~アビドス駅前~
アヤネ『ここまでは列車で来ることが出来ましたが、ここからの移動手段は徒歩しかありません』
『アビドス砂漠で、カイザーコーポレーションが一体何を企んでいるのか…』
『実際に行って、確かめることにしましょう』
アヤネがそう発すると共にシロコたちはアビドス砂漠へと足を動かす
~アビドス砂漠~
セリカ「ここから先が、捨てられた砂漠…」
ノノミ「砂だらけの市街地に行ったことはありましたが、ここから先は私も初めてです……」
ホシノ「いや〜、久しぶりだねえこの景色も」
シロコ「先輩は、ここに来たことがあるの?」
ホシノ「うん、前に生徒会の仕事で何度かね〜」
「もう少し進めばそこにはなんと、かつてアビドスの砂祭りが開かれていたオアシスが!」
セリカ「え、オアシス?こんなところに?」
ホシノ「うん、まあ今はもう全部干上がっちゃったんだけどね〜。元々はそんじょそこらの湖より広くって、船を浮かべられるくらいだったとか」
「ま、私も実際に見たことはないんだけど〜」
シロコ「砂祭り…私も聞いたことがある。アビドスでは有名なお祭りで、すごい数の人が集まるって」
ホシノ「そうそう、別の学校からもそのお祭り見たさに人が来るくらいだったからね。ま、砂漠化が進み始めるより何十年も前のことだけど」
セリカ「へえ、今となってはこんな光景になっちゃってるけど、ここでそんなすごいお祭りが……?」
ホシノ「前までは、この辺りも結構住みやすい場所だったらしいよ〜。その時はこんな砂漠もなかったし。ところでアヤネちゃん、まだ目的地は遠そう?」
アヤネ「ゲヘナの風紀委員長が言っていたセクターまでは、もう少し時間がかかりそうです」
「見たところ、この辺りは特に何も無さそうですが…とりあえず、引き続き警戒しつつ前進してください」
ホシノ「ふむ、ドローンにオートマタか……」
「この辺り、何でかこういうのがよく集まるんだよね」
アヤネ「……っ!?皆さん、前方に何かあります!」
「砂埃で、まだはっきりと姿が見えないのですが…!」
アヤネ「巨大な町…いえ工場、或いは駐屯地…? と、とにかく、ものすごい大きな施設のようなものが…?」
ホシノ「…こんなところに施設?何かの見間違いじゃなくて?」
「今のところ、こっちからは干からびたオアシスしか見えてないけど……」
アヤネ「恐らく見間違いではないと思うのですが…とりあえず、肉眼で確認できるところまで進んでみてください!」
~PMC基地前~
ホシノ「…」
セリカ「何これ…」
シロコ「この張り巡らされてる有刺鉄線、優に数キロメートル先までありそう…」
ノノミ「工場?石油ボーリング施設、ではなさそうな…一体何なのでしょう、この建物は?」
ホシノ「こんなの、昔は無かった…」
そのとき、基地から警報が鳴リ響く
対策委員「「「「!?」」」」
門が開かれて中から兵士たちが次々と出てくる
そしてその後ろから大物そうな人物が前へと出てくる
カイザーPMC理事「侵入者とは聞いていたが…アビドスだったとは」
セリカ「な、何よこいつ…」
カイザーPMC理事「まさかここに来るとは思っていなかったが……まあ良い」
「勝手に人の私有地に入り、暴れたことによるこれらの被害額」
「君たちの学校の借金に加えても良いのだが、まあ、大して額は変わらないな」
ホシノ「あんたは、あの時の…」
カイザーPMC理事「…確か、例のゲマトリアが狙っていた生徒会長……いや、副会長だったか?」
「…ふむ、面白いアイデアが浮かんだ。便利屋やヘルメット団を雇うよりも良さそうだ」
セリカ「便利屋…?な、何を言ってるの?」
ノノミ「……あなたたちは誰ですか?」
カイザーPMC理事「まさか私のことを知らないとは。アビドス、君たちならよく知っている相手だと思うがね」
「私は、カイザーコーポレーションの理事を務めている者だ」
「そして君たち、アビドス高等学校が借金している相手でもある」
ホシノを除く対策委員の4人が、目を見開く
カイザーPMC理事「正確に紹介すると、カイザーコーポレーション、カイザーローン、そしてカイザーコンストラクションの理事だ」
「今は、カイザーPMCの代表取締役も務めている」
シロコ「それはどうでもいいけど、要はあなたがアビドス高校を騙して、搾取した張本人ってことで良い?」
カイザーPMC理事「…ほう」
セリカ「そうよ!ヘルメット団と便利屋を仕向けて、ここまでしたら私たちをずっと苦しませてきた犯人があんたってことなんでしょ!?」
カイザーPMC理事「ふむ…?」
セリカ「あんたのせいで私達は…アビドスは……!!」
カイザーPMC理事「やれやれ……最初に出てくる言葉がそれか」
「勝手に私有地へと侵入しておいて…………くくっ、面白い」
カイザーPMC理事「だが、口の利き方には気を付けた方が良い。ここはカイザーPMCが合法的に事業を営んでいる場所。まず君たちは今、企業の私有地に対し不法侵入しているのだということを理解するべきだ」
カイザーPMC理事「さて話を戻そうか……アビドス自治区の土地だったか、確かに買ったとも」
「だからどうした? 全ては合法的な取引、記録も全てしっかりと存在している」
「まるで、私たちが不法な行為でもしているかのような言い方は、止めてもらおうか。わざわざ挑発をしに来たわけではないのだろう?」
カイザーPMC理事「ここに来たのは、私たちがここで何をしているのか気になったからか?どうしてアビドスの土地を買ったのか、その理由が知りたいのか?」
「それならば教えてやろう、私たちはアビドスのどこかに埋められているという、宝物を探しているのだ」
セリカ「……そんなでまかせ、信じるわけないでしょ!!」
シロコ「それはそう。もしそうだとすると、このPMCの兵力について説明がつかない」
「この兵力は、私たちの自治区を武力で占拠するため。違う?」
カイザーPMC理事「……「数百両もの戦車、数百名もの選ばれし兵士たち。数百トンもの火薬に爆薬」
「たった5人しかいない学校のために、これほどの用意をするとでも?」
「冗談じゃない。あくまでこれは、どこかの集団に宝探しを妨害された時のためのもの。ただそれだけだ、君たちのために用意したものではない」
カイザーPMC理事「君たち程度、いつでも、どうとでもできるのだよ…例えばそう、こういう風にな」
カイザー理事は誰かに電話を始めた、
セリカ「な、何?急に電話…」
カイザーPMC理事「残念なお知らせだ。どうやら、君たちの学校の信用が落ちてしまったそうだ」
そのとき部室で電話が鳴り響き、アヤネが手に取る
銀行員「こちらカイザーローンです。現時点を持ちまして、アビドスの信用評価を最低ランクに下げさせていただきます」
アヤネ「!?」
銀行員「変動金利を3000%上昇させる形で調整。それらを諸々適用した上で、来月以降の利子の金額は9130万円でございます」
「それでは引き続き、期限までにお支払いをお願いいたします」
アヤネ「はい!?ちょ、ちょっとそんな急にどうして!?」
セリカ「きゅ、9000万!?」
カイザーPMC理事「これで分ったかな。君たちの首にかけられた紐が今、誰の手にあるのか」
ノノミ「……! 」
セリカ「ちょ、うそでしょ!?本気で言ってんの!?」
シロコ「……」
カイザーPMC理事「ああ、本気だとも。しかしこれだけでは面白みに欠けるか……」
カ「そうだな、9億円の借金に対する保険金でも貰っておくとしよう。一週間以内に、我がカイザーローンに3億円を預託してもらおうか」
カイザーPMC理事「この利率でも借金返済ができるということを、証明してもらわねばな」
アヤネ「そんな……!」
セリカ「…っ」
アヤネ『そんなお金、用意できるはずが…今、利子だけでも精一杯なのに…』
カイザーPMC理事「ならば、学校をあきらめて去ったらどうだ?」
アヤネ「!!」
カイザーPMC理事「自主退学して、天候でもすれば良い。それですべて解決するだろう、そもそも君たち個人の借金ではない」
「学校が責任を取るべきお金だ。何も君たちが進んで背負う必要はないのではないか?」
ノノミ「そ、そんなこと、できるわけないじゃないですか!」
セリカ「そうよ、私たちの学校なんだから!!見捨てられるわけないでしょ!」
シロコ「アビドスは私たちの学校で、私たちの街」
カイザーPMC理事「ならばどうする?他に何か、良い手でも?」
ホシノ「……みんな、帰ろう」
セリカ「ホシノ先輩…!?」
ホシノ「…これ以上ここで言い争っても意味が無い、弄ばれるだけ」
カイザーPMC理事「ほう…副生徒会長。流石に君は賢そうだな」
カイザーPMC理事「……ああ、思い出したよ。賢そうな君と一緒にいた、あの全くもってバカな生徒会長のこともな」
ホシノ「……」
カイザーPMC理事「では、保険金と来月以降の返済についてはよろしく頼むよ。お客様」
「ふふっ、ふはははははは……!!」
ホシノ「……」
PMC理事の高笑いを背にして、対策委員一行はその場を後にした
~対策委員会・教室~
ホシノ「……ふぅ」
セリカ「もうっ、一体何なのよ」
シロコ「カイザーコーポレーションは、あそこで一体何を企んで……?」
ノノミ「『宝物を探している』、と言っていましたが」
アヤネ「あの砂漠には何もないはずです。でたらめを言ってるんだと思います」
「石油など、お金になりそうな地下資源は何一つ残っていません……はるか昔に、すでにそういう調査結果が出ているんです」
ノノミ「だとすると、どうして……」
セリカ「いやいや、今はそれよりも借金の方でしょ!3000%とか言ってなかった!?」
アヤネ「保証金も要求してきましたし…あと一週間で、3億円だなんて…」
シロコ「…行ってくる。あそこで何をしているのか、調べないと」
アヤネ「し、シロコ先輩!?行くって、一体どこへ…?」
シロコ「PMCの施設。徹底的に準備すれば、何とか潜入できると思う。行って、何をしてるのが確認する」
セリカ「ま、待ってシロコ先輩!それより今は、借金の話の方が先でしょ!」
シロコ「…借金はもう、真っ当なやり方じゃ返せない。何か、別の方法を…」
ノノミ「だ、ダメですよ!それではまた…」
セリカ「私はシロコ先輩に賛成!学校が無くなったら全部終わりなんだから、もうなりふり構ってられない!」
ノノミ「そんな、セリカちゃん……!?」
アヤネ「セリカちゃん待って!そんなことしたら、あの時と同じだよ!?」
セリカ「そ、そういう意味じゃない!そうじゃなくて、でも…!」
アヤネ「あの時ホシノ先輩が止めてくれたのに、自分から進んで犯罪者になるの!?」
セリカ「わ、私は…」
シロコ「……」
ホシノ「ほらほら、みんな落ち着いて~頭から湯気がでてるよ~?」
シロコ「ん…」
セリカ「…」
ノノミ「…」
アヤネ「はい、すみません…」
シロコ「…ごめん、こんな風にしたいわけじゃなかった」
ホシノ「うん、みんな分かってるよ。シロコちゃんも、いい子だからね」
シロコ「…」
ホシノ「まっ、とりあえず今日はこの辺にしとこう」
「うへ〜、じゃあ解散解散〜。一回頭を冷やして、また明日集まることにしようよ。これは委員長命令ってこどで」
バージル「そうだな」
その後、ノノミとアヤネ、セリカは家に帰り、ホシノとシロコ、バージルは残った
ホシノ「ん〜?シロコちゃんに先生、まだ何かやることがある感じ?」
シロコ「…先輩、ちょっといい?」
ホシノ「うへ〜、おじさんとお話したいことがあるの?照れるな~」
バージル「俺もだ」
ホシノ「…先生も?うへ、おじさんモテモテだ~」
「でもさ、今日は疲れたし、いろんなことがあったじゃん?」
「また明日話そう、大体どんな話かは分かってるから」
シロコ「…ん、分かった。先生…」
バージル「あぁ」
シロコ「ん、じゃあまた明日…」
ホシノ「うへ~、先生やるねぇ?私の可愛いシロコちゃんと、いつの間に目と目で意思疎通ができる仲になったんだ~?」
「いやいや、やっぱり先生はくれない大人だな~。おじさんは流れについていけなくてなんだか寂しいよ」
バージル「小鳥遊、聞きたいことがあるのだが」
ホシノ「ん~、何を?」
そして、ホシノの退部・退会届を差し出す。
ホシノ「それって…うへ~、いつの間に…これ、盗ったのはきっとシロコちゃんだよね?」
「全くシロコちゃんったら、いくらなんでも先輩のかばんを漁るのはダメでしょ~」
「先生、きちんとシロコちゃんを叱っといてよ~?あのままじゃとんでもない大悪党になっちゃってもおかしくないってー」
バージル「それもそうだが、今はこの退部届についてだ」
ホシノ「…そっかー…はぁ、仕方ないなぁ」
「面と向かってっていうのも何だし…先生、ちょっとその辺一緒に歩かない?」
ホシノがそういうと廊下へ出ての後を追うようにバージルも部室から出る
ホシノ「けほっ、けほっ・・・うわぁ、ここも砂だらけじゃ~ん…」
「ま、仕方ないんだけどね。掃除をしようにも、そもそも人数に対して建物が大きすぎて…」
「砂嵐が減ってくれれば良いんだけど…」
「うへ~、せっかくの高校生活が全部砂色だなんて、ちょっとやるせないと思わない?」
バージル「…」
ホシノ「…長話は苦手かな先生?」
バージル「あぁ」
ホシノ「…分かった、正直に話すよ」
「私は2年前から、変な奴らから提案を受けてた」
バージル「提案?」
ホシノ「カイザーコーポレーション…」
「提案というかスカウトというか…アビドスに入学した直後からずっと、何回もね」
「そういえば、ついこの間もあったな~…」
「アビドス高校を退学しあいつらの企業に所属する条件を呑めばアビドスが背負っている借金の半分近くを負担してくれるって」
ホシノ「それは誰から見たって破格の条件だった。でも、当時は私がいなくなったらアビドス高校が崩壊するって思ってたからこそ、ずっと断ってたけど……」
「…あいつら、PMCで使える人材を集めているみたい」
バージル「……そいつは、何者だ?」
ホシノ「私も、あいつの正体はしらない…ただ、私は黒服って呼んでる」
バージル「黒服…」
ホシノ「何となくぞっとするやつで…キヴォトス広しといえども、ああいうタイプのやつは見たこと無かったし…」
「怪しいやつだけど、別に特段問題を起こしたりはしなかった…」
「何なんだろうね。あのカイザーの理事ですら、黒服のことは恐れてるように見えたけど…」
バージル「なら、この退部届は…」
ホシノ「…うへ…まあ、1ミリも悩んでなかったって言ったら嘘だし。ちょっとした気の迷いっていうか」
「…うん、もう捨てちゃおっか」
と言うと共に退部届をビリビリに破く
ホシノ「うへ~、すっきりした」
ノ「余計な誤解を招いてごめんね。ただ、こんな話をみんなにしたところで、心配させるだけでいいことも何も無さそうだったからさ」
ホシノ「でもまあ、可愛い後輩たちにいつまでも隠しごとをしたままっていうのもよくないし…明日、みんなにちゃんと話すよ」
「聞かされたところで困らせちゃうだけどろうけど、隠し事なんて無いに越したことはないだろうし」
「実際のところ、今はあの提案を受ける以外、ほかの方法は思いついてないんだけどね…」
バージル「まぁ、何とかなるはずだ」
ホシノ「…そうだね、奇跡でも起きてくれれば良いんだけど」
「…奇跡、かぁ…さ~てと、この話はこれでおしまい」
ホシノ「じゃあ、また明日。先生さよなら」
バージル「…」
そして、その場から去るホシノの背中を、バージルは黙って見つめていた
ご都合により今話の投稿が遅れました、それと同時に長期休暇に入ったので投稿頻度はいつも通りか、若干早く挙げます