【完結】鼠人間となった転生者   作:すも

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WARHAMMERの二次は二回目ですが頑張ります。
この物語ももうすぐ終わりです。


神々の戦い

「申し訳ありません。態々そちらから召喚させてしまうとは」

「別に謝らなくてもいい、貴様はきちんと仕事をしたのだからな。なら約束通り特等席に案内するのは当然だ」

 

ムスからテレポートで召喚されたロクシアは余計な手間を掛けさせたと謝罪しつつ周囲を見回す。現在ムス達がいる場所は歪み空間の中であり、歪み石(ワープストーン)の巨大な宝珠を持ったムスを中心として強力な障壁が展開されていた。

 

「神から賜った宝珠だよ。特殊な結界を張る事ができ歪み空間の中でも問題なく潜伏し活動できるようになる優れ物だ。まあ我々スケイヴン以外が使おうとすれば制御できず暴走し変異と汚染を撒き散らす事になるだろうがな」

「ほう、それは便利ですな!」

「ここからなら神々の戦いを直接眺める事が出来る、戦場となる場所から遠く離れているし戦闘の余波はこちらに届く事はないから安心しろ……では決戦が始まるまでノンビリと待とうか。酒とつまみはそちらにあるから好きな物を取るといい」

「ありがとうございます、準備万端ですなぁ」

 

ムス達は呑気な様子で酒とつまみを用意しつつ神々の戦いが始まるのを待つのであった。

 

 

 

「ほう、皆考える事は同じか。物質世界から野次馬が続々と集まっているな。人間、アエルダリ、ケイオス・スペースマリーン、その他にも様々な異種族(ゼノ)達が覗いているようだ」

「当然でしょう、数万年に一度あるかどうかという神々の戦いは全ての定命の者達にとって一大イベントですから」

「それもそうだな……おおっ、グリーンスキンも視てるようだぞ。奴等でも気になるのだな」

 

 

 

「しかし地球がある方向から凄まじい力を持った異能者が覗いているな。なんだこの出鱈目な力を持った異能者は……ほんとうに我々と同じ物質世界の住人なのか?」

「それは恐らく偽りの皇帝ですね。アレは死体となっても桁外れの異能者ですからムス殿が戦慄するのも当然かと」

「仮死状態となって一万年近く経過してもサイキック能力は一切衰えないか……いや本当に化け物だな。人間共の帝国では神として称えられているそうだが、確かに神と言われても納得するぞ。肉体が朽ち果てても並のディーモンプリンスなんぞ一蹴できる力がある異能者とかおかしいだろう」

「ハハハ、人間達が偽りの皇帝を神格化するのは当然ですね。まあ偽りの皇帝本人は宗教を忌み嫌っていましたし、自分を神格化するなど絶対に受け入れられないでしょうがね」

 

 

 

「皇帝の奴め、さっきから何かを探しているようだが、一体何を探っているのだ?もうすぐ神々の戦いが始まるというのに」

「もしや、ムス殿を探しているのでは?人類の帝国から見ても我々スケイヴンの存在は鬱陶しいですし、スケイヴン達を率いるムス殿を確認しておこうと考えているとか」

「ハハハ、そんな馬鹿な。あれほどの異能者が偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)の小間使いに過ぎない私をそこまで警戒する理由があるのか?」

「偽りの皇帝からすれば少なくともムス殿を生かしておく理由はないと思われますが」

「……確かにそれもそうか。この決戦が終わったら本拠地を移転させておこう」

「ええ、それがいいと思います」

 

 

 

「お、ようやく始まりそうだぞ」

「おお、そのようですな」

 

ムス達が雑談している間にもアエルダリ達の死せる者の神であるインニアード神が、遂に種族の怨敵である快楽の神スラーネッシュ神と対面していた。両者は暫くの間無言で睨み合い……そして手に持った剣を突きつけ同時に斬りかかる。

 

「おおーっ、凄まじいサイキック能力の応酬だな。これが神々の戦いか」

「これは近くにいれば戦闘の余波だけで消滅するでしょうね」

 

戦局は互角でありインニアード神とスラーネッシュ神は互いを滅ぼさんと全力を尽くしていた。

 

「しかし渾沌の4大神に匹敵する力とは凄まじい。偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)が復活を手助けするわけだ……ムス殿、どちらの神が勝つと思いますか?」

「アエルダリ達の神だ。そしてこの戦いはすぐに決着が着く」

 

ロクシアの問いかけにムスは即答する。ムスはインニアード神が勝利する事を微塵も疑っていなかった。

 

「ほう、その根拠は?両者の力はほぼ互角なように見えますが」

「インニアード神は全力だが快楽の神はまだ余力がある、時間を掛ければインニアード神は負けるだろう。なのでインニアード神は速攻勝負を仕掛ける」

「上手くいくのでしょうか?」

「ああ、何も問題はないぞロクシア。何せ……」

 

インニアード神が精神統一して大技の構えを取り、対するスラーネッシュ神は迎え撃とうとして……

 

「我々の神がインニアード神を手助けするからだ」

 

スラーネッシュ神の背後に忍び寄っていた偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)が無防備なスラーネッシュ神の首に噛みついたのであった。

 

 

 

―相変わらず間抜けな奴だな貴様は―

 

突然の乱入者に動揺するスラーネッシュ神を偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)は嘲笑っていた。

 

―この戦いが余人の介入がない神聖なる一騎打ちだと勘違いしていたのか?―

 

神としての格の違いによって偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)が与えた傷は大したダメージにはならずスラーネッシュ神は憎悪に燃える視線を鼠の神に向けていた。

 

―愚か者め、これは復讐なのだ。貴様が散々貪ってきたアエルダリ達のな。そして私はそれを手助けしただけだ……そうら、私に意識を向ける暇があるのか?―

 

偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)の言葉にスラーネッシュ神は慌てて向き直るも既に手遅れな状況になっていた。目の前にいる無表情なインニアード神が致命的な技を繰り出そうとしており迎撃しようにも間に合わなかったのだ。

 

―阿呆が、弱い者を嬲る事しかしてこなかったからだ。血の神ならこんな無様な醜態を晒す事は絶対になかっただろうよ……―

 

インニアード神の剣に串刺しにされたスラーネッシュ神を見て偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)は快楽の神の無様な姿を嘲笑う。弱弱しい様子で剣を抜こうとするスラーネッシュ神であったが剣はビクともせず決着が着いた事は誰の目にも明らかであった。

 

―私の出番はここまでだな。後は好きにすればいい、ではさらばだ―

 

一仕事終えた偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)は戦場を立ち去るのであった。

 

 

 

鼠の神が去って行くのを無表情ながらも何処か忌々し気な様子で見送ったインニアード神はやがてスラーネッシュ神に向き直ると、スラーネッシュ神の頭を鷲掴みにする。その間スラーネッシュ神から様々な甘言があったがインニアード神は一顧だにせず無視する。

 

鷲掴みにした頭から何か力のような物が腕から伝わりインニアード神に流れていく。それは神の権能であり力そのものであった。スラーネッシュ神は必死に抵抗するも神の力は続々と吸収されていき、インニアード神は力をますます高めていく。

 

そして力を半分以上吸収したインニアード神は凄まじいプレッシャーを放つ。スラーネッシュ神の力を奪う事でアエルダリ達の死せる者の神として存在を確立したインニアード神はこれよりアエルダリ達の死の神として君臨する事になる。……死したアエルダリの魂はこれからはスラーネッシュ神ではなくインニアード神の物となったのだ。

 

引き続き力を吸収しようとしたインニアード神であったが、スラーネッシュ神の身体に無数の亀裂が走っているのを確認して防御態勢を取る。そしてスラーネッシュ神は木っ端微塵に弾け飛んだのであった。

 

 

 

「これは、逃げたな。完全に消滅するよりは逃げて再起を図ろうとしているのだろう」

「神も意地汚いのですなぁ。どうですかムス殿、快楽の神に再起の目はあるのでしょうか?」

「うーむ、そうだな。歪み空間に散らばった神の欠片を快楽の神の信者達は必死に集めるだろう。だが他の神がそれを黙って許すわけがないし自分の手元に置いておこうとするはずだ。仮に奇跡が起きて全ての神の欠片を回収できたとしてもインニアード神が快楽の神の復活を許すわけがないし、力の大半を奪われた現状ではまず勝てないが……一応可能性は零ではないな」

「ハハハ、話を聞く限り再起不能な気がしますな」

「まあそれよりも渾沌の領域(レルム・オヴ・ケイオス)で大きな動きがあったようだぞ。主人がいなくなった快楽の宮殿に続々と他の暗黒神達が侵攻を始めているようだ」

 

 

 

血の神は爆笑していた。特に嫌っていた快楽の神が無様な姿を晒し逃亡したのを見て抱腹絶倒して笑い転げていた。笑い過ぎて何度も咳き込み時折呼吸困難に陥るレベルで爆笑していたのだ。

そして血の神は爆笑しながら部下のディーモン達にスラーネッシュ神の領域へ侵攻を命じた。

 

疫病の神は快楽の神が悲惨な状況に陥った事に少しだけ同情しつつも、それはそれとして自分の権能を強める為に主人が不在となった快楽の宮殿に攻め入る事を決意した。

 

変化の神は大いなる変化が起きた事を喜びつつ今後の展開を夢想していたが、それよりもフリーとなったスラーネッシュ神の領域を切り取ろうと思考を切り替える事にした。

 

偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)はスラーネッシュ神から僅かに奪った権能を確認し予定通りいった事を喜びつつ、ほんの少しお零れがあるだけでも十分だと渾沌の領域(レルム・オヴ・ケイオス)で少しでも自分の領域を広げるべくスラーネッシュ神の領域に攻め入る事を決意するのであった。

 

 

 

先見司(ファーシーア)、彼等の神は本当にあの怨敵を打ち倒したぞ!彼等は成し遂げたのだな!」

「ああ、そうだな。死せる者の神が私達の魂を受け入れる未来を視たよ」

「これからはインニアード神が我々アエルダリの魂を受け入れるのか……信用していいのだろうか?あの鼠の神に助太刀を受けていたが」

「心配しなくていい。快楽の神に貪られる事を考えれば死せる者の神に任せる方がずっといいさ」

「それはそうなのだが」

 

 

 

アエルダリ達は種族の怨敵であるスラーネッシュ神が打倒された事に歓喜していた。インニアード神を信望するインナーリ達だけでなく方舟(クラフトワールド)、デュカーリ、ハーレクィン、エクソダイト、コルセア……インニアード神を疑うアエルダリ達は少なからず存在していたが、この時ばかりは全てのアエルダリ達が無邪気に喜んでいたのであった。

 

 

 

「……………」

 

 

 

そして地球の黄金の玉座に据えられている皇帝は渾沌の4大神の一柱が大きく衰退した事に満足しつつも、新たな渾沌の神である偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)を警戒しつつ人類の為に戦い続ける事を決意するのであった。

 

 

 

 

<人物紹介>

●ムスとロクシア

偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)から賜った宝珠を使って歪み空間から神々の戦いを観戦していた。酒とつまみを嗜みながら「我等の神ナイスサポート!」と称賛していた。決闘が終わった後は「「いやーいいもの見れたなー!」」と満足気な様子で仕事に戻った。

 

 

 

●皇帝陛下

→黄金の玉座に一万年程据えられて身体が朽ち果てても超人的な精神は一切揺るがない怪物を超えた怪物。調べれば調べる程「な、なんやこの化け物は……(ギュンギュン」となり「(神格化されるのも)ま、なるわな……」となる超人を超えた超人である。ムス如きでは邪魔だクソゴミされるだろう。

 

 

 

●インニアード神VSスラーネッシュ神

→インニアード神が勝利した。スラーネッシュ神は勘違いしていたが別に決闘でも何でもないのだ。なので偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)の不意打ちも許されるしインニアード神もそれを利用する事に何の躊躇いもなかった。

 

 

 

●インニアード神

→アエルダリ達の死せる者の神でスラーネッシュ絶対殺す神。無事スラーネッシュ神に勝利して力の大半を奪い取る。スラーネッシュ神の力を吸収した今では他の渾沌の3大神でも迂闊に手を出せない程強くなった。

 

 今後この世界のアエルダリ達の魂は死後インニアード神の下へ運ばれる事になるだろう。邪神に貪られるより遥かにマシである。

 

 

 

●スラーネッシュ神

→渾沌の4大神の面汚し。偉大なる角ありし鼠(グレイトホーンドラット)に不意打ちされたとはいえインニアード神にあっさり負けた事で渾沌の4大神最弱の名は確定となった。除名もあり得るかもしれない。

 

 一応再起の目はあるにはあるが、奇跡が起きて神の欠片を全て回収しスラーネッシュ神が復活しても即座にインニアード神が殺しに来るので実質不可能である。まあAOS世界みたいに封印されているわけじゃないから頑張れ!

 

 

 

●渾沌の3大神

→スラーネッシュ神の醜態を見て血の神は爆笑し嘲笑っていた。そして3大神はスラーネッシュ神の領域に侵攻して切り取り合戦を行うのであった。

 

 

 

●アエルダリ達

→種族を蝕んでいた怨敵であるスラーネッシュ神が打倒されとりあえず無邪気に喜んだ。でもインニアード神について疑っている者は結構多い模様。イヴライネ達インナーリが頑張って説得するだろう。




スケイヴンタイドを購入しスケイヴンにハマった結果勢いで書きました。WARHAMMERの二次は二回目でが、今度は最後までプロットが出来てますので何とか完結させたいと思います。参考資料はコアブック(AOS&40K)とコデックスとバトルトームです。ネタバレですが「俺達の戦いはこれからだ!」エンドになります。



今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
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