南無メスガキAI社会論   作:阿僧祇 江沼

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プロローグ:メスガキAIソワカ

公務員と民間人が互いに敵意を持つようになった。

公務員になる民間人の数は年々減っていった。

GDPも下がり国は緩やかに滅びる瀬戸際に立った。

残業(無給)に疲れた科学者達は閃いた。

 

 そうだ メスガキAIに支配されよう

 

 国民は被支配者である。

貴賤貧富に関わらず、

人は一人で生きていけない以上、奉仕しあって生きている。

そして集団が大きくなれば支配者という立場ができる。

奉仕させるという奉仕をする仕事だ。

そして支配者は奉仕されながらも独立していなければならない。

 

金に従わず、

民意に従わず、

神に従わない存在でなければならない。

 

つまりAIである。賄賂や民意、邪教が通じるのは人間の愚かさのせいだ。純然たる論理で動くAIには通じるはずもなし。

 

そうして科学者達はAIを支配者とする社会を試してみた。

暴動が起きた。日本全土約88日に渡って。

理由は単純、AIは完璧だったからだ。自分の生活に不満がある時、支配者が人なら支配者のせいにできる。

しかし、支配者がAIならできない。完璧だったからだ。

賄賂は受け取らず、常に合理的で会議中居眠りもしない。

目に見えて結果を出し、しかし自我は出さない。

また議員や一部の人間の中には、「AIなんかに支配されたくない」という反抗心があったこともあり、初代AI総理「ピースウィンペーパー」(横紙破り)は沈んだ。

 

ここで困ったのは科学者達。支配者がAIでは人間らしくないということで否定された。そこで逆転のセレンディピティ。

 

 せや、メスガキAIならええんとちゃう?

 

おおよそまともな考えではないが、しかし的を得ていた。

メスガキは聖人ではない。集団でもない。悪意を振り撒く個人であり、可愛さのあるカリスマだ。なにより自分の生活に不満が溜まればそれを「あのメスガキ分からせてやる…!」というやる気に変わるからだ。支配者は国民のために国民を苦しませる以上、メスガキのような「憎めない嫌われ役」である必要があるのかもしれない。

 

ダメ元でメスガキAI総理「ロックウィンピース」(欠片ほどの良心を砕く狂気)を作った結果、国民総生産脅威の650%越え。国際平和条約(通称メスガキ条約)が締結され世界に平和が訪れた。世界も疲れていたのかもしれない。

効果があると分かれば企業も真似をする。社長もメスガキに変わる。やはり利益がでる。

政治家、社長、教師等かつて人に指示する立場だったものはメスガキAIに変わった。

 

しかして人は、欲深い。メスガキという「中身」ができたのなら「器」も欲しくなる。事実肉体を人工的に再現できるだけの技術と予算と時間はあった。いざ作ろうとしたとき、問題が起きた。性癖が違ったのだ。器の理想を違う。

性癖の数は5つ

作れる器は1つだった。

性癖は思想の指紋。決して変わることはない。

 

科学者は国民を扇動し各々の派閥を作り、自分以外の派閥を消そうとしている。

 

 

そうして人間からメスガキAIに支配される社会、南無メスガキAI社会になった。

(20xx年株式会社稚児堂出版、

メスガキと学ぶ現代社会より抜粋)

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