍勢が、市民へ襲い掛かっていた

それに対し、尾方カンナを中心としたヴァルキューレ生徒たちが、防衛線を張りながら避難誘導を行っている。

 

バージル「さっき会ったばかりだな、尾方」

 

カンナ「先生!?」

 

バージル「片づけは俺がやっておく、お前たちは避難誘導を優先しろ」

 

カンナ「ですが・・・・いえ、分かりました。申し訳ありませんが防衛線を任せます」

 

バージル「先に言っとくがそこらにいるヴァルキューレ生徒もだ」

 

カンナ「ま、まさか先生お一人でこの軍勢を相手にするつもりですか!?」

 

見える範囲だけでも、オートマタは二十機を超えていた。さらに、その奥にもまだ機影が確認できる。

 

バージル「何か問題があるのか?」

 

カンナ「い、いえ、先生なら平気だとは思われますが、もし何かあれば必ず連絡をしてもらえれば」

 

バージル「考えておこう」

 

そう言い残し、バージルはオートマタの軍勢の中へ歩み出す。そのまま、サンクトゥムタワー中心部へ向けて足を進めていった。

 

・・・・・

 

バージルへと無謀にも向かってくるオートマタだが、相手が悪かった。 バージルは迫る機体へ視線だけを向けると、納刀したままの閻魔刀を振るう。

 

鞘打ちされた瞬間、鈍い衝突音が響いた。

 

その一撃だけで、オートマタの外殻は大きく陥没し、そのまま地面へと倒れ込む。

砕けた装甲の隙間からは、千切れた電線が火花を散らしながら垂れ下がっている。

 

バージルは特に気に留める様子もなく、そのまま周囲へ視線を巡らせた。

 

オートマタの一団が、一斉に銃口をバージルへ向ける。瞬く間に、無数の銃声と共に弾丸が進行方向を埋め尽くした。

 

だが、バージルは歩みを止めず──

迫る弾丸に対し、バージルは閻魔刀を引き抜く。 そして、降り注ぐ弾丸を刀身の腹で次々と逸らしていく

 

刃と弾丸が触れ合うたび、火花が散る。やがて距離を詰められたオートマタへ、閻魔刀の抜刀が走る。

音すら立てず、オートマタの機体は滑らかに両断される。露出した断面から、内部構造と火花が剥き出しとなった。

 

・・・・

その場に残っていた最後のオートマタを処理すると、

その残骸へ視線を向ける事なく、バージルはそのまま歩みを続けた。

 

・・・・・

 

バージル「大方、片は付いたか」

 

アロナ『もう私、見てられません・・・・』

 

バージル「なんだ、アロナ。相手は機械だ。血も肉も流れん鉄屑に、何を気にする必要がある」

 

アロナ『違いますよ!先生が危なっかしくて見てられないって意味です!』

 

バージル「危ない? 俺がか」

 

アロナ『そうです!先生、一人で勝手に突っ込んで・・・・もう気は済みましたか? 一度シャーレへ帰還しましょう!』

 

バージル「最後に、あの塔を倒壊できるか試してからだ」

 

アロナ『もう!先生は自由人です──』

 

バージル「少し黙れアロナ、何か来ている」

 

上空から、空気を切り裂くような音が微かに響く。

 

バージルは視線を上へ向けた。

 

そこには、熱を纏いながら高速で落下してくる“何か”の姿。

 

その気配は――まさしく魔だった。

 

“それ”はバージルの目前へ、地面を砕きながら降り立った。

 

その凄まじい衝撃で周囲のオートマタ数機が宙へ吹き飛ばされ、さらに吹き荒れた灼熱の熱風によって、残骸の外殻は赤く焼け、装甲の継ぎ目はどろりと溶け落ちていく。

 

立ち昇る熱気の中心。

 

そこにいたのは、バージルよりも一回り以上巨大な獣。

 

全長三〜四メートル程の魔獣だった。

 

黒き体毛の隙間からは炎が脈打つように噴き出し、呼吸に合わせるように火花が弾けている。

 

その姿は、まるで“熱そのもの”が獣の形を取ったかのようだった。

 

バージル(悪魔・・・・か)

 

????「お前か我が主の敵となる存在は、俺には分かるぞ、お前が内包する魔の力を。強いな」

 

バージル「誰だ貴様」

 

バルログ《色彩》「・・・・俺の名は『バルログ』元アルゴサクスの片腕、今はある男の下で力を磨いている」

 

バージル「・・・・」

 

バルログ《色彩》「お前のような相手に、俺がどこまで通用するか・・・・試させてもらうぞ 」




今回登場したバルログですが、あくまで私個人のイメージによるものです。
原作設定とは異なる可能性がありますので、なんとなーくくらいで見てもらえればと思います。
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