その代わり、次話は2~3日後を目安に投稿する予定です。
――ミシッ。
骨が軋むような音とともに、バージルの意識が浮かび上がる。
バージル「……っ」
バージルの全身に激痛が響く。 悪魔の肉体ですら耐え切れぬほどの衝撃だった。全身の骨格や内臓にまで深刻な損傷が及んでいた。
指先一つ動かそうとしても、身体はまるで応えなかった。
ゆっくりと瞼を開く。
視界に真っ先に飛び込んできたのは、どこまでも青く広がるキヴォトスの空だった。
バージル「……さすがに無茶だったか」
口元から血が零れる。
無理に身体を起こそうとするも、身体中に鋭い痛みが走った。肋骨は折れ、両腕も両脚もまともに力が入らない。
全身が悲鳴を上げ、まともに動かせる部位など残っていなかった。
そのすぐ傍には、シッテムの箱が転がっていた。激しい衝撃に見舞われたにもかかわらず、目立った損傷は見られない。
アロナ「う、うぅ……先生ぇ……!」
バージル「……なんだ、アロナ」
アロナ「なんだじゃありません! 先生が箱舟の爆発に巻き込まれてから、どれだけ心配したと思ってるんですか!」
「少しでも衝撃を和らげられるように必死だったんですから!」
バージル「なるほど……これでも軽減された方か」
「この程度で骨が折れるとはな」
アロナ「骨が折れる程度で済んだ話じゃありません!!」
「今、リンさんたちが先生のところへ向かっています!」
「もう大人しく介護されてください!」
バージル「……ちっ」
アロナ「舌打ちしても駄目です!」
リンたちは満身創痍のバージルを発見すると、半ば強引に肩を貸し、そのまま医療施設へ搬送した。
全身複雑骨折という重傷を負っていた。だが、悪魔の血による驚異的な再生能力により、バージルはわずか一週間足らずで再び戦闘が可能なまでに回復した。
当初こそリンたちも驚きを隠せなかったが、今となっては、バージルの常識外れの回復力にもすっかり慣れていた。
この一週間、連邦生徒会はやるべきことに追われていた。
虚構のサンクトゥムタワーとその守護者によって被害を受けたD.U.都市の復旧、そしてサンクトゥムタワーの再建。
また、箱舟崩壊時にバージルとは別の落下反応が確認された人物――プレナパテス、すなわち別時間軸のダンテの捜索も進められていた。
しかし、箱舟崩壊以降、彼の姿が確認されることはなかった。
アトラ・ハシースからキヴォトスへ帰還して、一週間後――
~シャーレ執務室・深夜~
バージル「……手掛かりなしか」
アロナ「はい。あれ以降、『プレナパテス』の捜索を続けていますが、有力な情報は一切ありません」
バージル自身も別時間軸のダンテの行方を追っていた。だが、こちらも手掛かりは何一つ得られていなかった。
また、別時間軸のシロコも、一度こちらのシロコと顔を合わせた後、そのまま消息を絶っていた。
バージル「ふん……放っておけ。あの愚弟のことだ」
「そのうち別時間軸のシロコを連れて、自分から顔を出す」
「何故キヴォトスを滅ぼそうとしたのか――その全てを話しに来るはずだ」
アロナ「そうなのでしょうか……?」
バージル「……あいつは、理由もなくそんなことをする男ではない」
その時だった。アロナの表情が一変する。
アロナ「……っ!」
バージル「どうした、アロナ」
アロナ「シャーレのセキュリティゲートに反応です!」
「登録されていないIDが、正面ゲートを通過しました!」
バージル「……」
その言葉を聞いたバージルは、僅かに口角を上げ、静かに席を立った。
バージル「通せ」
アロナ「……え?」
バージル「……問題ない。あの愚弟なら、来ると思っていた」
扉の向こうから、ゆっくりと足音が近づいてくる。やがて執務室の扉が開いた。
そこに立っていたのは――別時間軸のダンテだった。
次話から数話は、完全オリジナル展開となっています。