(……これ以上の前進は厳しいですね。艦隊の被害が余りにも大き過ぎる)
帝国艦隊とスケイヴン達が交戦を始めてから3ヶ月が経過した。帝国艦隊は多大な被害を出しつつも人海戦術によってスケイヴンの勢力圏へ侵攻を続けていたが、遂に被害を無視する事ができない状況になっていた。
「私はこれから
「かしこまりました師よ」
スケイヴンから鹵獲したテクノロジーの移送準備を指示したラーダは帝国艦隊旗艦へ向かうのであった。
「貴方もこれ以上の進軍は難しいと思うか」
「ええ、一般兵士達は言わずもがなですが、
「……………そうか、わかった。艦隊を撤退させる」
「スケイヴン共の殲滅に固執し不必要な犠牲を艦隊に強いるとは、度し難い無能だな私は」
「自分を卑下しないでください
自分の愚かさを自嘲するナグムをラーダは励ます。
「我々は鼠人共を駆除できませんでしたが、成果を幾つか上げる事が出来ました。確保した奴等のテクノロジーを解析して再現する事ができれば帝国の軍事力は飛躍的に向上できるでしょう」
「それは素晴らしい事だが、その、大丈夫なのか?」
「……
「我々が停滞している間にぽっと出の
「そうか、あの大賢人が改革を主導するのか」
ラーダの言葉を聞いたナグムは今回の帝国艦隊の派遣が無駄ではなかったと理解する。
「ならばこれ以上の犠牲を出す必要はないな。全ての責任は私が取る、艦隊は速やかに撤収作業を始めろ」
「了解しました!」
ナグムは帝国艦隊をスケイヴンの勢力圏内から速やかに撤収させる事を決意するのであった。
「敵の追撃が予想される!艦隊は警戒を怠るな!」
「
「なんだと?どういう事だ?」
「オオッ、クソ人間共ガ後退シテイク!流石ニ被害ヲ無視デキナクナッタンヤ!」
「ヤット諦メタカ!逃ガスナ!追撃シロ!」
「待テ!本部カラ緊急通信ダ!人間共トハ別ノ大艦隊ガ接近中!迎撃ニ向カウゾ!」
「ハァ!?」
「一難去ってまた一難か。人間の次は蝗擬き共の襲撃を受けるとはな」
「それだけ周囲から注目されているという事ですよムス殿。まあ、あの害獣共は手当たり次第襲い掛かる連中ですから偶々近くにいたスケイヴン達を襲撃してきたのでしょうな」
「傍迷惑な連中だな。いや、我等スケイヴンがそれを言う資格はないか」
謎の敵対勢力の大艦隊がスケイヴンの勢力圏に接近していると報告を受けたムスはウンザリしつつも迎撃の指示を出しており、来訪者であるケイオス・スペースマリーンのロクシアはそれを面白そうに見つめていた。
「話がズレたな。もう一度聞くが貴様は本気で
「ええ、私は新たな暗黒神の下僕となる為に貴方を尋ねたのです」
はっきりと断言するロクシアを見てムスは呆れつつも感心したような表情を浮かべる。
「4大神への信仰を捨てて鞍替えか、大した度胸だ。確実に神の怒りを買う事になるが恐ろしくはないのか?」
「ええ、偽りの皇帝が死体となって1万年が経っても決着がつかずダラダラと争っている不甲斐ない神々の怒りなど恐れておりません。私の変心を変化の神は逆に喜ぶかもしれませんな」
「本当に大した度胸だな。いや、そんな度胸がなければ自分を売り込みに来ないか」
渾沌の4大神の怒りを恐れていないと断言したロクシアにムスはスゴい奴だと笑う。
「しかしよく我等の仲間になろうと思ったものだ。我々スケイヴンが自分達以外の他種族を鏖にしているのは知っているだろうに」
ムスの言う通りスケイヴンは非常に排他的な種族である。他種族は自分達の繁栄を邪魔するゴミとして容赦なく排除するスケイヴンの仲間になりたいなど正気の沙汰ではないのは確かであった。
「確かにスケイヴン達は排他的です。ですが
「……ほう、私が元人間だと?何故そう思った?」
ロクシアの言葉を聞いてムスは内心で警戒する。自分の前世が人間だったと知るのは
「確証はございません。推測になりますが喋ってもよろしいですか?」
「うむ、いいぞ。お前の考察を聞いてみたい」
「ありがとうございますムス殿」
ムスから許可を得たロクシアは自分の考察を話し始めるのであった。
「天の川銀河に新たな暗黒神が生まれたと知った私は、この停滞した銀河に新しい動きがあったと興奮しました。そして神の下僕である貴方達スケイヴンを観察していたのです。たった数百年で急激に発展して宇宙進出を果たし勢力を拡大させている新興種族……彼等の成功の秘訣が何なのか気になりましてね」
「ふむ」
「そして色々と調べてみたのです。スケイヴン達が人類の遺物を発掘し人類の技術を模倣する事で急激に発展したのはわかりましたが、同時に不可解な事もわかりました」
「ほう?何がわかったというのだ?」
「彼等がこの数百年の間一致団結し発展している事です。多少の権力闘争はあっても彼等は貴方を指導者として認めて従い、余計な事はせず種族の発展に貢献し続けた」
「人類の帝国という強大な敵を警戒し一致団結する事がそこまで異常な事か?」
「はい、スケイヴンが一度も仲違いする事なく団結を続けている……自惚れと自己保身が強く猜疑心に満ちた彼等の性格を考えれば異常な光景です」
「ククク……酷い事を言うものだ。まあ事実だからしょうがないけど」
「不思議に思った私はスケイヴンの指導者であるムス殿の人となりを調べてみました。公平な立場で裁定し、失敗に寛容で挽回の機会を与え、後進の育成を積極的に行い種族の発展を最優先に考えている。他のスケイヴン達とは精神構造が余りにも違い過ぎます」
「……………」
「そして数百年もの間自分勝手なスケイヴン達を導き続ける驚異的な忍耐強さはスケイヴンには存在しないものです。まるで人間のような粘り強さだ……これが私の考察です。如何でしたか?」
「ハハハ、面白い考察だ。貴様は想像力が豊かなようだな。快楽の神から恩寵でも貰っていたのか?」
「……ハァ、私の正体に勘づくとは大した奴だ。これなら
「おや、否定しないのですか?」
「これから同僚となる者に隠し事はしないさ。別に知られても問題ないしな」
溜息をついたムスはロクシアを受け入れる事を決定した。
「ほう!私を受け入れると!感謝いたしますムス殿」
「神の許可も降りた。貴様が仲間になる事がスケイヴンの発展に繋がるのならば私も反対する理由はないからな」
ムスはロクシアと話しつつ儀式の準備を進める。
「では始めるか……我等の神よ、
「おおっ……!」
ムスは己の歪みの力……サイキック能力を
「素晴らしい……!これが新たな暗黒神の祝福ですか!やはり私の判断は間違っていなかった!これからよろしく頼みますよムス殿」
「うむ、こちらこそよろしく頼むぞロクシア」
「そうだ、貴様以外にも
「そうですな、私の知己や暗黒神の恩寵を賜われるのなら何処でもよい節操なし、永きにわたる闘争に疲れ果てた根無し草……極少数ですがいないわけではありません」
「よし、では彼等の勧誘も頼む。貴様達ケイオス・スペースマリーンが味方になるというのなら心強い」
「了解しました」
ロクシアに他のケイオス・スペースマリーンの勧誘を頼みつつムスはスケイヴンの更なる発展を、
「元人間という事で部下のスケイヴン達から信頼されないだろうが、貴様なら上手くやっていけると信じているぞ」
「ええ、望むところですよ……そもそもスケイヴン達は同族間でも信頼など存在しないでしょうに」
「ククク……酷い事を言うものだ。まあ事実だからしょうがないけど。一応スケイヴンでも極稀に存在するからな?」
<人物紹介>
●テックプリーストのラーダ
→帝国艦隊が甚大な被害を受けた事で撤退を決意し
●
→帝国艦隊の被害が4割を超えたところでラーダの説得を受けて撤退を決意した。スケイヴンから追撃がなかった事に困惑しつつ何とか帝国艦隊を撤退させた。
敗北の責任を問われたが
●帝国艦隊
→スケイヴン脅威のテクノロジーによって戦力の4割以上を喪失した。物量作戦で頑張ったもののスケイヴン勢力圏にある3つの星系を壊滅させるのが精一杯だった。
スペースマリーンとデスウォッチ達はいずれ報復する為に戻ってくると誓ったようだ。
●鼠人間(スケイヴン)
→撤退する帝国艦隊を追撃しようとするも蝗擬き共の大艦隊が接近しているとわかり慌てて迎撃の準備を進めている。
●蝗擬き共
→一体何ニッドなんだ……
●転生者(ムス)
→新たな襲撃者にウンザリしつつも面接を行いロクシアの参入を歓迎した。人間の時よりムスとして生きてきた時間の方が圧倒的に長いので自分の種族自認はスケイヴンである。
●ケイオス・スペースマリーンのロクシア
→「確かにスケイヴンの指導者はスゴイ……でもこれスケイヴンとしてはおかしくないか?ん?あれ、ムス殿ってもしかして元人間なのでは?じゃあ自分にもチャンスがあるヤンケ」と意気揚々と来訪した行動力の化身。無事受け入れられて恩寵を貰いご満悦な様子を見せた。
現在はムスの護衛と後進の育成、同志となるケイオス・スペースマリーンの勧誘に励んでいる。
●
→通称ラットマリーン。他のケイオス・スペースマリーンへの対抗策として創設された。スケイヴンや人間達で構成されるマリーンである。ロクシアのような物好きや銀河の現状に疲れ果てた者達が続々と参加している。
ちなみに他のケイオス・スペースマリーンからは蛇蝎のごとく嫌われ唾棄されている模様。
●
→たとえ人間でも自分の役に立つならば参加を認める寛大な神の鑑。自分の手駒となるケイオス・スペースマリーンができて満足気な様子を見せる。
そして渾沌の4大神を「お前達が不甲斐ないから私に忠誠を誓う者達が出てきたけど今どんな気持ち?」と爆笑しながら煽りブチギレさせていた。
スケイヴンタイドを購入しスケイヴンにハマった結果勢いで書きました。WARHAMMERの二次は二回目でが、今度は最後までプロットが出来てますので何とか完結させたいと思います。参考資料はコアブック(AOS&40K)とコデックスとバトルトームです。ネタバレですが「俺達の戦いはこれからだ!」エンドになります。
更新はゆっくりとしたものになります。今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。