~翌日、対策委員会・教室~
アヤネ「···それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます」
アヤネ「本日は先生にもお越しいただいたので、いつもより真面目な議論ができると思うのですが···」
ノノミ「は~い☆」
シロコ「もちろん」
セリカ「何よ、いつもは不真面目みたいじゃない······」
ホシノ「うへ、よろしくねー、先生」
バージル「···あぁ」
アヤネ「では、早速課題に入ります。本日は、私たちにとって非常に重要な問題······
『学校の負債をどう返済するか』について、具体的な方法を議論します」
アヤネ「ご意見のある方は、挙手をお願いします!」
······と、会議は始まったものの、どれもまともな意見は出なかった。
悪質商法に引っかかるセリカに、バスジャックを提案するホシノ。
さらには、銀行強盗という明確な犯罪に手を染めようとするシロコ。
しかも事前に手作りの覆面まで持参してくる始末。
最後に発言したノノミに至っては、アイドルデビューという、現実味のない案を披露する始末。
「水着少女団のクリスティーナで〜す♧」と、
ネーミングとポースを徹夜で考えていたらしいが受理される事は無かった
結局、会議で出された案はすべて却下された。
アヤネ「あのう······議論がなかなか進まないんですけど、そろそろ結論を······」
アヤネとしては、もっとまともな案が出ることを期待していたのだろう。
だが─
ホシノ「それは先生に任せちゃおうー。先生、これまでの意見で、やるならどれがいい?」
結局、アヤネの思いが通じることはなかった
アヤネ「えっ!?これまでの意見から選ぶんですか!?も、もう少しまともな意見を出してからの方がいいのでは!?」
ホシノ「大丈夫だよー。先生が選んだものなら、間違いないって」
アヤネ「ちょ、ちょっと待ってください!何でそう言い切れるんですか!?」
ノノミ「アイドルで☆お願いします♧」
シロコ「······」
シロコは覆面を被った
····これらの案の中でまともなのはアイドル案だが、あくまで3つの中での話
バージル「くだらん······ロクなアイデアしかないな」
バージルがそう言ったにもかかわらず、
アビドス対策委員の3人(ホシノ、ノノミ、シロコ)は、
それでもなお、出された案の中から選ぼうとしていた。
これはもう会議ではなく、一種のくだらない茶番劇と化していた。
ノノミ「やっぱりアイドルがいいと思いますー!」
ホシノ「いやいや、バスを乗っ取る方が早いよー?」
シロコ「ん、銀行を襲う方が楽。」
バージル「······はぁ」
会議に参加しなければよかったなどと公開するバージルの横で、アヤネの怒気が伝わってくる
アヤネ「······い······」
セリカ「い······?」
アヤネ「いいかげんにしてくださいっ!!!!」
そう言うとアヤネはものすごい勢いでテーブルをひっくり返した。
ホシノ「出たー!アヤネちゃんのちゃぶ台返しー!」
バージル「········恒例行事か」((呆れ))
シロコ「········」
ノノミ「きゃあ、アヤネちゃんが怒りました!非常事態です!」
ホシノ「うへ~キレのある返しができる子に育ってくれたねえ。ママは嬉しいよーん」
アヤネ「誰がママですかっ!もうっ、ちゃんと真面目にやってください!」
アヤネ「いつもふざけてばっかり!銀行強盗とか悪質商法とかそんなことばっかり言って!」
セリカ(ギクッ)
シロコ「········」
この後対策委員会のメンバーは、アヤネから盛大に説教されたのだった
~柴関ラーメン・店内~
ホシノ「いやぁー、悪かったってば、アヤネちゃーん。ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないで、ねっ?」
アヤネ「怒ってません········」
ノノミ「はい、お口拭いて。はい、よくできましたねー☆」
アヤネ「赤ちゃんじゃありませんからっ」
セリカ「······なんでもいいんだけどさ。なんでまたウチに来たの?」
シロコ「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」
アヤネ「((モゴモゴ)) ふぁい」
アヤネのご機嫌を取ろうとする対策委員たちと黙々とラーメンを食べていたバージル。
そのとき、店の扉が開いた
???「······」((ガタッ、ガララッ))
???「あ······あのう······」
そのとき自尊心が低そうな少女が入ってきた
セリカ「いらっしゃいませ!何名様ですか?」
ハルカ「······こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」
セリカ「一番安いのは······」
セリカ「580円の柴関ラーメンです!看板メニューなんで、美味しいですよ!」
ハルカ「あ、ありがとうございます!」(ガララッ)
少女が笑顔で返すと、そのまま扉を閉めていった
セリカ「ん?」
ムツキ「えへへっ、やっと見つかった、600円以下のメニュー!」
そして、扉を開けて入ってきた小柄な白髪の少女を筆頭に、4人の少女たちが姿を現した。
会話の内容はあまり聞き取れなかったが、何か訳ありのようだ
貧乏なのか、4人でラーメン一杯を分け合い、しかも一番安いメニューを注文していた。
それを聞いた、セリカ&柴大将は憐れんだのか、
具材が山盛りになった超特盛ラーメンを出してきた。
4人は注文を間違えられたのかとヒヤヒヤしていたようだが、
どうやら大将の“手元が狂った”らしい。
····そんな見え見えの嘘と優しさに甘えて、4人はラーメンをありがたく頂いていた。
その感想は、そろって「美味い」の一言。
その光景を見ていたノノミが、静かに立ち上がり、彼女たちに声をかけに向かう――
ノノミ「でしょう、でしょう?美味しいでしょう?」
ムツキ「あれ······?隣の席の······」
ノノミ「うんうん、ここのラーメンは本当に最高なんです。遠くからわざわざ来るお客さんもいるんですよ。」
アル「ええ、わかるわ。色んな所で色んなのを食べてきたけど、このレベルのラーメンはなかなかお目にかかれないもの」
アヤネ「えへへ······私たち、ここの常連なんです。他の学校のみなさんに食べていただけるなんて、なんか嬉しいです······」
シロコ「その制服、ゲヘナ?遠くから来たんだね」
バージル(······ゲヘナ、か。たしか、あそこは治安が著しく悪いと聞く
······そのゲヘナの生徒が、わざわざアビドスに来るとは······
観光や旅行など、安易な目的とは思えんが)
ノノミ「私、こういう光景を見たことがあります。一杯のラーメン、でしたっけ······」
ホシノ「うへ~、それは一杯のかけそばじゃなかったっけ?」
カヨコ(······)
カヨコ(······連中の制服······)
ムツキ(あれ、ホントだ)
アル「うふふふっ!いいわ、こんなところで気の合う人たちに会えるなんて。
これは想定外だけど、こういう予測できない出来事こそ人生の醍醐味じゃないかしら」
ムツキ(アルちゃんは気づいてないみたいだけど?)
カヨコ(······言うべき?)
ムツキ(······面白いから放っておこ)
カヨコ(············あれ、あの大人)
数時間後
セリカ「それじゃあ気を付けてね!」
ノノミ「お仕事、上手くいきますように!」
アル「あははっ!了解!あなたたちも学校の復興、頑張ってね!私も応援してるから!」
アル「じゃあね!」
そう言うとアルたちは歩いて帰っていった
········
アル「ふうカヨコ、いい人たちだったわね」
カヨコ「······」
ムツキ「······」
カヨコ「社長。······あの子たちの制服、気づいた?」
アル「えっ?制服?何が?」
ムツキ「アビドスだよ、あいつら」
アルはしばらく考え込んだ
アル「なななな、なっ、なんですってーーーーーー!!!???」
ムツキ「あはははは、その反応うけるー」
カヨコ「はあ······本当に全然気づいてなかったのか······」
ハルカ「えっ?そ、それって私たちのターゲットってことですよね?私が始末してきましょうかっ!?」
ムツキ「あははは、遅い、遅い。
どうせもうちょっとしたら攻撃を仕掛けるんだし、その時暴れよっ、ハルカちゃん」
カヨコ「後、あの子たちと一緒にいた大人――」
アル「え? えぇ、いたわね。顔がすごく怖かったけど········」
カヨコ「あの大人、恐らく、シャーレの先生だよ」
アル「なななな、なっ、なんですってーーーーーー!!!???」((本日2度目))
アル「じゃ、じゃあ私たち、これから恩のある相手に襲撃を仕掛けるだけじゃなくて、シャーレそのものを敵に回すってこと!?」
ムツキ「へぇー、あの大人、シャーレの先生だったんだ」
アル「······何という運命のいたずら······」
ムツキ「何してんの、アルちゃん。仕事するよ?」
カヨコ「バイトのみんなが、命令が下るのを待ってる」
アル「本当に······?私、今から······」
ムツキ「あはは、しょうがないよ」
ムツキ「『情け無用』『お金さえもらえればなんでもやります』がうちのモットーでしょ?
今更何を悩んでるの?」
アル「そ、そうだけど······」
カヨコ(これ、完全に参ってるね······)
アル「こ、このままじゃダメよ、アル!一企業の長として、このままじゃ!」
アル「行くわよ!バイトを集めて!」
数十分後
~対策委員会・教室~
アヤネ「校舎より南15km地点付近で大規模な兵力を確認!」
シロコ「まさか、ヘルメット団が?」
アヤネ「ち、違います!ヘルメット団ではありません!」
アヤネ「······傭兵です!おそらく日雇いの傭兵!」
ホシノ「へえー、傭兵かあ。結構高いはずだけど」
アヤネ「これ以上接近されるのは危険です!
先生、出動命令を!」
バージル「········仕方ない、出るぞ」
············
〜アビドス高等学校・正門前〜
アヤネ「前方に傭兵を率いる集団を確認!」
ノノミ「あれ······ラーメン屋さんの······?」
アル「ぐ、ぐぐっ······」
セリカ「誰かと思えばあんたたちだったのね!!
ラーメンも無料で特盛にしてあげたのに、この恩知らず!!」
ムツキ「あははは、その件はありがと。それはそれ、これはこれ。こっちも仕事でさ」
カヨコ「残念だけど、公私はハッキリ区別しないと。受けた仕事はきっちりこなす」
シロコ「・・・・・なるほど。その仕事っていうのが、便利屋だったんだ」
ノノミ「もう!学生なら、他にもっと健全なアルバイトがあるでしょう?それなのに便利屋だなんて!」
アル「ちょっ、アルバイトじゃないわ!れっきとしたビジネスなの!肩書だってあるんだから!」
アル「私は社長!」
アル「あっちが室長で、」
といたずら好きそうな少女を指し
アル「こっちが課長······」
と常識人そうな少女を指した後、その少女が口を開く
カヨコ「はあ······社長。ここでそういう風に言っちゃうと、余計薄っぺらさが際立つ······」
シロコ「誰の差し金?······いや、答えるわけないか」
そう言うと共にシロコは銃を向けた
シロコ「((カチャッ))力尽くで口を割らせるしか」
アル「ふふふ、それはもちろん企業秘密よ?」
アル「総員!攻撃!」
その光景を、少し離れた場所から静かに佇むバージル
バージル「·········」
アロナ「さぁ、先生」
バージル「必要ない」
アロナ「まだ何も言ってないですよ」
バージル「言おうとしていたことくらい、分かる」
アロナ「········そうですか」
バージル「――危うくなった時にのみ、動く」
バージル「今は、静かに見届けよう」
前よりも更に連携がうまくなっているアビドスメンバー、
多勢の相手に互角に渡っていた
しばらくすると、5時を知らせるチャイムが鳴り響いた
(キーンコーンカーンコーン)
傭兵バイトA「······あ、定時だ」
傭兵バイトB「今日の日当てだとここまでね。あとは自分たちで何とかして。
みんな、帰るわよ」
傭兵が次々に引き下がっていった。
アル「は、はあ!?ちょ、ちょっと待ってよ!!」
傭兵バイトC「終わったってさ。」
傭兵バイトD「帰りにそば屋でも寄ってく?」
そして傭兵バイトたちは帰って行った。
バージル(……所詮は金で動く兵、期待する方が愚かだな)
アル「こらー!!ちょっ、どういうことよ!?ちょっと!帰っちゃダメ!!」
カヨコ「······」
ムツキ「こりゃヤバいね。まさかこの時間まで決着がつかないなんて・・・・・アルちゃん?
どうする?逃げる?」
アル「あ······うう······」
アル「こ、これで終わったと思わないことね!アビドス!!」
ムツキ「あはは、アルちゃん、完全に三流悪役のセリフじゃんそれ。」
アル「うるさい!逃げ······じゃなくて、退却するわよ!」
そう言うと便利屋たちは退却(?)していった。
ノノミ「待って!······あ、行っちゃいましたね」
ホシノ「うへ~逃げ足速いね、あの子たち」
アヤネ「······詳しいことはわかりませんが、敵兵力の退勤······いえ、退却を確認」
アヤネ「困りましたね······妙な便利屋にまで狙われるとは、先が思いやられます······
一体何が起きているのでしょうか······」
ホシノ「まあ、少しずつ調べるとしよう。まずは社長のアルって子の身元から洗ってみたら、何か出てくるよ、きっと」
アヤネ「はい。皆さん、お疲れ様でした。一旦、帰還してください」
その言葉と共に対策委員とバージルはアビドス高校に戻る
その時バージルは足をとどめ振り向く
バージル「······ッ?」
シロコ「ん、どうしたの、先生?」
バージル「······いや、なんでもない」
バージル(……複数の視線を感じたが、気のせいにしておくには──妙な感覚だったな)
[misson03 ~便利屋~ end]
あ〜、早くバージルの戦闘シーン書きてぇ〜 by作者