ソードアート・オンライン ―黒白する思い―   作:縦横夢人

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 今回は一番長かった(疲)

 そしてタグにテイルズ技を追加。だって・・・・・かっこいいんだもん。

 納得いくよう書けば書くほど長くなる。しかし薄い感じがしてしまう。
 しかも本当は月曜の19日の夜、つまり自分の誕生日が終わる0時に更新したかったぁっ!!


 まぁ別にもういいし、うん。だって昨日ヴァンガードを買って・・・・・・え? もういい?
 それじゃあコレはあとがきで。興味ある人は読んで下さいね


 ではどうぞ


5.亡くす色

 

 

 翌日

 

 

 

 《はじまりの街》中央付近の宿に泊まっていた私は、昨日お邪魔した教会に向かって歩いていた。

 

 

「ねぇ~シ~リ~カ~? 昨日言ってた子のこともっと教えてよぉ~」

 

 

 ・・・・・・訂正

 私たち(・・)は、というかミレイちゃんは私の肩にしなだれかかり、昨日の出来事、とりわけシロンのことについてしつこく聞いてくる。その顔は楽しそうに笑顔・・・・・・を通り越してにやけており、半目になりながらからかい口調で訪ねてくる。

 出会った、つまり秘密の場所は誤魔化したが全て答えたはずだ。なのにミレイちゃんは顔をニヤつかせながらまたもや聞いてくる。どうやらまだ欲しい答えを聞けていないらしい。しかし私にはこれ以上話せることが無い。

 

 

「だーかーらー、暖かくて優しい感じがする人だって言ってるでしょ? それ以上はもう言い表せ無いよっ!」

 

「えぇ~、だからほら、まだ他にもあるでしょ。こう、顔を見ると胸がドキドキして、自分の顔が暖かいというより熱くなったりとかさ?」

 

「確かに目が合うとまだ緊張して息が詰まったりするし、時々頭に浮かんでくるときもあるよ? だからそれがどうしたの?」

 

 

 そう言うとあからさまに溜め息を吐かれた。え、何? 私何かしたの?

 

「(この子、やっぱり気付いてない。いや知らないのかな? まぁまだ私たちの歳じゃそういうのはあんまりないけど、≪シリカ≫・・・・・・というよりは≪珪子≫の周りには結構あなたを見てる子いるのよ?

 まぁこの子、勘は鋭いくせにそっち(・・・)方面は疎いのよね。純粋なのか、それとも自分で気付いてて無意識に否定してるのか・・・・・・どちらにしても恐ろしいわね)

 ハァ、あーもういいわ。シリカはシリカってことが改めてわかったから」

 

「それってどういう意味?」

 

「つまり良い意味で純粋、悪い意味で単純」

 

「それって私が何も考えてないってこと!?」

 

「あれ、違うの?」

 

「違いますぅっ!?」

 

 

 そういうがミレイちゃんは「やっぱり」と言って笑った。はっ、またからかわれた!?

 

 

「で結局アンリって人が言ってたこと、どうするの? あたしは別にかまわないわよ? 人との縁はこの世界で大切なもんだから、旅仲間ができるなら大歓迎よ」

 

 

 うぅ、さすがミレイちゃん。こういうまともなところがあるからさっきのことも結局許してしまうのだ。

 

 

「んー、まだ検討中。確かにこのSAOを生きていくにはそういうことも大切だし、シロンと一緒だったら楽しそうだけど・・・・・・」

 

「何? まだ昨日のことで悩んでんの?」

 

 

 違うの。一応自分の気持ちは整理できたんだけど――――――

 

 

「教会の方、というより子供たちの方が大丈夫かな・・・・・・って」

 

「あーなるほど。それは確かに」

 

 

 アンリさんとサーシャさんは大丈夫と言っていたが、子供たちがシロンと別れることに納得いくのかと考えていた。

 ミナやギン等の子供たちは昨日のことを見てもシロンにとても懐いているのがわかる。そんな彼らからシロンをとり上げれば、元々あった心の傷をさらに広げてしまうかもしれない。

 それにシロンはあの教会の大黒柱だ。いなくなってしまうとアンリさんたちだけでは子供たちの食費が維持できなくなってしまうのではないか。そう考えると今回の話は残念だけど断った方がいいのかもしれない。

 

 

「まぁそれならしょうがないね。けどやっぱりシロンと一緒に行きたいってのもあるでしょ? あ、ふ・た・り・で、だったかな?」

 

 

 そうニヤけ顔で言うミレイちゃん。もう、何でそこで自分を抜かすのかな。

 

 

「けどシロンと二人で、か・・・・・・えへへ」

 

 

 それはそれで何だか楽しそう。

 

 

「僕がどうかしたの?」

 

「ん? いやシロンとの二人旅は楽しそうだなー・・・・・・って・・・・・・え?」

 

「うん?」

 

 

 ギギギとブリキのようにゆっくり後ろを振り向く。と、そこには不思議そうに首を傾げているシロンの顔があった。

 

 

「・・・・・・ほぉわっ!!!?」

 

「おっと」

 

 

 いいい、いつの間に!? 思わず後ろに飛びのいて距離をとる。ミレイちゃんも今気付いたのか驚いて・・・・・・ない。というか逆に慣れ親しんだようにあいさつをしていた。なんでっ!?

 

 

「いやこういう驚かすのが好きな、というか天然物の知り合いもいるし。ねー!」

 

「ねー?」

 

 

 ミレイちゃんはそうシロンに言う。シロンも乗せられて頷いた。てかたぶん理解してない。はぁ、何か二人が合わさるとドッと疲れる。

 とそこでミレイちゃんは私の手を引きシロンに聞こえない場所まで離れ、小さい声で話しかけてくる。

 

 

「彼なかなかの人じゃない! ちょっと幼い感じがするけどあたしが見た中で一番の男よ!」

 

「な、何でそんなことがわかるの?」

 

「説明しよう!! 金本美鈴/ミレイには数々の友達の輪を作り見てきた結果、目を見ることでその人の中身を見抜くことができるようになったのである!! その力によって彼を見た結果、とても純粋な人であることがわかったのだ!!

 ちなみにシリカの場合は純粋の中におっちょこちょいで単純な部分があるのだ!! 他にも――――」

 

「余計なお世話ですぅっ!! てかそれ以上言わないでぇーーーーーー!!!?」

 

「?」

 

 

 そこはちょっとした混沌(カオス)に包まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そう言えばシロンはどうしてここに?」

 

 

 あれから一度場を落ち着かせ、私はシロンに聞いてみた。ミレイちゃんはたんこぶを作って倒れていた。もう、貧血なんてミレイちゃんもだらしないなぁ。・・・・・・貧血って言ったら貧血なのっ!!!

 シロンも少し怯えていたが、そこはスルーしてもらった。

 

 

「ぼ、僕は昨日採った≪ヒフミダケ≫を売ってきたんだ。(あの人大丈夫かな?)」

 

 

 そういえば昨日も言ってたような・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう話し合っていた私たちに天は何を思ったのか、悪戯を与えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこに突如私とシロンのウインドウが勝手に開き、≪WARNING≫の文字が赤いウインドウと共に現れ鳴り響く。その音にミレイちゃんも驚いたのか起き上がってこちらに歩みよってきた。

 

 

「ッ!!!!??」 ダッ!!

 

「あっ!」 

 

 

 私がミレイちゃんを見ている間にシロンはものすごいスピードで走り出していった。突発的なその行動に呆然としていたが、ちらりと見えたその横顔は先ほどとは打って変わって真剣な、それでいて苦虫をすりつぶしたような顔をしていた。

 

 それに驚きながら、先ほど現れたウインドウ画面を下にスライドさせるとそこには――――――

 

 

 

 

------------------------

 

 

 イベント発生

 

 ≪はじまりの街≫外れの一箇所に砦を破り突如モンスターが現れた

 近くにいるプレイヤーはこのモンスター達を撃退せよ

 なお、このイベントでモンスター撃破による経験値は1.5倍となる

 

 

 

------------------------

 

 

 

 

 そう書かれていた。

 

 

「何・・・・・・これ・・・・・・」

 

「? どうしたのシリカ?」

 

 

 思わず呆然と立ち尽くす。それが気になったのかミレイちゃんが尋ねてくる。私はそれに言葉で返すことができず、可視ボタンを押してミレイちゃんにも見えるようにした。

 

 

「えっと・・・・・・、ッ!!? 何これ!? ≪はじまりの街≫とかの街はモンスターが入れないはずじゃ・・・・・・けどイベントとしてなら・・・・・・でも何でシリカとシロンにだけ? 何か条件を満たしたとか・・・・・・。

 ねぇシリカ、あんた私と離れている間何かしたっ!?」

 

 

立ち尽くす私をミレイちゃんは肩に手をかけ揺らす。それによって現実に戻ってきた私は未だパニックのままミレイちゃんに顔を向ける。

 

 

「ミ、ミレイちゃん!? わ、わた、え、あっう、わたし、私はっ!!?」

 

「いいから、とりあえず落ち着いて!! 大丈夫!! 別に行かなかったらいいだけだから!! 

 それより、あんた何か思い当たらない!!? あたしとシリカ、あとシロンの違い!! それがわかれば場所もわかるかもしれないし、他の人にも伝えられる!!!」

 

 

 それを聞いて私は思い出す。

 イベント、モンスター、≪はじまりの街≫、ミレイちゃんは別、私だけ、シロン、豹変した顔、子供達、街の外れ・・・・・・っ!!!!

 それが頭に浮かんだ瞬間、私はシロンを追うように駆け出していた。

 

 

「あっ、ちょ、ちょっとシリカ!!? あんたどこに――――」

 

「行かないと、早く行かないとっ!!!!」

 

「ッ!!? 場所がわかったの!? どこっ!?」

 

 

 後ろを追って来るミレイちゃんに振り向かず、私は叫ぶように答える。

 

 

「≪はじまりの街≫の外れ――――シロンや子供達たちのいる≪教会≫っ!!!!」

 

 

 

 

 向かう空にはこの先を示すかのように不穏な暗雲がかかっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シロンの驚異的なスピードに追いつけず少し遅れてしまったが、シリカたちが着いた時にはまだ教会は存在していた。

 いや――――

 

 

「はああぁぁっ!!」

 

 

 ――――まだ守られていた。

 

 ≪フレンジーボア≫の突進を回転して横に避けた彼は、横切るボアの後ろから間接めがけて回転の勢いを殺さず水面蹴りを放つ。それによって転んだボアの腹に、持っていたナイフを斜めに刺し付ける。それが効いたのか≪フレンジーボアは≫一撃でガラスのように砕け光の粒子に還り消えていく。

 そこに狼型のモンスター≪ウォルフェン≫が後ろから飛び掛ってきた。それに対し彼は刺したナイフから手を離して両手を地面につけ、逆立ちするように右足を振り上げ≪ウォルフェン≫の顎を打ち上げた。そのまま腕だけで跳ね身体を元に戻しつつ右手に力を溜める。技のたち上がりと共に手に光が宿り、その手を突き出し掌底を相手に叩き込む。

 

 

「≪烈破掌≫!!」

 

 

 叩き込んだ掌底から溜められた力が開放され、気というエフェクトが敵に炸裂した。それによって≪ウォルフェン≫は真横に10mも吹き飛ばされ、転がりながら光の粒子に還って消えていった。シロンは先ほど≪フレンジーボア≫に刺していたナイフをすぐさま拾う。しかしそのナイフは耐久値が尽きたのか先ほどのモンスター達とと同じようにガラスのように砕け消えていった。

 

 

「これももうダメ・・・・・・か」

 

 

 そう一息つぶやくも、次の瞬間にはまた子供達に向かう敵に向かっていった。

 

 その一連の流れ思わず見惚れてしまうが、辺りを見てようやく状況が把握できた。

 教会は所々壊れている箇所もあるが、未だに健在していた。しかしその周りには異常で100を超えるほどのモンスターがいた。≪フレンジーボア≫、≪ウォルフェン≫、小さい人の姿をした、しかし人以上の腕や足をして緑の肌をして武器を持った≪見習いゴブリン≫等、その他にもたくさんのモンスターが何故か教会を狙って囲むように群がっていた。その教会を背にサーシャさんが子供達の前に立つ。そしてサーシャさんの前にはアンリさんが後ろの子供達の所へ通さないように槍を使い守っていた。

 そしてシロンは大勢のモンスターを前に怯まずそのVRMMOならではの動き、いやそれ以上にVRMMOでさえありえない身体能力を使って敵を圧倒していた。先ほどのナイフは折れてしまったが、SAOの特徴的な刀剣類を使わずに腕や足、そして格闘専用のソードスキル等を全てフル稼働させてなぎ倒していた。それはまさに無双と呼ぶに相応しかったが、しかし相手がまずかった。いくら倒しても敵はは減らず、逆に離れた所から光と共にリポップしていた。

 

 

「シリカっ!!」

 

「っ!!!?」

 

 

 と呆然としていた私をミレイちゃんが大きな声で現実に引き戻す。

 

 

「はやくみんなを助けないとっ!! その為に来たんでしょ!! あたしが道を作るから、シリカは子供達を連れて逃げてっ!!!!」

 

 

 確かに私の力ではみんなを逃がすことしかできないかもしれない。しかし私は一度深呼吸をし、ミレイちゃん顔を向けずに言う。

 

 

「・・・・・・私がやる」

 

「ッ!!? シリカ、あんたっ――――!!」

 

「私が、やる」

 

「・・・・・・」

 

 

 そこでミレイちゃんは私の顔を見つめ、覚悟を理解してもらったのか呆れたようにハァと溜め息をついた。

 

 

「(あんた、決めたことは曲げない子だったもんね。単純で純粋ってことは一つのことに一直線って長所だもんね。)わかった、あんたにまかせる。ただし、いい? 無茶だけは駄目だからね!!」

 

「うん、わかった!!」

 

 

 私はダガーを右手に持ち後ろに構えて力を溜める。刃に光りが宿り、それを前に駆け出しながら解き放つ。

 

 

「はあぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

出来るだけ敵の少ない隙間を狙いかぎ分けるように進む。

この技≪ブリッツ≫は刀剣類系全ての武器の初期に覚えられる技で、威力は無いものの突進と同時に刃先から衝撃波を繰り出し相手を吹き飛ばすことのできる技だ。この技は敵を近づかせない為のものでもあり、初心者用に作られたものでもある。

 そのまま敵を左右に弾き飛ばしながら突き進む。ミレイちゃんは私の後ろにつき、後ろからの攻撃に気を付けながら走る。そしてようやくシロンたちのところへたどり着いた.

 

 

「シロン!! アンリさん!! みんな!!」

 

「ッシリカ!? どうして・・・・・・」

 

「話はあと、はやく子供達をっ!!」

 

 

 そう叫びながら周りの敵を牽制するようにダガーを振るう。シロンは何か言いたそうにしていたが、すぐにサーシャさんに叫ぶ。

 

 

「サーシャっ!! 子供たちをッ!!!!」

 

「アンリさんも子供達に付いて行ってください!」

 

「マザー、はやくっ!!」

 

 

 そう私とシロンが叫ぶも、アンリさんは首を振る。

 

 

「いえ、あなた達を残して行けません。それにまだ囮は必要なはずです。サーシャ!! 子供たちをお願いします!!」

 

「マザー、それならわたしもっ!!」

 

「あなたまで残るとと子供たちが不安がります。だからはやくっ!!」

 

 

 サーシャさんはまた叫ぼうとするが、すぐに口を閉じ、子供たちに指示する。ちらっと見えた顔には苦い思いと悔しい思いが入り混じり、唇を強く噛んでいた。

 

 

「はーいみんな! このミレイお姉さんについてきてねー! サーシャさん・・・・・・でしたか? 後ろをお願いしても?」

 

「あなたは・・・・・・いえ、わかりました!! さ、みんなはやくッ!!」

 

 

 ミレイちゃんはすばやく子供達の所へ行き、逃げるように促す。そして先頭に立ち、今度は子供達の歩幅に合わせるように≪ブリッツ≫を放って敵の輪を抜けていく。サーシャさんは殿に立って子供達が遅れないように後ろを守る。無事に抜けられるように祈りながら敵の目を引くように全体的に攻撃を仕掛ける。

 

 

「シリカーーーー!!」

 

 

 しばらく私達は敵を相手にしていたが、ミレイちゃんや子供たちはどうにか抜けられたようで、叫びながら大きくてを振っていた。

 

 

「シロン、アンリさんもはやくっ!!」

 

「うん。さ、マザーもっ!!」

 

「ええ」

 

 

 そう言い、徐々に輪の外を目指す。HPは直撃をもらっていないがかすり傷が積もり、全員が半分を下回っていた。さすがにこの状態で直撃をくらえば0になり、≪死≫を迎えてしまう。敵を牽制しながらも隙を見て離脱しようとしていた。

 

 しかし――――

 

 

 

 

 

 

 

 突然のイベント

 

 

 

 

 

 異常なモンスターの数

 

 

 

 

 

 狙われた教会

 

 

 

 

 

 

 

 

 まるで仕組まれたかのような時の―運命(さだめ)―が舞い降りる

 

 

 

 

 

 

 

 

「≪崩襲脚≫!!」

 

 

 シロンが突破口を開こうと前にでて、≪見習いゴブリン≫に飛び上がりながら回し蹴りを二回繰り出した。真紅のマフラーがそれに追随するように渦巻き、それを断つように上からかかと落としで叩きつけた。

 だが、

 

 

「ガアァァァッ!!!」

 

「ッ!!!? っく!?」

 

 

 地に着けようとした脚を≪ウォルフェン≫が鋭い牙を光らせ噛み付いた!! 噛み付かれたのが脚なので大ダメージは受けないが、じわじわとシロンのHPを減らしていく。シロンは着地前に噛み付かれたのでバランスを崩し倒れる。私は急いではがしに行こうとするが、モンスターの壁に阻まれて進めない。

 シロンは噛み付かれた脚ごと≪ウルフェン≫を叩きつけた。≪ウルフェン≫はその衝撃で口を放し離れていった。

 

 

 しかしそこに――――

 

 

「ヴォオォオオッ!!!」

 

「ッ!!!!!!??」

 

 

 ――――≪見習いゴブリン≫のナイフが迫っていた

 

 シロンの顔を狙ったナイフ。しかしそのシロンは≪ウルフェン≫を叩き付けた反動で動けず、手は地面につけたままだった。

 

 私は叫ぶ。しかし叫びは届いても伸ばした手は届かない。

 

 周りがスローモーションのように遅く、しかし自分の体は重くなり見ていることしかできない。シロンも凍ったように動けない。

 

 あと数センチ。思わず目をつぶってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―ドッ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 包丁で食べ物を切るように強く、しかし鈍い音が響き渡った。

 

 

 目を開けたくない。しかし体は何故か目蓋の筋肉を緩め、視界を開いていく。

 

 

 そこには――――

 

 

 

 

 

「あ、あぁ、う、あ、ぅあ・・・・・・マ」

 

「・・・・・・フフ、大丈夫」

 

 

 

 

 

 ――――シロンがアンリさんに抱かれている姿があった

 

 

 

 

 

 

「あ、あぁ、マ・・・・・・ザ、ァ」

 

「大丈夫、だいじょうぶですよ、シロン・・・・・・」

 

 

 そう言いシロンの頭を撫でるアンリさん。しかしその身体は徐々にシロンに倒れるように崩れていく。

 私は目の前の敵を倒し、開いた隙間へ強引に体をねじこんでその場へたどり着く。そのままの勢いを殺さずにダガーを振るい≪見習いゴブリン≫弾き飛ばす。弾き飛ばした≪見習いゴブリン≫の最後を見ずに、すぐさま振り返る。

 しかしそこには放心状態のシロンと、そのシロンに覆いかぶさるアンリさん、そしてアンリさんの背中に刺さっているゴブリンのナイフが見えた。

 思わずダガーを落として駆け寄りアンリさんの体を起こそうとする。シロンも呆然としながらその手にアンリさんを抱えて覗き込む。

 

「アンリさんっっ!!!!」

 

「・・・・・・フフ、どう・・・・・・したの、シリカさん。そんな・・・・・・こわい、顔・・・・・・して・・・・・・」

 

 

 声はいつものようにやさしく、しかし力が入らないのか震えながらどこか儚げに答えてくる。

 

 

「だって・・・・・だって!! 背中に・・・・・・ナイフが・・・・・・」

 

「フフ・・・・・・だい、じょうぶ・・・・・・いたく、はない、もの・・・・・・」

 

 

 そう答えるアンリさん。SAOで血は流れない。が、アンリさんのHPバーは徐々に減っていく。

 

 

「今、ポーションをっ!!」

 

 

 しかしアンリさんは首を振る。

 

 

「だめ、よ。もう・・・・・・わかっ・・・・・・てます、から・・・・・・」

 

「そんなことわからないじゃないですかぁっ!!!!」

 

 

 そういいアイテムから≪ポーション≫を出し、ふりかける。しかしHPバーは変わらず減っていく。何度も試すが結果は変わらなかった。

 アンリさんはかまわず話しかけてくる

 

 

「シリカ、さん。シロン、を・・・・・・よろしく・・・・・・お願いします」

 

「っ・・・・・・はいっ!!!」

 

 

 私にはもう頷くことしかできなかった。思わず目を背けてしまいそうになるが、逃げないようにしっかりとアンリさんの瞳を見つめ答えた。

 

 アンリさんは頷くと一度目をつぶり、未だ放心状態のシロンに顔を向け話しかける。

 

 

「シ、ロン・・・・・・」

 

「マ・・・・・・ザァ・・・・・・僕のっ、・・・・・・僕のせいでっ!!!!」

 

「・・・・・・フフフ」

 

 

 と、突然アンリさんは笑う。涙を流しながら悔やんでいたシロンはそれが理解できず、思わず顔を見る。

 

 

「あな、たとであっ・・・・・・た・・・・・・ときを、おもい・・・・・・だしてね・・・・・・」

 

『――――』

 

 

 その顔と声は、シロンの頭の奥にある何かを揺さぶる。

 

 

「マザー・・・・・・」

 

「フフ。今、とは逆、にあなた・・・・・・がねていて、わたし、を・・・・・・みたと、きに、ねぼけて『おかあさん』・・・・・・って、よびました、ね」

 

『――――う』

 

 

 それは手を――――

 

 

「その・・・・・・あとも、ふたっ、りでくらしてた・・・・・・ときも、とき、どきよんでくれた・・・・・・よね」

 

『―た―――、――が――』

 

 

 髪を――――

 

 

「だんだん・・・・・・かぞくも増え、て、いちばんおに、いさんして・・・・・・ましたね」

 

『―――の―へ――れて――、あり――――』

 

 

 声を――――

 

 

「フフ・・・・・・」

 

 

 そこまで言うとまた目を閉じる。いろいろと思い出しているのか、口が笑っていた。

 

 そしてまたシロンに見て――――

 

 

 

 

 

 

「ありがとう」

 

『私の元へ生まれてきてくれて、ありがとう』

 

 

 

 

 

 

 微笑えんだ

 

 

 

 

 

 

 その微笑が

 

 

 

 

 

 光で顔は見えない

 

 

 

 

 

 

 しかし心に残る≪母≫という存在に

 

 

 

 

 

 

 重なる

 

 

 

 

 

 

「っっっっ!!!! こちらこそ、こんな僕を拾ってくれて・・・・・・一緒にいてくれて・・・・・・家族をくれてっ・・・・・・ありがとう!! 

 

 

 

 

 ・・・・・・『かあさん』っ!!!!」

 

 

 アンリさんは驚いて目を開き、愛おしそうに微笑んだ。

 

 

「また・・・・・・よんで、くれるの、ですねっ」

 

 

 アンリさんもまた涙を流す。

 

 そしてついにその体が輝きしかし――――

 

 

 

 

 

 パリィッィィィィン

 

 

 

 

 

 ――――ガラスのように砕け、光の粒子に変わってしまった。

 

 それは風に乗ってシロンの回りを渦巻き、まるで全てから守るように、そしてこの先の未来に祝福あれというように空へととけて消えていった。

 

 私たちは暫く空へと消えていった光を眺めていた。

 

 

 

 

 

「グルォオォォオ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 が、私たちは忘れていた。まだ周りを敵に囲まれていたことを。

 それに気付き急いでダガーを拾い構える。まだアンリさんが死んでしまった悲しみは消えていない。だけどアンリさんにお願いされたんだ。シロンを頼むって!! 

 後ろにいるシロンに呼びかける。

 

 

「シロン、はやく立って!! 逃げよう!! ・・・・・・シロン?」

 

 

 返事が無い、まさかまだアンリさんが死んだショックが拭えていないのか。確かにすぐには無理だろうけど、今はそんなこと言ってられない。無理にでも引っ張っていかないと!!

 もう一度呼びかけようと振り向く。

 そして見た。

 

 

「シロン?」

 

 

「――――」

 

 

 シロンは胸を抱くようにうずくまっている。しかし様子がおかしい。いつもの雰囲気とは違う。

 

 

「――――ァ」

 

 

 暗い、そう闇のように暗いものが漂っていた。

 

 

「――――ァア」

 

 

 シロンから声が聞こえる。

 

 

「――――ァアアアアッ!!」

 

 

目の前の出来事を、アンリさんの死を、全てを拒絶し、否定するような声を。それは怒りであり、悲しみであり、苦しみであり、憎しみであり、負の感情全てを含んだ声だった。

 

 

「アアアアァァァァァァァァァァァァァァアアアアッッッッ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 まさしくその色は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ≪黒色≫だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 はい、何かいろいろ含みのある最後でした。

 で、続きなんですけど。
 昨日ヴァンガードのパーフェクトライザー狙いで「無幻の兵団」買ったら、出てきたのがコスモロードだったんでショック!!
 消化する感じで最後の開けたらなんとパーフェクトのSP!!
 これまでの含め3箱買ってコスモ3だったんでお得感とSPで超嬉しくて思わず叫んでしまいました。
 これでパーフェクトは3枚、あと一枚は安いのかうしかないかな(今回の段の絵が欲しいけど)。
 しかし意外とビショップが当たらない。ツインブレーダーは2枚当たって4枚揃ったんですけどね。


 ではどうぞ小説のことでも、ヴァンガードのことでもいいのでどうぞ感想にでも書いて下さい。

 小説は今度の土曜目指しての夜目指して頑張ります。

 では( ̄▽ ̄)ノシ
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