「それは本当なのか?」
「ハイ!人間共ノ帝国ガ我々ノ勢力圏へ艦隊ヲ派遣シタヨウデス!」
「わかった、各惑星のグレイシーア達に連絡しろ。緊急会議だ」
「カシコマリマシタ!」
ムスが率いるスケイヴンが人類の帝国に露見してから半世紀が経過した。これまで順調に勢力を拡大していたスケイヴン達であったが、ここに来て天の川銀河の最大勢力である人類の帝国が攻めて来ると報告を受けムスに緊張が走る。緊急事態という事でムスは各惑星の指導者であるグレイシーア達を呼び出し会議を始めようとしていた。
(遂にこの時が来たか。人類の帝国が我々の存在を容認するわけがない。降伏は不可能だし戦うしかない……もう少し時間が欲しかったが致し方あるまい)
帝国が攻めて来ると知ったムスはスケイヴンという種族の存続をかけた大戦争が始まる事を悟る。
(それに敵は人類だけではない。アエルダリ共も我々を駆除しようと裏で動いていると神から警告を受けた。寄って集って苛めてくるとは、そんなに我々の事が嫌いなのか?……いや、他種族から好かれる要素などないか)
天の川銀河では弱小勢力である自分達がどうしてここまで嫌われるのかと不思議に思うも、スケイヴンという種族を客観的に見た結果嫌われて当然だと納得して苦笑する。
「蛆虫を超えた蛆虫だからなぁ我々は。だが黙って滅びを受け入れるつもりはない。この銀河を
ムスはスケイヴンの繁栄の為に、鼠の神の為にも今回の侵攻を必ず撃退しようと決意するのであった。
「人間共ガ攻メテ来ルゾッ!迎撃ノ準備ヲシナケレバ!」
「チィッ、ナンダッテ人間共ガコッチニ向カッテ来ルノダ」
「勝テルノカ我々ハ?人間共ノ科学技術ガドコマデ進ンデイルノカ未知数ダゾ」
「臆病者ハ黙ッテロ!ドノ道我々ハ戦ウシカナイノダ!」
「フン、最初期ノラットオゴウル並ニ単純ナ脳ミソ野郎メ。貴様ニハ危機感ガナイノカ?」
「ナンダトォ!」
「ソンナ事ヨリチーズガ食ベタイノォ」
「デスネェ」
ムスの命令によって急遽呼び出された各惑星のグレイシーア達はモニター越しに好き勝手に喋っていた。彼等は人類の帝国の侵攻に危機感を持ちつつも、こんな状況でも同僚達よりも優位に立つべく権力闘争を行っており相変わらず平常運転であった。
実にスケイヴンらしい光景を見てムスは内心で溜息をつきつつも会議を進める為に発言する。
「静まれ、貴様らは種族の存亡の危機に直面しているという事を理解しているのか?」
「ッ」
ムスの声を聞いてグレイシーア達は一斉に沈黙する。自分達スケイヴンを導く指導者であり
「この状況は以前から予想されていた事だ。我等スケイヴンが勢力を拡大させればいずれ人類の帝国と衝突する事になるのは。我々は予定通り人類を迎撃するぞ。艦隊司令、迎撃の用意は完了しているか?」
「ハイ、偉大ナル預言者ムス様!迎撃用艦隊ハワープ経路ニ集結シテオリ、人間共ガドノ方向カラ攻メテコヨウト即座ニ対応デキマス!」
「わかった。アークウォーロックよ、歪み空間の監視はどうなっている?」
「逐一監視シテオリマス!人間共ノ大艦隊ガ我々ノ勢力圏ニ向ケテ移動シテイルノヲ確認シテオリマス!」
「ふむ、これが観測データか。かなりの規模だな。連中の到着地点は予測できるか?」
「大マカナ位置ハ予測デキテオリマス!」
「よし、では到着予測地点に予備艦隊を展開させ奇襲させろ。人間共の戦力を少しでも削れ」
「仰セノ通リニイタシマス!」
ムスは会議に同席させた艦隊司令やアークウォーロックに矢継ぎ早に指示を出していく。
ムス達スケイヴンの迎撃プランはスケイヴンの勢力圏に張り巡らされたワープ経路である
そして対渾沌勢力を想定し開発された歪み空間の監視システムによって、歪み空間を利用してワープしてくる帝国艦隊を既に補足しており迎撃の用意が進められていた。
「艦隊戦で決着が付けばいいが、万が一という場合もある。グレイシーア達は惑星の防御体制の構築を完了させろ。各惑星間の連携も密にしろ」
「ハイ!」
その後もムス達は人類の帝国を迎撃する為色々と準備を進めていく。種族の存亡をかけた一大事という事でスケイヴン達は一致団結しており会議はスムーズに進んでいくのであった。
「こんなところか。何か気になる事があるなら遠慮なく指摘してほしい」
「ア、アノゥ」
そして会議が一段落した後ムスは何か質問があるか尋ねるとグレイシーアの一人が少し困惑した様子を見せつつ発言する。
「観測サレタ人間共ノ艦隊デスガ、ソノ、妙ニ古イトイイマスカ。我々ガ今マデ発掘シテキタ遺物ト大シテ差ガナイヨウニ見エルノデスガ」
「……それは私も気になっていた」
「シ、シカシ観測データハ正常デゴザイマス!監視システムニ問題ハ一切ゴザイマセン!」
グレイシーアの指摘にムスも同意するが、アークウォーロックは観測データに異常はないと主張する。
「ウーム、ドウイウコトダ?技術ガ進歩シテイナイノハオカシイゾ?」
「我々ガ発掘シテキタ遺物達ハ鑑定シタ結果数千年前ニ造ラレテイタノガ判明シテイルガ……今モソノママ使ワレテイルノカ?」
「イヤ、流石ニ改良ハサレテイルハズダ」
「デモ改良サレテイルトシテモ型遅レノ旧式ヲイツマデモ使ウ理由ガアルカ?数千年モ経テバ新型ナンテ幾ラデモ開発デキルダロウニ。人間共ハグリーンスキンヤ他ノ
「愚カナ人間共ノ思考ナド私ニワカルワケナイダロ」
他のグレイシーア達も困惑しつつ同僚達と会話していた。
「モシカシテ人間共ハ衰退シテテ新シイ技術ガ開発デキナイノカモ……」
「ソレジョークカ?面白イ事ヲ言ウナァコノ蛆虫ハ」
「楽観的ナ阿呆ダナ貴様ハ」
とあるグレイシーアの発言を聞いた同僚達は馬鹿げた考えだと一笑に付す……その後会議は無事終了しグレイシーア達は己の持ち場に戻り人類の帝国の襲撃に備えるのであった。
「人間共ノ艦隊ガモウスグ出テクルゾ!総員迎撃用意!」
そして時間が経過し、いよいよ帝国の艦隊がスケイヴンを殲滅する為に侵攻しようとしており、監視システムによって歪み空間から出てくる予測地点を把握していたスケイヴン達は戦力を展開し手ぐすね引いて待ち構えていた。
「イイカ!クソ人間共ガワープ空間カラ出テキタラ対艦用大型レールガンヲ一斉発射!ソノ後距離ヲ取リツツ敵艦隊ヲ削ルゾ!」
「了解しました」
「ウム!死ニ急ギ野郎共ノ出撃準備ハドウダ!」
「攻撃隊は全機発進準備が完了しております」
「ナラバヨシ!」
帝国艦隊の戦力削減を目的とした予備艦隊の司令官はスケイヴンとしては珍しく闘争心が旺盛で、向かってくる帝国艦隊を自分達だけで撃滅したいと思う程好戦的なスケイヴンであった。そして部下達も司令官に似て好戦的であり人間達を血祭りに上げたいと願っていた。
「ウーーーッ!殺ラセロ、クソ人間共ヲ殺ラセロ!クソ緑共ノ駆除ハモウ飽キタンダ!早ク殺ラセロ!クソ人間共ノ魂ヲ
―落ち着いてくださいマスター、そう焦らなくても人間達はすぐ来ますから―
攻撃隊のパイロットの一人は出撃前から好戦的な様子を見せ、相棒であるAIに窘められていた。彼等が乗る攻撃機はスケイヴンの最新鋭の技術と解析されたネクロンの技術が盛り込まれた新型機であった。
「キキキ、クソ緑共ハコノ機体ニ対抗デキナカッタ。コノ機体ナラクソ人間共ニダッテ勝テル!」
―油断は禁物ですよマスター…………人間達の艦隊が出てきたようです。出撃許可が降りましたので行きましょう―
「ワカッタ、オオオォッ!」
帝国艦隊の先遣隊が歪み空間から出現したのを確認したスケイヴン達は攻撃を開始する。そして人類の帝国とスケイヴンの永きにわたり続く事になる戦争が始まったのであった。そして……
「……ナア、人間共ナンカ弱イゾ?」
「これは想定外の事態ですね」
艦隊戦はスケイヴン達が終始有利な状況で進んでいた。奇襲が成功したとはいえ一方的な展開になっている事に予備艦隊の司令官や副官兼愛人のラットオゴウル改は困惑するのであった。
<人物紹介>
●鼠人間(スケイヴン)
→人類の帝国が攻めてくるとわかり一致団結して迎撃する事にした。そして想定を下回る強さを見せた人類の艦隊に困惑するのであった。
●転生者(ムス)
→帝国が攻めてくるのでスケイヴン達を纏め上げ準備を急がせるが帝国の科学技術が据え置きどころか衰退している事を知って宇宙猫ならぬ宇宙鼠になった。
●グレイシーア達
→各惑星の代表者として会議に参加する。普段は同僚達と権力闘争をしている事が多いが種族の危機が迫っている時は流石に団結する事を優先する判断力はある。
●歪み空間の監視システム
→対渾沌勢力を想定してムスが開発させた。常時変化する歪み空間を観測する事は非常に難しいが、ムスのパワハラを受けた技術者達が100年程頑張った結果開発された。
スケイヴン達の勢力圏付近では正確な観測ができるが遠くなる程難しい。渾沌勢力が潜む恐怖の目宙域の観測は困難である。
●予備艦隊の司令官
→スケイヴンらしくない好戦的な性格をしている。侵攻してくる帝国艦隊を少しでも削る事を命じられた。はっきり言って貧乏籤だが司令官は文句を言わず受け入れた。奇襲が成功したのはいいが帝国艦隊が想定よりずっと弱い事に困惑している。
ちなみに予備艦隊には長年に渡り襲来してくるオルク達と戦い続けた精鋭が多数所属している。
●攻撃隊のパイロット
→相棒のAIと一緒にオルクと戦い続けたエースパイロットであり、スケイヴンらしくない好戦的な性格。AOS世界ではストームヴァーミンになっていただろう。
●スケイヴンの科学技術
→人類の帝国に少しでも追いつかんとスケイヴン達が必死になって研究し続けた結果、現在の帝国を凌駕してしまった。誰が悪いかと言えば縛りプレイをしている帝国である。人類の技術を改良し技術革新もしつつ、ネクロンの技術も一部取り込んでいる。オルク?ハハッ
新興種族のスケイヴンが人類の技術を模倣し数百年で凌駕した事は
●人類の帝国
→スケイヴンを駆除しようと大規模な艦隊を派遣したらワープ先を待ち伏せされて先遣隊がボコボコにされている。だが艦隊の数は圧倒的に人類の方が上であるし、接近戦に持ち込めば十分勝機はあるだろう。参加しているスペースマリーンはウルトラマリーンとデスウォッチである。
もしこれが
次回は帝国視点の話も書きます。
スケイヴンタイドを購入しスケイヴンにハマった結果勢いで書きました。WARHAMMERの二次は二回目でが、今度は最後までプロットが出来てますので何とか完結させたいと思います。参考資料はコアブック(AOS&40K)とコデックスとバトルトームです。ネタバレですが「俺達の戦いはこれからだ!」エンドになります。
更新はゆっくりとしたものになります。今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。