もしも空桜メンバーがポケモンの世界にやって来たら   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 自身の霧の守護者たる青年と合流した貝の女王は、自分たちの置かれた状況を説明し、彼にも一つのタマゴを預ける。
 ポケモンの世界で生きるには、自身のポケモンが必須になると説明しながら。



とりあえず君もポケモンを持とう

「・・・・・・なるほど。周りにいる生き物や、桜奈とアルコバレーノが乗っていた生き物から異世界であることは把握しておりましたが、まさか、この世界で生活している神に等しき生き物のせいでこのような状況に陥っていたのですね。」

 

 ラティオスの案内により、見つけ出すことができた骸と合流できたわたしは、リボーンに説明したことと同じ説明を彼に行った。

 わたしとの繋がりから、こちらの感情をハッキリと感じ取ることができる骸は、すぐにわたしの話したことが事実であることを見抜き、納得さは多様な様子を見せる。

 

「それにしても・・・・・・まさか、あなたが桜奈として生きていた世界にあったゲームに過ぎなかった世界に飛ばされてしまうとは・・・・・・。

 そのアルセウスと言う名前を持つポケモンは、相当な力を持ち合わせているようですね。」

 

「正確には、アルセウスとディアルガ。パルキアとギラティナの四体だけどね。

 とは言え、アルセウスはゲームの中でも、主人公・・・・・・いわゆる、プレイヤーになる存在を過去に飛ばし、ヒトとポケモンが共存する世界を作るための礎にしてしまうくらいだからね。

 強大な力を持ち合わせていると言うのもあながち間違いじゃない。なんせ、混沌のうねりから作られたタマゴより生まれ出で、時間と空間、そして、心を芽生えさせる三つの命を自身より作り出し、世界を創造したとされている存在だから。」

 

「それはまた・・・・・・随分とスケールの大きなことをしている存在ですね。」

 

 骸の言葉に思わず同意する。

 本当に、アルセウスはゲーム上でも語られているが、どのような存在も超越した存在だ。

 全なる神と称されることもあるくらいなのだから、その力は計り知れないものである。

 

「そんなアルセウスたちが、かつてプレイヤーだったわたしをなぜか把握していたみたいでね。

 わたしが、小鳥遊桜奈として終わりを迎えてしまった時のことも知ってたようで、その姿に哀しみを抱いていたみたいなんだ。

 もし、もっと早くわたしをこの世界に招き入れることができたなら、あんな終わり方をさせることもなかっただろうとも言ってたよ。」

 

「・・・・・・こちらの世界でも、あなたは愛されているようですね。」

 

「うん。ありがたいことにね。」

 

「そうですね。あなたはこれまで辛い思いをし続けていた。それでもなお頑張り続けた結果によるものでしょう。

 まぁ、アルセウスとやら以上に、僕たちの方が桜奈をもっと深く愛しているわけですが。

 あなたに対する愛情だけは、誰にも負けるはずがありませんしね。」

 

「それは言えてんな。オレたちの桜奈を愛してくれてることはありがたいことだが、だからと言ってオレたちの愛情が、ポケモン如きに負けるはずがない。」

 

「クフフフ・・・・・・ええ。全くの同意見です。僕たちの愛情が、ポケモンや神々に負けるはずがありません。

 まぁ、ですが、ここ最近自由に走り回れるような機会はなかなか作ることができなかったので、いい息抜きになるのでは?」

 

「そうだな・・・・・・。なんせ、桜奈が一度でも憧れた世界だ。それなら、満足するまで楽しんでから帰るのも問題はねーだろ。」

 

 リボーンと骸が、なかなかに恥ずかしい会話をしているが、すでに慣れてしまっていたわたしは、いつも通りの精神状態だった。

 しかし、すぐに状況を思い出しては、急いで自身のボックスからタマゴを一つ取り出す。

 リボーンにもタマゴは渡してるけど、この世界では幻術を使える骸も生身では危ない世界。

 彼にもポケモンを所持してもらった方が、安全面は確保できる。

 

「はい、骸。この子の孵化頑張って。」

 

「・・・・・・いや、いきなり大きなタマゴを手渡されても困るのですが?」

 

 そんなことを思いながら、骸に手にしたタマゴを手渡せば、彼は困惑した表情をしながらそれを受け取った。

 とは言え、急にどでかいサイズのタマゴを手渡されたことにかなり戸惑いを抱いているようで、わたしとタマゴを交互に見てくる。

 

「この世界ではポケモンを1体以上持ち合わせていた方が生活面では楽なんだよ。

 なんせポケモンは、わたしたちがよく知る獣たちとは違い、頑丈な上、自然災害レベルの力を発揮することも度々ある。

 『じわれ』を引き起こすこともできるし、『ぜったいれいど』の空間を作り上げることも可能で、大洪水だってやろうと思えばできちゃうんだ。

 自然災害だけじゃない。一撃でも当たったらかなりの損傷をもたらすことができる『はかいこうせん』を打つことも可能だ。

 だから、鋭い爪も、丈夫な牙も、鱗や、一撃で蹴り殺せる力すら持ち合わせていない人間は、生身だと危険な世界と言える。

 身を守るためにも、無事に世界に帰るためにも、ポケモンの所持は必須だよ。」

 

 そんな骸に、自分たちがいる世界がどれだけヤバい世界であるかを説明すれば、彼は目を見開いて固まる。

 

「・・・・・・わかりました。そこまで言うのであれば、僕もこの子を育てましょう。」

 

「うん。そうしてくれると嬉しいな。そうそう。その子はね、骸と言えば・・・・・・って感じの子なんだよ。」

 

「僕と言えば・・・・・・?」

 

「うん。きっと、骸も気に入ってくれると思う。まぁ、育成はかなり手間がかかると思うけど、育成に関してはわたしの方が先輩だし、わからないことがあったらいつでも頼ってね。」

 

「クフフフ・・・・・・わかりました。今からどんなポケモンが生まれるか楽しみですね。」

 

 穏やかに笑いながら手元にあるタマゴを見つめる骸に笑顔を返したわたしは、すぐに自身のボックスを開く。

 確かここに・・・・・・あ、いたいた。

 

「とりあえず、リボーンと骸にはこの子を貸すよ。」

 

 そう言ってわたしは、ボックスから2つのモンスターボールを取り出し、リボーンと骸に預ける。

 わたしからモンスターボールを手渡された2人は、その場で首を傾げた。

 

「試しにボールのスイッチを押してみて。」

 

 よくわかっていない様子のリボーンと骸に、モンスターボールの使い方を教えれば、彼らはすぐに教えたことを実行する。

 その瞬間、モンスターボールから出てきたのはウルガモスとファイアローの2匹だった。

 

「何でしょう?出した瞬間、かなり温度が上がったような・・・・・・」

 

「あ、気をつけてね。その子らの特性は『ほのおのからだ』だから、無闇に触ったら『やけど』するよ。」

 

「あっぶね・・・・・・触るところだったぞ・・・・・・」

 

 不思議そうにウルガモスに触ろうとしていたリボーンに注意しながら、わたしは2人に貸した2匹のポケモンに手を伸ばす。

 わたしの姿を見たウルガモスとファイアローはすぐに嬉しいそうな様子を見せてはこちらの方に近寄った。

 リボーンと骸が慌てて止めようとするが、わたしの場合、これで『やけど』を負うことはない。

 

「初めまして・・・・・・それとも久しぶり?元気にしてた?ウルガモス。ファイアロー。」

 

『わー!サクナだ!サクナがここにいる!』

 

『姿は全然違うけど、間違いなくサクナちゃんね!やったー!会えたー!』

 

 無邪気に笑いながら近寄ってきた2体のポケモンの頭を優しく撫でれば、どちらも嬉しげに笑い声を漏らす。

 うん。予想通り、本来のトレーナーは、『ほのおのからだ』を持っていてもダメージは受けないね。

 

「驚かせてごめんね、リボーン。骸。確かに、この子たちは『ほのおのからだ』を持ち合わせている子たちだけど、この子たちの本来のトレーナーであるわたしは、ダメージを受けたりしないんだ。

 ポケモンの世界には、みず、くさ、ほのお、ノーマル、むし、いわ、じめん、ひこう、こおり、でんき、かくとう、あく、はがね、どく、ゴースト、エスパー、ドラゴン、フェアリーの18種類のタイプと呼ばれ属性があるんだけど、そのうちの一つ、ほのおタイプのポケモンは、高温だったり、特性で熱くなっている子がいたりするんだよ。

 でも、トレーナーと確かな信頼関係を築いている場合、トレーナーをそれらで傷つけることはなくてね。」

 

 焦っている様子のリボーンと骸に、自分はこの子たちの温度で傷つくことはないことを伝えれば、2人は一瞬だけポカンとした後、ホッとしたような様子を見せる。

 

「心臓に悪いじゃねーか、桜奈・・・・・・」

 

「傷つかないことはわかりましたが、程々にしてください。寿命が縮んでしまいでしょう?」

 

「ごめんごめん。次からは気をつけるよ。」

 

 呆れたような様子でツッコミを入れてきたリボーンと骸に謝罪をしながらも、ウルガモスとファイアローを優しく撫でる。

 そして、この子たちをリボーンと骸に貸し出そうとした理由を説明するために口を開いた。

 

「ポケモンの世界では、ポケモンたちにそれぞれ特性と呼ばれるもの・・・・・・わたしたちの世界で言う、属性に付与されている効果のようなものが必ずあるんだけど、この子たちがもつ『ほのおのからだ』と、マグマッグと呼ばれるポケモンなんかが持ち合わせている『まぐまのよろい』と呼ばれる特性は、タマゴの孵化を早める効果があるんだよ。

 どれくらい早めるかと言うと、本来の孵るまでにかかる時間を半減にするって感じだね。

 基本、ポケモンのタマゴは旅をしていると孵るんだけど、ずっと歩き回っていたら外の声が聞こえるのか、タマゴの中にいるポケモンが、タマゴの殻を割って目を覚ますんだ。

 そこに、タマゴを温めるのに十分過ぎる熱源があれば、その効果が倍増する感じ。

 最初はまぁ別にゆっくりでもいいかと思っていたけど、こっちに飛ばされた人間が複数人いるとしたら、一人一人がゆっくり孵化させて行くのもかなり手間がかかる。

 それなら、早めに育成できる基盤を作るためにも、ちょっとだけ孵化までの時間を短縮した方がいいでしょ?」

 

 口元に笑みを浮かべながら、ウルガモスとファイアローを貸すことにした理由を話せば、リボーンと骸は一度顔を見合わせる。

 

「孵化して育成するまで時間がかかる中、この世界をよく知ってるわたしに守られ続けるのと、早めに孵化させて育成し、少しでも早くわたしに追いつくの、どっちがいい?」

 

「「後者一択で。」」

 

 わたしの問いかけに即答したリボーンと骸に小さく笑い声を漏らしながらも、2人にはモンスターボールの使い方を教える。

 説明を大人しく聞いていた2人は、すぐに使い方をマスターして、ウルガモスとファイアローの2体をモンスターボールの中へと戻した。

 

「この子たちを連れているだけでもタマゴはすぐに孵るから、結構早く自分のポケモンに出会えるよ。

 それじゃあ、続けてみんなを探し出そうか。アルセウスたちを探す前に、まずはファミリーをみんな集めないとだからね。」

 

 そこまで口にしたわたしは、メガラティオスに視線を向ける。

 彼はすぐにわたしの視線の意図に気づき、静かに頷いてはワイルドエリアを飛び回り始めた。

 

「とりあえずこっちはこっちで地面を移動しよう。ギャロップ。ウィンディ。出番だよ。」

 

 それを確認したわたしは、先程まで背中に乗せてくれていたオヤブン個体の色違いギャロップと、新たな移動要員として、ウィンディをその場でモンスターボールから出す。

 

『ご主人様〜〜〜!!』

 

「ほぎゃ!?」

 

「桜奈!?だ、大丈夫ですか!?」

 

「CHAOSだな・・・・・・また桜奈に懐きまくってるポケモンかよ。」

 

 その瞬間、わたしはウィンディに勢いよく飛びつかれてしまい、その場ですってーん!!とひっくり返る。

 まさかの事態に悲鳴をあげてすっ転んでいると、骸が心配そうに声をかけ、リボーンが呆れたように首を振った。

 

『ご主人様ご主人様ご主人様〜〜〜!!やっとぼくを出してくれたね〜〜〜!!もう!!ギャロップばっかずるいんだよ!!ぼくだってご主人様運べるのに〜〜〜〜!!』

 

『おい、ウィンディ。主がひっくり返ってるぞ。甘えたい気持ちはわからなくもないが、一旦は落ち着け。』

 

『ちぇ〜〜〜・・・・・・・・・。』

 

 すりすりとワンコのように懐いてくるウィンディをギャロップが呆れたように制止する。

 ギャロップから注意されたウィンディは、軽く拗ねながらもわたしの上から静かに退いた。

 

「も、モフ圧に押しつぶされるところだった・・・・・・。」

 

『すまんな主。ウィンディは図体がでかい割に『むじゃき』な性格をしていてな・・・・・・。』

 

「ん。大丈夫だよギャロップ。」

 

 謝罪の言葉を口にするギャロップに問題ないことを伝えながら、わたしはウィンディを優しく撫でる。

 ワンコのように舌を出していたウィンディの首の下を優しく撫でてやれば、彼は気持ち良さげにぐるぐると喉を鳴らした。

 

「ごめんね、ウィンディ。遊んであげたいのは山々なんだけど、今は緊急事態だから遊んであげれないんだ。」

 

『ん?ああ、それならわかってるよ!確か、アルセウスたちがご主人様のトモダチをこっちの世界に飛ばしちゃったんでしょ?

 全くあの神様もよくやるよね〜。ご主人様を別の世界から呼び出すなんてさ!

 まぁ、ぼくらからしたら、ご主人様と一緒に過ごせるなら何だっていいんだけどね〜。

 で、僕を呼んだのって、そこにいるご主人様のトモダチを運んで欲しいってことでいいの?』

 

「流石・・・・・・話が早いね。その通りだよ。」

 

『フフン!ま〜ね〜。だってボールの中にいてもご主人様たちの声は聞こえるから、何がしたいのかなんてすぐにわかっちゃうんだ!

 ご主人様を乗せられないのはちょっと残念だけど、まぁ、ご主人様のトモダチなら別に構わないよ。』

 

「ありがとう、ウィンディ。」

 

 わたしの言葉に笑顔で答えてくれるウィンディをわしゃわしゃと撫でていると、骸からの視線がグサグサと突き刺さる。

 不思議に思って彼に目を向けてみると、そこにはポカンとした間抜けヅラ。

 

「骸?」

 

「・・・・・・桜奈、ポケモンの言葉がわかるのですか?」

 

「あ。」

 

 ・・・・・・そう言えば説明してなかった・・・・・・と忘れていたことを思い出しては、わたしは口を開く。

 ガウガウとしか聞こえないのに会話成立させてるのは確かに困惑するわと思いながら。

 

 

 




 沢田 奈月(桜奈)
 合流した霧の守護者にもポケモンのタマゴを預けた貝の女王。
 たまに『どわすれ』する抜けたところがあるが、真面目なトレーナーではある。
 タマゴを孵化厳選したことはないが、図鑑コンプリートを目指すために『ほのおのからだ』持ちを育てたことがある。

 女王の手持ち
 色違いギャロップ(オヤブン個体)♂ まじめな性格
 ラティオス(メガシンカ可能) おだやかな性格
 オオニューラ(オヤブン個体)♂ ようきな性格
 ウィンディ♂ むじゃきな性格
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 リボーン
 桜奈に懐きまくってるポケモンがまた出てきたので軽くイラッとしてしまったヒットマン。
 桜奈からゆっくりした孵化作業を行う間守られるか、それとも早く追いつけるようにするかのどちらがいいか問われ、即行で後者を選んだ。
 ポケモンに対して理解が深いせいか、平然と寿命を縮めそうな行動を取りがちな彼女に少しだけ頭を抱える。

 現在の手持ち
 ウルガモス♂(桜奈からレンタル中)
 タマゴ(少しだけ音が聞こえる)


 六道 骸
 桜奈とリボーンの2人と合流した女王の霧の守護者。
 桜奈から、自分たちがいる場所が、かつて桜奈がやっていたゲームの世界だと知り、かなりビックリしたが、彼女が口にしたアルセウスと呼ばれる存在の力の説明を知り、同時に、アルセウスたちの目的と、彼女に対する想いを知り、納得する。
 ポケモンたちやポケモンの世界の神々に愛されていることに対して、喜びを抱くが、同時に自分たちの方が何倍も彼女を愛していると口にして、リボーンと結託した。

 現在の手持ち
 ファイアロー♀(桜奈よりレンタル中)
 タマゴ(まだまだ時間がかかりそう)

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