もしも空桜メンバーがポケモンの世界にやって来たら 作:時長凜祢@二次創作主力垢
始まりはワイルドエリア
「さて・・・・・・これはどうしたものか・・・・・・」
イタリアを拠点にし、世界中へと行動を広げているマフィア、ボンゴレファミリー・・・・・・。
そこの頂点に君臨し、女王として忙しない日々を送っていたクイーン・・・・・・沢田奈月は、現在困惑の面持ちで目の前に広がる光景を眺めていた。
広い広いフィールドは、彼女の前世である四半世紀のみしか生きることができなかった女性が、仕事の合間に遊んでいたゲーム・・・・・・ポケットモンスター、ソード/シールドの世界に広がっていたガラル地方のワイルドエリアで、彼女の周りには、野生のポケモンで溢れかえっていた。
「目を覚ましたらポケモンの世界ってどう言う状況だ。いつもなら荷物に入ってるスマホは四台くらいあるのに、今は一台しかないんだけど。」
『ロト!?マスター、何を言ってるロ!?一台とか四台とかありえないロト!!マスターの端末はボクだけロトー!!』
困惑の言葉を紡ぐ奈月に、彼女のすぐ近くを浮遊していたスマホロトムが慌てたような様子を見せる。
明らかにそこからは嫉妬の感情も溢れており、奈月は深々とため息を吐いた。
「おかしいなぁ・・・・・・いつも通り休んでいたはずなんだけど・・・・・・」
意味がわからないと言う表情をしながら、奈月は自身の体をぐるりと巻き込むようにしてとぐろを巻いている美しいポケモン・・・・・・ミロカロスの顔に手を伸ばし、緩やかに爬虫類のようなつるつるとした肌を撫でる。
彼女に頬を撫でられたミロカロスは、気持ちよさそうに表情を緩め、すりすりとその手に擦り寄った。
その姿を見つめながら、奈月は考える。自身がどのような状況下に置かれているのかを。
その日、奈月はいつものように仕事を済ませ、ボンゴレファミリーの中枢を占めるメンバーの1人、リボーンに甘えながら過ごしていた。
大きな仕事を終えたタイミングだったため、かなり疲労していた彼女は、普段の制御を軽く取っ払い、それこそベッタリと彼にくっついていたのである。
もちろん、奈月を甘やかすことを生き甲斐としているリボーンからすると、彼女の普段の制御を軽く外した甘えモードはただのボーナスステージとなり、彼もまた彼女の要望に応えるようにして甘えモードの彼女にひたすら尽くし、癒しを提供しながら癒されると言う状況下にあった。
これまで様々な経験があると言っていただけあり、リボーンの手による甘やかしは、疲労していた奈月をしっかりと癒していた。
それこそ、穏やかな眠りにまで誘ってしまう程に。奈月自身も、その眠りに抗うことなくスヤスヤと眠りに落ち、そのままリボーンの腕の中で眠っていたのだ。
そして、寝過ぎたと思って目を覚ましたところ、彼女はワイルドエリアにポツンと座り込んでいたのである。
「・・・・・・いやいやいやいや、意味わからん。なんで目を覚ましたらワイルドエリアだった、なんて展開に陥ってんの。
て言うか、こっちに来たのまさかわたしだけ?それともこれは夢・・・・・・ではないね。
ちゃんとポケモンたちの体温とか感触とかめちゃくちゃわかるし。
術士と言う特性を持ち合わせているが故の
となると、今いる場所は現実であり、夢でもなんでもないと言うこと。奈月は静かに頭を抱えた。
「な、なんでこんなことに・・・っ!!て言うか、わたしだけで本当にここに来ちゃったの!?リボーンは!?恭弥さんは!?骸やプリーモファミリーはぁ!?」
『ロトー!?ど、どど、ど、どうしたロ、マスター!?』
いつもなら一緒にいるメンバーが見当たらず、ギャンッと思い切り叫ぶように言葉を口にする奈月。
ロトムが混乱して話しかけて来たが、今はそれどころではなく、自身にとってかけがえのない存在がいないことに不安を抱く。
だが、その意識はすぐに現実に引き戻された。
「CHAOSだな。叫ばなくても、オレはちゃんとお前の元に戻ってくるぞ、ナツ。いや、今は桜奈の方がいいか。」
ペシッと軽く頭を叩かれ、聞こえて来たのは聞き慣れた声。キョトンとして声の方へと目を向けてみると、そこにはリボーンの姿があった。
「・・・・・・リボーンいたぁ・・・・・・・・・」
その姿に安堵して軽く泣きそうになる奈月。しかし、その姿は普段の堂々たる女王の姿ではなく、本来の寂しがり屋で甘えたがり屋な子どもとしての側面が強く出やすい彼女の前世、小鳥遊桜奈としての姿だった。
初めて会った時とは比べものにならない程に、曝け出されている幼い少女としての側面を、リボーンは小さく笑って見つめる。
そして、野生のポケモンに囲まれている彼女の無防備にさらされている唇に、優しく自身の唇を重ねた。
「桜奈を甘やかしていたら、オレも眠くなっちまってな。仮眠程度に休むかと思って寝てたらいつのまにかここにいたんだ。
だが、ここがどこか確かめるために、一旦離れようにも桜奈を腕の中に抱えたまま眠っちまったから、どうしたもんかと考えていたんだが、そしたらまるでこいつらが、桜奈のことは任せろと言わんばかりに集まりだしてな。
明らかにオレが知ってる動物とは違うが、動物のようなものだったし、わかりやすくオレのツガイを少しだけ守っていてくれるか?って聞いてみたら、すぐに承諾してくれたんだ。
そんで、さっき調べて戻って来たところ、桜奈が目を覚ましていたって流れだな。」
不安げな様子を見せている奈月・・・・・・改め、桜奈へにリボーンは説明する。自身が先程まで何をしていたのかを。
リボーンの説明を聞いていた桜奈は、静かに話を聞いた後、小さく頷いて納得した様子を見せた。
「ところで、だ。桜奈。お前はここに見覚えはあるか?オレにはからっきしでな。
かなり広大な場所だし、桜奈からあまり離れ過ぎるのもよくねーから少しの間見て回った程度なんだが、情報が何一つ見つからなかった。」
辺りを見渡しながら問いかけてきたリボーンに、桜奈は何度か瞬きを繰り返す。
そんな中、彼女の側に座り込んでいた人型に近いポケモン、サーナイトが彼女の腰にあるボールを軽く突いた。
「!あれ?わたし、モンスターボールなんか持ってたっけ?」
「モンスターボール?」
ちょいちょいとつつかれた感触に気づき、すぐに桜奈が視線を向ければ、赤と白2色のボールが6つ。
一瞬だけ呆気に取られてしまった桜奈だが、すぐにそれが何か口にしては首を傾げた。
桜奈が口にしたモンスターボールという言葉にリボーンが一瞬首を傾げる。
しかし、その言葉が彼女がこの世界のことを把握していることを意味することに気がつき、驚いた表情を見せる。
「桜奈・・・・・・知ってるのか?この世界のことを?」
「知ってるもなにも、この世界は前世でわたしが息抜きにプレイしていたゲームの世界だもん。知らない方がおかしいよ。」
「・・・・・・CHAOSだな。」
「うん。正直言ってわたしもCHAOSだなって思ってる。」
桜奈から明かされた話に少しだけ表情が引き攣るのを感じながら、リボーンは頭を切り替える。
この世界が彼女のよく知る世界であるのであれば、最低限の行動は取ることができると考えながら。
「で?そのモンスターボールってのはなんなんだ?」
「んっとね。ここにいる子たち・・・・・・総じてポケットモンスターって言うんだけど、この子たちは弱ると体を小さくして回復する特性を全体的に持ち合わせてるんだ。
モンスターボールは、そんなこの子たちを休ませることができるベッドのようなもので、小さくなる特性を利用して作られた道具なんだよ。」
そこまで話して、桜奈は自身のモンスターボールへと視線を落とす。
ゲームの中には全くと言っていい程に描かれていなかったが、よく見るとそのボールは少しだけ透けており、中に入っているポケモンが彼女の姿を見上げていた。
「こんな図体がでかい奴らが中に入るのか?」
「うん。見てて。」
リボーンの問いかけにすぐに答えて、桜奈は腰にあるモンスターボールの一つを手に取る。
ボールの開閉口についているボタンを押せば、小さかったそれはテニスボール程の大きさへと変わった。
それを確認した桜奈は、軽くそれを上に放り投げる。その瞬間、軽い音を立てながら赤い光が放たれ、中から大きな馬の姿をした生き物が、青紫色の炎を揺らしながら姿を現した。
「ちょっと待って、なんで色違いの原種ギャロップ!?」
「色違い?」
「普段のこの子は赤い炎なんだよ!わたしの前にいるこの子は色違い!4090分の1の確率でしか出てこないはずの子!!」
「へぇ?いいのを引き当ててるじゃねーか。つか、でけーなこいつ。」
「多分、最大個体のビッグポケモン扱いされてる子だと思う。ヘイ、ロトム。この子の個体値情報を教えて。」
『ロト!』
桜奈の言葉に反応して、スマホロトムは画面を展開する。
目の前で起こったことに驚くリボーンのことは無視して。
「・・・・・・あれ?この数値・・・・・・なんだかものすごく見覚えが・・・・・・。」
展開された画面を見つめながら、桜奈は小さく首を傾げた。
性格から性別、割り振られているステータスの数値など、全て彼女の覚えのあるものだった。
もしやと思い、桜奈はスマホのホーム画面を開く。そこには彼女自身の写真が記された電子のトレーナーカードが記されていた。
「・・・・・・これ、もしかしなくてもわたしがプレイしていたゲームのデータが引き継がれてる・・・・・・?ロトム。バトル記録を見せて。」
『了解ロト!』
桜奈の言葉に元気よく返事を返したロトムは、ポケモンバトルの録画記録をすかさず提示した。
そこには、沢山のデータが記録されており、どれも彼女がかつてプレイしていたソードのデータだったのだ。
「・・・・・・ロトム。もう一回ギャロップのデータ見せて?」
『わかったロ〜』
再び展開するギャロップのデータ。その画面に記されているのは、ヒスイ地方から時空を超えてやってきたの文字。
桜奈は思わず頭を抱えてしまった。
「桜奈として生きていた頃のデータが全部入ってるんだけど・・・・・・!!」
彼女が命を落とした際、一番新しいのはシンオウ地方の過去を描いた物語であったLEGENDSアルセウスが発売されている頃だった。
他のシリーズに比べて、通信対戦などは全くないに等しいゲームで、ポケモンの調査を題材にしたそれは、仕事に疲れて広い世界を旅することができたらと思っていた彼女にとってはいい息抜きになるものだったため、ずっとプレイしていたのだが、まさか、その際のデータがまるまる自身がいるこの場に引き継がれているとは思いもよらず、困惑の表情を浮かべる。
「・・・・・・ロトム。このオヤブン個体のギャロップ含めて、かなりでっかい子が沢山いると思うのだけど、どうしたの?この子達。」
『ロト?確か、気がついたらマスターのボックスに入っていたロト。でもでも、みんなマスターのポケモンだって言ってたから、ボクも気にせずお迎えしたロト。』
「・・・・・・そっかー。」
ロトムの発言に困惑しながらも、桜奈は少しだけ考え込む。
しかし、すぐにスマホを手早く操作し、自身のトレーナーカードを開いた。
有効期限はいつかまで記されているそれは、何度も更新されているようだった。
「・・・・・・カントー地方でトレーナーカードは発行されてるから、初代から積み重ねたデータが全部あるっぽいな。
しかも、一部グリーンとかレッドの名前があるし・・・・・・こっちは、ユウキくんとハルカちゃん?
これはコウキくんで、こっちはヒカリちゃん・・・・・・。ああ、トウヤくんやトウコちゃんの名前まで・・・・・・。
こっちにはキョウヘイくんとメイちゃんの名前・・・・・・これはカルムくんとセレナちゃんか・・・・・・。
ヨウくんとミヅキちゃんの名前まで・・・・・・となると、主人公組と知り合ってるのは間違いない。
あれ?なんか各地方のチャンピオンの名前なかった?気のせい・・・・・・じゃないな。ガッツリと名前あるんだけど・・・・・・」
自身のデータではあるけど、何か違う部分もある・・・・・・記されているデータに桜奈は溜息を吐きながら、状況を分析した。
結果的に出てきた答えは、自分のデータはゲーム上のものをそのまま持ち越している状態であり、同時に、プレイしていた結果、自分はこの世界のキャラクターたちと知り合っている状態に落ち着いてしまっているというものだった。
「桜奈?さっきから何が何だかサッパリわからねーぞ?」
そんな最愛の少女の様子に、リボーンは困惑しながら声をかける。
リボーンの声を聞いた桜奈は、すぐに顔を上げては、自身の身に降りかかった出来事を口にした。
「多分だけど、本来のわたしたちがいる世界から、なんらかの拍子にポケモンの世界に飛ばされたんだと思う。
飛ばされた理由はよくわからないけど、なんとなくロトムの中にあるデータから誰がこんなことをしてきたのか予想はついた。」
「!本当か?」
「うん。」
桜奈は自身の手元にあるスマホから、ポケモンボックスのアプリを開く。
そこには沢山のポケモンが入っているが、一箇所だけ不自然に隙間が空いているところがあった。
「ここの4つ分の空白。これが、わたしたちをこっちに飛ばした犯人が残した痕跡だよ。
ロトムの中にある図鑑から、そのポケモンは何かすぐにわかった。」
スマホロトムの図鑑アプリを開いた桜奈は、手慣れた様子で図鑑の操作を行う。
そこには、本来の図鑑には含まれていない機能があり、彼女が記憶している複数の地方の名前を選べるようになっていた。
躊躇うことなく桜奈はシンオウ地方の文字を表示し、シンオウ地方の図鑑の最後尾にまで一気にページを移動させる。
「わたしとリボーンがここにきてしまった原因・・・・・・それは、間違いなくこの子たちの影響だ。」
彼女が静かに指差したところに記されていたのは、ディアルガ、パルキア、ギラティナ、アルセウスの4体のポケモンの文字。
「宇宙を創造したとされ、神と称されているアルセウス。アルセウスの手により生み出され、時間を司る力を持ち合わせている神の一柱であるディアルガ。同じくアルセウスの手により生み出され、空間を司る力を持ち合わせている神の一柱であるパルキア。そして、反物質を司り、反転した世界の主人を務めるギラティナ。
わたしが知ってるゲームシリーズの中で、最新作はLEGENDSアルセウスと呼ばれるシリーズなんだけど、このゲームの冒頭で、主人公がアルセウスというこの世界では神様とされている存在が過去の世界・・・・・・北海道がモチーフになっていた地方、シンオウ地方の過去であるヒスイ地方に飛ばされるところから始まる。
だから、アルセウスとディアルガ、パルキア、ギラティナが関係しているなら、別の世界からこの世界に飛ばされる可能性は十分にあるんだよ。」
桜奈からの説明に、リボーンは目を見開く。しかし、彼女がこのような嘘を言うはずもなく、そもそもが彼女自身、一度命を落としたあと、沢田奈月として自分が生きていた世界に転生して来た経験者であることもあり、彼はすぐに納得することができた。
「ゲームの世界に準じた姿をしている神々のイタズラってことか。それなら話は早い。さっさとそいつらの力を使って元の世界に帰るぞ。」
リボーンの言葉を聞き、桜奈は少しだけ渋い表情をする。
確かに、この4体のポケモンの力を使えば、自分たちは元の世界へと帰れるだろう。
だが、肝心の4体が見つからないのだ。LEGENDSアルセウスのデータが引き継がれていることが確信できたため、この4体がいないというのはあまりにもおかしい状態だった。
自身が持つ図鑑でも、4体は捕獲済みであることは把握できた。では、その4体はなぜボックスにいないのか?
自身の手持ちにも4体がいないことは確認できていたため、桜奈は一つの答えを見出す。
「・・・・・・すぐには無理。アルセウスたち、どうやらボックスの中にも手持ちの中にもいないみたいだから、間違いなくどこかに行ってる。
ワイルドエリアのどこかにいることは確実だけど、多分、見つけ出さないといけないんだと思う。」
桜奈の言葉にリボーンは思わず口を半開きにしてしまう。
そして、自分たちの周りにある広大な自然をぐるりと一回見渡した。
「見つけ出すって・・・・・・このバカでかい自然の中をか?」
「うん。」
「マジかよ・・・・・・」
明らかに全体を見て回るには広すぎるだろうとツッコミを入れたくなりながら、リボーンは表情を歪める。
桜奈も同じ意見なのか、その表情を曇らせながら、深く溜息を吐いた。そんな中、不意に電子音が辺りに響き渡る。
桜奈とリボーンはキョトンとした後、彼女の手元にあるスマホへと視線を向けた。
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めをさましたようですねようですね サクナ。
とつぜんの ことで とてもおどろいているで
しょう。
われわれもかなり おどろいています。
まさか あなたが べつのせかいで いきている
とはおもいもよりませんでしたから。
さて ここからが ほんだいです。
げんざい あなたがいるのは あなたがよくしる
ゲームのせかい ポケットモンスター ソード・
シールドの せかいです。
あなたは かつて せまいせかいのなかで かなし
いおわりを むかえていましたね。
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────────────────────
あのとき もし われわれが あなたをこちらのせ
かいに もっとはやく よびよせることが できて
いたら あのような おわりかたは けっしてさせ
なかったでしょう。
あなたは じゆうに はしりまわれる せかいをの
ぞんでいました。
われわれも ヒスイのちで じゆうにはしりまわる
あなたのすがたを あいしていました。
たくさんのせかいをみて たくさんのポケモンと
であい たくさんのポケモンときょうぞんするそ
のすがたを うつくしいとおもっていました。
いまのあなたは とてもたのしそうです。 せまい
せかいからとびだして たくさんのヒトと めぐり
あい そして たくさんのヒトに あいされているよ
うですね。
そのすがたは われわれも いとしくおもい いやさ
れるすがたであると いえるでしょう。
しかし すこしばかり さみしいとおもってしま
ったのもじじつです。
あなたのげんきなすがたは われわれのあいす
べきすがたでもありましたから。
そこで すこしだけあなたを こちらがわのせか
いへとよびこませてもらいました。
たいせつなかたと いっしょのほうがいいだろ
うとおもい ほかにもすこしだけよびよせまし
た。
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────────────────────
あなたは ポケモンがいきるせかいで あそんで
みたいとおもっていたことがありますよね?
だから すこしだけけんのうをつかい こちらに
しょうたいしてみました。
われわれは ガラルのちで じゆうにうごいてい
ます。どうか ともにきたかたがたと さがしだ
してみてください。
いわゆるオニごっこというやつです。 かくれ
んぼとも いえるでしょう。
あなたがきょうぞんした たくさんのポケモン
たちと あなたがたいせつにしているかたがた
とともに われわれと すこし あそびましょう。
────────────────────
「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」
スマホロトムの画面に綴られた文字を見て、桜奈とリボーンは無言になる。
しかし、すぐに顔を見合わせたのち、深々と溜め息を吐き出した。
「CHAOSだな。どうやらオレたちは完全にこの世の神とやらに遊ばれているらしい。」
「しかも、他にもわたしの大切な人をこっちに呼び寄せたとか書いてあるよね?」
「ああ。何を考えてやがるんだ、このアルセウスとやらは。」
「わからない。でも、他にも守護者が呼ばれてる可能性があるのなら、急いで探し出さないと。」
「そうだな。特に、こんな広大な自然の中で、桜奈だけしか知らねー意味不明の生き物が闊歩してると来た。それなら、やることは一つだろうよ。」
「「まずは守護者を探し出して、アルセウスたちを見つけ出す。」」
一旦の目標を定めた桜奈は、自身の目の前で不思議そうに首を傾げている大きな個体のギャロップに視線を向ける。
まさか、自身のデータにあるオヤブン個体の色違いが現れるとは思わなかったが、そんなことよりも大切な仲間を探し出し、自分たちを飛ばしてくれたアルセウスを見つけ出すことが優先事項となったため、ここで足踏みをしているより行動に移すことが先だと考えて。
「ギャロップ。君の背中に乗って移動したいから協力してくれる?あ、わたしと一緒にいるこの人を燃やしたらダメだよ。
この人はわたしの大切な人の1人だから、絶対に怪我をさせないで。」
『ああ。任せてくれ主。必ず怪我をさせないと約束しよう。』
「・・・・・・・・・ん!?」
「桜奈?どうかしたのか?」
『主?どうしたんだ?』
そんな中、桜奈は自身が声をかけたギャロップから声が聞こえて来たことに固まってしまう。
何が起きたんだと困惑しながら、驚いていれば、リボーンとギャロップが首を傾げて疑問の言葉をかけた。
「な、なんでギャロップの言葉がわかってるの!?」
「?何を言ってるんだ桜奈?オレには鳴き声しか聞こえねーぞ?」
『何を言ってるんだ主。ヒスイの地でともに過ごしていた時、沢山話をしていたじゃないか。』
「え?あれ!?」
リボーンの言葉とギャロップの言葉にますます混乱する桜奈。
不意に、彼女のスマホロトムが電子音を響かせる。
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つたえわすれていましたが あなたには ポケ
モンのこえがきこえるように わたしから しゅ
くふくをあたえました。
ヒスイのちでは あなたも たくさんポケモン
と はなしをしていましたからね。
ふべんにならないように ことばがわかるよ
うにしてあります。
ちなみに ヒスイのちで あなたがポケモンと
はなせていたのも わたしからのおくりもの
だったのですよ。
────────────────────
「・・・・・・わたし、N化しちゃってる。」
「は?」
『うん?』
そこに記されていたのはアルセウスからの祝福の話だった。
まさかの事態に陥ってしまった桜奈は頭を抱えたくなりながら、引き攣った笑みを浮かべてしまう。
『主?大丈夫か?』
「・・・・・・ウン。ダイジョーブダヨー・・・・・・」
「桜奈。それは大丈夫じゃねー奴の反応だからな?」
リボーンから呆れたような反応をされながらも、桜奈はガックリと肩を落とす。
気まぐれな神々の遊びに巻き込まれた貝の女王とファミリーのドタバタ生活が幕を開けるのだった。
沢田 奈月
小鳥遊桜奈という前世を持つ10代目成り代わり女王。
ポケモンの世界はガッツリ知ってるため、この世界では自分の知識を活用しなくてはいけないのかと遠い目をする。
アルセウスのお気に入り。
リボーン
巻き込まれて転移して来た10代目の教育係。
ある事件をきっかけに完全にアルコバレーノの呪いが解けたことで、本来の大人の姿をしている。
奈月を溺愛しており、彼女の本来の名前である桜奈の名を呼び、甘えたがり屋で寂しがり屋な彼女を甘やかすのが最近の生きがい。
もちろん、恋愛として愛しているので、早く適齢期にならねーかなと彼女の成長を心待ちにしている。