〜ブラックマーケット〜
バージル「········さて、対策委員が銀行を襲撃している間、どこで暇を潰すか」
対策委員の面々が銀行を襲撃している最中、バージルは一人、ブラックマーケットを観光していると喫茶店が目に入る
バージル「こんな場所でも、こういう施設があるのだな」
店内に入ると中は静かで、控えめなBGMが流れている。外の喧騒を忘れさせるような落ち着いた空間がそこにはあった。
店主「いらっしゃい。好きな席に座ってくれ」
その言葉に軽く頷き、空いている一人席へと腰を下ろす。メニューを手に取り、黙って開く。
バージル「············」
数秒の沈黙の後、卓上の呼び鈴を鳴らし、紅茶とミックスフルーツサンドを頼む
数分後、頼んだものが届き、テーブルの上に丁寧に置かれた
一口かじると、
みずみずしい果実と、ふわりと香るクリーム。それがしっとりとしたパンと混ざり合い、口の中にやさしく広がる。甘さは強すぎず、舌に馴染む。
続けて紅茶をひと口。芳醇な香りとわずかな渋みが、甘さを引き締め、味を完成させてくれた。
悪くない味。そして静かな空間。何より、外部からの音がほとんど聞こえない、防音素材の壁だろうか。
············
······
店主「またのご来店をお待ちしてます」
上機嫌とまではいかないが、それなりに満足した様子でバージルは喫茶店を後にする。
バージル「····店が残っている限り、また来るとしよう」
バージル「さて、奥空の通信はまだか······」
まだアヤネから通信は来ず、他に何をして時間を潰すべきか、考え始めたそのとき――
チンピラ1「ようやく見つけたぜ」
バージル「········ッチ」
対策委員に叩きのめされたチンピラたちが、さらに仲間を呼び集めてきた
チンピラ2「あいつか。私たちに危害を加えた奴は」
チンピラ3「あぁ、そうだ。一緒にいた連中の一人だ」
チンピラ4「見たところ、他のお仲間はいなさそうだな」
チンピラ1「いい機会だ。こいつを拉致って、身代金を要求しようか」
チンピラ6「いいなそれ。あのトリニティの生徒の代わりに、金を踏んだくれるかもな」
くだらない会話を終えたチンピラたちは、バージルに銃を向ける。
ご機嫌だった彼の表情が曇り、わずかに殺気を漂わせると、同時に集中力を高める。だがチンピラたちは気づくことなく、引き金を引こうとした――その瞬間。
爆発が、彼女らに直撃し、半数以上が戦闘不能になる
チンピラ2「な、何が起きた!?」
チンピラ3「あ、あいつの仕業か········!?」
バージル「········?」
爆煙の中、残された数人のチンピラが、うろたえる間もなく、どこからともなく放たれた銃弾が彼女らを撃ち抜き全滅
バージル「········またこの感覚」
バージル(俺を助けるためか……こいつらに恨みを持っていたのか……? わからんな)
その時、アヤネから通信が入り無事銀号を襲撃できたそうで指定した場所で合流するとのこと
バージルは振り返ることなく、静かに歩き出し指定された場所に向かうのだった
~市街地~
バージル「終わったようだな」
セリカ「あっ、先生! 一体どこ行ってたのよ!」
バージル「········貴様らが遊んでいる間、時間を潰していただけだ」
セリカ「遊んでないどころか、大変な目にあっていたというのに········」
セリカの愚痴を無視しアビドスの生徒と共にアビドス高等学校まで帰る
〜アビドス高等学校・正門前〜
ノノミ「········あれ?現金のバッグ········置いてきちゃいました。」
セリカ「えーっ!?」
バージル「まて、貴様ら現金を盗んできたのか?」
シロコ「ん、銀行の人が勘違いして入れた」
ノノミ「後で、私が処分しようと思っていましたが」
セリカ「便利屋が来たのよ。何かよくわからないことを言ってたけど」
バージル (また便利屋か。妙に縁があるな)
〜対策委員会・教室〜
ヒフミと共にアビドスに戻り、全員で書類の確認を行うとその内容にセリカが怒り机を強くたたく
その内容は
アビドスで788万円が集金されたことがはっきりと記されていた。
だが問題はその後だった直後に、「カタカタヘルメット団への任務補助金として500万円提供」という記録が残されていたのだ。
つまり、アビドスから集めた金が、ヘルメット団にそのまま流れていたことになる。
これは、ヘルメット団とカイザーローンが手を組んでいるだけでなく、
背後にはカイザーコーポレーション本社の関与があると見て間違いない。
········
····
ヒフミは、今回の件について報告するため、いったんトリニティへ戻ることとなった。
彼女の言葉では、ティーパーティー、つまりトリニティの生徒会にも、この事態を共有するとのことだが、ホシノ曰くもうすでに把握しているかもということ
そして、ヒフミたちはどうやら銀行襲撃を楽しみ
バージルがいない間に、ヒフミと対策委員のメンバーはそれなりに打ち解け、多少の距離が縮まっていたらしい。
そしてヒフミが帰ったあと、
色々と疲労が溜まっているのか明日改めて集まることにし、そこで解散する
~対策委員会・教室~
翌日バージルが教室に入ると、ホシノがノノミの膝枕で横になっていた
ホシノ「おはよー、先生」
ノノミ「先生、おはようございます。今日は早いですね?」
バージル「あぁ········随分とリラックスしてるな」
ホシノ「うへ〜、ノノミちゃんの膝枕は柔らかくてサイコーなんだよー」
ノノミ「先生もいかがです?」
バージル「断る」
ホシノ「えー。サイコーなのになぁ、まぁ、私だけの場所だけどねぇ」
バージル「はぁ········」
ノノミ「私の膝は先輩専用じゃないですよう········」
ホシノ「よいしょっと」
そういうとホシノは起き上がった。
ホシノ「ふあぁ〜、みんな朝早くから元気だなあ」
ノノミ「のんびりできるのは久しぶりですから········今はみんな、
やりたいことをやってるんでしょうね。」
ノノミ「んー、シロコちゃんはきっとトレーニングでしょうし、
アヤネちゃんは多分勉強しに図書館でしょうか········」
ホシノ「ノノミちゃんは学校の掃除と教室の整頓をしてくれたよねー。
うへ~、みんな真面目だなー。」
バージル「········で、貴様は?」
ホシノ「ん?私?うへ~、私は当然ここでダラダラしてただけだよー」
ノノミ「先輩も何か始めてみてはどうでしょう?アルバイトとか、筋トレとか」
ホシノ「無理無理ー、おじさんは年齢的に無理がきかない体になっちゃったもんでねー」
ノノミ「歳は私とほぼ変わらないですよ?」
ホシノ「うへ~。とにかく先生たちも来たし、他のみんなもそろそろじゃない?
そんじゃ、私ゃこの辺でドロン」
ノノミ「あら先輩、どちらへ?」
ホシノ「うへ〜今日おじさんはオフなんでね。
てきとうにサボってるから、何かあったら連絡ちょーだい、ノノミちゃん。」
そう言うとホシノは教室を出ていき、どこかに行った。
ノノミ「ホシノ先輩····またお昼寝しに行くみたいですね。」
バージル「寝てばかりか」
ノノミ「あはは····それにしてもホシノ先輩も、以前に比べてだいぶ変わりました」
バージル「昔と今とで、そんなに違うのか。」
ノノミ「はい、今はいつも寝ぼけているような感じですが····
初めて出会った頃のホシノ先輩は、常に何かに追われているようでした」
バージル「何か?」
ノノミ「例えるなら····んと、ありとあらゆることに、と言いましょうか。」
ノノミ「聞いた話ですが、以前とある先輩がいたそうで········」
ノノミ「アビドス最後の生徒会長だったらしいんですがとても頼りない人で、その人がここを去ってからはすべてをホシノ先輩が引き受けることになった、と········」
ノノミ「ホシノ先輩は当時1年生だったとか····詳しくは、私も知らないのですが。」
ノノミ「でも今は、先生たちもいますし、他の学園の生徒たちとも交流できますし····」
ノノミ「以前だったら、他の学園と関わること自体嫌がってたはずが····
かなり丸くなりましたね」
ノノミ「うん、きっと先生のおかげですね☆」
バージル「俺は特に何もしてないのだが」
その後対策委員(ホシノ以外)が集まってから数十分後
警報と共にアヤネが声を張る
アヤネ「前方、半径10km内にて爆発を検知!近いです!」
シロコ「10kmってことは····市街地?まさか襲撃!?」
アヤネ「衝撃波の形状からするとC4爆弾の連鎖反応と思われます。
砲撃や爆撃ではないですね····もう少し確認してみます!」
アヤネ「········爆発地点確認。市街地です!正確な位置は········」
アヤネ「柴関ラーメン········!?」
アヤネ「柴関ラーメンが跡形もなく消えてしまいました!」
セリカ「はあ!?どういうこと!?何であの店が狙われるのよ!」
シロコ「戦略拠点でもなく、重要な交通網でもないのに。一体誰が····」
セリカ「ま、まさか私を狙って····?」
シロコ「憶測は後でも遅くない、まずは何か手を打たないと!」
ノノミ「そうですね!今はそれどころじゃありません!!向かいましょう!」
アヤネ「ホシノ先輩には私から連絡します、出動を!!」
セリカ「ど、どうなっちゃったのよ!!大将········無事でいて········!」
バージルも対策委員と共に現場へ向かう
~破壊されたアビドス市街地~
ムツキ「ゴホッ、ゴホッ····建物がなくなっちゃったよ?」
カヨコ「ケホッ····これは一体········」
ハルカ ((グルグル))
アル「ゴホン、ゴホン········う、うああ····」
アル(な、何これ!?何が起きたの!?)
ムツキ「····アルちゃん····マジで?マジでぶっ潰しちゃったの?」
アル「え····え?」
ムツキ「情にほだされるからって、あんなに優しくしてくれたラーメン屋さんを吹っ飛ばしたの?
やるじゃーん!?」
ムツキ「これぞまさに、血も涙もない大悪党!
そんじょそこらのザコには到底できない鬼畜の所業!悪人中の悪人じゃん!」
アル「え、う?····あ?」
ムツキ「これがハードボイルドなアウトローってやつだね!!すごいよ、アルちゃん!見直したよ!」
アル「へ······あ···?···あ、あはははは!とっ、当然でしょう!
冷徹無比!情け無用!金さえもらえればなんでもオッケー!それがうちのモットー
よ!!」
セリカ「そういうことだったのね!!」
セリカ「あんたたち······!よくもこんなひどいことを!!」
バージル(······意図したものではなさそうだがな)
シロコ「······」
ノノミ「······」
アヤネ「大将の無事を確認できました!幸い軽傷だったので、近くのシェルターに案内済みです!」
セリカ「あんたたち、許さない。ぜっーたいに許さないから······!!」
アル「!?」
ムツキ「だってさ、アルちゃん」
カヨコ「······ちょっとタイミングはズレちゃったけど、どうせいつかは白黒つけないといけない相手だし。ハルカそろそろ起きて」
アル「うっ······さあかかってきなさい」
セリカ「······覚悟はいい?」
シロコ「ん」
ノノミ「お仕置きですよー」
両者、戦闘態勢に入った、その瞬間──空から砲弾らしきものが降り注いだ。
ムツキ「うっわ!?今度は何なのさ!?」
カヨコ「これは······!」
シロコ「何······?」
セリカ「この音は······」
アヤネ「砲撃です!!3kmの距離に多数の榴弾兵を確認」
アヤネ「50mm迫撃砲です!標的は私たちではなく便利屋の方みたいなのですが、
もう少し確認を·········」
ノノミ「迫撃砲、ですか······?」
シロコ「50mm迫撃砲といえば······」
アヤネ「兵力の所属、確認できました!!ゲヘナの風紀委員会!一個中隊の規模です!」
シロコ「風紀委員会······!」
[misson05 ~波乱の予感~ end]
最近、漫画版デビルメイクライの『Devil May Cry 5 - Visions of V』を全巻読みました。
バージル(Vちゃん)視点で描かれる内面や葛藤が丁寧に表現されていて、とても楽しめました。