【完結】鼠人間となった転生者   作:すも

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WARHAMMERの二次は二回目ですが頑張ります。


鼠人間がラットマリーンになるまで

「キィ、キィ」「キッキッ」「キキィ」

―ふむ、無事に産まれたようです。雄が12人に雌が1人……合計で13人とは縁起がいい―

 

天の川銀河にて急速に勢力を拡大している新興種族スケイヴンの支配下にある惑星の一つで、あるスケイヴンの赤子が産まれていた。スケイヴンの雌達を管理し出産の様子を確認していたAIは出産が上手くいった事を喜びつつ母体や赤子達のバイタルチェックを行う。

 

「ギィーーーッ!!」

「キィィ!?」

―おっと、少し元気過ぎる子がいるようですね。13番、兄弟をイジメてはいけませんよ―

 

産まれた子供達の中に特に狂暴な赤子がいるのを見つけたAIは他の兄弟を喰い殺さないよう隔離する。殆どのスケイヴンの赤子は生まれてから数年間は集団生活を送る事になっているが、時折生まれる雌や狂暴な個体、極稀に誕生するグレイシーア等は産まれてすぐに隔離され専用の施設で教育を受ける事になっていた。

 

―AI0100015013、素養持ちの子供が産まれましたのでそちらに送ります―

―わかりました。強い子に育ててみせましょうー

 

 

 

「アバババババ!?」

―頑張って耐えてください13番、貴方の先輩方は皆耐える事が出来ましたし貴方も問題なく耐えられるでしょう―

 

13番と呼ばれた赤子が専用施設に送られて1年が経過していた。成長促進剤を投与されある程度身体が成長したのを確認した施設のAIは頃合いと見てスケイヴン社会における一般教養や銃器の取り扱い等の軍事的な基礎知識を機械にて13番の脳に直接刷り込んでいく。

 

ちなみにスケイヴンの子供の教育は機械による知識の刷り込みが一般的である。面倒な教育の手間を省けるとしてスケイヴン達から評価されているこの教育方法の生存率は改良が進んだ結果9割を超えていた。残りの1割未満は刷り込みに耐えられず廃人になるがスケイヴン達からすれば軟弱な屑であり容赦なく処分されている為特に問題はなかった。

 

「ウゲェ……」

―無事堪えられたようですね。おめでとうございます13番、貴方はこれよりネズローという名前が与えられます。これからは自分の事をネズローと名乗りなさい―

「ハッ、ハイィ」

 

13番、もといネズローは自分をこんな目にあわせたAIに殺意を持ちつつも、自分より上位の立場であるAIに逆らう気はなく笑顔を浮かべて返事をするのであった。

 

 

 

「シャアッ!ラット・ソード!」

「隙だらけです」

「ブベラッ!?マダマダァ!」

「その意気ですよ」

 

13番がネズローと名乗り始めてから1年。ネズローは自分と同じような素養持ちと呼ばれる仲間達と共同生活を送っていた。一般的なスケイヴンからみてネズロー達は生まれながらのエリートであり衣食住も恵まれていた。そんなネズローだったが格闘訓練で教官に挑みかかるも瞬殺されるが諦めずに挑み続けていた。

 

「マタ瞬殺サレテルゾアイツ、アホダナァ」

「アア、教官殿ニ勝テナイカラッテムキニナルトハナ」

 

同期のスケイヴン達は何時もの光景だと特に驚く事もなく呆れていた。ネズローは軍事訓練にて非常に高い成績を収めている期待の若手であったがまだまだ未熟であり、教官のラットオゴウル改に何度も返り討ちにされていた。

 

「アイツ出世シタクナイノカナ?」

「ウーン、アノ様子ジャ出世トカ眼中ニナイヨウダナ。暴レル事シカ考エテナインジャナイカ?」

「ヘヘッ、ソウカ。ライバルガ減ルノハイイ事ダ!」

 

同期達は自分の出世の邪魔をしないならそれでいいと考えていた。スケイヴンらしく立身出世を夢見ており教官に勝つ事など考えていなかったのだ。

 

「マア奴ハ最前線デ戦ウ方ガオ似合イダゼ」

「ソウダナ、俺達ハ後方デ安全ニ出世スルゾ」

 

ネズローが宙に飛ばされるのを眺めつつ同期達は呑気な様子で雑談をするのであった。

 

 

 

「新タニ創設サレル部隊へノ推薦?」

「ええ、貴方なら見込みがあると私は考えています」

 

訓練に勤しむネズローに教官のラットオゴウル改から新設部隊への応募を勧められていた。

 

「貴方の恵まれた体格と並外れた闘争心、そして冷静沈着な判断能力……貴方なら偉大なる預言者ムス様が創設しようと準備を進めている新設部隊でも上手くやっていけるでしょうね」

「光栄デアリマス!謹シンデオ受ケイタシマス!」

 

教官の言葉を聞いてネズローは表向きは落ち着きつつも内心興奮していた。自分達の指導者が直々に創設するエリート部隊に配属されるというのは大変名誉な事であり、自分が同期達よりも評価されているという事実に優越感を覚えていたのだ。

 

「よろしい、では今日中に荷物を纏め明日の直行便で惑星ムスへ向かうように」

「ハイ!」

 

 

 

「ヨウ、オ前モ教官殿ヤAI様カラ推薦サレテキタノカ?」

「ソウダ、オ前モカ?」

「オウヨ、俺モオ前ト同ジエリート様ッテワケダ。俺ノ名ハチュウメイ。ヨロシクナ」

「フウン、アアソウ……俺ハネズローダ」

 

スケイヴン達の母星である惑星ムスに到着したネズローはやけに馴れ馴れしい奴がいるなと思いつつ巨大な施設内部を見回す。周囲にはネズローやチュウメイのような幼いスケイヴン達が集められていた。

 

「ナア知ッテルカ?コレカラ俺達ハラットオゴウルミタイニ改造サレテサイボーグ兵士ニナルラシイゾ」

「ハァ?サイボーグ兵士ナンカ造ラナクテモ、ラットダーガイルジャナイカ」

 

チュウメイの発言にネズローは思わず困惑する。肉体が貧弱なスケイヴン達は戦場での盾役としてラットダーやラットオゴウル改を運用しており、態々サイボーグ兵士を造る必要性がわからなかったのだ。

 

「ドウモ以前人間共ガ攻メテキタ時ラットダーデハ力不足ダトイウ事ガワカッタラシイ。ラットダーハ並大抵ノ敵ナラ倒セルケド、精鋭ガ相手ジャ厳シイカラ新シクサイボーグ兵士ヲ造ル事ニナッタンダトヨ」

「随分詳シイナ」

「へへッ、ココニ来ル前ニコンピューターニ色々ト聞イテオイタノサ」

「静マレ!静マレ子鼠共!オ喋リノ時間ハ終ワリダ!」

 

中々抜け目がない奴だとネズローは思いつつもチュウメイとの会話を続けていたが、巨大施設の責任者であるグレイシーアが怒鳴りながらやって来たので慌てて会話を終わらせる。

 

「フン、底辺ノ屑共ノ中デハ比較的マシナ屑ガ集マッテイルヨウダガ、果タシテ何匹生キ残レルカナ?私ハ屑相手ニ長話スルツモリハナイカラサッサト本題ヲ話ソウ。貴様等ハコレカラ改造手術ヲ受ケテモラウ!」

(ナンダァ、本当ニアイツガ言ッテタ通リジャナイカ)

 

チュウメイの言う通りだったと少し驚きつつネズローはグレイシーアの発言を黙って聞き続ける。

 

「安心シロ!手術ノ成功率ハ9割ヲ超エテイル!成功スレバ貴様等ハエリート兵士トシテ生マレ変ワルダロウ!言ッテオクガ貴様等屑共ニ拒否権ハナイ!デハココカラ移動シロ!急ゲ子鼠共!」

 

「本当ニオ前ガ言ッテタ通リダッタナ」

「キキキ、ドウダスゴイダロウ?マア、マズハ手術ガ上手クイクヨウ偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)ニ祈ロウゼ」

「アア、ソウダナ。最初ノ段階デ死ンジマウノハゴメンダ」

 

自分達の改造が成功するよう自分達の崇める神である偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)に祈りつつネズローチュウメイといった候補生達は移動するのであった。

 

 

 

「コノカプセルニ入レバイイノカ?」

―こんにちはネズロー、今回の手術を担当しますAIのグリカグラと申します。緊張しているでしょうがどうか落ち着いてリラックスしてください―

「オオ、コンピュータ制御ナノカ。ヨロシクナ」

―ええ、よろしくお願いします。では早速ですが麻酔を投与して手術を始めましょう。目が覚めるのは約1年後ですがどうかご安心を―

「エッ」

 

 

 

「……………」

―まずは成長促進剤を投与しつつ強化人工臓器を移植します。強化人工臓器が身体に馴染み完全に機能するまでバイタルチェックを欠かさず行いますのでご安心ください―

 

 

 

「……………」

―そして移植作業と並行し精神調整を行います。脳に直接暗示や刷り込みをする事で無駄な時間を取られる事なく、効率的に精神を強化し知識を蓄える事ができます。マスター達は幼い頃に一度体験しているので慣れたものでしょうね―

 

 

 

「……………」

―各種強化人工臓器は完全に動作し臓器間の連携も問題なし……素晴らしい、手術はほぼ成功したようなものです。後は規定の基準まで身体が成長するよう成長促進剤を投与するので暫くお待ち下さい―

 

 

 

「ヴァ、アア」

―麻酔が解けたようですね、お疲れ様でしたネズロー。手術無事成功しましたよ。今のお気持ちは如何ですか?―

「……身体ニスゴイ違和感ガアルンダガ」

―強化人工臓器を移植され身体が急激に成長すれば違和感を覚えて当然かと。身体を動かせば違和感もいずれ消えるでしょう。ではカプセルから出て指定された部屋へ向かってください―

「ワカッタ……」

 

 

 

「ほう、私の知るスペースマリーンの製造とは随分違いますな」

「成長促進剤と機械による完全自動化によって時間を短縮している。我々スケイヴンは人間共のように呑気に時間をかけるつもりはないからな……一応身体能力については人類の帝国の強化兵士共と遜色ないレベルにまで上げる事ができた。後は経験を積めばいい。彼等の指導よろしく頼むぞロクシア」

「ええ、お任せくださいムス殿。彼等が使い物になるようしっかり鍛えますよ」

 

 

 

「おめでとうございます、よく手術を乗り越えましたね新修士(ネオファイト)達よ。私は貴方達の上官となるロクシアです。どうぞよろしく」

「……ッ」

 

改造手術を終えて自分の身体を確認していたネズロー達は上官であるロクシアと対面していた。ケイオス・スペースマリーンとして尋常ではない気配を漂わせるロクシアを見て、目の前の丁寧な態度を取る男が危険だと察したネズロー達は瞬時に跪く。

 

「うむ、よろしい。相手の危険性を理解できるのは素晴らしいですね。スケイヴン特有の第六感でしょうか?まあいいでしょう。これから貴方達は私の下で経験を積む事になります。来たるべき渾沌の神々の尖兵達と戦えるようになるまで鍛えますので覚悟してください」

(ナンダァ、コイツ何カ違和感ガ……?)

 

目の前ので演説を続ける男は自分達と同じ様な鼠顔と尻尾を持っているのに何処か違和感を覚えたネズローは少しだけ困惑する。

 

「大丈夫ですよ。貴方達は改造手術のお陰で色々と無茶ができますから……まあ楽に死ねるとは思わないでください」

(((何処ニ安心デキル要素ガ……?)))

 

ロクシアの言葉に引きつつもネズロー達は地獄の訓練が始まる事を察して気合を入れるのであった。

 

 

 

「コノ武器ハナンダ?ボルトガン?チェーンソード?」

「ヘェ、コレハ人間共ノエリート達ガ使ウ武器ダナ」

「ホント色々知ッテルナチュウメイ。デモコンナダサイ武器ヨリモプラズマ武器デイイダロ」

「食ワズ嫌イハヨクナイゼ。コレモ中々優秀ラシイゾ」

 

 

 

「コノパワーアーマーハスゴイナ!」

「アア、軽クテ動キヤスイシ、バリアフィールドノオ陰デ鉄壁ノ防御力ガアル」

「コレナラクソ人間共ナンカ怖クナイゼ!」

「調子ニ乗ルナ。装備ヲ過信スルンジャナイ」

 

 

 

いくさだァァァア(グァァァグ)!!」

「ナンデクソ緑共ト直接対決シナキャイケナインダヨォ!?」

「黙レ!黙ッテプラズマガンヲ撃テ同胞(ブラザー)チュウメイ!」

「言ワレナクテモヤッテルヨ!デモオ前ボルトガントチェーンソードガスッカリ気ニ入ッタミタイダナ」

「中々使イ勝手ガイイカラナ。ソレニチェーンソードデ敵ノヲ切リ裂ク感覚ハ中々癖ニナル」

 

 

 

「皇帝陛下の為に!」

「コレガ最終試験トイウワケカ!クソ人間ノ強化兵士ヲブチノメスッテ無茶言ッテクレルナァ」

「オ前ハ相変ワラズオ喋リナ奴ダナ同胞(ブラザー)チュウメイ。ビビッテイルノカ?」

「ヘッ、クソ人間共ナンカ怖クナイサ。行コウゼ同胞(ブラザー)!クソ人間共ヲブッ殺シテヤル!」

「アア、偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)ノ為ニ!」

 

 

 

「どうだ?ラットマリーン達は使い物になるか?」

「まあ、ギリギリ合格かと」

 

ムスの問いかけにロクシアは微妙な表情を浮かべつつも何とか合格だと答えていた。

 

「そうなのか?最終試験で彼等は帝国のスペースマリーンに勝利したと報告を受けたが」

「あの勝利は装備の差と数による力押しによるものでした。デスウォッチと比較すると動きが数段劣ります。いずれ経験を積めば対抗できるようになるでしょうが……今の段階では厳しいですね」

「そうか、いずれ対抗できるのなら問題ない。彼等を一度帰還させて記憶の複写作業を行わせろ。彼等の貴重な経験の記憶は後続の育成に役立つだろう」

「ええ、わかりました。しかし生まれて5年で一応使い物になる程度に育成できるとは、スケイヴンの科学技術は素晴らしいですな」

 

ロクシアはラットマリーンの質はともかく5年程度で新修士(ネオファイト)として最低限の育成ができる事に感心していた。人類の帝国では何十年もかけて育成していた事を考えたらスケイヴン達の育成速度は驚異的であった。

 

「人間のように無駄な儀式や祈祷をしないから効率的に育成できるのだ……よし、これなら渾沌勢力が襲撃してくるまでにラットマリーンの数を揃える事ができるな」

「ふむ、ムス殿は神々の信徒達が何時頃来ると考えているのですか?」

「神から警告を受けたし100年以内には確実にやって来るだろう。我々は来たるべき決戦に備えて準備するだけだ」

 

ムス達は渾沌勢力との決戦に向けて準備を進めていくのであった。

 

 

 

 

<人物紹介>

●ネズロー

→AOS世界だとストームヴァーミンになっていただろう生まれながらのエリート兵士。ラットマリーン第一世代として活動している。兵士の才能は中々の物で最終的な強さは0.8タイタスになれるだろう。お喋りな戦友に辟易しつつも背中を預けられると一応信用している模様。

 

 

 

●スケイヴンの育児教育

→一般的な子鼠達は基本的にAIに丸投げされている。AIは子鼠達を分け隔てる事なく平等に接し適性に合った職業で働けるよう調整してくれる。ネズロー達のようなエリートは専用施設で、グレイシーアはスケイヴンの母星ムスにて丁寧に教育を受けている。

 

 ちなみに機械による知識の刷り込みは生まれに関係なく全ての子鼠が受けている。長年改良された結果滅多に死ぬ事はないので大丈夫だ、問題ない。

 

 

 

●チュウメイ

→ネズローの同期でお喋りなスケイヴン。剽軽な性格で出世にもあまり興味がないというスケイヴンとしては変わり者である。

 

 ネズローについてはコイツに付いていけば自分が死ぬ事はないだろうと信頼している。

 

 

 

●ラットマリーン

→人類の帝国との戦争でラットダーがデスウォッチに邪魔だクソゴミと瞬殺されたのを知った上層部が帝国のスペースマリーンに対抗できる柔軟な思考がある強い兵士を求めた結果創設された。見た目はゴツくなったストームヴァーミンであり、武装はスケイヴンのプラズマ兵器や40K世界で大人気なボルト兵器である。ラットマリーンのトップはロクシア。

 

 急造兵士で色々と未熟であり帝国のスペースマリーンには技量で劣るが、スケイヴン脅威のテクノロジーによって造られたパワーアーマーやプラズマ兵器があり、生まれて5年程で新修士(ネオファイト)にまで育成でき数の調達は容易である為中々侮れない存在である。

 

 ラットマリーン達はロクシアが人間である事を察しているが偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)の恩寵を受けているなら問題ないだろうと考えている。神が認めたのなら自分達から言う事は何もないと。

 

 

 

●ケイオス・スペースマリーンのロクシア

→ラットマリーンのトップとして後輩達の育成に力を入れている。ロクシア本人としては今のラットマリーン達は未熟だがこれから経験を積めばいいと考えているようだ。

 

 

 

●転生者(ムス)

→来たるべき決戦に向けて準備を進めている。偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)も何か企んでいるようだ。




スケイヴンタイドを購入しスケイヴンにハマった結果勢いで書きました。WARHAMMERの二次は二回目でが、今度は最後までプロットが出来てますので何とか完結させたいと思います。参考資料はコアブック(AOS&40K)とコデックスとバトルトームです。ネタバレですが「俺達の戦いはこれからだ!」エンドになります。



更新はゆっくりとしたものになります。今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
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