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プロローグ
暗い部屋の中で男は一人パソコンに向かいあっていた。パソコンから漏れ出る淡い光は男の顔を照らす。
男はただ画面だけをじっと見詰め、手は忙しなく動き続けている。その近くには飲みかけのコーヒーカップと様々な書類がデスクにちらかっていた。
やがて画面から顔を外し、フゥと一つ溜め息をついた後、クソッ!!とデスクを叩く。
カップの中のコーヒーが男の苛立ちを表すかのように跳ね、治まらないのか揺れ動き続ける。
「これもだめか・・・・・・。
まだ・・・・・・まだ救えないのか。いや、また(・・)救えないのか――――」
そう言ってパソコンを見る。いや、パソコンの奥に暗くてよく見えなかったが写真立てが飾ってあり、男は暗闇の中迷わず手にとった。
その中には男と女性一人、そして一人の子供が二人の間で手を繋いでいた。三人共楽しそうに笑顔で写っている。それを懐かしそうに男は見ていたが、やがて哀しげに、しかし決意をしたように口を結び、その写真立てをもとの場所に戻してまたパソコンに向かい合う。
「・・・・・・しかたない。やはりあの方法しかないか」
そういうとパソコンにある資料を映し出す。そしてそれを確認すると、そのまま部屋を後にする。
残されたのは冷めてしまったコーヒーと、パソコンに写る頭にヘッドギアのような機械をつけて眠る一人の少年の姿だった。